障害児医療に携わる小児科医,リハビリテーションスタッフのための基礎的な障害や疾患の知識を網羅し,チームリハビリテーションの実際や症例を多数紹介したビジュアル書.後天性脳損傷をはじめとした後天性の障害に対するリハビリテーションについて加筆.著者が研究を続けてきた「小児後天性脳損傷のリハビリテーションプログラム」の成果も盛り込まれている.米国精神医学会のDSM改訂に伴い,DSM-5に準じて用語を統一,疾患の分類も変更した.
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目次
●改訂第3版の序
●改訂第2版の序
●初版の序
①小児リハビリテーションの実際
❶リハビリテーションとは
❷チームアプローチの有効性
❸小児のリハビリテーションの特徴
❹リハビリテーションの分野に特有な考え方
②小児の成長と発達
❶成長
❷発達
❸反射の発達
③発達検査・知能検査・言語検査
❶発達検査
❷知能検査
❸言語検査
❹S-M社会生活能力検査
④乳幼児健康診査
❶小児の発達
❷乳幼児健診の概要
❸乳幼児健診の評価項目
❹乳幼児経過検診の実際
❺症例提示
⑤リハビリテーションスタッフの役割
❶理学療法士の役割
❷作業療法士の役割
❸言語聴覚士の役割
❹臨床心理士の役割
❺医療ソーシャルワーカーの役割
❻リハビリテーション工学士の役割
❼教師の役割
❽看護士の役割
❾職能指導員の役割
❿体育指導員の役割
⑥疾患別リハビリテーションの実際
1.言語障害
❶言語障害の主な分類
❷リハビリテーションの概要
❸リハビリテーションにおける問題点とその対応
❹症例提示
2.摂食・嚥下障害
❶摂食・嚥下障害の診断
❷小児の摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション
❸経口摂取が困難な場合
❹症例提示
3.脳性麻痺
❶原因と発生頻度
❷分類
❸診断
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
4.知的能力障害(知的発達症)
❶原因と発生頻度
❷診断
❸リハビリテーションの概要
❹リハビリテーションにおける問題点とその対応
❺症例提示
5.自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
❶原因と発生頻度
❷診断
❸リハビリテーションの概要
❹リハビリテーションにおける問題点とその対応
❺強度行動障害
6.注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害
❶原因と発生頻度
❷診断
❸リハビリテーションの概要
❹リハビリテーションにおける問題点とその対応
❺症例提示
7.てんかん
❶原因
❷分類
❸診断
❹リハビリテーションの概要
❺包括的分類(八木・大沼)
❻リハビリテーションスタッフの関わり
❼リハビリテーションにおける問題点とその対応
❽症例提示
8.脳血管障害
❶原因と発生頻度
❷分類
❸当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
9.急性脳炎・脳症
❶原因
❷当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
❸リハビリテーションの概要
❹合併症としてのてんかん
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
10.脳外傷
❶原因と発生頻度
❷分類
❸当院で入院リハビリテーションを行った症例の概要
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
11.脳腫瘍
❶分類と発生頻度
❷臨床症状
❸検査所見
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
12.水頭症
❶原因
❷分類
❸臨床症状
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
13.二分脊椎
❶原因と発生頻度
❷分類
❸臨床症状
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
14.脊髄損傷
❶原因と発生頻度
❷分類
❸予防
❹急性期の治療
❺リハビリテーションの概要
❻リハビリテーションにおける問題点とその対応
❼症例提示
15.ギランバレー症候群
❶原因と発生頻度
❷臨床症状
❸検査所見
❹診断基準
❺急性期の治療
❻リハビリテーションの概要
❼リハビリテーションにおける問題点とその対応
❽症例提示
16.筋疾患
❶分類
❷臨床症状
❸検査結果
❹治療
❺リハビリテーションの概要
❻リハビリテーションにおける問題点とその対応
❼先天性ミオパチー
❽筋ジストロフィー
17.神経皮膚症候群
❶原因
❷分類と発生頻度
❸代表的疾患
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
18.変性疾患
❶分類
❷リハビリテーションの概要
❸リハビリテーションにおける問題点とその対応
❹症例提示
19.高次脳機能障害
❶原因
❷臨床症状
❸小児の高次脳機能障害の特徴
❹検査所見
❺リハビリテーションの概要
❻リハビリテーションにおける問題点とその対応
❼症例提示
20.重症心身障害
❶重症心身障害とは
❷原因と発生頻度
❸合併症
❹リハビリテーションの概要
❺リハビリテーションにおける問題点とその対応
❻症例提示
⑦社会復帰(復学)への支援
❶対象の状況
❷復学先
❸復学後の問題
❹復学に対する支援状況
❺順調に復学するための条件
❻症例提示
⑧障害の受容
❶家族へのアンケートを通して
❷家族会の活動の紹介
❸障害を受容していくための支援
⑨地域リハビリテーション
❶神奈川県総合リハビリテーションセンターの位置づけ
❷対象疾患
❸病院における療育支援
❹福祉施設における支援
⑩福祉機器
❶福祉機器とは
❷福祉機器の役割
❸福祉機器の種類
❹社会環境の整備
●索引
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序文
改訂第3版の序
2004年に本書の初版を発行してから10年が経過する.その間2007年には第2版への改訂を行い,高次脳機能障害の項目などを書き加えた.2013年,米国精神医学会の精神疾患の診断分類が19年ぶりに改訂となり,2014年6月にはその和訳が発行されるに至り,今回本書を大幅に改訂することとした.この機会に発達障害の分野だけでなく,筆者らが長年力を入れて取り組んできた後天性脳損傷の分野にも筆を加えた.
筆者が神奈川県総合リハビリテーションセンターで小児のリハビリテーションを行うようになって26年が経過しようとしている.当初は手探りではじめた後天性脳損傷のリハビリテーションであったが,2001年に開始された国の高次脳機能障害支援モデル事業をきっかけとして,当センター内で後天性脳損傷に対する取り組みが本格化し,チームミーティングを繰り返しながら「小児後天性脳損傷のリハビリテーションプログラム」を作っていくことができた.本書にはその成果を盛り込んである.
わが国における小児のリハビリテーションは,依然として脳性麻痺を中心とした生まれつきの障害に対するリハビリテーションが主である.生まれつきの障害をもつ小児の数は,後天性の障害をもつ小児の数よりずっと多いのは確かであるが,脳症や脳外傷などの後遺症をもってしまった小児が全国各地で困っているのも事実である.そういった小児が未だ当院を次々と訪れているのであるが,後天性脳損傷のリハビリテーションが地元で受けられるようになって欲しいというのが心からの願いである.
2014年11月
栗原 まな