HOME > 書籍詳細

書籍詳細

日本医師会生涯教育シリーズ

画像検査を使いこなす診断と治療社 | 書籍詳細:画像検査を使いこなす
放射線科医からの贈り物

京都府立医科大学放射線医学教室 教授

山田 惠(やまだ けい) 監修

東邦大学佐倉病院放射線科 准教授

稲岡 努(いなおか つとむ) 編集

京都医療科学大学医療科学部放射線技術学科 教授

大野 和子(おおの かずこ) 編集

愛媛大学大学院医学系研究科放射線医学 教授

城戸 輝仁(きど てるひと) 編集

浜松医科大学放射線診断学講座 教授

五島 聡(ごしま さとし) 編集

初版 B5判 並製 356頁 2024年07月01日発行

ISBN9784787826558

定価:6,050円(本体価格5,500円+税)

定評ある日本医師会雑誌特別号 生涯教育シリーズの書籍化.患者の状態の把握から鑑別診断,治療方針の決定,治療後の経過の確認や評価など,さまざまな目的で行われる画像検査が,日々の臨床において果たす役割は大きく,多くの医師にとって欠かすことのできない検査である.本書は,日進月歩の画像診断学領域において,最新のトピックス,症状に応じた検査適応,領域ごとに代表的な疾患の画像検査の選択と鑑別診断のポイントの大きく3つに分けて執筆されており,知識のアップデートや,効率的な検査の組み立てなどに役立てていただける内容となっている.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

カラー口絵
序…松本吉郎
監修・編集のことば…山田 惠
監修・編集・執筆者紹介

第Ⅰ部 画像検査の最新の話題
1 ホットトピックス
Choosing Wisely …隈丸加奈子
診療用放射線に関連する法令…稲木杏吏
AI(人工知能)…平田健司
ACR-RADS…本田有紀子,中村優子,粟井和夫
画像診断ガイドライン…片岡正子,田波 穣,工藤與亮
品質管理(自己機能評価)…大田英揮
画像診断管理加算…水沼仁孝
STAT画像報告…山田 惠
遠隔読影診療の進歩・課題…牧田幸三

2 検査にまつわる最新のリスクマネジメント
読影件数の増加と放射線科医の不足…井田正博
医療における放射線安全…大野和子
乳幼児・小児の医療被曝…宮嵜 治
生殖腺シールドの廃止…上田克彦
造影剤の副作用…対馬義人
画像診断レポートの扱い…髙橋 哲
画像診断レポート見落としの原因と対策…武田理宏
MRIの特殊性…黒田 輝
核医学(過剰投与)…大野和子

3 各検査モダリティの最新技術
単純写真…林田佳子,青木隆敏
超音波…武輪 恵,太地良佑,平井都始子
CT…丹羽 徹,吉田亮一,岡崎 隆
MRI…五島 聡
PET…中本裕士
心臓核医学検査…瀧 淳一
脳核医学…外山 宏,乾 好貴,市原 隆
セラノスティクスと骨シンチグラフィ…若林大志
Vascular intervention…渡辺祈一,和田 武,近藤浩史
Non-vascular intervention…和田慎司

第Ⅱ部 症候学に応じた画像検査の選択
1 中枢神経
頭痛…山田 惠
意識障害・失神…岡本浩一郎,登木口 進
痙攣…中村尚生
運動麻痺…増本智彦
めまい・耳鳴り…小玉隆男

2 頭頸部
視覚異常…外山芳弘
眼球運動障害…森  墾
眼痛・眼球突出…子安 翔
顔面痛・耳痛…檜山貴志,酒井正史
耳鳴・難聴…馬場 亮,尾尻博也
鼻閉・鼻漏・嗅覚異常…勇内山大介
嗄声…内匠浩二,長野広明,吉浦 敬
頸部腫瘤触知…齋藤尚子

