今すぐ身につけたい救急手技の「小児と成人との違い」に焦点をあて,満載のイラスト・写真と動画を用いて,スペシャリストが具体的にわかりやすく解説.新しい知見が得られた手技も盛り込んでいる.うまく手技を完遂させるための知恵となる「ポイント」「コツ」に加え,「介助する看護師からのひとこと」を参考にすれば,手技にもっと自信がもてる.日々子どもたちに手技を行う医師と看護師が協力して書き上げた,現場必携の1冊.
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目次
1 一般的処置
A 子どもの抑制の仕方 池山由紀
介助につく看護師からのひとこと 吉野広美
B 薬剤を用いない不安寛解方法 池山由紀
介助につく看護師からのひとこと 吉野広美
C バイタルサインの測定 池山由紀
介助につく看護師からのひとこと 吉野広美
D 筋肉注射,皮下注射 池山由紀
E 経鼻投与,経頬粘膜投与 池山由紀
2 蘇生処置
Ⅰ.呼吸器系
A 経鼻・経口エアウェイ挿入 伊藤英介
B 用手気道確保,マスク換気 伊藤英介
C 酸素投与・吸引 伊藤英介
D 経口気管挿管(rapid sequence intubation:RSI) 小原崇一郎
E 小児のビデオ喉頭鏡 小原崇一郎
F 気道異物除去 小原崇一郎
G 高流量鼻カニュラシステム 福政宏司
介助につく看護師からのひとこと 西村亜美
H 吸入療法 福政宏司
介助につく看護師からのひとこと 西村亜美
Ⅱ.循環器系
A 末梢静脈路確保 井上信明
介助につく看護師からのひとこと 三浦英代
B 骨髄路確保 井上信明
C 胸骨圧迫 長田浩平
D 電気ショック 長田浩平
3 外傷蘇生処置
A 頸椎保護 黒田 駿
B 胸腔穿刺,胸腔ドレナージ 黒田 駿
4 鎮静/鎮痛
A 局所麻酔法 安田 幹
B 神経ブロック 安田 幹
C 救急外来における鎮静の原則 杉中見和
5 裂創/挫創/熱傷
A 創傷処置の基本 佐藤信宏
介助につく看護師からのひとこと 三浦英代
B 縫合方法,縫合糸の選択 佐藤信宏
C その他の閉創方法 岸部 峻
D 熱傷処置 岸部 峻
6 新生児
A 新生児蘇生 嶋岡 鋼
B 臍帯静脈路確保 嶋岡 鋼
7 眼科・耳鼻科・歯科的手技
Ⅰ.眼科系
A 救急で使用する眼科的診療手技 萩原佑亮
Ⅱ.耳鼻科系
A 鼻出血への対処 伊原崇晃
B 鼻骨骨折,鼻中隔血腫への対処 伊原崇晃
C 耳鏡の扱い方 伊原崇晃
D 鼻腔・外耳道異物への対処 伊原崇晃
E 扁桃周囲膿瘍の穿刺 佐々木隆司
F 気管切開チューブの入れ替え 松井 鋭
Ⅲ.歯科系
A 救急で使用する歯科的診療手技 杉中見和
8 消化器系手技
A 食道胃物除去 森 崇晃
B 胃瘻チューブの交換 森 崇晃
C 鼠径ヘルニア嵌頓 森 崇晃
9 泌尿器系手技
A 嵌頓包茎 竹井寛和
B ファスナー外傷 竹井寛和
C 女児外性器の診察法 竹井寛和
介助につく看護師からのひとこと 吉野広美
D 導尿 竹井寛和
介助につく看護師からのひとこと 吉野広美
10 整形外科系手技
A 骨折診療の基本 林 卓郎
B 骨折整復の基本 林 卓郎
C 固定術の基本 野村 理
介助につく看護師からのひとこと 三浦英代
D 松葉杖の扱い方 林 卓郎
E 肘内障整復 林 卓郎
11 マイナー外傷
A 爪に関する診療手技 菅沼和樹
B hair tourniquetの除去 井上信明
12 中毒・環境因子による救急
A 胃洗浄 岩田賢太朗
B 活性炭の使用 岩田賢太朗
C 体温調節の手法 岩田賢太朗
介助につく看護師からのひとこと 三浦英代
13 診断的手技
A 腰椎穿刺 中馬卓也
介助につく看護師からのひとこと 三浦英代
B 恥骨上膀胱穿刺 中馬卓也
C 生物検体の採取 中馬卓也
14 エコーガイド
A エコー総論 竹井寛和
B 救急の現場で役立つエコー
1.eFAST 本間利生
2.皮下膿瘍,皮下異物 室原誉伶
3.RUSH プロトコル 本間利生
4.整形外科領域 室原誉伶
5.消化管エコー 富田慶一
6.精巣捻転 富田慶一
15 critical procedure
A difficult airwayへの対応 光銭大裕
B エコーガイド下中心静脈路確保 渡邉伊知郎
C 体外ペーシング 渡邉伊知郎
D 心囊穿刺 光銭大裕
索引
附録
救急で使える小児のサイズ・薬用量・GCS
PALSチャート
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序文
本書の前身となる,『おさえておきたい すぐに使える 子どもの救急手技マニュアル』が刊行されてから,早いものですでに10年近くがたちました.救急医療の第一線で,日々子どもたちに手技を行う医師と看護師が協力して書き上げた前書は,多くの方々に手に取っていただき,診療の場でお役立ていただけたのではないかと思います.ただ10年も経ちますと,内容が現状に合わないことや新しい知見が得られた手技などがあります.そこで今回,前書の方針を踏襲しつつ,内容を見直し,新しい手技の項目も追加し,全面改訂を行いました.
前書では,それまでの類似する書籍にはなかった大きな特徴として,大人と子どもの違いへの配慮,特に検査や痛みを伴う処置を行う際,子どもにどのように声をかけるとよいのか,介助する看護師からのひとことも加え,子どもにかかわるすべての医療職の方々の参考になる内容となることを意識しました.子どもを押さえつけ,子どもに過度に負担を強いるのではなく,一人ひとりの子どもの人格を尊重するアプローチは,今や世界の小児救急医療において常識となっていますが,今回も,その方針はしっかりと踏襲しています.
またそれぞれの手技には,「ポイント」や「コツ」など,普段から子どもに手技を行う医師だからこそ知っている,うまく手技を完遂させるための知恵についても,前書に引き続き,内容を見直したうえで共有いただきました.本文と合わせて読んでいただき,子どもに対する手技のクオリティの向上にお役立ていただけましたら幸いです.
なお今回の新版では,限られた項目にはなりますが,動画を用いて手技の具体的な方法について解説いただきました.なかなか言葉で表現しても伝わりにくい動きも,動画を用いるとわかりやすくなります.手間と時間をかけて動画を作成くださった著者の先生方には,感謝申し上げます.
最後になりましたが,10年ぶりの改訂にご尽力くださった著者の先生方,新たに執筆を担当してくださった先生方,また新版の作成を企画し,丁寧に原稿を確認くださった診断と治療社の小林雅子様,土橋幸代様,そして何よりも子どもたちに対して日々丁寧な診療と手技を提供してくださっているすべての医療従事者の皆様に,こころより感謝申し上げます.
2024年7月
井上信明