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書籍詳細

ロコモティブシンドロームのすべて診断と治療社 | 書籍詳細:ロコモティブシンドロームのすべて

国立障害者リハビリテーションセンター 総長

中村 耕三(なかむら こうぞう) 監修

東京大学大学院医学系研究科整形外科 教授

田中 栄(たなか さかえ) 監修

NTT 東日本関東病院整形外科 主任医長

大江 隆史(おおえ たかし) 編集

名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学老年科学 教授

葛谷 雅文(くずや まさふみ) 編集

とちぎリハビリテーションセンター 所長

星野 雄一(ほしの ゆういち) 編集

初版 B5判 並製ソフトカバー,2色刷(一部4色) 344頁 2015年07月01日発行

ISBN9784787821942

定価:本体5,500円+税
  

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わが国では健康寿命と平均寿命のギャップが社会問題となっている.健康日本21(第2次)では大目標に「健康寿命の延伸」が掲げられたが,健康寿命を損ねる主要な原因の1つが運動器疾患である.日本整形外科学会は2006年に運動器障害のために移動機能が低下した状態を「ロコモティブシンドローム」と呼ぶことを提案し,活発な啓発活動を行っている.本書では,最新知見を含めロコモを特集した.定評ある日本医師会雑誌特別号

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目次

カラー口絵 みてわかるロコモティブシンドローム
1 ロコモの概念図 中村耕三  
2 運動器の仕組み 緒方 徹  
3 変形性膝関節症の画像診断 武冨修治  
4 変形性股関節症の画像診断 伊藤英也  
5 腰部柱管狭窄症の画像診断 大島 寧  
6 サルコペニアの診断 佐竹昭介  
7 立ち上がりテスト 村永信吾 
8 2ステップテスト 村永信吾 
9 ロコトレ 石橋英明 
10 ロコトレプラス 石橋英明 
11 腰痛のリハビリテーション 白土 修 
12 膝痛のリハビリテーション 黒澤 尚 
13 運動継続支援―ロコモコール 帖佐悦男,中村耕三,藤野圭司 

序 横倉義武 
監修・編集のことば 田中 栄 
監修・編集・執筆者紹介

I ロコモティブシンドロームの概念と疫学
概要 中村耕三 
疫学 吉村典子,阿久根 徹 
運動とロコモの疫学 宮地元彦
 
II ロコモティブシンドロームの基礎
姿勢と移動機能 歩行解析 芳賀信彦 
姿勢維持と転倒のメカニズム 原田 敦 
運動器を構成する組織 骨 網塚憲生,長谷川智香 
軟骨 妻木範行,箭原康人 
関節 秋山治彦,小川寛恭 
筋 内藤昌志,浅原弘嗣 
脊椎,椎間板 谷口優樹,田中 栄 
脊髄 岩波明生,中村雅也 

III ロコモティブシンドロームの評価
概説 中村耕三 
ロコチェック 大江隆史 
評価法 ロコモ度テスト ロコモ25 赤居正美,岩谷 力 
立ち上がりテスト 金治有彦 
2ステップテスト 岸田俊二 
ロコモ度テストによる評価     
 日本整形外科学会プロジェクト研究班「ロコモティブシンドロームのエビデンス構築に関する研究」 
その他の運動機能評価法 村木重之 

