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わかりやすい予防接種 改訂第7版診断と治療社 | 書籍詳細:わかりやすい予防接種 改訂第7版

帝京大学老人保健センター施設長/帝京大学医学部常勤客員教授

渡辺 博(わたなべ ひろし) 著

第7版 A5判 並製 196頁 2023年12月15日発行

ISBN9784787825902

定価:2,750円(本体価格2,500円+税)
  

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予防接種の対象者や禁忌などの基本的事項から最新の情報をわかりやすい文章で解説した予防接種の定番の入門書.今回の改訂版では,前版刊行以降に定期接種化されたロタウイルスについての記載,その他の経年に伴うアップデートや昨今の感染症をとりまく環境についても最新の知識・情報を追加した.各ワクチンについて具体的な注射法等がテーマ別に解説されており,スケジュールから外れた場合の対応や接種時の取り違えを防ぐ方法など,具体的に予防接種を行うにあたり必要な情報が網羅されている.研修医や開業医・勤務医にとって必携の1冊.

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目次

改訂第7版の序/改訂第6版の序/改訂第5版の序/改訂第4版の序/改訂第3版の序/改訂第2版の序/初版の序

第1部 予防接種の準備
1 予防接種とは?
2 現在日本で実施されている予防接種
 1)定期接種
 A ロタウイルスワクチン/B B型肝炎ワクチン/C Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン/D 小児用肺炎球菌ワクチン/E DPT-IPV/DPTワクチン/DTトキソイド/F BCGワクチン/G 麻疹風疹混合ワクチン/H 水痘ワクチン/I 日本脳炎ワクチン/J ヒトパピローマウイルスワクチン/K インフルエンザワクチン/L 23価成人用肺炎球菌多糖体ワクチン
 2)定期外の予防接種
 A おたふくかぜワクチン/B A型肝炎ワクチン
3 ワクチンの成分
 1)抗原物質
 2)保存剤
 A チメロサール/B 2-フェノキシエタノール
 3)安定剤
 4)抗菌薬
 5)不活化剤
 A ホルマリン
 6)アジュバント
 7)懸濁液
 8)その他
4 ワクチンの接種間隔
 1)同じ種類のワクチン同士の接種間隔(不活化ワクチン)
 A B型肝炎ワクチン/B Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン/C 小児用肺炎球菌ワクチン/D DPT-IPV/E インフルエンザワクチン/F 日本脳炎ワクチン/G ヒトパピローマウイルスワクチン/H A型肝炎ワクチン
 2)同じ種類のワクチン同士の接種間隔(生ワクチン)
 A ロタウイルスワクチン/B 麻疹風疹混合ワクチン/C 水痘ワクチン/D おたふくかぜワクチン
 3)異なる種類のワクチンの接種間隔
5 ワクチンの標準的な接種年齢
 1)定期接種の場合
 A ロタウイルスワクチン/B B型肝炎ワクチン/C Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン/D DPT-IPV/E BCGワクチン/F 麻疹風疹混合ワクチン/G 水痘ワクチン/H 日本脳炎ワクチン/I ヒトパピローマウイルスワクチン
 2)定期外接種の場合
 A インフルエンザワクチン/B おたふくかぜワクチン
6 スケジュールからはずれたときの接種法
 1)2回目以降の接種が必要な予防接種の場合
 A 接種が遅れたときの再開の原則/B DPT-IPV1期/C Hibワクチン/D 小児用肺炎球菌ワクチン/E B型肝炎ワクチン/F ロタウイルスワクチン/G 麻疹風疹混合ワクチン/H 日本脳炎ワクチン1期/I ヒトパピローマウイルスワクチン
 2)追加接種のない予防接種の場合
7 緊急接種
 1)麻疹ワクチン
 2)水痘ワクチン
 3)その他のワクチン
 4)受動免疫
 A γ-グロブリン投与
8 予防接種予約時に注意すること
 1)最近受けた予防接種
 2)最近罹患した感染症
 3)γ-グロブリンの投与または輸血
9 ワクチンの保存

