内分泌のエキスパートによる執筆で好評の「内分泌シリーズ」の一冊.診断に用いる各種画像検査に関する基礎的知識,主要な疾患の診断に必要な画像検査の実施要領と結果の解釈を簡潔にまとめた.改訂第2版では,前版の内容のアップデートに加えて,新たな画像検査法(7T-MRI,11C-metomidate-PET,CDP2230,Ga-68 DOTATATE PET/CT,エクセンディンシンチ)についても解説した.
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目次
「内分泌シリーズ:内分泌画像検査・診断マニュアル 改訂第2版」刊行にあたって 成瀬光栄
改訂第2版 序文 平田結喜緒
執筆者一覧
Ⅰ 総論編
1 画像検査の概要(内科から) 平田結喜緒
2 画像検査の概要(放射線科から) 桑鶴良平
Ⅱ 各論編
第1章 画像検査の基本
1 CT 保科彩子他
2 MRI 加藤仁美他
3 超音波検査 岡田慎悟他
4 シンチグラフィ 山城雄貴他
5 PET/CT 有坂有紀子他
6 血管造影/サンプリング 白石昭彦他
第2章 視床下部・下垂体疾患
A 総論
1 視床下部・下垂体疾患画像診断の要点 山田正三
2 下垂体画像の生理的変化 橋本真紀子他
3 下垂体腺腫のグレーディングとホルモン産生腫瘍の特徴的画像所見 登坂雅彦
B 先端巨大症
1 下垂体MRI 藤澤一朗
2 トルコ鞍単純X線検査 長峯朋子他
3 手指単純X線検査 周東佑樹他
4 heel-pad thickness 周東佑樹他
5 異所性GHRH産生腫瘍 片上秀喜
C プロラクチノーマ
1 下垂体MRI 堀口健太郎
D Cushing病
1 下垂体MRI 黒﨑雅道
2 下錐体静脈洞(IPS)・海綿静脈洞(CS)サンプリング 石田敦士
E 異所性ACTH症候群
1 肺CT 平田結喜緒
2 腹部CT 平田結喜緒
3 オクトレオチドシンチグラフィ 平田結喜緒他
4 PET/CT 平田結喜緒
F TSH産生腫瘍
1 下垂体MRI 堀口和彦他
G 非機能性下垂体腫瘍
1 下垂体MRI 大山健一
H 下垂体卒中
1 下垂体MRI 藤尾信吾他
I 下垂体機能低下症
1 下垂体MRI 藤澤一朗
J 嚢胞性病変
1 下垂体MRI 西岡 宏
K 傍鞍部腫瘍
1 下垂体MRI 服部裕次郎他
L 下垂体炎
1 下垂体MRI 藤澤一朗
M 尿崩症(中枢性)
1 下垂体MRI 藤澤一朗
第3章 甲状腺疾患
A 総論
1 画像検査の概要 田上哲也
B Basedow病
1 甲状腺超音波検査 田上哲也
2 甲状腺シンチグラフィ・放射性ヨウ素摂取率 絹谷清剛
C 橋本病
1 甲状腺超音波検査 宮川めぐみ
D 破壊性甲状腺炎
1 甲状腺超音波検査 北川 亘他
2 甲状腺シンチグラフィ 絹谷清剛
E Plummer病
1 甲状腺超音波検査 北川 亘他
2 甲状腺シンチグラフィ 絹谷清剛
F 甲状腺腫瘍
1 甲状腺超音波検査 宮川めぐみ
2 穿刺吸引細胞診 廣川満良他
3 FDG-PET/CT 志賀 哲他
4 腫瘍シンチグラフィ 志賀 哲他
第4章 副甲状腺および関連疾患
A 総論
1 画像検査の概要 竹内靖博
B 副甲状腺機能亢進症
1 副甲状腺超音波検査 竹内靖博他
2 副甲状腺シンチグラフィ・PET 有坂有紀子他
C 腫瘍性くる病・骨軟化症
1 ソマトスタチン受容体シンチグラフィ 竹内靖博
2 全身静脈FGF23サンプリング 竹内靖博
D 副甲状腺機能低下症
1 頭部CT 皆川真規
2 手足単純X線検査 皆川真規
E 代謝性骨疾患
1 胸腰椎単純X線検査 森 諭史
