初版発行から6年が経過し,臨床現場での優先事項の感覚を重視する点は改訂第2版でも継承しつつ,症候や疾患から考えうる臨床検査をよりコンパクトにわかりやすく記載しました.また,今改訂では取り上げる疾患や検査を時代に合わせて見直し,入れ替えを行い,整理しました.ルーチン検査は表形式でまとめてさらなる付録の充実をはかるとともに,検査値の羅列にとどまらない,検査オーダーのヒントが多く詰まったポケットマニュアルとなりました.
関連書籍
ページの先頭へ戻る
目次
改訂第2版の序 賀藤 均
初版の序 松井 陽
執筆者一覧
第1章 総 論
臨床検査値を正しく判読するために 奥山虎之
第2章 症候から疾患を考える
A.新生児(生後1か月未満)
1.新生児の発熱 米田康太
2.新生児黄疸 岩﨑由佳
3.新生児のけいれん 生田泰久・伊藤裕司
4.新生児の嘔吐 上原陽治
5.新生児のチアノーゼ 安孫子 優
B.生後1か月以降
1.やせ・体重増加不良 清水泰岳
2.不明熱 阪下和美
3.浮 腫 亀井宏一
4.関節痛・四肢痛 小椋雅夫
5.リンパ節腫脹 大隅朋生
6.過体重・肥満 堀川玲子
7.高血圧 亀井宏一
8.不整脈(頻脈・徐脈) 小野 博
9.胸 痛 三﨑泰志
10.腹 痛 新井勝大
11.下痢・嘔吐(吐血・下血を含む) 竹内一朗
12.黄 疸 窪田 満
13.肝脾腫 小須賀基通
14.貧 血 石黒 精
15.出血傾向 石黒 精
16.蛋白尿・血尿 佐藤 舞
17.多飲・多尿・頻尿 堀川玲子
18.頭 痛 宇佐美憲一
19.けいれん・意識障害 久保田雅也
20.筋緊張低下・筋力低下 阿部裕一
21.咳 嗽 船田桂子
22.呼吸困難 船田桂子
第3章 疾患別にみる検査オーダーセット
A.感染症
1.敗血症 中川 聡
B.免疫・アレルギー疾患
1.気管支喘息 宮地裕美子
2.アトピー性皮膚炎 山本貴和子・大矢幸弘
3.食物アレルギー 福家辰樹
4.自己炎症性疾患 河合利尚
5.原発性免疫不全症 河合利尚
C.膠原病・リウマチ性疾患
1.若年性特発性関節炎 小椋雅夫
2.その他のリウマチ性疾患 小椋雅夫
3.川崎病と鑑別診断 益田博司
D.循環器疾患
1.心筋炎・心筋症 進藤考洋
2.慢性心不全 林 泰佑
E.先天代謝異常症
1.アミノ酸/有機酸/脂肪酸代謝障害・尿素サイクル異常症 奥山虎之
2.ライソゾーム病・ペルオキシソーム病 小須賀基通
3.ミトコンドリア異常症 久保田雅也
4.金属代謝・核酸代謝・その他 福原康之
F.内分泌疾患
1.下垂体疾患 堀川玲子
2.甲状腺疾患 内木康博
3.副甲状腺疾患 吉井啓介
4.副腎疾患 寺田有美子・堀川玲子
5.性分化疾患 堀川玲子
6.糖尿病 松本真明・堀川玲子
G.腎・尿路疾患
1.腎炎・腎症 佐藤 舞
2.ネフローゼ症候群 石倉健司
3.慢性腎臓病 石倉健司
4.尿路感染症 庄司健介
H.神経・筋疾患
1.急性脳炎・脳症 阿部裕一
2.筋ジストロフィー 川井未知子
3.先天性ミオパチー 早川 格
4.細菌性髄膜炎 上田菜穂子
I.血液疾患
1.免疫性血小板減少性紫斑病・血友病 石黒 精
2.血栓症 石黒 精
3.播種性血管内凝固症候群 加藤元博
4.溶血性貧血 加藤元博
J.消化器疾患
1.吸収不良症候群 清水泰岳
2.炎症性腸疾患 新井勝大
3.肝 炎 伊藤玲子
4.膵 炎 竹内一朗
K.耳鼻科疾患
1.中耳炎 山口宗太
2.副鼻腔炎 富里周太
L.腫瘍性疾患
1.白血病 富澤大輔
2.固形腫瘍 松本公一
M.救命救急
1.脱 水 多賀谷貴史
2.ショック 大西志麻
3.薬物中毒 佐々木隆司
4.乳幼児突発性危急事態 中川 聡
付 録
1.小児臨床検査基準値 後藤美樹・奥山虎之
2.薬物血中濃度治療域 後藤美樹・奥山虎之
3.ルーチン検査
① ナトリウムの異常 亀井宏一
② カリウムの異常 小椋雅夫
③ カルシウム・リンの異常 内木康博
④ 血液ガス・アシドーシス・アルカローシス 壷井伯彦
⑤ AST・ALTの異常 阪下和美
⑥ クレアチンキナーゼの異常 阿部裕一
⑦ クレアチニン・BUNの異常 佐藤 舞
⑧ 低血糖症 内木康博
4.腫瘍マーカー 加藤元博
5.遺伝学的検査 奥山虎之
索 引
ページの先頭へ戻る
序文
改訂第2版の序
この度,小児臨床検査マニュアル改訂第2版を刊行できることとなりました.このことは,初版がある程度,小児医療の現場で活躍されている皆様から評価された結果だろうと考えております.今回の執筆者も,国立成育医療研究センター病院のスタッフの各医師が自分の専門領域を担当しました.
初版が世に出てから6年経過したこともあり,第2版では内容を一部変更しております.たとえば,症候からのアプローチを重要視したこと,疾患別での検査オーダーセットでは,疾患の棚卸しを行い,整理をしたことです.また,付録という引き出しの充実を図り,この中にルーチン検査で偶然発見された異常値からの鑑別疾患を表でまとめております.さらに,急激に発展した遺伝学的検査は保険収載の観点からまとめました.
編集方針は,初版と同じく,現場での優先事項の感覚を重要視した流れで記載し,検査値の羅列を極力なくしております.ITの発達した現在,スマホで検索するよりも有用な情報がこの本に掲載されているものと確信しております.小児臨床検査マニュアルを,いつもポケットに入れていただいて,診療時に気軽に確認していただければ幸いです.
2019年7月
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院
病院長 賀藤 均