第2部 予防接種の実施
1 予 診
 1)診察時の体温
 2)年齢
 3)予防接種についての区(または市・町・村)からのお知らせを読みましたか?
 4)今日お子さんの様子でいつもと違うところがありますか? 今日,体に具合の悪いところがありますか?
 5)出生体重,分娩時の異常,出生後の異常,乳児健診での異常の指摘
 6)最近1か月以内に病気にかかりましたか?
 7)1か月以内に家族や友達に麻疹,風疹,みずぼうそう,おたふくかぜなどの病気の人がいましたか?
 8)1か月以内に予防接種を受けましたか?
 9)生まれてから今までに特別な病気(先天性異常,心臓,腎臓,肝臓,脳神経,免疫不全,その他の病気)にかかり医師の診察を受けていますか? その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか?
 10)ひきつけ(けいれん)を起こしたことがありますか?
 11)薬や食品で皮膚に発疹やじんま疹が出たり,体の具合が悪くなったことがありますか?
 12)お子さんのなかに先天性免疫不全と診断されている人はいますか?
 13)これまでに予防接種を受けて具合が悪くなったことがありますか?
 14)家族に予防接種を受けて具合が悪くなった人はいますか?
 15)6か月以内に輸血あるいはγ-グロブリンの注射を受けましたか?
 16)今日の予防接種について質問がありますか?
 17)医師のサイン
 18)保護者のサイン
2 予防接種不適当者
 1)明らかな発熱を呈している者
 2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
 3)当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかな者
 4)麻しん,風しん,水痘及びおたふくかぜ等に係る予防接種の対象者にあっては,妊娠していることが明らかな者
 5)BCG接種の対象者にあっては,結核その他の疾病の予防接種,外傷等によるケロイドの認められる者
 6)B型肝炎の予防接種の対象者で,母子感染予防として,出生後にB型肝炎ワクチンの接種を受けた者
 7)ロタウイルス感染症に係る予防接種の対象者にあっては,腸重積症の既往歴のあることが明らかな者,先天性消化管障害を有する者(その治療を完了した者を除く.)および重症複合免疫不全症の所見が認められる者
 8)肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る.)に係る予防接種の対象者にあっては,当該疾病に係る法第5条第1項の規定による予防接種を受けたことのある者
 9)その他,予防接種を行うことが不適当な状態にある者
3 ワクチンの接種量
 1)DTワクチンの接種量
 2)その他のワクチンの接種量
4 ワクチンの接種法
 1)ワクチンの種類と接種法
 2)皮下注射の方法
 A 接種部位/B 接種法
 3)筋肉内注射の方法
 A 接種部位/B 接種法
 4)同時接種
 5)接種時の痛みを軽減する方法
 6)接種部位を接種後に揉むことについて
5 予防接種時に起こりやすいエラーと対策
 1)予防接種時のエラー
 A 接種量のエラー/B 接種回数のエラー/C ワクチン種類取り違えのエラー/D 空シリンジ使用のエラー/E 禁忌の接種のエラー/F 期限切れのワクチンを接種するエラー
 2)エラーが起こる背景
 3)エラーを減らすための対策
6 アナフィラキシーと処置
 1)早期に診断するために
 2)治療
7 ワクチン接種後の注意
 1)有害事象の出現に注意する
 2)入浴は可
 3)過激な運動,深酒は避ける
8 ワクチン接種後の有害事象
 1)有害事象とは?
 2)有害事象の種類と頻度
 A 局所反応/B 過敏症状/C アナフィラキシー/D 血小板減少性紫斑病/E 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)/F 脳炎・脳症/G その他
 3)有害事象の対処法
9 副反応疑い(有害事象)の報告
 1)定期の予防接種の場合
 2)定期外の予防接種の場合
 3)健康被害の救済処置

