血管エコー図の描出手技をわかりやすく具体的に解説する.一般社団法人 超音波検査法フォーラムで開催された研修会実技スクールにて指導された内容をベースに構成した.走査法については,複数施設の意見を収集してまとめあげ,最もシンプルかつ見落としの少ない手順を検討し採用した.実地経験に基づく確かな知識と技法で,要求された所見を素早く的確に描出するためのコツとポイントを紹介する.
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目次
1 頸動脈エコー
2 下肢動脈エコー
3 下肢深部静脈エコー
4 下肢静脈瘤エコー(慢性静脈不全評価)
付録1.ドプラ法の使い方
付録2.紛らわしい所見例
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序文
本書は,一般社団法人 超音波検査法フォーラムで開催された研修会実技スクールにて指導された内容をベースに再構成したものである。走査法については,複数施設の意見を収集しまとめあげ,最もシンプルかつ見落としの少ない手順を検討し採用した。
超音波で血管そのものを部分的に描出することは難しくないが,走行を追ったり,所見を見つけたりするには熟練が必要である。下肢血管においては,そもそも血管を同定すること自体に困難を感じる初心者は少なくないはずである。そうして,さまざまな参考書に当たってみても,所見に関する詳細な記述は余るほどあるが,走査法に関する効率的・具体的な解説にはなかなか出会えないのが現状ではないだろうか。本書では,血管エコー図の描出手技をわかりやすく具体的に解説する。上述のように,それらは多くの医療施設から寄せられた貴重な意見をもとに構築されたものである。実地経験に基づく確かな知識と技法で,要求された所見を素早く的確に描出するためのコツとポイントを紹介する。ただし,ルーティンワークの域を超えるテクニックについては割愛した。各所属施設の規準に従っていただきたい。また,所見の判断法については他の多くの優れた成書に実り多い成果を委ねるものとする。企画当初から5年の歳月を擁しようやく上梓に至ったが,内容についてはまだまだ未消化の謗りを免れ得ないことは十分承知している。読者諸賢のご意見・ご指導をもとに,さらなる充実を諮る所存である。本書を常にエコー装置の傍に置いて,練習時や実際の検査時に参照・活用してくださることを心から願うものである。
末筆ながら,研修会実技スクール開催にご尽力賜った超音波検査法フォーラム講師の皆さん,被験者姿位のモデルを快く引き受けてくださった土屋里恵技師(新宿健診プラザ),そして,本書製作の意義を理解し,粘り強く支えてくれたわれわれの家族に,衷心より感謝の意を表する。
2014年9月
筆者ら