新たな臓器連関の解明,治療薬の開発など,パラダイムシフトが認められている骨粗鬆症治療.本書は高齢者の骨折だけでなく,生活習慣病関連骨粗鬆症についてもふれ,エキスパートによる最新のエビデンスとメリット・デメリットを勘案した投与方法,中・長期管理,骨代謝にかかわる様々な疾患・病態管理を,”100”のCQ形式で分かりやすくまとめた1冊.
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目次
序
執筆者一覧
Chapter Ⅰ 骨粗鬆症のリスク因子とその評価
a.骨粗鬆症の定義・疫学
Q1 骨粗鬆症の定義・診断基準について教えてください.
Q2 わが国における骨粗鬆症の有病率について教えてください.
Q3 骨粗鬆症による骨折発生率の推移について教えてください.
Q4 骨粗鬆症による骨折発生率の地域差について教えてください.
Q5 骨強度低下のメカニズムについて教えてください.
Q6 ロコモティブシンドロームの概念・判定基準について教えてください.
Q7 骨粗鬆症とロコモティブシンドロームの関係について教えてください.
Q8 サルコペニアについて教えてください.
Q9 骨粗鬆症とサルコペニアとの関連について教えてください.
b.骨粗鬆症と骨折のリスク
Q10 骨粗鬆症のリスク因子について教えてください.
Q11 WHOの骨折リスク評価ツール(FRAX®)とはどのようなものか教えてください.
Q12 骨粗鬆症による骨折のリスク評価にはどんな検査が有効か教えてください.
Q13 転倒と骨折との関連性について教えてください.
Q14 転倒予防の方法について教えてください.
c.骨粗鬆症の診断・評価
Q15 骨粗鬆症の診断における身体診察のポイントについて教えてください.
Q16 骨粗鬆症の診断における医療面接の意義について教えてください.
Q17 骨粗鬆症の診断における画像診断の方法と意義について教えてください.
Q18 骨粗鬆症性骨折の診断・評価のポイントについて教えてください.
Q19 骨代謝マーカー測定の意義について教えてください.
Q20 骨粗鬆症におけるQOLの位置づけと評価について教えてください.
d.続発性骨粗鬆症
Q21 骨粗鬆症の診断において鑑別すべき疾患にはどのようなものがあるか教えてください.
Q22 続発性骨粗鬆症における骨折リスクについて教えてください.
Q23 副甲状腺疾患にともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q24 甲状腺疾患にともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q25 関節リウマチの骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q26 生活習慣病関連骨粗鬆症の概念・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q27 脂質異常症にともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q28 糖尿病にともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q29 高血圧にともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q30 COPDにともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q31 CKDにともなう骨粗鬆症・骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q32 ステロイド性骨粗鬆症の診断基準・ガイドラインについて教えてください.
Q33 ステロイド性骨粗鬆症の骨折リスクと治療方針について教えてください.
Q34 乳がんホルモン低下療法にともなう骨折リスクと対応について教えてください.
Q35 前立腺がんホルモン低下療法にともなう骨折リスクと対応について教えてください.
e.運動療法と食事療法
Q36 骨粗鬆症における運動療法の意義と注意点について教えてください.
Q37 骨粗鬆症におけるロコトレの意義と注意点について教えてください.
Q38 骨粗鬆症における食事療法の意義と注意点について教えてください.
Q39 骨粗鬆症におけるサプリメント利用の意義と注意点について教えてください.
Chapter Ⅱ 骨粗鬆症の薬物療法とエビデンス
a.骨粗鬆症の薬物治療の基本
Q40 薬物治療の開始基準について教えてください.
Q41 薬物療法の第1選択薬の考え方について教えてください.
Q42 骨粗鬆症薬物治療における骨質の重要性について教えてください.
Q43 薬物治療開始後の経過における注意点と治療の評価について教えてください.
b.Ca製剤
Q44 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q45 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q46 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q47 投与期間中の留意点について教えてください.
c.エストロゲン製剤
―エストラジオール,エストリオール―
Q48 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q49 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q50 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q51 投与期間中の留意点について教えてください.
d.活性型ビタミンD3製剤
―カルシトリオール,アルファカルシドール,エルデカルシトール―
Q52 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q53 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q54 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q55 投与期間中の留意点について教えてください.
e.ビタミンK2製剤
―メナテトレノン―
Q56 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q57 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q58 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q59 投与期間中の留意点について教えてください.
f.BP製剤
―アレンドロネート,リセドロネート,ミノドロン酸,エチドロネート―
Q60 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q61 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q62 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q63 投与期間中の留意点について教えてください.
g.PTH製剤
―テリパラチド―
Q64 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q65 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q66 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q67 投与期間中の留意点について教えてください.
h.SERM
―ラロキシフェン,バゼドキシフェン―
Q68 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q69 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q70 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q71 投与期間中の留意点について教えてください.
i.カルシトニン製剤
―エルカトニン,カルシトニン―
Q72 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q73 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q74 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q75 投与期間中の留意点について教えてください.
j.RANKL阻害薬
―デノスマブ―
Q76 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q77 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q78 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q79 投与期間中の留意点について教えてください.
k.カテプシンK阻害薬
―バリカチブ,レラカチブ,オダナカチブ―
Q80 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q81 骨密度改善や骨折抑制,QOLに対する効果について教えてください.
