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日本ファブリー病フォーラム記録集2008-2017診断と治療社 | 書籍詳細:日本ファブリー病フォーラム記録集2008-2017

日本ファブリー病フォーラム 編集

初版 B5判 並製 168頁 2018年07月22日発行

ISBN9784787823687

定価:6,600円(本体価格6,000円+税)


日本ファブリー病フォーラムにおける講演内容を収録,日本で酵素補充療法(ERT)が可能となってから現在までのファブリー病診療の歩みを知ることができる貴重な一冊となっている.遺伝子変異との関わり,またファブリー病の病態や進行は多彩であり,これらを踏まえたERTの早期開始基準のさらなる検討,集積されつつある治療データに基づいたERTの再検証などの最新情報はもちろんのこと,フォーラムの歴史を窺い知ることができるのも興味深い.

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目次

序文
ファブリー病の歴史と日本ファブリー病フォーラムの歩み
略語一覧
第1回・第2回・第3回プログラム

第4回(2008年)
1 ファブリー病の診断・治療―最新の知見―
 Ⅰ ERTの効果を腎生検にて評価した一例/平塩秀磨
 Ⅱ 小児期ファブリー病の3症例―疼痛の特徴について―/鷲東菜摘
 Ⅲ ERTの心病変に対する効果/藤原優子
2 ファブリー病の診療ガイドラインのためのパネルディスカッション
 Ⅰ 15歳以下の小児症例(男児)をERTの治療対策とすべきか?/大橋十也
 Ⅱ 女性症例はいつから治療すべきか?/竹中俊宏
総括/衞藤義勝

第5回(2009年)
1 ファブリー病の早期診断・早期治療―最新の知見―
 Ⅰ ファブリー病の母子例―小児と女性における治療開始時期について―/窪田 満
 Ⅱ 腎障害初期(SCr 1.5以下)における酵素補充療法の効果/内海甲一
 Ⅲ 腎機能からみた女性症例に対するファブラザイムRの治療経験/花岡一成
 Ⅳ 心臓再同期療法が有効であった酵素補充療法施行中の心Fabry病1例の経過/大西哲存
 Ⅴ ファブリー病患者さんのアンケート調査から学ぶこと/小林正久
2 ファブリー病診断治療ハンドブックの紹介
 Ⅰ ハンドブック刊行にあたって/大橋十也
 Ⅱ 腎臓内科領域について/成田一衛
 Ⅲ 循環器領域について/竹中俊宏
 Ⅳ 神経内科領域について/後藤 順
総括/衞藤義勝

第6回(2010年)
1 早期診断―ファブリー病患者を発見した経緯から―
 Ⅰ 心肥大患者スクリーニングによるファブリー病患者の診断/竹中俊宏
 Ⅱ 透析患者スクリーニングによるファブリー病患者の診断/佐藤 博
 Ⅲ 男性脳梗塞患者スクリーニングによるファブリー病患者の診断/関島良樹
 Ⅳ 新生児スクリーニングによるファブリー病の診断/中村公俊
2 早期治療―酵素補充療法の有用性を示す報告―
 Ⅰ ファブリー病初発症状(四肢疼痛・発汗障害)における酵素補充療法の有効性/小坂喜太郎
 Ⅱ 小児期ファブリー病における疼痛に対する酵素補充療法の有効性/石崎義人
特別講演
 Ⅰ 遺伝学の最新トピックス/辻 省次

第7回(2011年)
1 ファブリー病の診断における問題点:E66Qに関して
 Ⅰ パーキンソン病におけるGLA遺伝子解析/三井 純
 Ⅱ スクリーニングで発見されるα-ガラクトシダーゼ遺伝子のE66Q変異/中村公俊
 Ⅲ 当科で診断したE66Q変異男性症例/小林正久
 Ⅳ 男性脳梗塞患者におけるGLA E66Q変異の頻度/関島良樹
 Ⅴ 循環器領域におけるE66Q変異/竹中俊宏
2 酵素補充療法の治療効果を検証する
 Ⅰ 尿中GL-3の上昇により酵素製剤に対する中和抗体の存在が示唆された小児例/窪田 満
 Ⅱ GL-3の長期継続測定を実施している複数症例の紹介―GL-3は治療効果の指標になり得るか?―/金田眞理
 Ⅲ ファブリー病重症度スコア―DS3とMSSIの紹介/大橋十也
特別講演
 Ⅰ ファブリー病治療薬研究の最前線/櫻庭 均
総括/衞藤義勝

