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書籍詳細

STARTUP!乳がん診療入門診断と治療社 | 書籍詳細:STARTUP!乳がん診療入門
エキスパートが教える最新知識と実践テクニック

日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野 主任教授

多田 敬一郎(ただ けいいちろう) 編著

初版 A5判 並製 224頁 2024年11月10日発行

ISBN9784787826725

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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乳がん診療をはじめよう! 一見複雑な乳がん診療も,確固たる土台を築くことができれば,その後はスイスイ理解できる.乳がん診療の概観を短期間に習得し,しっかりとした土台を築くための入門書.疫学~診断~治療~再発予防を過不足なく網羅しながらも,一人の著者による整合性ある記述だから臨床での思考過程を理解できる.エキスパートがやさしく教える最新知識と実践テクニック.成書を読む前の1冊としてご活用ください!!

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目次

まえがき
著者プロフィール
略語一覧

CHAPTER I 疫学
 01 罹患数
 02 死亡数
 03 リスクファクター
  ▶女性ホルモン
  ▶遺伝
  ▶その他
 Column 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)

CHAPTER II 診断
 01 乳腺診療の基本
 02 視触診
  ▶腫瘤の評価と記載
  ▶腋窩の触診
 03 マンモグラフィ
  ▶撮影手順
  ▶読影
 04 乳房超音波検査
  ▶読影
  ▶注意点
 05 造影乳房MRI検査
  ▶意義
  ▶注意点
 06 画像所見から推測する組織型
  ▶非浸潤性乳管がん
  ▶浸潤性乳管がん(腺管形成型)
  ▶浸潤性乳管がん(充実型)
  ▶浸潤性乳管がん(硬性型)
  ▶浸潤性乳管がん(その他)
  ▶粘液がん
  ▶浸潤性小葉がん
  ▶線維腺腫
  ▶葉状腫瘍
  ▶囊胞
  ▶乳管内乳頭腫
 Column 乳頭分泌
 Column パジェット病
 Column 検診
 07 針生検
  ▶種類と選択
  ▶画像ガイド下生検
  ▶超音波ガイド下針生検の実際
  ▶病変の位置による難易度の違い
  ▶合併症
 08 外科的生検(切除生検)
 Column 乳がんを見落とさずに生検するには?
 Column 針生検で乳がんと診断されない乳がんもある

CHAPTER III 治療戦略
 01 ステージ(病期)
  ▶ステージの評価
 02 サブタイプ(悪性度)
  ▶サブタイプの分類
 03 術前化学療法
  ▶メリット
  ▶デメリット
  ▶適応と注意点
 Column 炎症性乳がん
 Column サブタイプ分類の由来
 Column 治療前に配慮するべきこと

CHAPTER IV 手術
 01 術式の分類と選択
  ▶術式の分類
  ▶術式の選択
 02 乳房再建
  ▶タイミング
  ▶材料
  ▶術式
  ▶乳頭・乳輪の形成
 Column 乳がん手術を理解するための歴史的背景
 Column 乳房温存療法における乳房部分切除術
 Column 乳房全切除術
 Column 意外に注意が必要な乳房全切除術の切除断端
 Column センチネルリンパ節生検
 Column 腋窩リンパ節郭清術
 Column 忘れられたリンパ節―胸骨傍リンパ節,筋間リンパ節
 Column 腋窩リンパ節郭清術に治療的意義はあるか?

CHAPTER V 術後ホルモン療法
 01 治療効果と適応
 02 ホルモン療法の実際
  ▶閉経後乳がん患者
  ▶閉経前乳がん患者
  ▶閉経前再発高リスク乳がん患者
 03 副作用
  ▶タモキシフェン
  ▶LH-RHアゴニスト製剤
  ▶アロマターゼ阻害薬(AI)

CHAPTER VI 術前術後化学療法
 01 適応の決め方
  ▶安全に施行できる体力があるか?
  ▶十分な治療効果を得られるか?
 02 治療方針を決定する手術病理結果の8つの因子
  ▶手術病理結果の8つの因子
  ▶化学療法施行の可否の決定
 Column 脈管侵襲
 Column luminal Aタイプとluminal Bタイプ
 03 ER陽性HER2陰性乳がんで治療方針の決定に難渋した場合
  ▶コンポジットリスク
  ▶プレディクト
  ▶オンコタイプDX乳がん再発スコア®
  ▶ER陽性HER2陰性乳がんにおけるホルモン療法
 04 化学療法の実際
  ▶AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)
  ▶パクリタキセル療法
  ▶ドセタキセル療法
  ▶TC療法(ドセタキセル+シクロホスファミド)
  ▶dose-dense AC療法
  ▶CMF療法(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)
  ▶トラスツズマブ+ペルツズマブ療法
  ▶TCH療法(ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ)
  ▶アベマシクリブ
  ▶TS-1
  ▶ペムブロリズマブとカルボプラチン
  ▶トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)療法
  ▶カペシタビン
  ▶オラパリブ
 Column 副作用の表現法
 Column 相対用量強度(RDI)

CHAPTER VII 術後放射線療法
 01 乳房温存療法における放射線療法
  ▶標準的照射法(通常分割照射法)
  ▶追加照射(ブースト照射)
  ▶短期照射法(寡分割照射法)
 02 センチネルリンパ節転移陽性例に対する放射線療法
  ▶腋窩リンパ節郭清術の代用としての放射線療法
 03 生存率改善のための放射線療法
  ▶生存率改善効果
  ▶放射線照射部位
 04 鎖骨上リンパ節転移例に対する放射線療法
 05 放射線療法の有害事象
  ▶合併症
  ▶乳房再建における放射線療法
 Column 重要なのは局所療法か? 全身療法か?
 Column 局所療法のエビデンス