3 胸部
検診異常…最上 博
咳・痰…宝関明子,福田大記,氏田万寿夫
血痰・喀血…武下 剛,江頭玲子
呼吸困難…山城恒雄
胸痛…吉田和樹,井手香奈,城戸輝仁

4 腹部
悪心・嘔吐…井上明星,関 晃吉,渡邉嘉之
吐血…髙木勝弘,上田真信,鶴丸大介
右上腹部痛…前原真菜,藤永康成
左上腹部痛…吉川裕紀,岡田真広
右下腹部痛…金子 揚,松尾政之
左下腹部痛…吉川裕紀,岡田真広
その他の箇所の痛み…小森隆弘
腰痛・背痛…前場淑香,福倉良彦
排便の異常(下痢・便秘・下血)…鈴木耕次郎
尿量の異常(無尿・乏尿・多尿)…楫  靖,勝部 敬,吉田理佳
血尿…秋田大宇,池田織人,陣崎雅弘

5 その他
健診での検査値異常…福田有子
貧血…田崎裕太郎,東家 亮
不明熱…ウッドハムス玲子
関節痛…福田有子
手足のしびれ…土生奈菜子,五明美穂

第Ⅲ部 各疾患の画像診断
1 中枢神経
認知症…德丸阿耶
脳血管障害…山田 惠
てんかん…森本笑子
脳腫瘍…鹿戸将史
水頭症…小路田泰之,石井一成

2 内分泌系
下垂体腫瘤…池辺洋平,工藤與亮
甲状腺腫瘤・副甲状腺腫瘤…藤田晃史,小屋敷洋平,本多正徳
副腎腫瘤全般…金井貴宏,宗近次朗,扇谷芳光
神経内分泌腫瘍…黒川真理子,黒川 遼

3 頭頸部
顔面外傷…山内英臣,尾尻博也
耳下腺腫脹…池田耕士
頭頸部がん…久野博文
頸椎症…米永健徳
副鼻腔炎…勇内山大介

4 乳腺
乳腺腫瘍…森 菜緒子,村田敏樹,松田雅純

5 呼吸器
肺炎…西村考真,筒井 伸,芦澤和人
肺腫瘤性病変…楠本昌彦
肺がん検診(低線量CT)…轟木 陽,草野 涼,青木隆敏
塵肺(珪肺・石綿肺),胸膜中皮腫…加藤勝也
びまん性肺疾患…上甲 剛

6 循環器
心筋症…真鍋徳子
冠動脈疾患・心筋梗塞…佐久間 肇
心臓弁膜症…宇都宮大輔,石田和史,高梨秀一郎

7 IVR領域
大動脈解離…渡辺祈一,和田 武,近藤浩史
末梢血管障害…野田能宏,山上卓士
末梢血管のインターベンション…野田能宏,山上卓士
血管炎…鈴木耕次郎
動脈硬化に伴うさまざまな変化…鈴木耕次郎

8 消化器
肝腫瘤…戸島史仁,小林 聡
胆道がん…雄山一樹,藤永康成
膵がん…中村優子,本田有紀子,粟井和夫
門脈圧亢進症…伊藤純二,西江昭弘
膵炎…福倉良彦,前場淑香
胆囊炎…鈴木健史,藤永康成
虫垂炎…金子 揚,松尾政之
腸閉塞…関 晃吉,井上明星,渡邉嘉之
消化管腫瘍…笠井尚史,上田真信,鶴丸大介
鼠径ヘルニア…関 晃吉,井上明星,渡邉嘉之

9 泌尿生殖器
尿路結石…山田香織
腎腫瘍…池田織人,秋田大宇,陣崎雅弘
腎炎(腎感染症)…松尾義朋
膀胱・尿路の腫瘍…中井 豪
子宮腫瘍…竹内麻由美,松崎健司,原田雅史
付属器腫瘍…木戸 晶
前立腺がん…上野嘉子
外陰部・陰囊内疾患…大西基文,小山 貴

10 整形外科領域
上肢の変形性関節症…野崎太希
下肢の変形性関節症…小橋由紋子
脊椎の変形性関節症(変形性腰椎症)…笠井美里,稲岡 努,寺田一志
骨軟部腫瘤…中井雄大

