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スキルアップ!小児の総合診療診断と治療社 | 書籍詳細:スキルアップ!小児の総合診療
セイイクノスキル

国立成育医療研究センター総合診療部長

窪田 満(くぼた みつる) 編集

初版 B5判 並製 184頁 2018年04月16日発行

ISBN9784787822932

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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小児の総合診療で遭遇する症候を,一次~二次~三次診療の各ステップで解説し,判断のポイントから家族への説明までをカバー.診断のコツや見逃してはいけない・注意すべき点など,診療の参考となる情報も満載.さらに,小児診療において欠かせない,ライフステージに沿った考え方や在宅医療,緩和ケアについても解説.本書を読んでHyper Generalistへスキルアップ!

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目次

序文
執筆者一覧

Ⅰ 総論
 1.小児の総合診療とは?
 2.ライフステージに沿った総合診療

Ⅱ 「症状・徴候別」総合診療の実際
 1.発熱
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:解熱しないときの鑑別診断
 2.喘鳴・呼吸困難
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 3.けいれん(有熱性,無熱性)
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 4.意識障害
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 5.熱中症
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 6.頭痛
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:改善しないときの鑑別診断と治療
 7.胸痛
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め 
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 8.腹痛
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 9.悪心・嘔吐・下痢
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 10.発疹と紫斑  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 11.誤飲・誤嚥
  一次診療:何で,いつ,何の誤飲・誤嚥を疑うか
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 12.ショック
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 13.むくみ
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:改善しないとき,繰り返すときの鑑別診断と治療
 14.心雑音・不整脈
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 15.頭頸部外傷
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 16.胸部外傷・腹部外傷
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療
 17.耳痛・耳漏・顔面腫脹
  一次診療:外来で帰せるかどうかの見極め
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期治療
  三次診療:改善しないとき,繰り返すときの鑑別診断と治療
 18.被虐待児症候群
  一次診療:何をもって,虐待を疑うか
  二次診療:入院時の鑑別診断と初期対応
  三次診療:虐待を疑ったときのマネージメント

Ⅲ 在宅医療への移行のポイント
 1.院内のサポートシステム
 2.地域のサポートシステム

Ⅳ 小児の緩和ケア
 1.小児の緩和ケア-Lifeを支える医療からのアプローチ-

資料 死亡診断書の書き方

索引

●Column
・役に立つwebサイト<日本語で検索を行う場合>①
・役に立つwebサイト<日本語で検索を行う場合>②
・役に立つwebサイト<英語で検索を行う場合>①
・役に立つwebサイト<英語で検索を行う場合>②
・役に立つwebサイト<さまざまな診療ガイドライン>

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序文

 最近,初期診断の本が数多く出版されている.臨床推論に基づくもの,豊富な症例経験に基づくもの,さまざまであるが,いずれも非常に役に立つ本ばかりである.一次救急のマニュアルも充実してきた.
 しかし,それだけでは足りないような気がしている.それは,自分の診断や初期治療の「その後」がわからないからだ.重症化した場合の集中治療室での対応を知っているのと知らないのとでは,一次診療での「大丈夫です」という言葉の重みが違ってくる.二次診療,三次診療での内容を知っているからこそ,一次診療で適切な対応ができるのではないだろうか.
 一方で,非常にまれな疾患でも診療ガイドラインが作られ,専門的な治療がわかりやすく詳細に解説されている.しかし,確定診断がつく前に治療を開始する必要もある.三次診療に至るまでが重要なのに,専門書ではそこに至るまでの解説が不十分なことが多い.
 また,一次診療で診るべきなのか,二次,三次に搬送すべきなのか,いわゆるdispositionに言及した本はなかなか見当たらない.それは,施設ごとに事情が異なるからである.しかし,小児科医個人のレベルは施設のレベルとは別に考えるべきだ.どのようなレベルの施設にいても,高いレベルの小児科医はすべての子どもたちのために活躍できる.一次診療から三次診療まで理解したうえで,それぞれが所属するポイントで最善を尽くすことが重要なのである.
 本書は,二次診療の先生が一次診療と三次診療を知ることで,適切な医療を提供できるようになることを一番の目的にしている.もちろん,一次診療の先生が二次,三次を知ることで,今後目の前の児がどうなっていくのかを予想できるようになるし,三次診療の先生が一次,二次を知ることで,ここに至るまでの前医の努力に敬意を表することができるようになる.すべての小児科医が,一次から三次までの医療を知ることで,Hyper Generalistにスキルアップすることができるのである.
 この本には,一次から三次まで,それぞれの立場で同じ病態を解説していただいている.このような本は今までになかったと思う.これは,一次診療から三次診療まで行っている,国立成育医療研究センターだからこそ作れる本であると自負している.さらに,ライフステージに沿った小児の総合診療,小児の在宅医療,小児の緩和ケアと,高度なスキルが散りばめられている.
 一次診療だけわかっていても,Hyper Generalistにはなれない.三次診療まで理解したうえで一次診療,二次診療を行ってこそ,真の小児の総合診療医なのである.

2018年3月
国立成育医療研究センター 総合診療部長
窪田 満