IV ロコモティブシンドロームを構成する疾患
骨粗鬆症 骨粗鬆症の病態と疫学 伊木雅之  
骨粗鬆症の診断 髙田潤一  
骨粗鬆症の治療 運動療法 宮腰尚久  
薬物療法 宗圓 聰 
外科的治療①―椎体骨折 市村正一 
外科的治療②―大腿骨近位部骨折 松原全宏 
リエゾンサービス 萩野 浩 
変形性膝関節症 変形性膝関節症の病態と疫学 桂川陽三 
変形性膝関節症の診断 中川 匠 
変形性膝関節症の治療 運動療法 鳥取部光司,帖佐悦男,宮﨑茂明 
薬物療法 内尾祐司 
外科的治療 中村伸一郎,松田秀一 
変形性股関節症 変形性股関節症の病態と疫学 稲葉 裕,齋藤知行 
変形性股関節症の診断 加畑多文 
変形性股関節症の治療 菅野伸彦 
その他の下肢疾患 骨壊死症 石田雅史,久保俊一 
膝半月板損傷 武冨修治 
変形性足関節症 仁木久照 
扁平足障害 須田康文
足趾の障害 安井哲郎 
糖尿病性足部障害 谷口 晃 
脊椎疾患 頚椎症性脊髄症 星地亜都司 
頚椎椎間板ヘルニア 山崎正志 
変形性腰椎症 高橋和久 
腰椎椎間板ヘルニア 持田讓治 
腰部脊柱管狭窄症 関口美穂,紺野慎一 
腰椎変性すべり症 松山幸弘 
脊柱靱帯骨化症 後縦靱帯骨化症 岩波明生,松本守雄,戸山芳昭 
黄色靱帯骨化症 竹下克志 
透析に伴う脊椎障害 久野木順一,河村直洋,石橋由孝 
サルコペニア サルコペニアの歴史的背景と定義 葛谷雅文 
サルコペニアの基礎 重本和宏,森 秀一 
サルコペニアの疫学 浦野友彦,秋下雅弘 
サルコペニアの病態 佐竹昭介 
サルコペニアの診断 神﨑恒一 
サルコペニアの治療―科学的根拠に基づく予防対策 鈴木隆雄 
関節リウマチとその関連疾患 関節リウマチの病態 田中 栄 
関節リウマチの診断 門野夕峰 
関節リウマチの治療 薬物療法 亀田秀人 
外科的治療 桃原茂樹 
その他のリウマチ性疾患 小林茂人 
上肢の障害 上肢の骨折 大江隆史 
変形性肩関節症 池上博泰 
肩こり 池上博泰 
肩関節周囲炎(五十肩) 玉井和哉 
腱板断裂 中川照彦 
反復性肩関節脱臼 渡海守人,菅谷啓之 
変形性肘関節症 稲垣克記 
上腕骨外側上顆炎 島田幸造 
肘部管症候群 田尻康人 
手根管症候群 三上容司 
狭窄性腱鞘炎 三浦俊樹 
Dupuytren拘縮 山本美知郎,平田 仁 
母指CM関節症 森崎 裕 
手の変形性関節症 大江隆史

V ロコモティブシンドロームの対策
ロコモ対策 概説 中村耕三 
ロコトレとロコトレプラス 石橋英明 
ロコモ対策としての柔軟体操とストレッチングの実際 鳥居 俊 
ロコモ対策としてのウォーキングとジョギングの実際 鳥居 俊 
アクティブガイドと運動器障害 宮地元彦 
運動継続支援とロコモコール 帖佐悦男,中村耕三,藤野圭司 
ロコモと栄養 骨―骨粗鬆症と栄養 細井孝之 
筋―サルコペニアと栄養 葛谷雅文 
ロコモと保険診療 佐藤公一 
ロコモと介護保険 千田益生 

VI その他の疾患とロコモティブシンドローム
メタボリックシンドロームとロコモ 荒井秀典 
認知症とロコモ 梅垣宏行 
虚弱(フレイル)とロコモ 原田 敦 

VII ライフステージ・障害に合わせたロコモティブシンドローム対策
子どもの運動―現状と問題点 亀ヶ谷真琴 
子どもの運動器検診―なぜ子どもの頃からロコモ予防が必要か? 帖佐悦男 
障害者の健康管理と健康増進 緒方 徹 
高齢者・障害者の移動と補装具の実際 芳賀信彦 

VIII リハビリテーションとロコモティブシンドローム
運動器リハビリテーション 腰痛のリハビリテーション 白土 修 
膝痛のリハビリテーション―運動療法 黒澤 尚 
大腿骨近位部骨折後のリハビリテーション 藤野圭司 
脳卒中リハビリテーション 田島文博,中村 健,幸田 剣 
心臓リハビリテーション 牧田 茂 
呼吸リハビリテーション 花山耕三 
腎臓リハビリテーション 上月正博,伊藤 修 
摂食嚥下リハビリテーション 藤島一郎 
がんリハビリテーション 辻 哲也 

