チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
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2020年 Vol.23 No.8 2020-07-29
子どもの食をめぐる今日的問題

定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
Myオピニオン
学校トイレの現状と子どもたちの健康問題…河村 浩
【特 集】
子どもの食をめぐる今日的問題
(企画の言葉…湯汲英史)
1 食育基本法はなぜ生まれたのか…田中弘之
2 子どもの食と栄養…小川雄二
3 食と肥満…原 光彦,斉藤恵美子,西村美帆子
4 子どもの歯が危ない~口腔崩壊とは何か~…香西克之
5 栄養と発達障害…藤野泰彦
6 食事のマナーと発達…武藤英夫
7 保育所での食育教育…鈴木八朗
8 食文化の違い…高島 碧
9 こども食堂~その多様性の現在地~…釜池雄高
Column フランスの子どもはなんでも食べる…石塚由香子
【寄 稿】
フィンランドの子どもの医療・福祉・教育から学ぶ 第6回
ネウボラとKantaによる子どもの健康記録…石﨑優子
【連 載】
◆子どもに忍び寄る危険 犯罪の予防・気づき・対応 第10回
児童生徒によるいじめ・暴力行為…後藤啓二
◆忘れちゃいけない やらなきゃいけない 子どもを守るワクチン接種 第11回
B型肝炎ワクチンキャッチアップ接種…四柳 宏
◆アレルギーっ子と旅をする 第12回
いま日本に求められる,アレルギーっ子と家族の娯楽…村田 愛
◆からだ・こころ・ことば 乳幼児のことばの育ち 第15回
「ことばの遅い子」と園や学校,そして社会…中川信子
◆ようこそ絵本図書館へ 第20回
水の絵本…児玉ひろ美
◆育児Q&A
「入れて」と言えない子…湯汲英史
◆海外文献の紹介
いじめられた経験をもつ子どもとその家庭の特徴…榊原洋一
日本の育児で,もっとも大変なのは子どもの食事だといわれたりします.そこで今号では,現在における「食の問題」を,多角的な視点から取り上げてみました.
はじめに食育基本法という,ユニークな法律がなぜ生まれたのかを取り上げました.食文化の違いも重要な課題です.ある小学校の校長先生からネパールから来た子の話を伺いました.2か月前に入学したそうですが,給食に悩んでおられました.ヒンズー教のため食に戒律があり,保護者と話し合いながら特別な食事を作っているといいます.ただ,ヒンズー教徒でも,人によって厳格さは違うとも,他の人から聞きました.本特集ではイスラム教の例を紹介しています.
『フランスの子どもはなんでも食べる』という本を読んだときは,驚きました.感心もしました.拒食症の原因はいろいろと考えられていますが,そのなかで重視されてきている理由として,家族の食への関心の薄さがあげられています.フランスの食事風景は,食への関心を高めることに役立ちます.
筆者も3人の子どもを育ててきました.3人とも何が得意で,不得手なのかはよくわかりません.ただ食事の際の好きや苦手はわかります.一緒に食事をしているときに,「前に,○○で食べたね」という話が出ることがあります.それを聞くと,食事場面を明瞭に思い出すことがあります.
紙幅の関係もあり,すべての論述に触れることはできませんが,肥満,栄養,マナーと発達,こども食堂などについても取り上げています.子どもの成長にとって重要な意味をもつ食について再考のきっかけとしていただけると幸いです.
(発達協会/湯汲英史)