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書籍詳細

肝癌ラジオ波凝固療法診断と治療社 | 書籍詳細:肝癌ラジオ波凝固療法
そのノウハウとエビデンス

虎の門病院肝臓科部長

池田 健次(いけだ けんじ) 編集

初版 B5判 並製 262頁(うち,口絵カラー6頁) 2007年01月30日発行

ISBN9784787815194

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定価:本体5,800円+税
  

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2005年1月からCool-tipシステムが保険適用となり一挙に裾野 の広い,日常臨床での必須の標準的治療となったRFAの,現在望 みうる最高・最新レベルを各主題のエクスパートが焦点を絞り 込んで詳述.ゆるぎないエビデンスに裏打ちされた内容であり, 多くの初学者,中堅医師にとって明日からの臨床現場ですぐに 役立つ優れたノウハウ本となっている.本文2色刷り,口絵カラ ー8ページ.

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目次

目次

カラー口絵
序文…池田健次
執筆者一覧

1 章 工学・基礎
 1 電磁波凝固治療の原理と安全問題………………小野哲章
 2 伝熱工学の観点からみたジュール熱による治療問題
   ……………………………………………………黒崎晏夫

2 章 局所治療手段
 3 Cool−tip 電極の特性と使い方………………椎名秀一朗
 4 LeVeen 針の特性と使い方………………………小林正宏
 5 RITA 針の特性と使い方……………堀部俊哉/森安史典
 6 マイクロ波凝固療法の有用性とその使い分け
   ……………………………………………………関 寿人
 7 PEIの有用性とその使い分け……岡部真一郎/江原正明

3 章 局所効果と判定
 8 病理学的にみたラジオ波凝固療法……………田中克明
 9 “safety margin”と局所制御能………………中澤貴秀
 10 CT による治療効果判定の方法と時期
    ……………………………………相方 浩/茶山一彰
 11 US画像による治療効果判定……………………今井康晴
 12 MRI画像による治療効果判定…………………斎藤 聡

4 章 合併症
 13 ラジオ波凝固療法の合併症とその予防法
    ………………………………………………春日井博志
 14 治療中の腫瘍内圧上昇と副作用………………古藤和浩
 15 胆管系合併症の実際と予防……………………西垣洋一
 16 ラジオ波凝固療法の肝機能に及ぼす影響
    ……………………………………小野弘二/國分茂博

5 章 適応と禁忌
 17 RFA の治療適応と禁忌………………………椎名秀一朗
 18 大型肝癌に対する治療……………國分茂博/小野弘二
 19 転移性肝癌に対するラジオ波焼灼療法………小池幸宏
 20 腹腔内出血に対するRFAによる止血治療……小林正宏

6 章 RFAの臨床
 21 経皮的治療における疼痛対策…………………大崎往夫
 22 PRFA 後の再発様式と背景……………………大崎往夫
 23 腫瘍マーカーの観点からみたRFA
    ……………………………………小川 力/工藤正俊
 24 外科からみたRFA治療…………………………片桐 聡
 25 他の治療法との比較でみた RFA の位置づけ
    ………………………山田幸則/吉原治正/鎌田武信
 26 ラジオ波凝固療法後の長期予後と予後規定因子
    …………………………………………………泉 並木
 27 統合ステージ分類によるラジオ波凝固療法の客観的評価
    ……………………………………鄭 浩柄/工藤正俊

