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成人スチル病診療ガイドライン 2017年版 [2023年Update]診断と治療社 | 書籍詳細:成人スチル病診療ガイドライン 2017年版 [2023年Update]

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班 編集

初版 A4判 並製 108頁 2023年01月01日発行

ISBN9784787825865

定価:3,630円(本体価格3,300円+税)
  

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『成人スチル病診療ガイドライン2017年版』の刊行から5年が経過しました.この5年の間に新たな治療薬が日本で承認され,さらに複数の薬剤が治験中となっています.今回は,IL-6とIL-1に関連した2つのクリニカルクエスチョン(CQ)を改訂し,新たなCQを1つ入れ替えました.臨床症状,治療法,検査所見について計27個のCQを設定し解説しています.本疾患にかかわるすべての医療従事者にとって,スタンダード診療となる必携の書です.

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目次

口絵カラー
2023年Updateの発刊にあたり
2023年Updateの序文
2017年版の発刊にあたり
2017年版の序文
2023年Update執筆者一覧
2017年版執筆者一覧
ガイドラインサマリー
診療アルゴリズム
重要用語の定義
略語一覧
推奨と解説の読み方

第1章 作成組織・作成経過
1 診療ガイドライン作成組織
2 作成経過

第2章 スコープ
1 疾患トピックの基本的特徴
1-1 臨床的特徴
1-2 疫学的特徴
1-3 診療の全体的な流れ
2 診療ガイドラインがカバーする内容に関する事項
3 システマティックレビューに関する事項
4 推奨作成から最終化,公開までに関する事項

第3章 推 奨
CQ 1 ASDに特徴的な熱型はあるか
CQ 2 ASDに特徴的な皮膚所見はあるか
CQ 3 ASDの関節症状の臨床的特徴はあるか
CQ 4 小児期発症例(全身型若年性特発性関節炎)における臨床的特徴はあるか
CQ 5 ASDの診断,鑑別に有用な血液検査所見はあるか
CQ 6 ASDの活動性評価に有用な血液検査所見はあるか
CQ 7 ASDで認められるリンパ節腫脹に対するリンパ節生検は有用か
CQ 8 小児期発症例(全身型若年性特発性関節炎)において特徴的な血液検査所見はあるか
CQ 9 ASDに合併する臓器障害にはどのようなものがあるか
CQ 10 ASDに合併するマクロファージ活性化症候群の臨床的特徴はなにか
CQ 11 ASDに合併する薬剤アレルギーの臨床的特徴はなにか
CQ 12 小児期発症例(全身型若年性特発性関節炎)に合併する臓器障害・病態にはどのようなものがあるか
CQ 13 小児期発症例(全身型若年性特発性関節炎)のマクロファージ活性化症候群において早期診断に有用な所見はあるか
CQ 14 非ステロイド性抗炎症薬はASDに対して有用か
CQ 15 副腎皮質ステロイド全身投与はASDに対して有用か
CQ 16 ステロイドパルス療法はASDに対して有用か
CQ 17 メトトレキサートはASDに対して有用か
CQ 18 シクロスポリンはASDに対して有用か
新 CQ 19 ステロイド抵抗性ASDに対して,メトトレキサートとシクロスポリンのどちらが有用か
CQ 20 疾患修飾性抗リウマチ薬は,ASDの関節炎に対して有用か
CQ 21 TNF 阻害薬は ASDに対して有用か
新 CQ 22 治療抵抗性ASDに対して,IL-6阻害薬と免疫抑制薬のどちらが有用か
旧 CQ 21 IL-6阻害薬は ASDに対して有用か
新 CQ 23 治療抵抗性ASDに対して,IL-1阻害薬と免疫抑制薬のどちらが有用か
旧 CQ 22 IL-1阻害薬はASDに対して有用か
CQ 24 TNF 阻害薬,IL-6阻害薬,IL-1阻害薬以外にASDに対して有用な生物学的製剤は存在するか
CQ 25 ステロイドパルス療法は全身型若年性特発性関節炎に対して有用か
CQ 26 全身型若年性特発性関節炎において有用な免疫抑制薬はあるか
CQ 27 全身型若年性特発性関節炎において有用な生物学的製剤はあるか

第4章 公開後の取り組み
1 公開後の組織体制
2 導 入
3 有効性評価
4 改 訂

索 引

第5章 付 録
1 クリニカルクエスチョン設定表
2 エビデンスの収集と選定(CQ1~27)
4-1 データベース検索結果
4-2 文献検索フローチャート
4-3 二次スクリーニング後の一覧表
4-4 引用文献リスト
4-5 評価シート(介入研究)
4-6 評価シート(観察研究)
4-7 評価シート(エビデンス総体)
4-8 定性的システマティックレビュー
4-9 メタアナリシス(行った場合のみ)
4-10 SR レポートのまとめ
4-4 引用文献リスト(採用論文のみ再掲)

3 外部評価のまとめ 

2023年Updateで加えた新しいCQは19,22,23となります.今回加えた新CQはMindsの最新版のテンプレートに準拠したために2017年版のものとは表記方法が若干異なっております.ご了承いただけますと幸いです.