第3部 特殊な状況の予防接種
1 早産児の予防接種
2 アレルギーがある子どもの予防接種
 1)ワクチン成分に対するアレルギーがある場合
 A 卵アレルギー/B 水銀アレルギー/C 抗菌薬に対するアレルギー/D ゼラチンアレルギー
 2)その他のアレルギーの場合
3 けいれん既往がある子どもの予防接種
 1)予防接種とけいれん
 2)予防接種のしかた
 A 熱性けいれんの既往がある児の場合/B てんかんの既往のある児の場合
 3)重症心身障害児
4 慢性疾患がある子どもの予防接種
 1)心臓血管系疾患
 2)腎臓疾患
 3)悪性腫瘍
 4)HIV感染者
 5)先天性免疫不全
5 γ-グロブリン投与後または輸血後の予防接種
6 妊婦・成人女性の予防接種
7 世界の予防接種
 1)アメリカ合衆国(アメリカ)の予防接種
 2)各国の予防接種
 3)地域により必要となる予防接種
 4)来日または日本に帰国した者に対する予防接種
 A B型肝炎ワクチン/B ポリオワクチン/C BCGワクチン/D 日本脳炎ワクチン/E MMRワクチン
 5)日本から海外に行く場合の予防接種

付 録 予防接種関連のホームページ一覧
索 引

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序文

改訂第7版の序

 「わかりやすい予防接種」第6版の発行からおよそ6年,初版発行からは23年が経ちました.長期にわたり版を重ねて来られたのも読者のみなさまのご支持のおかげと感謝しております.振り返ってみますと,この23年間日本の予防接種制度は大きな変革を迎えていたことがわかります.初版から第7版までの序文を並べて読んでみるとその中にこの変化が反映されていることに気づきました.
 初版(2000年)~第3版(2006年)の間は日本の小児定期予防接種への新規ワクチン導入は1つもありませんでした.それが第4版(2010年)頃から様相が変わります.進まなかった小児対象の新規ワクチンの認可が進むようになり,自費でならHibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン,ヒトパピローマウイルスワクチンの接種が国内で可能になりました.第5版(2014年)ではついにこれら3ワクチンの新規定期接種化がなされ,第6版(2017年)ではさらに水痘ワクチン,B型肝炎ワクチン,成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化が,そしてこの第7版(2023年)でもロタウイルスワクチンの定期接種化が記載されていました.このようにみてみるとわが国の予防接種体制近代化の転換点は2013(平成25)年の予防接種法改正と見做してよさそうです.2013年は日本の定期予防接種近代化元年です.このような時期に日本の小児予防接種の変化を縦断的に記述する機会をいただけて光栄に思っています.
 今回の改訂では診断と治療社の長野早起氏の多大な助力と叱咤激励により,当初の出版計画を大幅に割り込みながらも何とか完遂することができました.ここに深く感謝の意を表します.最後にこの改訂作業においても影ながら支えてくれた家内と娘に感謝いたします.

2023年10月
渡辺 博


改訂第6版の序

 前回の改訂から3年あまり,初版発行からは17年あまりが経ちました.よくも続いたものだと感心しますが,これも皆様からの変わらぬご支持のおかげと感謝しております.「初版からずっと読んでるよ」とお声をかけていただいたこともありました.身に余る光栄でこの場をお借りして厚く御礼申し上げます.
 前回の改訂はHibワクチン等の3ワクチン定期接種化を受けた大幅な改訂でした.今回も水痘ワクチン,B型肝炎ワクチン,成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化の後で再び大きな改訂となりました.第4版までの新規定期接種化がない改訂とは一変し作業が増えて大変になりましたが,ワクチン行政の前進を感じることもでき,うれしい悲鳴といったところです.次の改訂の機会がもしあれば,おたふくかぜワクチン,ロタウイルスワクチンの新規定期接種化,百日咳ワクチン含有ワクチンによる11~12歳のブースター接種定期接種化を反映する改訂になってくれればと夢見ています.
 「ワクチンの副反応」という用語に出てくる「副反応」ということばには,予防接種との因果関係を肯定するニュアンスがあり以前から気になっていました.本書ではこれまですべて「副反応」で通して記述してきましたが,今回の改訂からは極力,因果関係を肯定するニュアンスの少ない「(ワクチン接種後の)有害事象」という用語で置き換えて記述してみました.多少読みにくくなったかもしれませんが,ご批判いただければ幸いです.
 最後に本書の改訂にあたり,多大なご助力をいただいた診断と治療社編集部,日常診療で献身的に助力いただいている帝京大学医学部附属溝口病院のスタッフの皆さま,そして陰で支えてもらっている私の家族に感謝いたします.