第8回(2012年)
1 ファブリー病の診断における問題点
 Ⅰ ファブリー病の診断における問題点:E66Qに関連して/三井 純
 Ⅱ ファブリー病の診断における問題点:E66QとM296I/兎川忠靖
 Ⅲ グロボトリアオシルスフィンゴシンによる男性透析患者におけるファブリー病のスクリーニング/丸山弘樹
2 ファブリー病重症度スコアDS3
 Ⅰ ファブリー病重症度スコアの導入―データベースへの応用―/若林太一
 Ⅱ 大阪大学のファブリー病患者におけるDS3評価法の検討/酒井規夫
3 「ファブリー病診断治療ハンドブック2012」の紹介
 Ⅰ 「ファブリー病診断治療ハンドブック2012」の紹介/大橋十也
特別講演
 Ⅰ オートファジー:細胞質からリソソームへ/水島 昇
総括/衞藤義勝

第9回(2013年)
1 ファブリー病の診断と治療の実際
 Ⅰ 肥大型心筋症様の病態で診断されたファブリー病の一家系/佐藤 洋
 Ⅱ 尿蛋白陰性のファブリー病患児における腎組織所見/ 金井孝裕
 Ⅲ ファブリー病の新生児マススクリーニング体制の確立に関する研究:福岡市とその近郊における
    パイロットスタディ/井上貴仁
 Ⅳ 酵素補充療法早期導入の男児例―家族歴調査に基づく早期診断の有用性―/長谷川真成
2 ファブリー病Update
 Ⅰ Retrospective Evaluation of Spontaneously Reported Safety Data during Period of Agalsidase
     Beta Shortage/Wytske Kingma
 Ⅱ Improvement of Neurological and Autonomic Dysfunction in Fabry Patients with High Dosed Enzyme
    Replacement Therapy/Max Josef Hilz
 Ⅲ Fabry Disease: Importance of Early Intervention and Genotype/Phenotype Correlations/Robert J. Desnick

第10回(2014年)
基調講演
 Ⅰ ファブラザイムRの10年―過去をふりかえり未来を展望する―/衞藤義勝
1 ファブリー病の診断と治療における現状と課題
 Ⅰ 循環器領域から/荒川健一郎
 Ⅱ 神経内科の立場から/河野 優
 Ⅲ 小児科領域から/酒井規夫
2 Japan Asia Pacific Joint Forum
 Ⅰ Clinical utility of genetic testing in cardiomyopathies: Relevance to Fabry disease/John Atherton
 Ⅱ Autonomic and peripheral neuropathy in Fabry Disease: Guidance for early diagnosis and treatment/
    Juan M. Politei
 Ⅲ 10-Year Outcome of Enzyme Replacement Therapy(ERT) with Agalsidase Beta in males with classic
     Fabry Disease/Dominique P. Germain

第11回(2015年)
1 Disease management:ファブリー病治療のエビデンス
 Ⅰ 小児科の立場から/伊藤 康
 Ⅱ 腎臓内科の立場から/林 義満
 Ⅲ 循環器内科の立場から/杉村宏一郎
 Ⅳ 神経内科の立場から/八木田佳樹
2 教育講演:「ファブリー病診断治療ハンドブック2015」
 Ⅰ 「ファブリー病診断治療ハンドブック2015」の概要/大橋十也
 Ⅱ ファブリー病の診断―遺伝子解析の重要性―/小林正久
 Ⅲ 遺伝カウンセリングの実践/奥山虎之
 Ⅳ ファブリー病診療におけるlyso-Gb3の有用性/丸山弘樹
特別講演
 Ⅰ Optimization of Enzyme Replacement Therapy in patients with Fabry Disease/Alberto Ortiz

第12回(2016年)
1 ファブリー病アップデート
 Ⅰ 小児・若年成人ファブリー病の治療における腎生検の重要性/伊藤秀一
 Ⅱ 心臓MRIのT1マッピングの可能性/諸井雅男
 Ⅲ ファブリー腎症の病理スコアリング/佐藤 博
 Ⅳ ファブリー病における脳梗塞の特徴/河野 優
特別講演
 Ⅰ Recent Advances in Biomarker Discovery for Fabry Disease: Detection, Diagnosis, and Monitoring
    Patients/C. Auray-Blais
2 ファブリー病症例報告
 Ⅰ ERT切り替えをしたファブリー病症例について/村山 圭
 Ⅱ 腎生検で発見されR112H変異,Lyso-Gb3軽度上昇を呈した腎型Late-onsetファブリー病の1例/大西章史
 Ⅲ 拡張相肥大型心筋症様の心病変を呈した遅発型ファブリー病の2症例/菅野康夫
 Ⅳ 多発性脳梗塞を発症したファブリー病の1例―ERT施行約10年の経過―/米澤久司
講演
 Ⅰ ファブリー病の心障害に対する治療戦略/竹中俊宏
3 Panel Discussion―早期診断・早期治療に向けて―
 Ⅰ 確定診断をまず行うのは誰から?/酒井規夫
 Ⅱ この患者に認められた診察所見はどれか?/中里良彦
 Ⅲ 聴力障害について/櫻井結華
 Ⅳ ERT導入後も腎不全の進展が抑制できず,透析導入に至った患者に対し,ERTを継続しますか?/鶴屋和彦
 Ⅴ 蛋白尿の管理をどのようにしていますか?/濱野高行
 Ⅵ この方に酵素補充療法を始めますか?/久保 亨