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序文

2023年Updateの発刊にあたり

 成人スチル病(adult Still’s disease:ASD)は,成人発症スチル病(adult-onset Still’s disease:AOSD)と全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:sJIA)の成人移行例を包含した呼称で,1971年に初めてその存在が報告された.ASDは比較的新しい疾患として,2015年1月から指定難病の1つに登録されている(2022年11月現在).
 2017年に出版された『成人スチル病診療ガイドライン2017年版』は,Mindsに準じた方式で作成されたこともあり,Mindsの認めたガイドラインの1つとして高い評価を受けた.その後,この5年間での治療の進歩は目まぐるしく,特に生物学的製剤であるトシリズマブが本疾患に対して適用承認を取得したこと,海外において有効性が示されている薬剤も将来わが国で使用される可能性も高まったことから,現在のエビデンスを追記する必要がでてきた.2017年に本ガイドラインは初めて公表されてから比較的短期間であるものの,最近の高質な知見を最新のガイドラインに反映させるべく,マイナーチェンジである補遺版として,三村俊英分科会長に全体指揮を引き続きお願いして改訂を行うこととなった.
 今回は,これまでガイドラインに携わった執筆者の方々に加え,新たに血管炎班と自己免疫班合同でシステマティックレビュー(SR)担当者の育成を図るプロジェクト公募にてSR担当者を選抜し,コクランジャパンから派遣された講師の指導を受け,本ガイドライン補遺版作成の一員として参画していただいた.作成委員会内での討議の結果,最終的に新規クリニカルクエスチョンが3つ加わり,1つが発展的に削除となり,計27個のCQで構成されたUpdate版が完成し,日本リウマチ学会,日本小児リウマチ学会でのパブリックコメントを経て,両学会の承認を得て,このたび書籍として発刊する運びとなった.本疾患診療の現場に,有益で大切な情報がもたらされ,本疾患で苦慮されている患者さんに恩恵が与えられたら,研究班代表者としては本望である.
 最後に,マイナーチェンジとはいえ,最新のエビデンスを収載した『成人スチル病診療ガイドライン2017年版[2023年Update]』の作成・編纂にご尽力いただいた,三村俊英先生をはじめとした執筆者の皆様に深く御礼を申し上げたい.

2022年11月吉日
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業
自己免疫疾患に関する調査研究班 研究代表者
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生涯免疫難病学講座 教授
森 雅亮


2023 年Update の序文

 『成人スチル病診療ガイドライン 2017 年版』は,厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班(前研究代表者:筑波大学名誉教授 住田孝之先生)によって進められ,2017 年に発刊された.希少疾患である成人スチル病(その多くは成人発症スチル病)の診療ガイドラインは,世界的にみても類のないもので,この内容の概要はその後,日本リウマチ学会の英文誌であるModern Rheumatology誌にも掲載され,全世界に向けても情報発信した.『成人スチル病診療ガイドライン2017 年版』が,多くの方々にご利用いただいていると聞き,少しでも皆様のお役に立てているのであれば一同の喜びである.それと同時に,臨床の現場でこの2017 年版診療ガイドラインが使われていることに関しての重い責任も改めて実感した.
 ところで,近年の医学の進歩には目を見張るものがあり,成人スチル病の治療においても同様で,『成人スチル病診療ガイドライン 2017 年版』が出版されてから5 年が経過した現在,新たな治療薬がわが国で承認され,さらに複数の薬剤が治験中である.診療において最適な医療を提供するうえでの拠り所である診療ガイドラインも,進歩に応じて改訂されるべきであることはいうまでもなく,この度『2023 年Update』を発刊することになった.内容として,改訂を要する部分と改訂は不要と考える部分を選別し,IL-6 とIL-1 に関した2つのクリニカルクエスチョン(CQ)を改訂し,新たに1つのCQ を加えることとした.この過程で,2017 年版のCQのうちCQ24 は今回も推奨を提供できるエビデンスが得られないためにこれは削除し,CQ21 とCQ22 は参考資料として重要な内容を含むために削除せず「旧CQ21」および「旧CQ22」として色調を薄くして残すこととした.このようにして,『成人スチル病診療ガイドライン2017 年版[2023 年Update]』が完成した.本診療ガイドライン作成にあたっては,新型コロナウイルス感染症の拡大が大きく影響したが,そのようななかにあって,東京医科歯科大学の森雅亮教授(厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班研究代表者)のご理解のもと,2017 年版作成メンバー,上記厚生労働省自己免疫に関する調査研究班成人スチル病分科会メンバー,および日本リウマチ学会若手中心のシステマティックレビューチームの尽力によって完成に漕ぎ着けた.また,日本医学図書館協会診療ガイドラインワーキンググループをはじめ多くの方々のご協力があったことも特記したい.そして,発刊に向けて最後まで忍耐強く支援いただいた「診断と治療社」のスタッフにも感謝する.
 この新たな診療ガイドラインがさらに多くの方々に役立ち,より良い成人スチル病診療が進むことで患者さんやご家族・ご関係の方々に幸せが訪れることを願ってやまない.

2022 年11 月吉日
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 
自己免疫疾患に関する調査研究班 成人スチル病分科会 会長
埼玉医科大学 副学長
埼玉医科大学医学部リウマチ膠原病科 教授
三村俊英