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書籍詳細

日常生活から学ぶ 子どもの発達障害と睡眠診断と治療社 | 書籍詳細:日常生活から学ぶ 子どもの発達障害と睡眠

久留米大学医学部小児科学講座主任教授

山下 裕史朗(やました ゆうしろう) 監修

久留米大学医学部小児科学講座講師

原 宗嗣(はら むねつぐ) 編集

久留米大学医学部小児科学講座講師

弓削 康太郎(ゆげ こうたろう) 編集

久留米大学医学部小児科学講座助教

石井 隆大(いしい りゅうた) 編集

名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科准教授

高橋 長秀(たかはし ながひで) 編集

初版 B5判 並製 272頁 2024年05月10日発行

ISBN9784787826176

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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日本の子どもは諸外国に比べ睡眠の問題を抱えていることが多く,特に発達障害のある子どもは睡眠障害の有病率が高いとされる.本書はそんな発達障害のある子どもの睡眠について,各ライフステージにおける日常生活に着目しながら,多角的に解説.発達と睡眠の関係を示した総論に始まり,発達障害のある子どもが抱えがちな睡眠の問題,よりよい眠りを得るためのヒント,問診,検査,新規治療法など様々な話題を豊富に詰めこんだ.

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目次

序文 山下裕史朗
執筆者一覧

第Ⅰ章 発達障害のある子どもの睡眠を理解するために
① オーバービュー 山下裕史朗
② 子どもの発達 原 宗嗣
③ 子どもに必要な睡眠と発達過程における睡眠の生理的変化 星野恭子
④ 睡眠の問題による生活や心身の発達への影響 岸 哲史,上田泰己
⑤ 睡眠と発達障害の関係性 高橋長秀

第Ⅱ章 子どもの日常生活にみる睡眠の問題と発達障害

A 全発達段階
① 生活リズム 星野恭子
② 食事 福水道郎
③ 運動,スポーツ 星野恭子,白濱龍太郎
④ 無呼吸,肥満,扁桃腺肥大 加藤隆郎,小曽根基裕
⑤ 疲労,倦怠感 比江嶋啓至,内村直尚
⑥ 体内時計 南 陽一,上田泰己
⑦ 寝付きが悪い,不眠 瀧井 稔,小曽根基裕,内村直尚
⑧ 途中で目が覚める(中途覚醒) 弓削康太郎
⑨ 寝言,寝ぼける 石井隆大
⑩ 寝起きが悪い 石井隆大
⑪ 昼間の眠気 加藤隆郎,小曽根基裕
⑫ 寝室環境 小浦冬馬,小曽根基裕
⑬ 寝相,歯ぎしり 原 宗嗣
⑭ いびき,口呼吸,よだれ 弓削康太郎
⑮ 睡眠中の行動異常 原 宗嗣
⑯ スクリーンタイム 高橋長秀

B 乳児期(0~1歳6か月)
① 授乳 弓削康太郎
② 入眠儀式 原 宗嗣
③ 夜泣き,乳児疝痛 原 宗嗣

C 幼児前期(1歳6か月~3歳)
① イヤイヤ期 原 宗嗣
② 添い寝,絵本読み聞かせ 石井隆大
③ こだわり,マイペース 弓削康太郎
④ 常同行動 原 宗嗣
⑤ かんしゃく 原 宗嗣
⑥ 言葉の遅れ 弓削康太郎
⑦ 感覚過敏,感覚鈍麻 弓削康太郎
⑧ クレーン現象 石井隆大
⑨ 虐待 原 宗嗣

D 幼児後期(3~5歳)
① しつけ 原 宗嗣
② 昼寝 原 宗嗣
③ コミュニケーションの問題,人見知り 高橋長秀
④ 時間の感覚がない 高橋長秀
⑤ 家庭環境の問題 石井隆大

E 学童前期(小学校低学年)
① 就学 星野恭子
② 学校行事 福水道郎
③ おねしょ 石井隆大
④ 攻撃的な行動 高橋長秀

F 学童後期(小学校高学年)
① 進学 福水道郎
② 落ち着きがなく,集中力がない 原 宗嗣
③ 極端な不器用,協調運動の不良 福水道郎
④ ゲーム症 原 宗嗣
⑤ 塾,習い事 星野恭子

