酸化ストレスの医学 改訂第3版診断と治療社 | 書籍詳細:酸化ストレスの医学 改訂第3版
一般社団法人日本酸化ストレス学会 監修
京都府立医科大学大学院医学研究科生体免疫栄養学講座 教授
内藤 裕二(ないとう ゆうじ) 編集
名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学 教授
豊國 伸哉(とよくに しんや) 編集
東北大学大学院医学系研究科環境医学分野 教授
赤池 孝章(あかいけ たかあき) 編集
川崎医科大学消化器内科学 特任准教授
半田 修(はんだ おさむ) 編集
改訂第3版 A5判 並製 532頁 2024年06月05日発行
ISBN9784787826206
定価:11,000円(本体価格10,000円+税)冊
酸化ストレスは,組織や細胞を傷害することから,様々な疾患の原因となっています.老化の進行にも深く関わり,研究者や臨床医にとって重要なテーマです.本書は,改訂第2版から10年を経て,基礎編では基礎研究での大きな進歩(超硫黄粒子,フェロトーシス,低温プラズマ,ナノ粒子など)をアップデート.臨床編ではアルツハイマー病,COVID-19,腸内細菌叢,エイジング,がん,生活習慣病などでの新知見を解説しています.
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目次
序 内藤裕二
執筆者一覧
第1章 基礎編
基礎編の序 豊國伸哉
1 フリーラジカル・活性酸素と酸化ストレス 野口範子
2 活性酸素生成酵素NOX/DUOXの調節機構と酸化ストレス 住本英樹/神田 朗/鎌倉幸子
3 生体の抗酸化システム① スーパーオキシドジスムターゼ系 吉原大作/藤原範子/鈴木敬一郎
4 生体の抗酸化システム② グルタチオンペルオキシダーゼ系 今井浩孝
5 生体の抗酸化システム③ チオレドキシン系 増谷 弘
6 生体の抗酸化システム④ チオレドキシン周辺分子 三木裕明
7 酸化ストレス制御におけるNRF2シグナルの役割 伊東 健/長谷川和輝/葛西秋宅
8 超硫黄分子の化学と生理機能 緒方星陵/Uladzimir Barayeu/赤池孝章
9 ヘムオキシゲナーゼ 髙木智久/内藤裕二
10 酸化還元ストレスと心血管シグナル伝達 西田基宏/西村明幸/加藤百合
11 親電子代謝制御とストレス応答 斎藤芳郎/外山喬士
12 鉄代謝と酸化ストレス 岡崎泰昌
13 細胞死と酸化ストレス 稲波 修/安井博宣
14 フリーラジカルの測定法 中川秀彦
15 酸化ストレスのバイオマーカー① タンパク質カルボニル 内田浩二/山口公輔
16 酸化ストレスのバイオマーカー② 酸化的DNA損傷 及川伸二/小林 果
17 酸化ストレスのバイオマーカー③ 血清・尿中低分子化合物 藤沢章雄
18 グリケーション 高橋姫乃/永井竜児
19 一酸化炭素とシグナル伝達 髙木智久/内藤裕二
20 酸素・一酸化窒素・硫黄による炎症シグナル制御 澤 智裕
21 活性酸素種・硫黄代謝オミックス解析 居原 秀/笠松真吾
22 酸化ストレス・硫黄代謝と幹細胞生物学 本橋ほづみ/飯田謙人
23 天然抗酸化物質 村上 明/芦田 均
24 ナノ粒子と酸化ストレス 長崎幸夫
25 発がんと酸化ストレス 赤塚慎也/豊國伸哉
26 炎症と酸化ストレス 佐藤英介
27 放射線と酸化ストレス 安井博宣/稲波 修
28 紫外線と酸化ストレス 安井裕之
29 虚血再灌流傷害と酸化ストレス 市川 寛
30 フェロトーシス 豊國伸哉
31 酸化ストレス関連遺伝子改変モデル 守田匡伸
32 フリーラジカル・酸化ストレス研究の歴史 二木鋭雄
第2章 臨床編
臨床編の序 内藤裕二
1 Parkinson病と酸化ストレス 福井浩二
