「関節リウマチ診療ガイドライン2020」発行から3年ぶりの改訂.新薬・新剤形・新たなバイオ後続品と,若年性特発性関節炎も含め,患者ライフステージに応じたクリニカルクエスチョンを追加し,72のクリニカルクエスチョンと推奨,6つのQ&Aを掲載.高齢発症関節リウマチと若年性特発性関節炎の総論を追加した.前版で好評だった治療アルゴリズム,患者・一般診療医向け「本診療ガイドラインのクイックリファレンス」も一部改訂し収載.
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目次
本診療ガイドラインのクイックリファレンス
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」序文
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」刊行によせて
「関節リウマチ診療ガイドライン2020」序文
「関節リウマチ診療ガイドライン2020」刊行によせて
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」執筆者一覧
「関節リウマチ診療ガイドライン2020」執筆者一覧
略語一覧
第1章 本診療ガイドラインについて
1.背景・特徴と使用上の注意(NEW)
2.ガイドライン作成組織(NEW)
第2章 重要臨床課題と推奨作成手順
1.重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン(NEW)
2.推奨の作成手順(NEW)
第3章 クリニカルクエスチョンと推奨
1.治療方針(NEW)
2.クリニカルクエスチョンと推奨
RA推奨1 MTX 1(2020版 推奨1)
RA推奨2 MTX 2(2020版 推奨2)
RA推奨3 MTX 3(2020版 推奨3)
RA推奨4 MTX 4(NEW)
RA推奨5 csDMARD 1(2020版 推奨4)
RA推奨6 csDMARD 2(2020版 推奨5)
RA推奨7 NSAID(2020版 推奨6)
RA推奨8 ステロイド(2020版 推奨7)
RA推奨9 bDMARD 1(NEW)
RA推奨10 bDMARD 2(2020版 推奨9)
RA推奨11 bDMARD 3(2020版 推奨10)
RA推奨12 bDMARD 4(2020版 推奨11)
RA推奨13 bDMARD 5(2020版 推奨12)
RA推奨14 bDMARD 6(2020版 推奨13)
RA推奨15 bDMARD 7(2020版 推奨14)
RA推奨16 bDMARD 8(2020版 推奨15)
RA推奨17 bDMARD 9(2020版 推奨16)
RA推奨18 bDMARD 10(2020版 推奨17)
RA推奨19 RTX 1(NEW)
RA推奨20 RTX 2(NEW)
RA推奨21 RTX 3(NEW)
RA推奨22 RTX 4(NEW)
RA推奨23 RTX 5(NEW)
RA推奨24 JAKi 1(NEW)
RA推奨25 JAKi 2(NEW)
RA推奨26 JAKi 3(NEW)
RA推奨27 JAKi 4(NEW)
RA推奨28 JAKi 5(NEW)
RA推奨29 JAKi 6(NEW)
RA推奨30 JAKi 7(2020版 推奨22)
RA推奨31 denosumab(2020版 推奨23)
RA推奨32 バイオ後続品1(NEW)
RA推奨33 バイオ後続品2(NEW)
RA推奨34 高齢者 1(NEW)
RA推奨35 高齢者 2(NEW)
RA推奨36 高齢者 3(NEW)
RA推奨37 高齢者 4(NEW)
RA推奨38 合併症 1(2020版 推奨26)
RA推奨39 合併症 2(2020版 推奨27)
RA推奨40 合併症 3(2020版 推奨28)
RA推奨41 合併症 4(2020版 推奨29)
RA推奨42 合併症 5(2020版 推奨30)
RA推奨43 合併症 6(2020版 推奨31)
RA推奨44 合併症 7(2020版 推奨32)
RA推奨45 合併症 8(2020版 推奨33)
RA推奨46 手術・リハビリテーション 1(2020版 推奨37)
RA推奨47 手術・リハビリテーション 2(2020版 推奨38)
RA推奨48 手術・リハビリテーション 3(2020版 推奨39)
RA推奨49 手術・リハビリテーション 4(2020版 推奨40)
RA推奨50 手術・リハビリテーション 5(2020版 推奨41)
RA推奨51 手術・リハビリテーション 6(2020版 推奨42)
