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最新・C型肝炎経口薬治療マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:最新・C型肝炎経口薬治療マニュアル

京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 教授

伊藤 義人(いとう よしと) 監修

横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学 主任教授

中島  淳(なかじま あつし) 監修

広島大学病院消化器・代謝内科 講師

今村 道雄(いまむら みちお) 編集

国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院 消化器・肝臓内科 第一肝疾患室医長

是永 匡紹(これなが まさあき) 編集

京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 講師

角田 圭雄(すみだ よしお) 編集

東京大学大学院医学系研究科消化器内科学 特任講師

建石 良介(たていし りょうすけ) 編集

初版 B5判 並製ソフトカバー,2色刷(一部カラー) 112頁 2016年04月01日発行

ISBN9784787822383

定価:本体2,800円+税
  

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近年,IFNを用いないC型肝炎治療薬が続々と上市されている.これらIFNフリーの「直接作用型抗ウイルス薬(DAA)」治療の登場により,従来のIFN治療と比べて治療効果が格段に高いにもかかわらず,副作用は非常に少なく,治療期間も短縮された.本書では,IFNフリーのDAA治療の効果を最大限に引き出すための臨床上のポイントについて,エキスパート達が具体的かつわかりやすく解説している.

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目次

①C型慢性肝炎/代償性肝硬変に対するDAA治療一覧  角田圭雄
②C型慢性肝炎/代償性肝硬変に対するDAA治療の選択アルゴリズム 今村道雄

監修の序  伊藤義人
編集の序  角田圭雄
監修・編集・執筆者一覧

序 説 C型肝炎治療の変遷と現状  坂本 穣


第1章 経口薬治療総論
 DAAの種類  今村道雄
 DAA治療前に評価すべき項目  角田圭雄,伊藤義人
 DAA治療効果の判定法  田中斉祐,森康二郎,金政和之,角田圭雄
 ウイルス消失後のフォローアップ法  藤井秀樹


第2章 ゲノタイプ1型の治療
 ソホスブビル/レジパスビル併用療法  是永匡紹
 ダクラタスビル/アスナプレビル併用療法  鈴木義之
 オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル併用療法  鈴木文孝
 今後登場するDAA治療
 ①グラゾプレビル/エルバスビル併用療法  狩野吉康
 ②ダクラタスビル/アスナプレビル/ベクラブビル併用療法  今村道雄
 C型肝炎治療ガイドライン  黒崎雅之


第3章 ゲノタイプ2型の治療
 ソホスブビル/リバビリン併用療法  建石良介
 C型肝炎治療ガイドライン  平松直樹


第4章 難治・特殊例の治療
 ゲノタイプ3型  林 和彦,石上雅敏,後藤秀実
 HIV重複感染例  三田英治
 腎機能障害症例,透析症例  梅村武司
 非代償性肝硬変症例  是永匡紹
 肝移植後症例  上田佳秀


第5章 C型肝炎治療Q&A
 HCV抗体陽性者の受療行動に対するアプローチは? 江口有一郎,遠峰良美,吉原大介
 医療費助成制度とは?  光岡由利子
 服薬アドヒアランスの維持に有用な対策は?  榎本 大
 副作用のモニタリングとその注意点は?  中島知明
 かかりつけ医の役割は?  中島悦郎,藤井秀樹
 肝臓専門医の役割は?  高口浩一
 皮膚障害出現時の対策は?  石川理穂
 薬剤師の役割は?  北田知里,奥野桂子,大石輝樹


