診断と治療
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2020年 Vol.108 No.9 2020-09-08
コモンディジーズとしての骨粗鬆症診療

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 小川純人
◆総論:骨粗鬆症の基礎知識
骨粗鬆症の概念と診断 竹内靖博
骨粗鬆症の疫学 玉置淳子
骨粗鬆症の啓発・検診 中藤真一
FRAX®による骨折リスク評価とスクリーニングへの応用 山本憲男,他
骨粗鬆症とリエゾンサービス 鈴木敦詞,他
骨粗鬆症と医療経済 森脇健介
◆トピックス:骨粗鬆症の新たな知見と生活指導
骨粗鬆症と生活習慣病 金沢一平
ステロイド性骨粗鬆症 田中良哉
骨粗鬆症の薬物治療と骨代謝マーカー 三浦雅一,他
骨粗鬆症に対する運動療法 石橋英明
骨粗鬆症に対する栄養療法 上西一弘
◆各論:骨粗鬆症に対する薬物治療とその実際
骨粗鬆症に対する薬物療法の考え方 宗圓 聰
活性型ビタミンD3製剤とその誘導体 遠藤逸朗
ビスホスホネート製剤 萩野 浩
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) 寺内公一
抗RANKL抗体製剤 大野久美子,他
副甲状腺ホルモン製剤 宮腰尚久
抗スクレロスチン抗体製剤 松本俊夫
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
左下肢のむくみ,痛みを感じるようになった74歳男性 原田侑典
◎注目の新薬
ユリス®(ドチヌラド) 久留一郎
◎医療裁判の現場から
肺炎及び膿胸の患者に対する胸腔ドレナージをめぐって 松村武志
総 説
重症低血糖の病態と新規治療―点鼻グルカゴンを中心に― 松久宗英,他
超高齢社会を迎えたわが国において,骨粗鬆症の予防や治療対策は介護予防や健康寿命の延伸を目指す観点からもますます重要な課題となっている.高齢者においては,フレイルやサルコペニアを含む様々な要因によって転倒リスクの増大や骨強度低下を認めることが少なくなく,加齢に伴う骨折リスクの増大にもつながってくる.最近では,骨粗鬆症の病態における臓器相関の意義が次第に明らかになりつつある中,骨粗鬆症と生活習慣病・動脈硬化性疾患との間にも共通した病因・病態が理解されるようになってきており,『生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド』が2019年版として8年ぶりに改訂されるに至っている.
日常診療の現場においても,骨粗鬆症性骨折に関するリスク因子の同定や,新たな骨代謝マーカーの登場,新しい骨粗鬆症治療薬の保険適用,骨粗鬆症検診の推進等により,骨粗鬆症診療の幅が広がり,骨粗鬆症の予防・診断・治療に対する期待や可能性が広がってきている.さらにまた,骨粗鬆症診療に際しては,続発性骨粗鬆症の鑑別をはじめ,その病態や背景疾患を十分考慮した上で,食事・運動指導を含めた生活指導や包括的診療を実践することが大切であり,骨粗鬆症リエゾンサービスなどの多職種協働やその役割も一層重要になってきている.
本特集では「骨粗鬆症の基礎知識」「骨粗鬆症の新たな知見と生活指導」「骨粗鬆症に対する薬物治療とその実際」の章を設け,骨粗鬆症診療や研究に従事する幅広い方々を対象に,各分野のエキスパートの先生方から最新の知見・トピックスや研究成果・将来展望を交えてわかりやすく解説,紹介いただいた.本特集によって,骨粗鬆症を日常診療におけるコモンディジーズとしてとらえる契機となり,骨粗鬆症・骨折のリスク評価やその予防・診断・治療アプローチついて一層理解を深めることができ,ひいては最新知見に基づく骨粗鬆症診療の実践や更なる研究につながれば幸いである.
東京大学大学院医学系研究科老年病学
小川純人