「薬を飲んだ後,吐いたらどうすればよい?」「子どもの薬の投与量,体重にだけ気をつけていればよい?」「併用禁忌の組み合わせ,実際のリスクはどの程度?」本書では,そんな小児診療現場での医師,看護師の疑問に薬剤師が丁寧に回答!その回答に至るまでの判断材料や思考プロセスを可視化し,わかりやすく解説しています.「これってどうなんだろう?」に応える内容が満載なChild Health Books第二弾,発刊です!
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目次
はじめに 児島悠史
本書の説明
用法(動態)
1 「1日3回」の薬,お昼は幼稚園・保育所に行っていて服薬がむずかしいので,「1日2回」にしてもよいか? 児島悠史
2 「食後」だと満腹で薬を飲んでくれないという相談があったので,用法を「食前」に変えてもよいか? 児島悠史
3 添付文書で用法が「就寝前」の薬,「夕食後」ではダメか? 富野浩充
4 薬を飲んだあとに吐いてしまったが,どうすればよいか? 児島悠史
用法(工夫)
5 薬をなかなか飲んでくれないとき,どうすればよいか?(1歳未満) 児島悠史
6 薬をなかなか飲んでくれないとき,どうすればよいか?(1~3歳) 児島悠史
7 薬をなかなか飲んでくれないとき,どうすればよいか?(4~7歳) 児島悠史
8 錠剤は,何歳くらいから処方してもよい? 富野浩充
9 保湿剤は,「お風呂上がり」すぐに塗布したほうがよい? 児島悠史
薬の調整
10 飲み薬の“粉の量”が多いのだけど,何とかならないか? 富野浩充
11 同じ処方なのにかさが違うことがある?(水剤の賦形について) 富野浩充
12 水剤やシロップ剤のメスアップ,「水道水」を使ってもよい? 児島悠史
用量
13 点眼薬,子どもでも同じ量でよいのか? 児島悠史
14 保湿剤,どのくらいの量を処方すればよい? 児島悠史
15 子どもの薬の用量,どうやって決めたらよい? 児島悠史
16 子どもの薬の投与量,「体重」にだけ気をつけていればよい? 安福功一
製剤
17 錠剤が大きくて飲みづらそうなので,半分に割ってもよいか? 児島悠史
18 「てんかん」の薬,ジェネリック医薬品に変えても大丈夫? 児島悠史
19 保湿剤とステロイド外用薬,混ぜて処方してもよい? 児島悠史
20 子どもの吸入薬,デバイス(吸入器)は何を基準に選ぶのがよい? 児島悠史
21 「乳糖」の入った吸入薬は,乳アレルギーの子どもでは避けたほうがよい? 児島悠史
22 点眼薬の処方が複数ある場合,どういう順序で使うように指示すればよい? 児島悠史
薬の使い分け・使いどころ
23 「飲みやすい,おいしい抗菌薬に変えてほしい」といわれたが,問題ないだろうか? 児島悠史
24 ドラッグストアに,子どもにも使える解熱鎮痛薬は売っている? 児島悠史
25 「熱さまし」の薬,体温が何℃になったら使う?(熱性けいれんを心配する保護者より) 児島悠史
26 子どもの風邪の咳止め,何を使えばよい? 児島悠史
27 発達障害の薬,どのように使い分ければよい? 安福功一
相互作用
28 「併用禁忌」の組合せ,実際のリスクはどの程度? 児島悠史
29 薬は「水」で飲んでおけば問題ない? 児島悠史
授乳中
30 授乳中は薬を使わないほうがよい? 富野浩充
付録 子どもに薬を飲ませるコツとお役立ち情報
診断と治療社のホームページ上(https://www.shindan.co.jp)の本書のページからダウンロードできます.
Index
著者プロフィール
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序文
はじめに
医師や看護師の方とお話をしていると,「薬剤師にそんなことを相談してもよかったんだね」「薬剤師ってそんな話に詳しいんだね」といわれることがあります.ものすごく細やかなエビデンスを知っているとか,海外で発表された最新の情報に明るいとかいうわけではなく,薬剤師であれば誰でも知っているような,わりと基礎的な薬物動態学や製剤学の知識に基づいた切り口が,現場での問題解決の糸口になることがしばしばあるからです.これは,明確なエビデンスや指針に乏しく,現場での“さじ加減”を考えなければならない子どもの薬物治療においても同様で,「薬を飲んでくれないとき」や「吐いてしまったとき」の対応,「似た薬の使い分け」や「薬を使う順序」,「薬に含まれる添加物の問題」などを考えるうえでは,むしろこうした薬剤師ならではの視点がとても重宝されるようです.
そこで本書では,医師や看護師の方から薬剤師がよく受ける相談をベースに,薬剤師がどんな知識・情報をもとにして回答をしているのか,その判断材料や思考プロセスを可視化し,「薬剤師に相談することのメリット」を知ってもらえるような内容をまとめました.薬剤師は“薬の専門家”として医療に携わっているものの,他の医療従事者からは「いまひとつ何を考えているのかわからない」「どういうふうに頼ったらよいのかわからない」,場合によっては「薬のことしか考えてなさそう」という印象をもたれていることもありますが,そうした誤解を解消する一助として,多職種連携をする際の“薬剤師の活用法”を知ってもらうきっかけとして,日々の診療に役立てていただければ幸いです.
最後に,本書の執筆にあたり,内容や構成の相談にものっていただいた編集担当の島田つかさ様,素敵なイラストを描いてくださった江村康子様に深く御礼申し上げます.
2024年9月
薬剤師 児島悠史
「Child Health Books」
刊行のことば
1998 年に雑誌「チャイルドヘルス」が創刊して四半世紀が経ちました.この間,編集委員の先生方とともに,子どもにかかわる医療者,支援者の皆さまに役立てていただける雑誌づくりに邁進してきました.私たちには,医学という枠を超え,職種の垣根を超えた,子どもの保健と育児に関する幅広く確かな情報をお伝えできてきたという自負があります.
しかし同時に,日々の診療や支援に直結するテーマをもっと掘り下げて,現場でより活かせる内容を届けることはできないか,という想いも抱いていました.
子どもにかかわる課題はいつの時代も尽きることはなく,しかも,年々変化していっています.10 年前の常識が現在では非常識となるような,刻々と変わる状況を理解し,課題をときほぐし,支援につなげていく必要があります.
そんな想いをかたちにしたのが,新たに発刊する書籍シリーズ「Child Health Books」です.
「育児・保健を科学的,実践的に扱う」という雑誌「チャイルドヘルス」の理念はそのままに,“より深く,より具体的に,よりわかりやすく”,を追求し,それぞれの分野のエキスパートが現場から導き出した,理論と実践を結びつけた実用的な内容を執筆.現場の課題解決に直結する一冊をお届けすることを目指しています.
「こんな視点,やり方があったのか」「この職種の人に相談してみるのもよいかも」,そんなふうに,このシリーズが,新たな気づきのきっかけとなり,明日からの現場に活かしていただけることを,そしてすべての医療者,支援者の皆さまのお役に立ち,子どもたちの健やかな成長と幸せに貢献できることを,心から願っています.
2024 年10 月
診断と治療社