附 録 併用禁忌薬,併用注意薬一覧  建石良介

編集後記  建石良介

和文索引
欧文索引

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序文

監修の序


 1989年にC型肝炎ウイルスが発見され,1992年に最初の抗ウイルス療法であるインターフェロン単独治療が健康保険で認可された.当時は「治らない病」であった非B非C型肝炎の多くがC型肝炎であることが判明し,その治療に光が差したが,C型肝炎の制圧にはほど遠かった.その後,リバビリンやペグインターフェロンといった新しいツールの登場により,われわれは治癒率の向上と副作用を天秤にかけ,多くの時間をインターフェロン中心の治療法の改良・工夫に費やした.一方,インターフェロン治療効果予測因子を事前にチェックすることで治療の効率化も図られた.
 抗ウイルス療法が一般臨床の場で行われるようになってから20年以上が経過した2014年,最初のインターフェロンフリーの経口薬のみによる治療が健康保険で認可された.これを機に,C型肝炎の治療は「より副作用が少なく,より治療期間が短く,治療効果が100 %に近い治療」へと一気に進歩した.C型肝炎ウイルスが発見されてから四半世紀が過ぎようとしているが,当時,今の状況を誰が予測できただろうか? 副作用の少ない経口薬のみによるC型肝炎の治療は,高齢者や様々な合併症をもつ多くの患者に新たな道をひらいた.
 一方,最近では,「これからのC型肝炎の治療は非専門医でも可能になった」との声も聞かれる.しかしながら,個々の患者の肝病態を中心とした全身状態の把握とそれに応じた治療法の選択は,今後も最良の医療に必須と考えられ,肝臓専門医の役割が小さくなるとは考え難い.C型肝炎ウイルス排除は「C型肝炎診療の終了」ではなく,「肝発癌を中心とした肝疾患診療の新たな段階」を意味する.C型肝炎の治療が幅広い患者層に浸透していくと考えられるこれからの数年間,新たな薬剤の登場も考慮しつつ,個々の患者で最善の薬剤の使い分けが必要になるものと考えられる.
 本書『最新・C型肝炎経口薬治療マニュアル』の執筆は,日頃C型肝炎治療のエキスパートとして活躍されている先生や日本肝臓学会のガイドライン作成に携わられている先生方に依頼させていただいた.C型肝炎治療の変遷や経口薬の紹介に始まり,治療ガイドライン,特殊例の治療や今後登場することが予想される治療薬まで,C型肝炎の治療について幅広く紹介することができた.さらに,未治療患者の掘り起こしや副作用のモニタリングなど,かかりつけ医や薬剤師をはじめとしたコメディカルの果たす役割についても漏れなく記すことができた.本書がC型肝炎治療に携わる方々のお役に立ち,それによって一人でも多くのC型肝炎患者が「最良の治療」を受けられることを期待している.