第13回(2017年)
Panel Discussion「早期診断・早期治療に向けて」
 Ⅰ ヘテロ症例の診断と治療/平和伸仁
 Ⅱ 酵素補充療法(ERT)導入のポイント/村山 圭
 Ⅲ 酵素補充療法(ERT)の治療効果指標/久保 亨
 Ⅳ ファブリー病関連合併症の管理/八木田佳樹
特別講演1
 Ⅰ ライソゾーム病とオートファジー/吉森 保
トピックス
 Ⅰ ファブリー病の痛みの機序とそれに対する治療/下山直人
ランチョンセミナー「肥大型心筋症とファブリー病」
 Ⅰ 基調講演1:心肥大から心不全を発症する分子機序について/小室一成
 Ⅱ 基調講演2:日本人ファブリー病患者の心病変と長期酵素補充療法の影響/本郷賢一
特別講演2
 Ⅰ Fabry kidney disease and centralized treatment in Germany/Christoph Wanner
症例報告1 「早期診断・スクリーニング」
 Ⅰ 北海道におけるファブリー病スクリーニングの現況/中川直樹
 Ⅱ 酵素補充療法の開始に心筋生検が有用であったヘテロ症例/安川秀雄
症例報告2 「臓器障害の評価」
 Ⅰ 急速に腎機能が低下したFabry病の一例/長澤 将
 Ⅱ ファブリー病の角膜混濁における視機能評価/高 静花
症例報告3 「治療効果判定」
 Ⅰ 治療効果判定/山本沙織
 Ⅱ Fabry病フォローアップにおけるLyso-Gb3の可能性/瀬戸俊之
 Ⅲ Fabry病の蛋白尿出現機序と酵素補充量に対する観察報告/金井孝裕

索引

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序文

―日本ファブリー病フォーラム記録集2008-2017 発刊に寄せて―

 日本ファブリー病フォーラムは2005年から毎年1回ずつ開催して参りまして今年で第14回目を迎えます.日本では,2004年にアガルシダーゼ ベータが本邦で初めてファブリー病の治療薬として承認され,治療が非常に難しかったファブリー病に対して酵素補充療法(ERT)を行うことができるようになりました.その後, 2007年にアガルシダーゼ アルファが承認され,治療の選択肢が広がることとなりました.わが国で,ファブリー病の治療が可能となってから約15年,日本におけるファブリー病診療について,ご参加いただいた先生方と一緒に勉強を重ねてくることができました.
 おかげさまで,年ごとにご参加いただける先生方も増え,先生方のファブリー病に対する熱い眼差しを見ておりますと,本フォーラムも微力ながら日本のファブリー病診療において一定の役割を果たせているものと安堵しております.
 しかし,決して慢心することなく,これからも本フォーラムがますます活気づき,患者さんやご家族の方々がファブリー病とうまく付き合っていけるような医療を提供できるように努めて参ります.
 そのような折,本フォーラムへ新しくご参加いただいた先生方などから,過去の講演内容をまとめたものがあると,研究活動をするにあたり有用とのお話も耳にするようになりました.例年,フォーラム開催後にその年の講演内容をまとめたリーフレットを発行していますが,2008年(第4回)から2017年(第13回)までを一冊にまとめて上梓することで,より多くの方々にファブリー病の現在を知っていただくことができるのではないかと考えております.なお,本書記載の内容は,基本的にはリーフレットが発行された当時の情報をそのまま掲載しておりますが,一部,著者による校正が反映されていることをお断りいたします.
 最後になりましたが,フォーラム開催にあたって,患者さんやご家族の方々のご協力,ならびにご講演いただいた先生方の多大なるお力添えに,この場をお借りして心より感謝を申し上げます.

2018年7月

日本ファブリー病フォーラム
代表世話人 衞藤義勝