7 章 治療の工夫
 28 胸水・腹水注入下治療の実際…………………清家正隆
 29 CT 画像支援による治療……………杉本勝俊/森安史典
 30 Real−time Virtual Sonography と肝癌局所療法
    …………………………………………………岩崎隆雄
 31 肝動脈塞栓術の併用効果………………………田中克明
 32 小開胸ラジオ波焼灼療法………………………田中正俊
 33 部分的脾動脈塞栓療法併用 RFA 治療…………清家正隆
 34 肝動脈バルーン閉塞下RFA…………山崎隆弘/坂井田功
 35 展開針(特にLeVeen針)によるラジオ波治療の工夫
    ……………………………………今村雅俊/正木尚彦
 36 ガイドニードル使用によるラジオ波凝固療法
    …………………………………………………泉 並木
 37 全身麻酔下腹腔鏡下ラジオ波凝固療法………礒田憲夫
 38 全身麻酔下経皮的ラジオ波凝固壊死療法
    …………………………………………………斎藤明子
 39 RFAを軸とするinterventional segmental ablation
   ―動脈塞栓下経皮的ラジオ波凝固療法………岩崎隆雄

8 章 日本での RFA
 40 肝癌診療ガイドラインからみたラジオ波凝固療法
    ……………………………………國土典宏/幕内雅敏
 41 QOLからみたRFA治療
    ………………………中山伸朗/持田 智/藤原研司
 42 医療経済からみた小型肝癌治療………………保坂哲也
 43 世界の中でのわが国での RFA 治療の特徴
    …………………………………………………中澤貴秀
 44 ウイルス性肝炎での RFA 治療の位置づけ
    …………………………………………………沖田 極