G 青年期(中学校~高等学校)
① 思春期 石井隆大
② 遅刻,欠席,不登校 石井隆大
③ ストレス 高橋長秀

第Ⅲ章 子どもの睡眠を妨げるその他の症候・疾患
① 感染症,喘鳴,クループ症候群 弓削康太郎
② アトピー性皮膚炎 弓削康太郎
③ 消化器症状,経腸栄養,胃瘻 弓削康太郎
④ 頭痛,発熱 原 宗嗣
⑤ 不安,緊張,うつ 高橋長秀
⑥ 摂食障害,強迫性障害,分離不安,愛着障害 高橋長秀
⑦ 自家中毒(周期性嘔吐症候群) 原 宗嗣
⑧ 概日リズム睡眠・覚醒障害,時差ぼけ 石井隆大
⑨ 睡眠関連律動性運動障害 石井隆大
⑩ むずむず脚症候群 原 宗嗣
⑪ ナルコレプシー 石井隆大

第Ⅳ章 睡眠改善のためのABC
① 問診 石井隆大
② 検査 比江嶋啓至,小曽根基裕
③ 治療 弓削康太郎
④ 発達特性に基づく睡眠ガイド 原 宗嗣
⑤ フォローアップ 原 宗嗣
⑥ 専門医の紹介,医療連携,トランジション 原 宗嗣

Coffee break
民間伝承にみる睡眠障害:枕返しと三年寝太郎 山下裕史朗
クラシック音楽 石井隆大
関連施設で集計したアンケート調査結果 石井隆大
うつぶせ寝と乳幼児突然死症候群 原 宗嗣
早寝早起き朝ごはん 星野恭子
メラトニンの知見 弓削康太郎
動物の睡眠 戸根大輔,上田泰己
ペット 山下裕史朗
発達障害から精神疾患への進展とその原因 高橋長秀
睡眠グッズ 横山 遼,内村直尚
バーチャル睡眠 原 宗嗣
睡眠計 大出晃士,上田泰己

索引

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序文

睡眠は,脳の休養・疲労回復,記憶の固定,脳内老廃物の処理,身体の休養・疲労回復,エネルギーの保存,免疫機能の増加,成長などに関連します.睡眠は,生きていく上で必要な生理的活動なのです.睡眠に障害があると心身両面に大きな影響があることは成人でも子どもでも変わりません.
もともと,わが国の子どもは世界のなかでも最も睡眠時間が短いとされてきました.わが国の子どもは,諸外国に比べて睡眠の問題を抱えている頻度が高く,特に発達障害(神経発達症)のある子どもではさらに睡眠障害の有病率が高いといわれています.また,睡眠障害が,発達障害の多動や興奮といった症状をさらに増悪させる可能性が示唆されており,それに悩む保護者も少なくありません.
有効な承認薬はなかったのですが,2020年にメラトニン(メラトベル®)が「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」を効能・効果として承認・発売されました.この治療薬は,眠気を引き起こす催眠作用と睡眠・覚醒リズムを調節する概日リズム調節作用を有し,また内因性ホルモンと同一のメラトニンを成分としているため,重篤な副作用なく自然な眠りを得ることができます.臨床試験においても問題行動(興奮性,無気力,多動等)の全項目で改善が認められました.メラトニン(メラトベル®)という新しい“武器”を得たことで発達障害の治療は大きな転換期を迎えています.
本書は,子どもの各ライフステージにおける日常生活に着目し,睡眠がどのように子どもの発達に影響するのかについて記載すること,そして小児科医を中心とした子どもを診療する医師,コメディカルスタッフに睡眠の重要性について学んでもらう手助けとなる書籍を目指しています.子どもの睡眠と発達,特に発達障害との関連にフォーカスを絞った書籍は少ないため,『日常生活から学ぶ子どもの発達障害と睡眠』というタイトルで書籍を企画しました.よりよい睡眠をもたらすことによって子どもたちとその家族の命の輝き(QOL)が増すことを願っています.


久留米大学医学部小児科学講座
主任教授
山下裕史朗