新生児から成人期までに発症する特発性血栓症(EOT:early-onset thrombophilia)の診療ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:新生児から成人期までに発症する特発性血栓症(EOT:early-onset thrombophilia)の診療ガイド
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班 編集
九州大学大学院医学研究院成長発達医学
大賀 正一(おおが しょういち) 責任編集
初版 B5判 並製 56頁 2024年04月12日発行
ISBN9784787826732
定価:4,180円(本体価格3,800円+税)冊
胎児期から新生児期,思春期を経て若年女性に発症する特発性血栓症の診療に携わる医療従事者向けの包括的診療ガイド.厚労省血液凝固異常症等に関する研究班,日本産婦人科・新生児血液学会,ならびに一般社団法人 日本小児血液・がん学会の編集・協力で,子どもと家族を血栓症から守る治療管理を提供をするためのクエスチョンを設定し,国内外の文献や診療ガイドライン等を参考に回答する形式でエキスパートオピニオンをまとめた.
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目次
初版の発行に寄せて 森下英理子,大賀正一
作成組織
スコープ 大賀正一
略語一覧
用語の取り扱い
BQ1 新生児から成人期までの止血血栓機構の特徴とその生理学的な変化は?
1)胎児期~新生児期の特徴と変化 西久保敏也
2)乳幼児期~思春期~成人期の特徴と変化 武山雅博,野上恵嗣
BQ2 新生児から成人期までの塞栓症と血栓症(embolism and thrombosis:ET)に関連する素因と環境要因は?
1)胎児~新生児期の素因 渡部貴秀,落合正行
2)乳幼児期~思春期~成人期の素因 江口克秀,石村匡崇
3)循環器疾患をもつ新生児から成人にかけてのETリスク 山村健一郎
4)若年女性のETリスク 横田奈津子,加藤聖子
BQ3-1 EOTの特徴的な症状は?
1)胎児期~新生児期の特徴的な症状 江上直樹,落合正行
2)乳幼児期~思春期~成人期の特徴的な症状 園田素史,石村匡崇
3)循環器疾患合併例における特徴的な症状 山村健一郎
4)若年女性の特徴的な症状 横田奈津子,加藤聖子
BQ3-2 EOT それぞれの頻度と発症時期は?
1)胎児期~新生児期の頻度と発症時期 江上直樹,落合正行
2)乳幼児期~思春期~成人期の頻度と発症時期 園田素史,石村匡崇
3)循環器疾患合併例における頻度と発症時期 山村健一郎
4)若年女性の頻度と発症時期 横田奈津子,加藤聖子
BQ3-3 EOTそれぞれの合併症と予後は?
1)胎児期~新生児期の合併症と予後 江上直樹,落合正行
2)乳幼児期~思春期~成人期の合併症と予後 園田素史,石村匡崇
3)循環器疾患合併例の合併症と予後 山村健一郎
4)若年女性の合併症と予後 横田奈津子,加藤聖子
5)遺伝性血栓症(ホモ接合性,複合ヘテロ接合性病的バリアント保有例)の合併症と予後 末延聡一
BQ4 ETを疑ったときに必要な臨床検査は?
1)新生児期以前に行う画像検査 安岡和昭,落合正行
2)乳幼児期以降に行う画像検査 足立俊一,石村匡崇
3)心臓超音波検査 山村健一郎
4)血液凝固機能検査一般 松本信也,堀田多恵子,内海 健
5)新生児期以前に行う血液検査 西久保敏也
6)乳幼児期以降に行う血液検査 古川晶子,野上恵嗣
BQ5 遺伝子検査の適応とその時期は?
1)胎児期~新生児期の適応 市山正子,落合正行
2)乳幼児期~思春期~成人期の適応 木下恵志郎,石村匡崇
3)遺伝子パネル検査 落合正行
BQ6 新生児から成人期までのETの治療戦略は?
1)胎児~新生児期の急性期・回復期(遺伝性と非遺伝性に分けて) 江上直樹,落合正行
2)乳児期~小児期の急性期・回復期(遺伝性と非遺伝性に分けて) 矢田裕太郎,石村匡崇
3)思春期~成人期の急性期・回復期(遺伝性と非遺伝性に分けて) 角田治美
トピックス:乳児期~小児期の予防 本田 護,康 勝好
トピックス:思春期~成人期の予防 日野もえ子
トピックス:特異的因子補充療法 池田勇八,多賀 崇
トピックス:直接作用型経口抗凝固薬(DOAC) 矢田裕太郎,石村匡崇
トピックス:遺伝子治療 大森 司
トピックス:肝移植,細胞療法 石黒 精
BQ7 遺伝性血栓症発端者の望ましい血液凝固モニタリングは?
1)胎児期~新生児期のモニタリング 西久保敏也
2)乳幼児期~思春期~成人期のモニタリング 荻原健一,野上恵嗣
トピックス:一般検査 原田頌隆,石村匡崇
トピックス:心臓超音波検査 山村健一郎
BQ8 遺伝性血栓症発端者の日常生活での注意点は? 矢田裕太郎,石村匡崇
BQ9 遺伝性血栓症の未発症病的バリアント保有者の日常生活での注意点は? 足立俊一,石村匡崇
BQ10 遺伝カウンセリングで共有すべき情報は?
1)バリアントのアノテーション(注釈付け) 木下恵志郎,石村匡崇
2)機能解析 松本信也,堀田多恵子,内海 健
3)遺伝カウンセリング 木村 緑,落合正行
文 献
索 引
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序文
初版の発行に寄せて
「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班」は,エビデンスに基づいた診断基準・重症度分類・診療ガイドライン等の確立や改正,および普及などを行うことを目的に,領域別基盤研究分野「血液系分野」のうち,止血異常や血栓症を対象に難治性疾患政策研究を行ってまいりました.対象疾患は血液凝固異常等が主な病態となる指定難病―特発性血小板減少性紫斑病(ITP),血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),特発性血栓症(遺伝性血栓性素因によるものに限る),ならびにTTP と病態が類似している腎疾患の指定難病―非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)です.
特発性血栓症グループは遺伝性血栓性素因の病態解析と診断法の開発,ならびに小児期から成人期発症患者すべてを対象とする包括的診療ガイドラインを作成することにより,特発性血栓症の予防,遺伝性血栓性素因をもつ重症患者の予後改善を目的に研究を進めております.2019年度に新生児血栓症と遺伝性血栓性素因患者の妊娠分娩管理に関する全国調査,2020年度に遺伝性血栓性素因による特発性血栓症の疫学研究(一次調査),2021年度に二次調査を行い,疫学・治療実態の把握を行いながら診断基準の啓発とその浸透を確認してまいりました.また「遺伝性血栓性素因患者の妊娠分娩管理に関する診療の手引きQ&A」を作成致しました.
「新生児から成人期までに発症する特発性血栓症 (EOT:early-onset thrombophilia) の診療ガイド」は,包括的診療ガイドの一環として胎児期から新生児期,思春期を経て若年女性へとつながる医療従事者向けの特発性血栓症の診療指針です.指定難病患者のQOL改善と情報提供に貢献できれば幸甚です.最後に国内外の文献や診療ガイドライン等を参考に,エキスパートオピニオンを取りまとめいただいた執筆者,ならびに特発性血栓症のレジストリー構築にご協力いただきました全国の医療従事者の皆様に深謝申し上げます.
2024年3月吉日
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業
血液凝固異常症等に関する研究班
研究代表 森下英理子
新生児・小児領域担当 大賀正一