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小児科診療

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2020年 Vol.83 No.3 2020-02-13

変わりつつある免疫不全症

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)

冊 

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掲載論文

序 文  /金兼弘和

Ⅰ.免疫不全症の診断
免疫不全症の国際分類up-to-date  /山下 基・他
どのような症状をみたら免疫不全症を疑うか  /戸澤雄介・他
免疫不全症の診断に必要な検査  /村岡正裕・他
免疫不全症の遺伝子解析の現状と今後  /小原 收
免疫不全症に対する新生児マススクリーニング  /今井耕輔

Ⅱ.各論1:特徴的な免疫不全症
免疫不全症で認められる感染症の特徴  /鈴木涼子・他
非結核性抗酸菌ならびに真菌に易感染性を示す免疫不全症  /岡田 賢
免疫不全症にみられる悪性腫瘍の特徴  /笹原洋二
EBウイルスに易感染性を示す免疫不全症  /星野顕宏
血球貪食性リンパ組織球症と免疫不全症  /柴田洋史・他
自己免疫疾患にひそむ免疫不全症  /大西秀典
アトピー性皮膚炎にひそむ免疫不全症  /金澤伸雄

Ⅲ.各論2:自己炎症性疾患
自己炎症性疾患の考え方  /西小森隆太
家族性地中海熱とその類縁疾患  /井田弘明
Interferonopathyとは  /小田紘嗣
炎症性腸疾患にひそむ免疫不全症  /石毛 崇

Ⅳ.免疫不全症の治療
抗菌薬の使い方と免疫グロブリン補充療法  /山田雅文
根治療法としての造血細胞移植ならびに遺伝子治療  /加藤元博

症例報告
サイトメガロウイルス再活性化により全身型若年性特発性関節炎の増悪をきたした1歳児例  /永関 剛・他

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ねらい

金兼弘和  /東京医科歯科大学大学院小児地域成育医療学講座

 現代でこそヒトはがん,心疾患,脳血管障害あるいは老衰で亡くなることが多いが,人類の起源から1900年代初頭までは様々な感染症で亡くなることがほとんどであり,乳幼児死亡がきわめて高かった.1940年代に抗菌薬(ペニシリン)が使われるようになり,多くのヒトが感染症死から逃れるようになってきたにもかかわらず,致死的あるいは反復する感染症にかかる乳幼児の観察から免疫不全症(primary immunodeficiency:PID)の概念が生まれた.故Good博士はPIDを“nature of experience”と称し,PIDの発見がT細胞やB細胞の役割を明らかにし,ヒト免疫学の進歩に果たした貢献は大きい.PIDは免疫担当細胞の内因的破綻によって生体防御機能の破綻をきたす疾患であることが明らかになり,いくつかの疾患が同定された.
 分子生物学の進歩によって,1990年代からPIDの原因遺伝子が次々と同定されるようになった.PIDでは易感染性を主たる症状とするが,以前から自己免疫疾患,悪性腫瘍,アレルギー性疾患の合併を認めることが知られていた.2000年になって自己炎症性疾患の概念も確立され,広義にPIDに含まれるようになった.次々とPIDの原因遺伝子が明らかにされていく過程で易感染性を認めず,自己免疫疾患や悪性腫瘍などを主たる症状とするPIDも知られるようになってきた.さらにPIDの原因遺伝子は機能喪失型のみならず機能獲得型の変異も存在し,同じ遺伝子変異でも異なる表現型を有することも明らかになってきた.従来,PIDの原因としてX連鎖あるいは常染色体劣性のものが多かったが,昨今は常染色体優性のものも多くみつかっている.2010年頃から遺伝子解析技術に次世代シークエンサーが広く用いられるようになり,1家系であっても原因遺伝子の同定が可能になっており,飛躍的に原因遺伝子数が増えており,現時点で400種類以上の原因遺伝子が明らかになってきている.こうした流れのなかでPIDは単なる“不全症”ではなく,免疫の“異常症”として捉えるべきとの考えから,最近はinborn errors of immunity(IEI)と称されるようになってきた.
 本号では一般臨床に役立つ免疫不全症の診断や治療の要点のみならず,特異的な免疫不全症の病態についてわが国で活躍するエキスパートに最新情報について解説いただいた.PIDからIEIへの疾患概念の変遷を理解し,動物モデルでは知りえない真のヒト免疫学の深さと楽しさを感じ取ってもらえたらと思い,本特集を企画した.IEIを理解することによって感染症のみならず自己免疫疾患,悪性腫瘍,アレルギー性疾患,自己炎症性疾患の理解が深まることを期待する.

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