索引

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序文



 ロコモティブシンドロームは,「運動器の障害によって,移動機能が低下した状態」であり,進行すると要支援・要介護状態となるか,そのリスクが高くなるとされる.
 厚生労働省が公表した平成25年国民生活基礎調査の概況を見ると,要介護になる原因の4位が「骨折・転倒」で全体の11.8%を占め,5位が「関節疾患」で10.9%と運動器疾患が続き,これを合わせると1位の「脳血管疾患」の18.5%を凌駕する.このように,運動器の障害が要介護の主な原因となって,高齢者の生活の質を著しく低下させているのは明白である.超高齢社会に突入したわが国では,高齢者の生活の質の維持・増進や健康寿命の延伸,医療費の低減のためにもロコモティブシンドロームの対策は喫緊の課題となっている.
 そのためには,運動器の障害を早期発見して予防することが重要である.日本整形外科学会から提案されている種々のスクリーニングツールや評価法から早期発見が可能であり,また,運動や食事といった生活習慣を変容させることで,運動器疾患の発症・重症化を防ぐことができる.したがって,臨床現場でロコモティブシンドロームに着目し,患者の健康管理に携わっていくことは医師の役割として大変重要である.
 そのような背景から,本書は,ロコモティブシンドロームの診療に必要な知識と技術を最新知見も含めて網羅し,第一線で活躍される実地医家の先生方の日常診療にすぐに役立つことを目的とした.会員の先生方に最新の知識と技術を吸収していただき,日々の診療に大いにご活用いただければ幸いである.
 最後に,本書の刊行にご尽力いただいた,監修の中村耕三先生,田中 栄先生,編集の大江隆史先生,葛谷雅文先生,星野雄一先生,そしてご執筆いただいた多くの先生方に心より感謝申し上げる.

 平成27年6月
日本医師会会長
横倉義武



監修・編集のことば

 現在,わが国は未曾有の超高齢社会を迎えている.内閣府の「高齢社会白書(平成26年版)」によると,2013年の65歳以上の高齢者人口は3,190万人(男性1,370万人,女性1,820万人),高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は過去最高の25.1%とされる.そのような状況のなか,介護を必要とせず,自立した生活を送ることのできる,いわゆる「健康寿命」と平均寿命のギャップが大きな社会問題となっている.人生の最終コーナーを曲がり,自立した生活を営むことのできない高齢者が増加しているということである.平成22年度の調査では,男性で9.13年,女性で12.68年のギャップがあることが報告されており,厚生労働省は「健康日本21(第二次)」(平成25~34年度)の基本方針の最初に「健康寿命の延伸」を掲げている.
 運動器の障害は,高齢者において介護が必要となる主たる原因疾患であり,要介護の原因の16.7%,要支援の原因の32.1%を骨折・転倒および関節疾患という運動器疾患が占める(「平成22年国民生活基礎調査の概況」より).すなわち,運動器疾患は健康寿命と平均寿命のギャップ形成に重要な役割を果たしている.2007年に日本整形外科学会が「運動器の障害によって,介護を必要とする危険性の高い状態」を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という概念にまとめた背景には,そのような状況があった.現在,日本整形外科学会を中心にロコモの活発な広報活動が行われ,それと並行してロコモに関係するエビデンスが蓄積されてきている.
 本特別号では,これらの状況を踏まえ,ロコモに関するデータに基づく新たな知見を中心に特集している.ロコモの概念と疫学(第I章),ロコモの基礎となる研究(第II章),ロコモの評価法(第III章),骨粗鬆症,変形性関節症,腰部脊柱管狭窄症,サルコペニアなど,ロコモの原因となる様々な疾患に関する解説(第IV章),運動療法をはじめとしたロコモ対策(第V章),メタボや認知症など,その他の疾患とロコモの関係性(第VI章),様々なライフステージ・障害に合わせたロコモ対策(第VII章),そしてリハビリテーションからみたロコモ(第VIII章)という構成である.いずれも現在第一線で活躍中の先生方のご執筆であり,ロコモのすべてを網羅するのにふさわしい内容となっている.
 本書が会員の皆様のロコモに対する理解と関心を深め,その重要性を認識していただく一助となれば幸いである.

 平成27年6月
監修・編集者を代表して
東京大学大学院医学系研究科整形外科
田中 栄