産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2020年 Vol.87 No.5 2020-04-17
妊娠糖尿病の理解を深めよう

定価:3,190円(本体価格2,900円+税)
企画 田中 守
1.妊娠糖尿病診断・治療の歴史と未来 / 平松祐司
2.妊娠糖尿病とガイドライン / 板倉敦夫
3.アジア各国での妊娠糖尿病の現状 / 宮越 敬
4.わが国における妊娠糖尿病の多施設共同研究の現状 / 杉山 隆・他
5.妊娠糖尿病の標準治療 / 森川 守
6.妊娠糖尿病に対するベタメタゾン投与時の管理 / 伊藤 新・他
7.妊娠糖尿病の分娩期の管理 / 千草義継・他
8.妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の母体予後 / 和栗雅子
9.妊娠糖尿病の分娩後管理 / 安日一郎
10.妊娠糖尿病患者の子どものフォローアップ / 菊池 透
11.妊娠糖尿病患者のゲノム解析 / 春日義史
12.内科医からみた妊娠糖尿病 / 安田重光・他
13.やせ妊娠糖尿病の管理 / 柳沢慶香
14.センサーつきインスリンポンプを用いた1型糖尿病合併妊娠の管理 / 山下 洋
15.持続血糖測定を用いた血糖測定の実際 / 増山 寿・他
連載
医療裁判の現場から 第20回 医療裁判に関するQ&A
無痛・吸引分娩後に児が脳性麻痺となり3年後に死亡した事例について,分娩時の過失および過失と死亡結果との因果関係の有無について争われた事案 / 水上裕嗣・他
若手の最新研究紹介コーナー
卵巣内膜症性囊胞における薬剤抵抗性に関する新規バイオマーカーのプロテオミクスによる探索 / 渡邉百恵
来たれ! 私たちの産婦人科 第41回
日本大学医学部附属板橋病院産婦人科 / 池田悠至
症例
腟壁に発生した髄外形質細胞腫の1例 / 岡田さおり・他
妊娠合併子宮頸部大細胞神経内分泌癌の1例 / 桒原万友香・他
妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)は,妊娠中の尿糖でスクリーニングされていたものが,米国を中心に妊娠中期の50gグルコースチャレンジテストによる糖負荷試験を妊婦全員に行う方法が導入され,血糖値をターゲットとした診断・治療のプロトコルへ舵が切られた.さらに2008年に発表されたHAPO study(N Engl J Med 2008)を受けてInternational Association of Diabetes and Pregnancy Study Groups(IADPSG)が世界統一のGDMの診断基準を作成した.わが国においても日本糖尿病・妊娠学会でIADPSG診断基準に準拠した新診断基準を作成,その後,日本産科婦人科学会,日本糖尿病学会,日本糖尿病・妊娠学会で診断基準の統一化が行われ,『産婦人科診療ガイドライン産科編2017』に記載されるようになって久しい.
2020年11月には,GDMの診断基準をまとめたIADPSG学会が京都で開かれることになっている.近年は国際基準が重要視されるようになり,多くの病気が同じ診断基準で診断され,異なる地域でも同じ評価がされてきている.アジア・オセアニア産婦人科連合(AOFOG)でも活発な討議が行われている.東南アジアの国を中心に生活習慣病としての2型糖尿病を減らすために,多くの女性がはじめて病院を受診することとなる妊娠を通じて糖尿病の対策を行う動きが加速してきており,国をあげた事業となってきている.本特集号では,GDMの診断と治療に関する最新知識を確認するとともに,その後の生活習慣病への介入の第1歩として注目されているという内科的・小児科的な観点や国際的な現況,最新の治療装置について各分野のスペシャリストに解説をお願いすることとした.本特集号を手にすることで1人でも多くの産婦人科医にGDMに興味をもってもらうとともに,秋の京都での国際学会に参加し,その熱気を感じてもらいたいと考えている.
(慶應義塾大学医学部産婦人科 田中 守)