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2020年 Vol.108 No.増刊号 2020-03-24
必修エコー 体表から“せまる”全身エコーのアプローチ法

定価:9,350円(本体価格8,500円+税)
巻頭言/森 秀明
Ⅰ 必修エコー入門 エコーの基本的知識
1.超音波の基本事項/秋田紀子
2.超音波のアーチファクト/長沼裕子,他
3.ドプラ法の理論と実践/多田明良,他
4.造影超音波検査/麻生和信
5.エラストグラフィ/斎藤 聡
6.エコーレポートの読み方・書き方/西川かおり
Ⅱ 必修エコー 次のステップ 超音波検査の資格認定
1.医師の認定
日本超音波医学会認定専門医制度について/北野雅之
2.技師の認定①
日本超音波医学会認定超音波検査士制度と超音波指導検査士制度について/森 秀明
3.技師の認定②
日本心エコー図学会認定専門技師制度について/戸出浩之
Ⅲ 全身エコーのアプローチ法
消化器領域
1.肝臓/松本直樹
2.胆道(胆囊,胆管)/西川 徹,他
3.膵臓/大野栄三郎,他
4.脾臓/若杉 聡
5.消化管/眞部紀明,他
循環器領域
1.循環器(心臓)の解剖/原田昌彦
2.心臓超音波像と基本走査/原田昌彦
3.代表的な心疾患/坂田好美
血管領域
1.大血管/松尾 汎,他
2.頸動脈/濱口浩敏
3.下肢動脈/金田 智
4.下肢静脈/金田 智
泌尿器領域
1.腎/齊藤弥穂
2.膀胱/皆川倫範
3.前立腺/山本徳則
4.陰囊(精巣・精巣上体)/内藤泰行,他
5.副腎・後腹膜/千葉 裕
女性領域
1.女性生殖器/市塚清健
2.産科/谷垣伸治,他
3.婦人科/加地 剛
4.乳腺/位藤俊一,他
頸部領域
1.甲状腺/村上 司
2.副甲状腺/坂上聡志,他
3.唾液腺/古川まどか
4.リンパ節(頸部・その他)/尾本きよか
小児科領域
1.小児の腹部超音波検査の実際
―スクリーニングのポイント―/内田正志,他
2.代表的な小児科疾患/富所由佳,他
皮膚科・運動器領域
1.皮膚科/松山かなこ,他
2.運動器/石崎一穂
救急領域
1.救急現場における超音波活用の極意
―FASTからPOCUSへ―/亀田 徹
2.代表的な救急疾患/太田智行
携帯超音波検査
1.携帯超音波装置の活用/石田秀明,他
2.在宅,往診などでの用いられ方/白石吉彦
これからのエコー 取得をめざしたい技術
1.超音波ガイド下生検およびドレナージ/荒井保典
2.超音波ガイド下中心静脈穿刺「術」/岡野 弘,他
索引
超音波検査は非侵襲的な検査であり,リアルタイムに画像が得られ,結果がその場で判定できることが最大の利点である.また現在では全身の臓器が対象になっており,スクリーニングから救急医療の現場まで各診療科で第1選択となる検査法として位置づけられている.このため超音波検査に携わる医師や技師は多いが,誰でも行えるのと誰もが正しい診断ができるのとは異なっているのが現状である.不慣れな検者が超音波検査を行うことにより病変を見落としてしまい,かえって最終診断にたどり着くのに遠回りになってしまったり,必要もないのにCT検査やMRI検査,内視鏡検査などを施行することになることも時にみられる.また近年,カラードプラ法やエラストグラフィをはじめとする装置の進歩や超音波造影剤の開発などにより,超音波検査の役割はスクリーニングのみならず精査の面からも有用な検査法になっている.
今回の特集では,超音波の基本事項,各臓器の超音波解剖,基本となる走査法と正常画像,現在の医療現場において各領域でどのような疾患に対して超音波検査が活用されているかを中心に解説していただいた.
具体的には今回の特集は3つの章からなり,I章の「必修エコー入門」では超音波検査を施行するにあたり知っておきたい基本的知識として,まず超音波の原理や鮮明な画像を得るための超音波診断装置の設定法,走査法,超音波に特有なBモードとドプラ法のアーチファクトの解説をお願いした.また超音波検査において血流を観察する方法にはドプラ検査と造影超音波検査があるが,ドプラ検査においては各種ドプラ検査の特徴や超音波診断装置の調整法,造影超音波検査においては超音波造影剤の特徴と造影剤投与後の観察すべき時相および適応疾患を中心に解説していただいた.また近年,保険適応になった非侵襲的な肝硬度測定法であるエラストグラフィに関しては,概念とともに適応疾患と結果の判定法について解説していただいた.さらに超音波検査に携わった術者が報告を行うためには,正しい用語を用いてレポートを作成する必要がある.依頼医に正確で詳細な報告を行うためにはどのような点に注意してレポートを作成すべきかについても説明していただいた.
II章の「必修エコー 次のステップ」では超音波検査に携わる医師の認定制度として日本超音波医学会認定超音波専門医制度,技師の認定制度として日本超音波医学会認定超音波検査士制度と超音波指導検査士制度,日本心エコー図学会認定専門技師制度について,各制度の概略や受験資格などを担当している委員の先生方から解説していただいた.
III章の「全身エコーのアプローチ法」では消化器領域,循環器領域,血管領域,泌尿器領域,女性領域,頸部領域,小児科領域,皮膚科・運動器領域の各領域の解剖,正常超音波像,基本走査法,代表的な疾患の超音波所見を中心に解説していただいた.さらに救急領域としてFASTとPOCUSの概念と代表的な救急領域の疾患の解説をお願いした.また携帯超音波検査に関しては一般外来や救急外来,在宅・往診での活用法につき解説していただいた.
特集の最後には取得をめざしたい技術として超音波ガイド下生検およびドレナージ術と超音波ガイド下中心静脈穿刺術の手技とポイントにつき解説していただいた.
わが国の医療現場の第一線でご活躍中の先生方が執筆された今回の特集号の各論文を拝見すると,改めて超音波検査が日常臨床の場で必要不可欠な検査法であること,患者さんの診断や治療にきわめて有用であることが認識された.「必修エコー」と題した今回の特集はすでに超音波検査に携わっている医師や技師の方々のみならず,これから超音波検査を習得しようとしている方々にとっても,大変有意義な企画であると思われる.今回の企画にご賛同頂き,ご多忙な中,執筆して頂いた諸先生方に御礼を申しあげる次第である.
杏林大学医学部消化器内科学
森 秀明