 2016年2月

監修者を代表して

伊藤 義人
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 教授



編集の序


 発見からわずか28年程度でほぼ100 %の排除が可能となったC型肝炎ウイルス(HCV).これほど短期間に克服された感染症は過去に存在したでしょうか? 今から20年以上前の1994年,私は医学部の5回生でした.臨床講義のプレゼンテーションにおいて,のちに恩師となる岡上 武 先生(大阪府済生会吹田医療センター 総長/京都府立医科大学 名誉教授)にC型肝炎のインターフェロン(IFN)治療についてご指導いただいたことを鮮明に記憶しています.IFN治療が保険適用となり,治療効果のデータがようやく集積され始めたばかりの頃でした.当時は私が現役の医師である間にHCVが経口薬のみで排除される時代が到来するとは予想だにしていませんでした.1998年にリバビリンの治験が開始され,その後,IFNのペグ化などを経て,治療効果は飛躍的に向上しました.しかし,C型肝炎治療の歴史で最大のイノベーションは何といっても2011年の「直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral agent;DAA)」の登場です.その際,私達は診断と治療社から『最新!C型肝炎治療薬の使いかた』を出版し,多くの読者の好評を博しました.それから3年以上もの歳月が流れ,その間にIFNフリーのDAA治療が登場し,持続的ウイルス学的著効(SVR)率はほぼ100 %に達しました.副作用がほとんどなく,注射のために毎週通院する必要もなくなりました.
 一方,DAA治療には薬剤耐性,腎障害・透析患者への投与,併用禁忌薬の存在,非代償性肝硬変例に対する非適応,SVR後の肝発癌,高額な薬剤費など残された課題も多く,決して容易な治療法とはいえないことも事実です.また,SVR率が100 %近くに達した現在では,「どう治療するか?」という問題に加えて,潜在患者の掘り起こしなど,「いかに多くの患者を治療導入できるか?」といった視点も必要です.厚生労働省は「知って,肝炎プロジェクト」(http://www.kanen.org/)を立ち上げ,本書の編集者でもある是永匡紹 先生(国立国際医療研究センター国府台病院消化器・肝臓内科)が班長を務められている研究班において,「効率的な肝炎ウイルス検査陽性者フォローアップシステムの構築のための研究」を開始しています.本書では,同研究の成果について,江口有一郎 先生(佐賀大学医学部肝疾患医療支援学講座)に解説していただきました.これまで,SVR率は「ウイルスが持続陰性化した症例数÷実際に治療を導入した症例」から算出されてきましたが,今後は新たなSVR率として「ある地域でウイルスが持続陰性化した症例数÷その地域に存在するHCV患者全例」と考え,より実質的な治療成績の向上を目指す時代が来たように思います.
 本書の企画には,伊藤義人 先生(京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学),中島 淳 先生(横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学)の監修の下,肝炎診療のオピニオンリーダーである若手医師達がその任にあたりました.本書の構成は,まず「序説 C型肝炎治療の変遷と現状」において従来のC型肝炎治療を総括し,「第1章 経口薬治療総論」でIFNフリーのDAA治療の総論を述べ,現在のC型肝炎治療の全体像を提示しました.次に「第2章 ゲノタイプ1型の治療」,「第3章 ゲノタイプ2型の治療」でHCVゲノタイプ別の最新治療を具体的に示し,「第4章 難治・特殊例の治療」で難治例や特殊例への対応を記載しています.さらに「第5章 C型肝炎治療Q & A」では臨床現場で生じうる種々の問題について,チーム医療や医療連携,そして医療費助成制度など社会的な取り組みを含め,現実的な内容を記載しました.そして最後に「附録 併用禁忌薬,併用注意薬一覧」を掲載し,実臨床における本書の有用性を高めています.いずれの項目も最新情報を惜しみなく記載しながらもコンパクトにまとめられており,日々の業務に忙しい先生方にも手にとりやすい内容となっています.
 本書はC型肝炎の診療に携わる肝臓専門医から一般臨床医さらには研修医やコメディカルに至るまでの幅広い層を読者対象としており,臨床における実用的な書となっていると確信しています.
 最後に,極めて多忙な臨床業務や研究の時間を割いて原稿をお寄せいただいた先生方,また多くのアイデアを出し,活発にご議論いただいた編集の先生方,出版に際してご尽力いただいた診断と治療社の相浦健一氏にこの場を借りてあらためて感謝申し上げます.

 2016年2月

編集者を代表して

角田 圭雄
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 講師
立命館大学医療経営研究センター 客員研究員



編集後記


 C型慢性肝炎に対して,1992年にわが国で初めてインターフェロン(IFN)治療が認可されて以来,わが国ではIFNを基本とする治療が永らく行われてきた.ペグ化製剤,リバビリンとの併用療法,プロテアーゼ阻害薬を含めた3剤併用療法など,IFN治療は少しずつ改良され,その著効率は徐々に向上した.しかしながら,IFNに起因する貧血,インフルエンザ様症状,皮膚症状,脱毛,うつ,食欲低下などの副作用は大きくは改善されず,わが国のC型肝炎患者の過半数は治療を受けないままおよそ20年が経過した.
 そのような状況のなか,副作用が少なく,治療期間も短く,かつ治療効果の非常に高い経口薬が登場した.IFNフリーの直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral agent;DAA)である.医療従事者には大きな驚きをもって受け入れられ,IFN治療が導入された20年前には夢想だにしなかったことが,日々の臨床の場で現実となっている.まるで堰を切ったかのように多くの患者が治療を開始し,一部はすでに持続的ウイルス学的著効(SVR)を達成している.
 グローバル治験によると,経口薬の改良は今なお続いており,C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノタイプ非依存的な治療や,より治療期間の短い治療がいずれ登場すると思われる.われわれ肝臓専門医は,肝臓病の世界で数十年に1度といってよい大きなうねりのなかに身を置いていることを実感する日々である.
 末筆となったが,本マニュアルを作成するにあたり,貴重な時間を割いて原稿をお寄せいただいた執筆者の先生方にこの場を借りて深謝したい.

 2016年2月

編集者を代表して

建石 良介
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学 特任講師