CHAPTER VIII 転移・再発乳がん
 01 概論
  ▶「転移・再発乳がん」とは?
  ▶治療の主たる目的
  ▶遠隔転移の有無の確定診断
 02 転移臓器別の治療
  ▶骨転移
  ▶胸水貯留
  ▶脳転移
 03 薬物療法の方針と管理
  ▶❶ 緊急性の確認
  ▶❷ パフォーマンスステータス(PS)による評価
  ▶❸ サブタイプと治療歴の評価
  ▶❹ 脱毛に対する忍容性の確認
  ▶薬物療法の決定
  ▶薬物療法の管理
 04 主な治療薬
  ▶各種のホルモン剤
  ▶CDK4/6阻害薬―パルボシクリブ,アベマシクリブ
  ▶経口5-FU系抗がん剤―カペシタビン,TS-1
  ▶ビノレルビン
  ▶エリブリン
  ▶ナブパクリタキセル,パクリタキセル,ドセタキセル
  ▶アンスラサイクリン系抗がん剤
  ▶トラスツズマブ
  ▶ペルツズマブ
  ▶トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)(カドサイラ®)
  ▶トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)(エンハーツ®)
  ▶ラパチニブ
  ▶オラパリブ(リムパーザ®)
  ▶ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
  ▶アテゾリズマブ(テセントリク®)
  ▶カピバセルチブ(トルカプ®)
  ▶各サブタイプで選択可能な化学療法
 Column がんの不均一性(tumor heterogeneity)
 Column 腫瘍救急(oncogenic emergency)
 Column Hortobagyiのアルゴリズム

CHAPTER IX 薬物療法ダイジェスト
 01 ホルモン療法
 02 術前術後の点滴による化学療法
  ▶化学療法における留意事項
  ▶AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)
  ▶dose-dense AC 療法
  ▶パクリタキセル療法
  ▶ドセタキセル療法
  ▶TC療法(ドセタキセル+シクロホスファミド)
  ▶ペルツズマブ+トラスツズマブ+パクリタキセル療法
  ▶TCH療法(ドセタキセル+カルボプラチン+トラスツズマブ)
  ▶ペムブロリズマブ
  ▶クラシカルCMF療法
 03 術前術後の経口による化学療法
  ▶TS-1
  ▶オラパリブ
  ▶アベマシクリブ
 04 転移・再発乳がんの点滴による化学療法
  ▶エリブリン療法
  ▶ナベルビン®療法
  ▶ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル療法
  ▶トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)療法
  ▶トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)療法
  ▶AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)
  ▶パクリタキセル週1回投与療法
  ▶ドセタキセル療法
  ▶ナブパクリタキセル療法
  ▶アテゾリズマブ療法
  ▶ペムブロリズマブ+ゲムシタビン+カルボプラチン療法
  ▶ベバシズマブ療法
 05 転移・再発乳がんの経口による化学療法
  ▶TS-1
  ▶カペシタビン
  ▶ラパチニブ+カペシタビン療法
  ▶ラパチニブ+アロマターゼ阻害薬(AI)療法
  ▶カペシタビン+シクロホスファミド療法
  ▶オラパリブ
  ▶イブランス
  ▶アベマシクリブ
  ▶エベロリムス

CHAPTER X 非専門医から多く寄せられる質問と回答
 01 治療までの待機時間はどのくらい許されるのか?
 02 放射線療法と化学療法のどちらを先に実施すべきか?
 03 がん遺伝子パネル検査とは?
 04 晩期再発とは?
 05 オリゴメタとは?
 06 術後の経過観察の方法は?
 07 乳腺病理診断書を読むときに配慮することは?
 08 患者の経済的負担への対応は?

あとがき
和文索引
欧文・数字索引

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序文

まえがき 

日本人女性の9人に1人が乳がんに罹患するといわれる.また,乳がんには40代から50代の若い患者が多いという特徴がある.治療成績は一般的には良好であるが,時に致死的な転機をたどる.医療者として,この厄介な疾患と対峙していくためには,多方面からのアプローチが必要である.その第一歩は,より多くの人々にこの疾患について適切に理解してもらうことであろう.
乳がん診療の領域は広範に及ぶ.かつ,多くの知見が日々蓄積されている.したがって,その内容は非常に多岐にわたる.そして,乳がん領域全般に関する優れた成書はすでに数多く出版されている.しかし,それらの医学書は乳がん診療という広範な学問領域を正確に記載するためにどうしても項目数が増え,分担執筆の形をとらざるえない.私は常々「初学者には少々とっつきにくいのではないか?」と感じていた.
そこで今回,これから乳がん診療を学ぼうとする医療者に向けて,その概観を短期間に把握し,しっかりとした土台を作るための入門書を執筆することにした.一見複雑にみえる乳がん診療であっても,確固たる土台を築くことさえできれば,その後はより多くのことをスイスイと理解できるようになる.乳がん診療は実にシンプルなのである.
本書は関心のあるところから読み始めてもよいが,一定の医学的素養を備えた読者であれば,「CHAPTER III 治療戦略」を通読してから先に進むとより理解しやすいのではないかと思う.本書を理解したら,次はいよいよ成書を熟読し,より専門的な知識を身に付けていただきたい.
本書をきっかけに乳がん診療に興味をもち,共に診療に従事してくれる仲間が増えれば,筆者としてとして望外の喜びである.

2024年,盛夏の東京・板橋にて
多田敬一郎