2017年12月
渡辺 博


改訂第5版の序

 前回の改訂から3年,初版の発行から14年が経過しました.この間,読者の皆さまからは本書に対する変わらぬご支持をいただき,おかげさまで第5版の発行にこぎつけることができました.厚くお礼申し上げます.
 発行から3~4年も経てば,制度上の変更などがこれまでもいくつも出てきていました.しかし,以前の改訂では新規の定期接種ワクチン導入に伴う記述変更は一度もありませんでした.それが今回は皆さまもご存じの状況です.第4版の発行後,Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン,ヒトパピローマウイルスワクチンの定期接種化が行われ,さらに本書の発行の半年後には水痘ワクチンのA類定期接種化と23価成人用肺炎球菌ワクチンのB類定期接種化の予定が伝えられています.日本と世界のワクチンギャップを筆者は以前から残念に思っていましたが,まさに隔世の感があります.
 本書はワクチン別ではなくテーマ別のワクチン解説を目指す構成のため,新規の定期接種ワクチンが登場すると書き直しを要する箇所が多数出現することに,今回初めて気づきました.さらに前回と同様,筆者自身の予防接種に対する理解が進んだ部分も多々あり,第1部はほとんど書き直しとなってしまいました.しかしその分,予防接種の解説書としての完成度も一段と高まったのではないかと密かに思っています.
 最後に,今回の改訂にあたっても多大なご助力をいただいた診断と治療社編集部に深謝いたします.また,予防接種を含め小児医療に助力いただいている帝京大学医学部附属溝口病院のスタッフの皆さま,そして私の家族に感謝いたします.

2014年3月
渡辺 博


改訂第4版の序

 前回の改訂から4年,初版からは10年が経ちました.この間,読者のみなさまから本書に対しひとかたならぬご支持をいただきましたこと,厚くお礼申し上げます.10年という歳月の中で自身の予防接種に対する見方,考え方も微妙に変化していることを,初版から見直して改めて感じました.過去2回の改訂でも修正してきたつもりでしたが,積もり積もったところもあり少々の手直しでは済まない部分も出てきました.第6項「スケジュールからはずれたときの接種法」など今回思い切って書き改め,本書の本来の目的である「わかりやすい予防接種」を追求してみました.
 第3版発行以降のわが国の予防接種の変化は,何といってもHibワクチン,結合型肺炎球菌ワクチン,ヒトパピローマウイルスワクチンの国内販売開始です.有料ながら国内で接種が可能になったというのは大きな変化でした.今回の改訂ではこれら任意接種(本書ではあえて定期外接種とよぶ)ワクチンの記述に力を入れました.ただ以前の序文でも述べたように,わが国の小児対象の定期予防接種は今回まで1つも増えておらず残念なことです.
 最後に改訂作業にあたり,多大なご助力をいただいた診断と治療社編集部,日常診療で子どもたちのため献身的に働いていただいている帝京大学医学部附属溝口病院の医療スタッフの皆さま,そして私の家族に感謝します.