RA推奨52 手術・リハビリテーション 7(2020版 推奨43)
RA推奨53 手術・リハビリテーション 8(2020版 推奨44)
RA推奨54 手術・リハビリテーション 9(2020版 推奨45)
RA推奨55 手術・リハビリテーション 10(2020版 推奨46)
RA推奨56 手術・リハビリテーション 11(2020版 推奨47)
RA推奨57 手術・リハビリテーション 12(2020版 推奨48)
RA推奨58 手術・リハビリテーション 13(2020版 推奨49)
RA推奨59 手術・リハビリテーション 14(2020版 推奨50)
RA推奨60 手術・リハビリテーション 15(2020版 推奨51)
RA推奨61 手術・リハビリテーション 16(2020版 推奨52)
RA推奨62 手術・リハビリテーション 17(2020版 推奨53)
RA推奨63 手術・リハビリテーション 18(2020版 推奨54)
RA推奨64 手術・リハビリテーション 19(2020版 推奨55)
RA推奨65 妊娠・授乳期1(NEW)
RA推奨66 妊娠・授乳期2(NEW)
3.関節リウマチ治療のQ&A
1.ヒドロキシクロロキン(NEW)
2.整形外科手術のリスク因子(2020版 第3章3-2)
3.妊娠・授乳期のマネジメント(NEW)
4.ガイドラインを広めるために(NEW)
第4章 多様な患者背景に対応するために
1.わが国における関節リウマチ診療の実態(2020版 第4章1)
2.本診療ガイドライン作成のための患者の価値観の評価~患者アンケート調査~(2020版 第4章2)
3.今日の関節リウマチ治療における患者教育(2020版 第4章3)
4.関節リウマチ治療における医療経済評価(NEW)
5.高齢発症関節リウマチのマネジメントに関するコンセンサスステートメント(NEW)
6.小児および移行期・成人期の若年性特発性関節炎マネジメント
1.成人診療科リウマチ医のための若年性特発性関節炎診療の基礎知識と用語解説(NEW)
2.クリニカルクエスチョンと推奨(NEW)
JIA推奨1 JIA少関節炎型・多関節炎型1(NEW)
JIA推奨2 JIA少関節炎型・多関節炎型2(NEW)
JIA推奨3 JIA少関節炎型・多関節炎型3(NEW)
JIA推奨4 JIA少関節炎型・多関節炎型4(NEW)
JIA推奨5 JIA少関節炎型・多関節炎型5(NEW)
JIA推奨6 JIA少関節炎型・多関節炎型6(NEW)
3.小児および移行期・成人期の若年性特発性関節炎マネジメントのQ&A(NEW)
索引
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序文
関節リウマチは,関節滑膜炎を主座とする自己免疫疾患である.遷延性・破壊性関節炎を特徴とし,疼痛や不可逆的な変形による身体機能障害を生じ,関節外症候を併発する.古代より人類を苦しめてきた難病であるが,20世紀後半より免疫異常を抑制して疾患活動性を制御することを目的としてメトトレキサートなどの抗リウマチ薬,生物学的製剤やJAK阻害薬などの分子標的治療が導入されて治療に大変革がもたらされた.すべての患者において寛解が治療目標となり,関節の構造的損傷の防止が可能となった.結果,欧米において関節リウマチ医療に対する新しい考え方,新しい分類基準,寛解基準,治療戦略が公表・改訂された.関節リウマチの遺伝・環境要因,治療薬の使用量や方法が異なる日本における日常臨床の課題に応じるべく,日本リウマチ学会でも2014年に関節リウマチ診療ガイドラインを公表し,さらに,2020年に診療ガイドラインを改訂した.さらに,その後,新規治療薬の登場,これまで認識されていなかった短期・長期的な安全性に関する懸念,コロナ禍での医療,難治症例や臓器障害への対応,個々の患者との同意形成など,新たな臨床的な課題も析出してきた.そこで,日本リウマチ学会では,関節リウマチ診療ガイドライン小委員会 針谷正祥委員長を中心に,全国の専門医の皆様の多大なるご協力を得て,「日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂―若年性特発性関節炎 少関節炎型・多関節炎型 診療ガイドラインを含む」を作成し,パブリックコメントを経て理事会で承認した.担当の先生方には心から御礼を申し上げる.また,厚生労働科学研究費補助金 免疫・アレルギー疾患政策研究事業,日本小児リウマチ学会,日本整形外科学会等のご協力には,重ねて感謝を申し上げる.本診療ガイドラインを関節リウマチ医療の実践に広く役立て,疾患を正しく理解し,様々な問題点に的確に対処することを目指していただければと期待する.
