診断と治療
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2020年 Vol.108 No.1 2020-01-09
ここまで明らかになった小腸疾患

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 今枝博之
◆小腸へのアプローチ
小腸の機能 内山和彦,他
小腸疾患を疑った場合の問診,身体診察,検査の進め方 生野浩和,他
◆小腸の検査方法
CT 勝木伸一,他
カプセル内視鏡 細江直樹,他
バルーン内視鏡 関谷万理子,他
小腸X線造影検査 江﨑幹宏
MRIを用いた小腸疾患の診断:Crohn病を中心に 竹中健人,他
◆小腸の各疾患
腫瘍性病変 岡 志郎,他
血管性病変 澤田つな騎,他
NSAIDs起因性小腸粘膜傷害 半田有紀子,他
憩室性疾患:Meckel憩室を中心に 星本相理,他
感染性疾患 清水誠治,他
Crohn病,腸管Behçet病:小腸病変を中心に 三浦みき,他
SLCO2A1関連腸症(CEAS) 松本主之
吸収不良症候群・蛋白漏出性胃腸症 穂苅量太
腸内細菌と小腸疾患 安藤 朗,他
その他の小腸疾患 大森鉄平,他
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
急性の頭痛,意識障害,悪寒戦慄で来院した82歳男性 鈴木貴之
◎注目の新薬
イノラス®配合経腸用液 丸山道生
◎医療裁判の現場から
左手の蜂窩織炎との診断で加療されていた65歳男性が壊死性筋膜炎となり,対応の遅れのため左上肢全体の機能廃絶に至ったと主張して紛争となった事例 笹山桂一
これまで暗黒大陸といわれていた小腸は,CT,MR,小腸透視に加えて,2000年にカプセル内視鏡,2003年にバルーン内視鏡が登場したことにより,さまざまな疾患が明らかとなりました.診断のみならず,内視鏡治療も可能となり,小腸疾患診療にパラダイムシフトがもたらされました.2015年には日本消化器内視鏡学会より「小腸内視鏡診療ガイドライン」が作成され,小腸疾患へのアプローチや各疾患における診療指針が明らかとなりました.
また,腸内細菌とさまざまな疾患との関連の話題や,小腸での作動薬の登場,小腸粘膜免疫機構の解明,NSAIDs起因性小腸粘膜傷害の増大などにより,小腸がよりいっそう脚光を浴びるようになりました.さらにはこれまで非特異性多発性小腸潰瘍症と診断されていた疾患の原因遺伝子としてSLCO2A1が同定され,SLCO2A1関連腸症(CEAS)と新たな名称が提唱されました.しかし,小腸への内視鏡アプローチはまだ容易とは言えませんが,今後新たな小腸内視鏡の登場やカプセル内視鏡の人工知能を用いた自動診断ツールの臨床現場への応用が待たれるところです.
本特集では,小腸の機能,診断アプローチから,各種の検査方法,各小腸疾患の診断や治療について,小腸分野のトップランナーの専門の先生がたに,症例をまじえてわかりやすく解説していただきました.本特集が諸先生がたの明日からの日常診療の一助になりましたら幸いに存じます.
埼玉医科大学消化管内科
今枝博之