2 骨密度測定法:二重エネルギーX線吸収測定法(DXA) 伊東昌子
3 その他(超音波測定法〈QUS〉,定量的CT法〈QCT〉,MD法) 曽根照喜
第5章 副腎および関連疾患
A 総論
1 画像検査の概要 方波見卓行他
B Cushing症候群
1 副腎CT,MRI 田辺晶代
2 副腎シンチグラフィ 田辺晶代
C subclinical Cushing症候群
1 副腎CT・MRI 方波見卓行他
2 副腎シンチグラフィ 方波見卓行他
D PMAH
1 副腎CT・MRI 方波見卓行他
2 副腎シンチグラフィ 方波見卓行他
E PPNAD
1 副腎CT 平田結喜緒
F 原発性アルドステロン症
1 副腎CT 立木美香他
2 副腎シンチグラフィ 成瀬光栄他
3 副腎静脈サンプリング 広川侑奨
G 副腎偶発腫
1 副腎CT 神山隆治他
2 副腎MRI 神山隆治他
H 副腎皮質癌
1 副腎CT 神山隆治他
2 副腎MRI 神山隆治他
I 褐色細胞腫
1 副腎CT 川上光一
2 副腎MRI 川上光一
3 MIBGシンチグラフィ 絹谷清剛
4 PET/CT 広川侑奨
J Addison病
1 副腎CT 柳瀬敏彦
K 先天性副腎過形成
1 副腎CT・MRI 柳瀬敏彦
L 腎血管性高血圧
1 CTアンギオグラフィ・MRアンギオグラフィ 岩嶋義雄他
2 腎シンチグラフィ・レノグラム 岩嶋義雄他
3 腎動脈ドプラ超音波検査 岩嶋義雄他
4 腎動脈造影 岩嶋義雄他
第6章 性腺疾患
A 卵巣腫瘍(ホルモン産生性)・PCOS
1 経腟超音波検査 篠﨑博光他
2 骨盤MRI 篠﨑博光他
B 精巣腫瘍(ホルモン産生性)
1 超音波検査・CT・MRI 岩端威之他
第7章 消化器疾患(膵神経内分泌腫瘍)
1 画像検査の概要 平田結喜緒
2 CT・MRI 伊藤鉄英他
3 超音波内視鏡 伊藤鉄英他
4 選択的動脈内カルシウム注入試験 泉山 肇他
5 オクトレオチドシンチグラフィ 泉山 肇他
第8章 新しい画像検査
1 68Ga DOTA-SSA PET/CT 加藤彩子他
2 エキセンディン-4(エキセナチド)シンチグラフィ 平田結喜緒
3 7 Tesla MRI(7T MRI) 黒﨑雅道
4 原発性アルドステロン症の新規画像診断 成瀬光栄他
付録
内分泌画像検査所見一覧 立木美香
索 引
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序文
「内分泌シリーズ:内分泌画像検査・診断マニュアル 改訂第2版」刊行にあたって
内分泌疾患診療に関する系統的な書籍は必ずしも多くない.われわれは2007年に,診断と治療社の「内分泌シリーズ」の企画第一号として『内分泌代謝専門医ガイドブック』を発刊したが,その後これまでに『原発性アルドステロン症診療マニュアル』『もっとわかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル』『褐色細胞腫診療マニュアル』『クッシング症候群診療マニュアル』『甲状腺疾患診療マニュアル』『内分泌機能検査実施マニュアル』『内分泌性高血圧診療マニュアル』『内分泌画像検査・診断マニュアル』『下垂体疾患診療マニュアル』『副甲状腺・骨代謝疾患診療マニュアル』など,計15の発刊とその改訂を定期的に取り組んできた.内分泌シリーズは,①内分泌疾患の診療に従事するすべての医師が活用できること,②疾患の基本から最新の動向までをカバーしていること,③最新の診断基準やガイドラインを掲載,解説していること,④理解しやすいように図表を多くしていること,⑤各分野でわが国を代表する専門医に執筆を依頼したこと,などが特徴である.
