雑誌『診断と治療』の好評連載「心電図は1枚の窓」がさらにパワーアップして書籍化!
臨床現場の最前線で活躍するエキスパートが厳選した心電図判読の24症例をQ&A方式で読み解くことで、実践力が身につく1冊.書籍化に伴い,心電図の基礎知識を解説した総論や診療のエッセンスがつまったワンポイントアドバイス,気分転換に最適なコラムを新たに追加している.この1冊で心電図判読のスキルアップまちがいなし!
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目次
カラー口絵
序文 筒井 健太
執筆者一覧
第1章 総論
心電図判読で正常と異常を見分けるためのガイド 筒井 健太
第2章 ケーススタディ
1 動悸を主訴に受診した22歳男性 村川 裕二
2 失神発作を主訴にして受診した46歳男性 篠原 徹二
3 胸部不快感を主訴にER搬入となった70代女性 築島 直紀
4 偶然発見された無症候性の頻拍 安喰 恒輔
5 動悸と息ぎれを主訴に紹介された82歳男性 平位 有恒
6 労作時の胸苦しさを主訴に受診した70代女性 金森 健太
7 動悸を主訴に受診した40歳女性 秋吉 基光,加藤 信孝
8 心室細動で救急搬送となった20代男性 二宮 雄一
9 術前の心電図にてBrugada型心電図を指摘された32歳男性 荷見映理子
10 胸痛を主訴に受診した52歳男性 中村健太郎
11 初発心不全の際に持続性頻脈を呈した44歳女性 中村 玲奈
12 眼前暗黒感を主訴に受診した74歳男性 藤野 紀之
13 労作時の呼吸苦と体重増加を主訴に来院した77歳男性 西山 信大
14 ペースメーカを回避した徐脈頻脈症候群の78歳男性 筒井 健太
15 早朝に意識消失発作を起こした50歳男性 江里 正弘
16 頻拍発作に対してシベンゾリン内服後症状の悪化をきたした70代女性 岡松 秀治
17 胸部不快感を主訴に受診した75歳男性 林 秀樹
18 繰り返す失神を主訴に受診した35歳男性 松浦 朋美
19 洞不全症候群および陳旧性心筋梗塞の既往がある76歳男性 湯澤ひとみ
20 心房細動に対するカテーテルアブレーション治療後の動悸 折田 義也
21 ST上昇を指摘され受診した72歳男性 永井 啓行
22 失神を主訴に受診した86歳男性 吉賀 康裕
23 胸痛,息切れと頻脈を認め来院した68歳男性 前田 真吾
24 様々なQRS波形を呈した72歳女性 深江 学芸
索引
Column
期外収縮と患者の不安:薬を使わない選択の伝え方 筒井 健太
心室頻拍の治療 筒井 健太
心電図ではみえない洞房結節・房室結節の活動 筒井 健太
洞房結節内部に広がる未知の世界 筒井 健太
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序文
心電図は,単なる診断ツールにとどまらず,治療方針を決定するうえでも不可欠な役割を果たしている.しかし,日々の臨床現場においては,心電図を正確に読み解き,適切な意思決定を行うために広範な知識と経験が求められる.教科書や医学論文に記載されているような所見,診断基準を機械的に暗記しあてはめるだけでは対応しきれないような微妙なケースも多い.そのため,心電図の学習と習熟は「生きた」プロセスであり,心臓の電気生理学や疾患に関する理解がすすむにつれて,常に最新の知識の獲得が必要である.
本書は,心電図の基礎知識を解説する総論と,実際の心電図を使用した24の症例解説を含むケーススタディから構成されている.これらの症例は,月刊誌「診断と治療」の連載「心電図は1枚の窓」として掲載され,現場の最前線で活躍するエキスパートたちによって執筆された.いまの空気感がよく反映されているように思う.彼ら・彼女らの経験を通じて,読者は心電図1枚から患者の状態をより正確に読み取る力を養うことができるだろう.書籍化にあたり,筆者の先生方に診療のエッセンスをワンポイントアドバイスとして追加・加筆していただいた.また,ケーススタディを読みすすめるなかで気分転換になればと思い,4編のコラムを加筆した.気軽に読んでいただけたら幸いである.
この本を手に取ってくださったすべての読者が,臨床能力を高め,より多くの患者さんに適切な診断と治療を提供できるよう,一緒に学んでいければと願う.共著者である先生方,私を編者として推薦してくれた恩師・村川裕二先生,帝京大学医学部附属病院の仲間たち,そして日々の生活を支えてくれる家族に,心からの感謝を表したい.
2024年10月
帝京大学医学部附属病院循環器内科
筒井 健太