一般社団法人日本リウマチ学会理事長
産業医科大学医学部第1内科学講座教授
田中良哉
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」刊行によせて
複数の関節に炎症をもたらし,日常生活を奪う関節リウマチ.日本中で約80万人の方がこの病気とともに暮らしています.幸いにも,この四半世紀で関節リウマチ診療は飛躍的に進歩し,専門家による治療成績は格段に向上しました.
関節リウマチの最新の治療を国内のどこでも受けられるようにするため,「関節リウマチ診療ガイドライン2020」(2020版)が日本リウマチ学会から2021年春に発表されました.おかげさまで,多くの方に2020版を手にとっていただき,最新のエビデンスとガイドライン作成手法に基づいた治療アルゴリズムを日常診療に活用していただきました.2020版で掲げた「長期予後の改善,特にQOLの最大化と生命予後の改善」という治療目標を達成するためには,関節リウマチ患者のライフステージに応じた治療の提供が必要ですが,2020版ではそのための記述が十分とはいえませんでした.また,2020版発表後も,関節リウマチの新規治療薬の上市,バイオ後続品の上市,既存治療薬の新たなエビデンスの発表が相次いでおります.これらの背景を受けて,日本リウマチ学会は2020版の改訂を計画し,厚生労働科学研究費補助金(免疫・アレルギー疾患政策研究事業)関節リウマチ診療ガイドラインの改訂による医療水準の向上に関する研究班の協力のもとで,2年間をかけて「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂―若年性特発性関節炎 少関節炎型・多関節炎型 診療ガイドラインを含む」(2024版)を完成させました.関節リウマチ患者さんとそのご家族が読みやすいように,クイックリファレンスの説明をさらに充実させ,目次では改訂した推奨が一目でわかるように工夫されています.
2024版を作成するにあたりご協力いただきました公益社団法人日本リウマチ友の会の皆様,コクランジャパンの皆様,システマティックレビューおよびパネル会議にご協力・ご参加いただいた皆様,ご執筆いただいた皆様に厚く御礼申し上げます.また,作成期間中,「関節リウマチ診療ガイドラインの改訂による医療水準の向上に関する研究」を支えていただいた事務局の皆様に感謝申し上げます.
関節リウマチを診療する先生方に2024版をご活用いただき,患者さんのQOLがますます改善し,笑顔が増えていくことを心より願っております.
日本リウマチ学会関節リウマチ診療ガイドライン小委員会委員長
厚生労働科学研究費補助金(免疫・アレルギー疾患政策研究事業)
関節リウマチ診療ガイドラインの改訂による医療水準の向上に関する研究 研究代表
東京女子医科大学医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野 教授・基幹分野長
針谷正祥
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」刊行によせて
日本リウマチ友の会は2025年,創立65周年を迎えます.患者会としての65年間にリウマチ医療は大きく進展し,“治療は患者と医師の合意に基づいて行う”というところまできていて,寛解も目指せるようになりました.
「関節リウマチ診療ガイドライン2014」作成時に,患者の価値観や意向を反映することを目的に当会会員はアンケート調査に参加し,また患者代表として3名がパネル会議に初めて参加しました.「関節リウマチ診療ガイドライン2020」作成時にも,患者の声をエビデンスとして反映させることを目的としたアンケート実施に参加・協力し,パネル会議に患者代表として3名が参加しました.
今回の,患者のライフステージに応じて治療を適切に実施し,疾患の重症化・難治化を未然に防止するためのガイドライン改訂を目的とする「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂―若年性特発性関節炎 少関節炎型・多関節炎型 診療ガイドラインを含む」においても,患者代表として2名が参加しました.患者代表の意見,患者とリウマチ専門医が協働的意思決定に基づいて治療を選択できるよう考えられた推奨が作成され,患者代表として理解しやすい推奨の合意形成に参加できました.患者として臨床の場でしか会うことのない医師が,多くの文献や症例の検証を重ねる姿を,この場でなければ知ることもなく,関節リウマチ診療ガイドラインを改訂していく“場”に参加できたことは患者会として誇らしい思いです.
関節リウマチの診療ガイドライン作成が進展した中,住む地域を選べない患者が望むことは,地域間の医療格差,医療費,医師との協働的意思決定,チームによる医療,病診連携などの問題が解決されることです.
この「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」が,全国のリウマチ医療の質の向上を目指してエビデンスに基づいて作成・活用され,格差の縮小につながったとき,患者はどこに住んでいても安心して必要な医療を受けることができます.
「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」により,リウマチ医療のより一層の進展を期待しています.
公益社団法人日本リウマチ友の会会長
門永登志栄