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小児不整脈改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:小児不整脈改訂第2版

あいち小児保健医療総合センター

長嶋 正實(ながしま まさみ) 著

日本大学医学部小児科学系小児科学分野

住友 直方(すみとも なおかた) 著

福岡市立こども病院・感染症センター循環器科

牛ノ濱 大也(うしのはま ひろや) 著

久留米大学医学部小児科

前野 泰樹(まえの やすき) 著

改訂第2版 AB判 並製 226頁 2011年11月10日発行

ISBN9784787819154

定価:6,050円(本体価格5,500円+税)
  

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リアル心電図を大幅に増補し,年齢依存性に病態の異なる小児の不整脈を,胎児から思春期まで幅広く詳述した全面改訂版.遺伝子診断に基づく遺伝性不整脈の知見や,カテーテルアブレーションによる不整脈治療など,発展の目覚ましい不整脈診療の最前線をおさえつつ,入門編として重要な「不整脈診断の基本的な流れ」やイオンチャネル・電気生理学的検査の知識なども詳細にも盛り込んだ,若手小児科医・小児循環器科医必携の書.

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目次

改訂第2版 序文
初版 序文 

Ⅰ不整脈診断の基礎

1 小児の不整脈の特徴

2 不整脈診断の基本的な流れ

Ⅱ不整脈理解の基礎

1 刺激伝導系
 A 洞結節
 B 心房内刺激伝導路
 C 房室結節とHis束
 D 両脚

2 心筋細胞のイオンチャネル
 A Naチャネル(INa)
 B Kチャネル
 C Caチャネル
 D Na/Ca交換系
 E Na‐K ATPaseポンプ
 F リアノジン受容体と細胞内Caイオン動態

3 不整脈に関する電気生理 
 A 自動能4  
 B triggered activity
 C  リエントリー
 D エントレインメント  
E 不応期

Ⅲ不整脈の検査

1 運動負荷試験 
 A 運動負荷試験の目的
 B 学校心臓検診における役割
 C 運動負荷試験の種類
 D 運動負荷で誘発される不整脈

2 ホルター心電図 
 A ホルター心電図の目的と有用性 
 B ホルター心電図の誘導

3 電気生理学的検査
 A 目的
 B 検査の実際
 C 合併症

4 加算平均心電図 

Ⅳ不整脈の治療

1 治療不要の不整脈  

2 抗不整脈薬 
 A Naチャネル遮断薬(Vaughan Williams分類I群抗不整脈薬) 
 B β受容体遮断薬(Vaughan Williams分類II群抗不整脈薬) 
 C Kチャネル遮断薬(Vaughan Williams分類III群抗不整脈薬)
 D Caチャネル遮断薬(Vaughan Williams分類IV群抗不整脈薬)
 E ジギタリス製剤 
 F ATP

3 薬物治療 
 A 発作性上室頻拍
 B 非発作性上室頻拍(心房頻拍)
 C 特発性非持続性心室頻拍
 D 特発性持続性心室頻拍
 E 先天性QT延長症候群
 F 洞不全症候群
 G 高度または完全房室ブロック

4 非薬物治療 
 A カテーテルアブレーション
 B ペースメーカ
 C 心臓再同期療法(CRT)  
 D 植込み型除細動器(ICD)
 E 電気的除細動,カルディオバージョン
 F 自動体外式除細動器(AED)
 G 外科治療


Ⅴ不整脈各論

1 上室不整脈 
 A 洞不整脈
 B 洞徐脈
 C 洞頻脈
 D 洞(機能)不全症候群(SSS),洞結節機能不全(SND)
 E 房室接合部不整脈
 F 上室期外収縮(SVPC),心房期外収縮(PAC)
 G 上室頻拍(SVT)
 H 心房細動(AF)  
 I 心房粗動(AFL)
 J 接合部異所性頻拍(JET)
 K 副伝導路症候群

2 心室不整脈 
 A 心室期外収縮(PVC/VPC)  
 B 心室固有調律
 C 心室副収縮
 D 心室頻拍(VT)
 E 特発性心室細動(IVF)

3 脚ブロック
 A 右脚ブロック(RBBB)
 B 左脚ブロック(LBBB)
 C ヘミブロック

4 房室伝導障害 
 A 1度房室ブロック
 B 2度房室ブロック
 C 高度房室ブロック  
 D 3度房室ブロック(完全房室ブロック)

