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2020年 Vol.108 No.3 2020-03-06
フレイルとその予防対策

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 小川純人
◆総論:フレイルの基礎知識
フレイルをめぐる政策 安部一真
フレイルの疫学 幸 篤武,他
フレイルと低栄養 木下かほり,他
フレイルとロコモ・サルコペニア 吉村典子
◆トピックス:フレイルの病態と新たな知見
フレイルと自律神経機能 柴崎孝二
フレイルと口腔機能:オーラルフレイルの視点から 平野浩彦
フレイルと脾虚・腎虚について 竹内麻里子,他
フレイルと百寿者 新井康通
フレイルとテクノロジーの動向と展望 浜田 哲
フレイルと運動療法 島田裕之
フレイルと栄養療法 若林秀隆
◆各論:高齢者疾患診療におけるフレイルの意義
糖尿病診療におけるフレイルの意義 荒木 厚
循環器病診療におけるフレイルの意義 杉本 研,他
慢性腎臓病診療におけるフレイルの意義 永田総一朗,他
認知症診療におけるフレイルの意義 神﨑恒一
COPD診療におけるフレイルの意義 千田一嘉
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
菌血症治療中に出現した腹痛を訴えた65歳男性 徳増一樹,他
◎注目の新薬
ビンダケル®(タファミジスメグルミン) 田原宣広,他
◎医療裁判の現場から
個別検診方式による胃がん検診において,見落としの過失は否定されたものの,検査結果の通知が遅れたことについて慰謝料請求が認められた事例 笠間哲史
超高齢社会を迎えたわが国において,健康寿命の更なる延伸ならびに平均寿命と健康寿命の差をいかに短縮するかが大きな目標となっている.こうした目標に向けて,高齢者の介護予防や疾患対策に向けた包括的,全人的な取り組みが進むなか,身体・認知機能低下やフレイルに対する予防・介入・ケアなどの対策は,高齢者の生命予後やADL,QOLに及ぼす影響が大きいことからも一層重要となってきている.
フレイルについては,生活機能障害や要介護状態につながる要因と位置づけられており,またフレイルにおいて身体的・心理的・社会的側面が相互に関連している点や,効果的な介入方法,さらには生活習慣病・認知症・ロコモティブシンドローム・サルコペニアをはじめとする高齢者の疾患や病態との関連性についても関心が集まってきている.また,全国の自治体広域連合が実施する後期高齢者に対する健診において,今年度よりフレイルを念頭においた新たな高齢者向けの健診質問票(15項目)が用いられることとなり,それによってフレイルの高齢者を早期に把握し,細かな対策が講じられる流れができてきている.
こうしたなか,本特集では「フレイルとその予防対策」と題して,総論「フレイルの基礎知識」,トピックス「フレイルの病態と新たな知見」,各論「高齢者疾患診療におけるフレイルの意義」という3部から構成され,フレイルに関する理解が一層深まり,臨床現場や研究環境において本特集内容が活用されることを目指している.その際,各分野におけるエキスパートの先生方から,最新の知見や研究成果,国内外の動向,将来展望を含めてわかりやすく解説,紹介いただいた.本特集を通じて,高齢者医療やケアに従事する多くの医療従事者や臨床・基礎研究や研究者の方々のフレイルに対する理解が一層深まり,効果的なフレイル対策の実践やフレイルに配慮した高齢者疾患・老年症候群の管理につながることを期待する.
東京大学大学院医学系研究科老年病学
小川純人