2010年12月
渡辺 博


改訂第3版の序

 前回の改訂から3年が経ちました.この間わが国の予防接種にはいろいろな変化がありました.BCGワクチンは小中学校でのツベルクリン反応とBCGワクチン接種が廃止され,乳児でもツベルクリン反応が廃止されBCGワクチンは直接接種に変わりました.日本脳炎ワクチンでは14~15歳で行われていた3期の接種が廃止になりました.勧奨接種の勧奨中止という思いがけない処置も経験しました.麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が導入され,それとほぼ同時に2回接種も開始されました.以上のように,定期接種ワクチンの多くで変更があり,従来の記述では現状にそぐわない部分も増えてきたため今回改訂の運びとなりました.今回は出版社の勧めで,今までの1色刷りを2色刷りに改めました.また,目次や索引も以前の版に比べ多めに拾ってあります.読者のみなさまには読みやすくなったと思います.
 この3年間の予防接種制度の変化には目まぐるしいものがありました.もちろん変化はそれぞれ意味のあるものでした.しかしふと気がついてみると,この間,小児を対象とした勧奨接種ワクチンの種類が実は1つも増えていないことがわかります.現在の日本の予防接種はアメリカ合衆国をはじめ世界の多くの国から遅れをとっています.次の改訂までに1つでも勧奨接種のワクチンが増えて,日本の予防接種が世界標準レベルに近づいていることを祈りながら,この序文を終わりたいと思います.
 最後に本書の改訂にあたり,筆者のわがままを聞いてぎりぎりまで種々の変更に応じていただいた診断と治療社の小岡明裕氏に深謝いたします.

2006年8月1日
渡 辺 博


改訂第2版の序

 本書が出版されて3年が経ちました.この間思いがけずいろいろな方々からお手紙,お電話などを通じ質問や励ましのことばをいただきました.音声化の許可の依頼をさる図書館からいただいたこともありました.本の出版という仕事を通じたくさんの人たちとの新たな出会いが経験できたことは,私にとって全く予想外のことであり,また大きな喜びでした.この場を借りて読者のみなさまに感謝いたします.
 本書の内容で記述の至らない点に関するご指摘もいくつかいただき,これまで増刷の折に修正を加えて参りました.しかしこの3年の間に予防接種制度の一部変更などさまざまな変化もあり,小幅な修正だけでは間に合わなくなってきました.そこでこれを節目に改訂版の作成を思い立ち相談いたしましたところ,出版社からも快く了承をいただくことができ,この改訂版発行の運びとなりました.
 今回の改訂では予防接種制度の変更,ワクチン製剤の成分の変更などに関し,最新の情報が反映できるよう努めました.またこれとともに以前の版で書き足りなく感じていた外国の予防接種の章などは,多少加筆し充実を図りました.その際本書の目標とする記載の明快さが失われないよう心がけました.
 本書が日常診療のなかで行われる予防接種でお役に立つことができ,またひとりでも多くの子どもが予防接種の恩恵に浴すことができることを願い,改訂の序といたします.

2003年7月
渡 辺 博


初版の序

 予防接種の現場では様々な状況に遭遇し,対応に悩むことがあります.経験を積めばこのようなこともだんだん減ってきますが,筆者の場合もはじめて一般病院で予防接種を担当するようになってから,しばしば問題に直面しいろいろな本をひっくり返したものでした.
 今回たまたま出版社の方から予防接種の解説書のお話をいただきました.私自身は予防接種の専門家というわけではありませんが,以前から予防接種について簡単に調べられる手軽な本が一冊あれば役立つのではないかと思っていましたので,これまでの経験をもとに少しでも読者の方々の日常臨床に資するものができればと考え,お引き受けしました.
 予防接種については予防接種ガイドラインという冊子がありますが,これだけでは対応がわからないケースも出てきます.本書ではできるだけすべての場合に対応できるよう詳しく記載しました.個々の医師の裁量にゆだねる,といった書き方はなるべく避けて,最良と考えられる方法を具体的に記載するよう努めました.その場合もなるべく根拠を示すようにしましたが,なかには経験から記述している部分もあります.異論のあるところもあるかと思いますので,どしどしご批判をお願いいたします.なお本書はこれから予防接種に携わることになる若い医師の方々や,保健師さん看護師さんなどにも読んでいただけるようなるべく平易に書いたつもりです.ご活用ください.
 本書をまとめるにあたり,いつも小児科外来と病棟で子どもたちのため献身的に働いてくれている社会保険中央総合病院小児科の医療スタッフのみなさんに感謝いたします.また本書の編集で何かと助けていただいた診断と治療社のみなさんに感謝いたします.最後に本書の執筆を陰から支えてくれた家内と娘に感謝します.

2000年3月
渡 辺 博