内分泌疾患診断の基本は機能検査と画像検査である.前者は『内分泌機能検査実施マニュアル』にまとめ,2015年に改訂第3版を発刊した.一方,その姉妹編といえる『内分泌画像検査・診断マニュアル』はシリーズの9つ目の企画で,診断に用いる各種画像検査に関する基礎的知識,主要な疾患の診断に必要な画像検査の実施要領と結果の解釈を簡潔にまとめた企画であるが,この度,改訂第2版を発刊する運びとなった.改訂の主眼は,初版後9年が経過したことから,その内容のアップデートであるが,それに加えて,その後,開発されてきた新たな画像検査法(7T-MRI,11C-metomidate-PET,CDP2230,68Ga DOTA-SSA PET/CT,エキセンディンシンチ,など)についても,最新動向を解説いただいた.
改訂作業期間中,これまで経験のない新型コロナウイルス感染症の流行があり,われわれ医療従事者を含め,すべての国民にとって大きな試練・負担となっているが,その中で,執筆にご協力頂いた諸先生方に,改めて心より感謝申し上げると共に,本書がわが国の内分泌疾患の画像診断のさらなる診療水準向上に貢献できれば幸いである.
2020年11月 医仁会武田総合病院 内分泌センター長・臨床研究センター長
国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター客員研究員
京都大学糖尿病・内分泌・栄養内科 客員研究員
成瀬光栄
改訂第2版 序文
内分泌腺は下垂体,甲状腺,副甲状腺,膵,副腎(皮質,髄質),性腺(精巣,卵巣)とほぼ全身に分布するため,内分泌疾患の局在診断は各臓器によって異なっている.近年,革新的な医療技術の開発と導入は臨床内分泌学にも多大な恩恵をもたらした.一つは,ホルモンの微量測定が可能なイムノアッセイの登場によって,内分泌疾患のホルモン分泌異常が正確に診断できるようになったことである.次に,各種画像検査の登場によって,内分泌疾患の病変部位の形態的・機能的な局在診断が可能となり,手術適応や経過観察には不可欠な検査法となったことである.現在,内分泌検査と画像検査は内分泌疾患の診療における重要な診断手段の両翼を担っている.
超音波,CT,MRIの登場によって,飛躍的に形態的画像診断の精度が向上した.並行して核医学を用いた,各内分泌腺の病変部位の局在診断が可能となり,最近では受容体シンチグラフィ・PET/CTといった機能的画像診断も次々と開発され,治療にも臨床応用されている.ソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)陽性の転移性神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種治療(PRRT)が代表的な例である.そこで核医学分野では治療(therapy)と診断(diagnosis)とを連結させたセラノスティクス(theranostics)と呼ばれる新技術が提唱され,欧州などで広がっている.
これまで,内分泌疾患領域での画像検査に関する臓器別の参考書はあるものの,内分泌疾患を系統別・疾患別に分けて包括的にまとめたものはなく,本書が初めての実践的なマニュアル本として初版が刊行された.改訂第2版では,新たに注目すべき疾患や画像検査を加えて解説されている. 画像検査は時代の流れとともに変遷し,診療現場でもアップデートされた画像検査の知識を習熟することが内分泌専門医や内分泌疾患の診療に携わる医療者に求められている.本書が内分泌疾患の診断および治療の水準を向上する一助となることを期待したい.
2020年11月
東京医科歯科大学名誉教授
兵庫県予防医学協会・健康ライフプラザ健診センター長
平田結喜緒