2 Alzheimer病と酸化ストレス 中別府雄作
3 酸化ストレス反応を標的としたがん治療創薬 高橋重成/植田誉志史
4 低温大気圧プラズマの医療応用 田中宏昌/堀 勝
5 眼疾患と酸化ストレス 谷戸正樹/山根 縁/河野通大
6 呼吸器疾患と酸化ストレス 井上健一郎/高野裕久
7 心疾患と酸化ストレス 木谷友哉/小暮雅哉/的場聖明
8 動脈硬化症と脂質酸化 板部洋之
9 肥満・エネルギー代謝と酸化ストレス 高山浩昭
10 Helicobacter pylori感染症と酸化ストレス 鈴木秀和/平井美和
11 腸内細菌と酸化ストレス 半田 修
12 新型コロナウイルス感染症と酸化ストレス 松永哲郎
13 酸化ストレスが誘発する消化管傷害 黒川宏美/松井裕史
14 炎症性腸疾患と酸化ストレス 内山和彦/髙木智久
15 NAFLD/NASHと酸化ストレス 角田圭雄/瀬古裕也/米田正人
16 C型肝炎における肝発がんと酸化ストレス 仁科惣治
17 急性臓器不全と酸化ストレス 澤野 誠
18 腎疾患と酸化ストレス 長州 一
19 糖尿病と酸化ストレス 奥野陽亮/下村伊一郎
20 婦人科疾患と酸化ストレス 本岡大社
21 特発性大腿骨頭壊死症と酸化ストレス 市堰 徹/植田修右/平田寛明
22 がん予防とストレス Seong HeeKyung/尾﨑充彦/岡田 太
23 歯科・口腔疾患と酸化ストレス 李 昌一/小松知子
24 運動と酸化ストレス 青井 渉/高波嘉一
25 漢方薬と酸化ストレス 平山 暁
26 エイジングと酸化ストレス 内藤裕二
27 放射線障害予防と酸化ストレス 松本謙一郎/中西郁夫/伊藤 紘
28 自己免疫疾患と酸化ストレス 藤井順逸
索引
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序文
『酸化ストレスの医学』は2008年に吉川敏一監修,豊國伸哉,内藤裕二編集で出版した.その後,2014年に改訂第2版を出版した.10年を経て,改訂第3版を出す機会を得た.今回の改訂にあたっては,酸化ストレスに関する学術領域の進歩をまとめ,多くの会員の協力のもと,基礎から臨床に至るまでの酸化ストレスの意義を体系的に探求したものとすることを目標にした.酸化ストレスは,細胞や組織における生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす一方で,病態の発症や老化の進行にも深く関わるという点で,私たち研究者や臨床医にとって重要なテーマである.本書は,その複雑なメカニズムや疾患への影響を明らかにするための新たな知見を提供し,研究や臨床現場での実践に役立つことを目指した.特に,老化研究は世界中の研究者が精力的に進めており,老化と酸化ストレスの密接な関係がミトコンドリアを中心に明らかになりつつある.そのなかでみつかりつつある分子を標的にした老化予防薬,若返り薬なども脚光を浴びている.さらには,老化におけるエピジェネティクスの役割も明らかになり,慢性炎症の病態解明も進められている.本書は,老化と酸化ストレスの複雑な関係をより深く理解し,健康な老化や老化関連疾患の予防や治療に向けた新たなアプローチを模索する上で重要な示唆を提供していると考えている.本書は,最初からじっくりと読む書籍ではなく,それぞれの研究者,臨床医が興味ある領域から読んでいただけたらと考える.
執筆者の皆様には,ご多忙中にもかかわらず,貴重な知識と経験を惜しみなく本書に寄せていただき,心より感謝申し上げたい.また,編集作業に従事した皆様にも深く感謝申しあげる.多くの皆様のご尽力により,本書は学術的な価値と実用性を兼ね備えたものになったと考える.
日本酸化ストレス学会 理事長
京都府立医科大学大学院医学研究科生体免疫栄養学講座 教授
内藤裕二