9 章 索引
 和文索引
 欧文索引

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序文

2005年1月よりCool-tipシステムが正式に保険収載となり,
ラジオ波凝固療法(RFA)の3機種がわが国で“ようやく”出
そろうこととなった.この間,日本全国でRFAのジェネレータ
は1,000台以上が普及し,多数の施設・医師が携わるようにな
り裾野の広い“標準的な治療”といえる状態になってきた.
 一方,少数例ながら重大な合併症が報告され,様々の種類
の副作用も知られるようになってきた.このような状況のなか,
2005年12月厚生労働省医薬食品局から「使用上の注意」改訂に
関する通達が出され,これら電気手術器に添付する文書中の
“警告”“重要な基本的注意”“不具合・有害事象”を詳細に
記すことを求めた.この通達の中では,肝破裂,焼灼後の転移
性再発および局所再発,隣接する組織・血管の穿孔,腹膜炎・
敗血症など具体的な記載を追加することを指示している.
Cool-tip電極をめぐる問題に終止符が打たれたこの時期に合わ
せて,この内容は直ちに日本肝臓学会誌にも掲載され,RFA全
体の副作用に関する注意を喚起すべき時期にあることが実感さ
れた.
 RFAがわが国で広く使用され始めたのは1999年であるが,そ
の翌年2000年6月に東京で開催された第36回日本肝癌研究会で
は全演題304題中,実に60題(19.7%)をRFAの演題が占めた.
使用され始めて1年になるかならないかのうちに,全国的に治
療が普及したことが示された.
 その後も肝癌大国であるわが国では,RFA治療は日常臨床で
は必須の手技となり,早くも小型肝癌に対する標準治療ともい
える状態となり,各施設でこれに携わる医師が増加した.学会
・研究会でも肝臓診療のトピックとして頻繁にRFAをめぐるシ
ンポジウム・パネルディスカッションがもたれ,議論が盛んに
行われた.これだけ早く日本全体に本症例が浸透した大きな理
由の一つに,その手技の簡単さがあげられる.通常の超音波装
置と小さなジェネレータがあれば治療可能で,外科切除のよう
に安全に治療を行うために数年の熟練を要するということがな
かった.また,エタノール注入療法でみられたような,注入し
たアルコールがどこに流入するかわからないという不確実性が
なく,腫瘍中心部に電極穿刺ができれば1回で治療が終了する
という迅速性が大きな魅力となった.このような簡便性・一般
性は,逆に医師の技術向上などの余地が比較的少ないことを示
し,一気に“完成した”治療法となった.
 このなかで,RFAをめぐって臨床医が行ってきた工夫や研究
がどのようになされたかを,過去4年間の学会・研究会の発表
を通覧してみた.最近の4年間(2002〜2005年)の日本肝臓学
会総会・大会,日本消化器病学会総会,日本肝癌研究会の全国
レベルの集会に発表された演題はのべ747題あった.このうち,
原則として1演題1主題として扱い,のべ786主題の内容につい
てレビューした.
 これら最近の学会報告の中では,RFAの“成績一般”として
報告されているものが300演題(38.2%)で最も多く,次いで
手技・工夫が244題(31.0%),有害事象86題(10.9%),適応
拡大52題(6.6%),効果判定の問題38題(4.8%),追加治療
19題(2.4%)と続き,症例報告・その他41題(5.2%)であった
(図1).
 RFAの治療成績発表は全体で300題であったが,生存率・合併
症・再発率・効果判定などの治療効果一般を示すものが176題
で過半数を占め,次いで局所再発の問題が60題報告されている
(図2).簡便なRFA治療では,外科切除の際にはあまり問題
とならない治療局所からの再発が,safety marginの規定を含
めて論じられ,再発様式・再発率が明らかとなってきている.
わが国でのRFA治療が始まってから数年以内の時期であり,やや
長期の治療成績を示す古参施設と新規に導入してきた施設の初
期成績が混在しながら,RFAの小型肝癌治療としての位置づけ
はほぼ確定した展開である.既存の治療との比較も39題でなさ
れ,一般にはエタノール局注療法・マイクロ波凝固療法よりは
やや優れ,肝切除と肩を並べる成績であるとのトーンで発表さ
れている.また,基礎的な検討も含めて,ラジオ波治療の局所
効果がどういうものであるのか,容積測定・病理組織学的変化
・治療時発生するバブルの意義などについても25題で発表がな
されている.
 手技・工夫に関する発表244題のうち,動脈閉塞を併用して
治療効果を増強する発表は75題と最多であった(図3).治療
困難部位に対して,また治療をより確実に行うという目的で,
胸腔鏡下・腹腔鏡下でのRFA治療がのべ50題で報告されている.
電極針の穿刺や治療中のモニターを良好に行うために,腹部超
音波で腫瘍を描出するのみならず,コンピュータ断層画像(CT)
や核磁気共鳴画像(MRI)などを活用して治療上の工夫とする
発表が38題みられている.このうち最近2年間では,RVS(real-
time virtual sonography:実時間仮想超音波画像)の支援によ
るRFA治療の演題が急増している.肺が超音波による腫瘍描出
を阻害している横隔膜直下の病変に対して,安全に穿刺し治療
するための人工胸水・人工腹水併用による治療の発表が25題と
続いている.さらに,主として大型肝癌,多発肝癌に対する治
療工夫として,通電前に複数の穿刺針もしくは外套針を穿刺し
て少ない治療回数で大きな壊死範囲を得る工夫も前半3年間を
中心に8題みられた.
 RFAによる有害事象の発表は86題にみられ(図4),意外な
ことに肝機能の悪化や治療後の推移についての発表が24題と
最多であった.一般に肝切除に比べて非侵襲的な治療と考えら
れているRFAも,公平な目で外科治療との優劣を評価する必要
があるであろう.注目すべきは,RFA治療のあとに急速に肝癌
が進行したり播種したりすることがあるという演題で,19題に
みられ,後半2年間に演題数が急増した.肝切除例のみならず
無治療例でもしばしばみられる肝癌急速進展の問題は,今後は
基礎的な研究を含めて究明していかねばならない問題である.
これに次いで,副作用・合併症全般についての議論が18題,胆
管合併症およびその対処方法の演題が13題あった.
 本書は,ここに示した数多くの学会・研究会報告を元に,十
分な知識・経験を集積し充実した研究内容を有している施設を
選び出し,それぞれの主題で“日本中で最も精通している”著
者に該当部分の執筆を依頼した.本書は間違いなく,RFA治療
で“現在のわが国のレベル”を示すものであり,多くの読者に
様々なノウハウを得ていただく参考になれば幸いである.

2007年1月
池田健次