Q82 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q83 投与期間中の留意点について教えてください.
l.ロモソズマブ
Q84 骨粗鬆症への効果発現のメカニズムについて教えてください.
Q85 骨密度改善や骨折抑制に対する効果について教えてください.
Q86 基本投与法と場合別投与について教えてください.
Q87 投与期間中の留意点について教えてください.
m.併用療法(組み合わせ)の効用と可能性
Q88 併用療法で骨密度上昇効果が期待される組み合わせにはどのようなものがあるか教えてください.
Q89 併用療法で骨折抑制効果が期待される組み合わせにはどのようなものがあるか教えてください.
Chapter Ⅲ リスク因子別の投与管理の指針
a.Ca製剤,活性型ビタミンD3製剤やPTH製剤における高カルシウム血症のリスク
Q90 Ca製剤と活性型ビタミンD3製剤を併用している患者の場合の投与管理の指針,留意すべきポイントについて教えてください.
Q91 高齢患者にテリパラチドを初めて投与する場合の投与管理の指針,留意すべきポイントやコツについて教えてください.
b.エストロゲン製剤における乳がん,子宮体がん,心筋梗塞,脳卒中,静脈血栓塞栓症のリスク
Q92 閉経期の女性患者にエストロゲン製剤を投与する場合の投与管理の指針,留意すべきポイントやコツについて教えてください.
c.SERMにおける乳がんのリスク
Q93 乳がんの既往のある女性患者に投与する場合の投与管理の指針,留意すべきポイントやコツについて教えてください.
d.BP製剤における顎骨壊死のリスク
Q94 BP製剤による顎骨壊死のリスクや投与管理の指針,留意すべきポイントやコツについて教えてください.
Q95 BP製剤投与中の患者に歯科治療の必要が生じた場合の考え方と対応について教えてください.
e.RANKL阻害薬における低カルシウム血症のリスク
Q96 RANKL阻害薬を処方した患者の血中Ca濃度の評価はどのようにすべきか教えてください.
Chapter Ⅳ 骨粗鬆症リエゾンサービスおよび医療経済
a.多職種連携による骨粗鬆症・骨折対策
Q97 骨粗鬆症リエゾンサービスについて教えてください.
Q98 骨粗鬆症マネージャーについて教えてください.
b.骨粗鬆症の医療経済
Q99 骨粗鬆症の予防・検診における費用対効果について教えてください.
Q100 骨粗鬆症の治療における費用対効果について教えてください.
付録
付録1 骨粗鬆症の薬剤一覧
付録2 全身骨格と骨粗織
付録3 骨粗鬆症患者QOL評価質問表(2000年度版)
付録4 JOQOLのドメイン別表記
索引
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序文
超高齢社会を迎えたわが国において,高齢者の骨折はADL/QOLや生命予後におよぼす影響が大きく,骨粗鬆症を含めた予防・治療は重要な課題となっている.高齢者における骨折の発生には,筋力低下にともなう転倒予防機能の低下に加えて,骨粗鬆症にともなう骨強度低下が大きなリスク因子として知られている.その一方,骨・血管相関をはじめとする新たな臓器連関の解明,治療薬の開発などが進み,骨粗鬆症の予防・診断・治療において大きな進展,パラダイムシフトが認められている.こうしたなか,日本骨粗鬆症学会,日本骨代謝学会,骨粗鬆症財団より「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」が刊行され,薬物評価・推奨の見直しや生活習慣病関連骨粗鬆症,骨粗鬆症リエゾンサービス,医療経済評価の重要性など,同ガイドライン2011年版を改訂する形で多くの新しい概念,項目が加えられることとなった.また,新たな骨代謝マーカーの登場に加え,新規骨粗鬆症治療薬としてデノスマブ,イバンドロネート,テリパラチドや既存薬物の新たな剤形などが保険適用になるなど,骨粗鬆症の診断・治療に対する期待や可能性も広がってきている.
本書では「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」の内容を踏まえ,薬物治療を中心とした実践的な治療戦略および病態や経過による観察と,骨粗鬆症予防・診断・治療について,各分野のエキスパートの先生方よりCQ形式でコンパクトに解説いただいた.その際,従来の薬剤治療におけるメリット・デメリットを勘案した投与や中・長期管理,骨代謝にかかわる様々な疾患・病態とその管理などを,実際的かつ最新のエビデンスを踏まえて解説いただけたことにより,最新の骨粗鬆症に関する治療戦略・トピックス・展望を一冊にまとめることができた.
本書を通じて骨粗鬆症の予防・診断・治療について一層理解が深まり,一人一人の患者の骨粗鬆症・骨折リスクに配慮した診療の実践,研究の端緒となれば幸いである.
2016年9月
骨粗鬆症財団理事長
折茂 肇
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座
小川 純人