5 遺伝性不整脈 

 A 先天性QT延長症候群(LQTS)
 B QT短縮症候群
 C Brugada症候群
 D 不整脈源性右室心筋症(ARVC/ARVD)
 E 進行性心臓伝導障害(PCCD)
 F 家族性心房細動
 G 遺伝性洞不全症候群

6 先天性心疾患術後不整脈

 A 洞結節機能不全
 B 房室伝導障害
 C 上室頻拍
 D 心室不整脈

7 胎児不整脈  
 A 超音波検査による胎児不整脈の診断方法 
 B 胎児頻脈性不整脈 
 C 胎児徐脈性不整脈
 D 期外収縮

索引  

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序文

改訂第2版 序文
 不整脈の診断,治療は大きく進歩しています.とくに遺伝子診断に基づく遺伝性不整脈の知見や,カテーテルアブレーションによる不整脈治療の発展には目覚ましいものがあります.しかし,一方では心電図による基本的な不整脈診断も依然として重要であり,診断ができなければ治療に結びつきません.
 2005年に住友直方先生,牛ノ濱大也先生との共著で,小児科医や若い小児循環器医のために「小児不整脈」を上梓しました.それから6年が経過し,不整脈に関する新しい知見がどんどん増え,内容的に気掛かりになっていたところ,幸いにも出版社より,「『小児不整脈』が好評であるから改訂をお願いしたい」といううれしいお言葉をいただきました.そこでさっそく両先生とも相談し,新しく書き直すことにしました.
 改訂第2版の特色として,不整脈の入門編として重要な「不整脈診断の基本的な流れ」を書き加えました.また,不整脈の理解には欠かせないイオンチャネルや電気生理学的検査の知識,カテーテルアブレーションなどを詳細に,わかりやすく記載しました.QT延長症候群,Brugada症候群などの,治療の進歩が著しい遺伝性不整脈を1つにまとめ,最新の知見をふんだんに取り入れました.また新しく前野泰樹先生に胎児不整脈の項を担当していただき,これで小児期の不整脈すべてをカバーすることができました.掲載した心電図にもなるべく詳しい説明を加え,若い先生方にもわかりやすくなったのではないかと考えています.
 いずれにせよ,この分野はまだまだ進歩すると思います.数年後には,今の若い方々にさらに新しい小児不整脈学の本を書いていただけるものと期待しています.
 最後に,ご迷惑をおかけした診断と治療社編集部の皆さんをはじめ,ご指導いただいている多くの方々に心から感謝いたします.

2011年10月吉日
あいち小児保健医療総合センター
長嶋正實

初版 序文
 小児循環器学は急速に進歩しています.小児循環器学が目指す疾患には先天性心疾患,不整脈,川崎病,心筋症などがありますが,いずれの分野でも原因論,診断学,治療学など,すべての面でめざましく進歩しています.少し勉強しないとたちまち取り残されてしまいます.
 はじめて複雑な不整脈の心電図をみた時には,なかなか難しく診断のできないこともありました.本を読みながら,また専門家の不整脈解析の講義を聴きながら,ある一定の法則を当てはめていくと,まるで幾何学の問題を解くように答えが出てくることに気づき,不整脈診断に没頭したことを思い出します.
 小児循環器学を専攻する若い先生方は先天性心疾患の診断や治療は得意であっても,不整脈はやや苦手と考えておられる方も多いようです.しかし,学校心臓検診,術後不整脈,致死的不整脈など,不整脈なしでは小児循環器学を語ることはできなくなっているのも事実です.ところが,意外と小児不整脈の参考書は少なく,不整脈の勉強をはじめようと考えている若い医師向けの本が必要ではないかと感じていました.
 数年前から小児不整脈の本の執筆を依頼されていましたが,小生の日頃の不勉強と新病院の立ち上げ,管理のため,なかなか筆も進まずに一時はあきらめかけていましたが,新進気鋭の住友直方,牛ノ濱大也両先生にも執筆に加わっていただいたところ,大変短い期間に見事な原稿を書いてくださいました.その両先生の力作に小生が勝手に筆を加えさせていただいて,でき上がったのがこの本です.不整脈学の進歩はすさまじく,数年以内には新しい知見を取り入れなければならないと思いますが,現時点では最近の進歩も多く記述されており,興味深い内容ではないかと思います.
 でき上がって見るとまだまだ不十分ではありますが,ひとえに小生の責任であり,つぎの機会に完成版に近いものができればと考えています.
 いろいろ励ましのお言葉をいただきながらご迷惑をお掛けした診断と治療社編集部の皆さんはじめ,多くの関係者に心から感謝したいと思います.

2005年12月吉日
あいち小児保健医療総合センター
長嶋正實