11 全身性疾患
膠原病…中田和佳
リウマチ性疾患…神島 保
脊椎関節炎…福田健志
IgG4関連疾患…井上 大
リンパ腫…影山咲子
腫瘍随伴症候群…岡田直子,髙尾正一郎,原田雅史
末梢神経疾患…横田 元
筋ジストロフィー…奥田実穂
骨転移…柿木崇秀

索引

ページの先頭へ戻る

序文



日々の診療において数多くの画像検査が実施され,患者の状態の把握から鑑別診断,治療方針の決定,治療結果の確認や経過の評価など,さまざまな場面で役立てられている.このように画像検査が臨床において果たす役割は大きく,近年著しい発展を遂げているが,その恩恵にあずかるためには,すべての医師が新しい技術や機器を含む画像検査について十分に理解し,適切に活用していくことが不可欠である.
本書のテーマは,「画像検査を使いこなす」である.画像検査による患者の負担を最小限に抑えつつ,最適な画像を得られるように適切な検査を選択するためには,画像検査の基本的知識や近年の進歩,陥りやすいピットフォールなどについても十分に理解しておく必要がある.本書はそうした現状を踏まえ,画像診断の最新の話題から各疾患の画像検査や鑑別のポイントについて,放射線科医の立場から解説いただいた.会員の先生方が日常診療の中で折に触れ本書を参照し,画像診断の理解を深めていただけると幸いである.
最後に,本書の刊行にあたり労をお取りいただいた,監修の山田 惠先生,編集の稲岡 努先生,大野和子先生,城戸輝仁先生,五島 聡先生,そしてご執筆いただいた先生方に深く感謝申し上げる.

2024年6月

公益社団法人 日本医師会会長
松本吉郎


監修・編集のことば

『日本医師会雑誌』の特別号で画像診断が最後に取り上げられたのは 2011(平成23)年である.古くより十年一昔という.日進月歩の画像診断学なので,新たな特別号を発行する好機といえるだろう.
本書の執筆陣は,ほぼ全員が現役の放射線科医である.しかし説明するまでもなく,本書は放射線科医のために編集されたものではない.日々の臨床に携わっている,放射線科を専門としない日本医師会の会員にとって,有益な内容となることを目指した.折に触れて用いられる書籍となってほしいと願う.
本書は大きく 3 つのセクションによって構成されている.第Ⅰ部では,最新の話題について取り上げた.なかでも,検査適応や安全管理について力点を置いている.この部分を読んでいただくことにより,効率的な検査が組み立てられることを願っている.また第Ⅱ部では,症状に応じた検査適応について記載している.最新のガイドラインに則った内容も載っているので,知識のアップデートに役立てていただきたい.そして第Ⅲ部では,疾患ごとの細目を設けた.たとえば,自身の専門ではない領域に対処するのに役立つかもしれない.これら 3 つのセクションを,目的に応じて使い分けていただければ幸いである.
さて,本書の企画の段階で執筆陣を選定するに際し,多様性についても編集メンバーの間で何度もすり合わせを行った.これまでの特別号では,執筆者の多くが男性であることはご想像のとおりであるが,本書では,筆頭著者が女性である比率がおおよそ 25% と,これまでになく高水準にある.同時に,地域的な格差も最小化できるように注意を払った.さらにいえば,大学病院に偏りがちな執筆者を,より広く一般病院からも選定した.こういった差配によって,日本の医学界に蔓延する男性優位・大学支配の文化に一石を投じることができればと考えた.このような取り組みが今後,さらに他の分野へもゆっくりと広がっていくことを祈念する.
最後に,ご多忙の中,執筆の労を取っていただいた先生方に,この場を借りて改めて深く御礼を申し上げる.いずれの項目も珠玉と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっており,臨床の場で大いに活用されるものと信じている.

2024年6月

監修・編集者を代表して
山田 惠