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書籍詳細

診断と治療社 内分泌シリーズ

下垂体疾患診療マニュアル 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:下垂体疾患診療マニュアル 改訂第2版

(公財)先端医療振興財団・先端医療センター 病院長

平田 結喜緒(ひらた ゆきお) 編集

虎の門病院 副院長

山田 正三(やまだ しょうぞう) 編集

国立病院機構京都医療センター・臨床研究センター 特別研究員

成瀬 光栄(なるせ みつひで) 編集

浜松医科大学地域家庭医療学 特任教授

沖 隆(おき ゆたか) 編集協力

神戸大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌内科学

髙橋 裕(たかはし ゆたか) 編集協力

改訂第2版 B5判 口絵カラー+2色 310頁 2016年11月25日発行

ISBN9784787822574

定価:本体7,000円+税
  

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下垂体疾患の診療に必要な知識を網羅したマニュアル.基礎知識として,解剖や視床下部・下垂体から分泌されるホルモンの詳細を解説し,臨床知識として,病理や機能検査,画像診断,治療法を概説している.さらに,各論では多くの疾患の診療法について図表を多く用いてわかりやすくまとめている.内科医のみならず,脳神経外科医,小児科医にも読んでいただきたい一冊である.待望の改訂第2版!!

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目次

口絵                        
推薦の言葉                井村裕夫
「診断と治療社 内分泌シリーズ」について 成瀬光栄
序 文                 平田結喜緒
執筆者一覧                    
本書で使用する用語について            

I 総論編
1 下垂体疾患の診療―内科から―       平田結喜緒
2 下垂体疾患の治療―外科から―        山田正三
3 下垂体疾患の診療―小児科から―       横谷 進
4 下垂体疾患の診療―内分泌病理から―   井野元智恵他

II 各論編
第1章 基礎知識
A 下垂体の発生,分化
下垂体の発生,分化            井野元智恵他
B 視床下部・下垂体の解剖
視床下部・下垂体の解剖            登坂雅彦
C 視床下部の機能
視床下部の機能               岩瀬 敏他
D 視床下部ホルモン
1 CRH                   西山 充
2 GHRH                  片上秀喜
3 グレリン                 児島将康
4 GnRH                  苛原 稔
5 TRH                  渋沢信行他
6 ソマトスタチン              片上秀喜
7 ドパミン                 井樋慶一
E 下垂体前葉ホルモン
1 ACTH                   沖  隆
2 GH                    髙橋 裕
3 LH/FSH                  苛原 稔
4 TSH                   渋沢信行他
5 PRL                    髙野幸路
F 下垂体後葉ホルモン
1 AVP                     有馬 寛
2 オキシトシン                 上田陽一
第2章 臨床知識
A 総論
1 下垂体疾患の疫学と予後            横山徹爾
2 下垂体機能の生理的変化            原田竜也
3 下垂体形態の生理的変化           伊澤正一郎
4 下垂体腫瘍の成因              福岡秀規他
5 下垂体腺腫の病理と分類          井野元智恵他
6 傍鞍部腫瘍の病理と分類            高野晋吾
7 下垂体腫瘍の症候             中尾佳奈子他
8 下垂体疾患による高血圧             田辺晶代
9 下垂体?胞性病変の鑑別             西岡 宏
10 下垂体腫瘍の予後マーカー―臨床および病理学的観点から―  井下尚子他
B 検査
1 下垂体機能検査                      立木美香他
2 下垂体機能検査の限界とピットフォール            髙橋 裕
3 下垂体疾患の画像検査―3T MRI画像を中心に―        黒﨑雅道
4 下垂体疾患の眼科的検査                   中尾雄三
5 下垂体疾患のQOL評価                  福岡秀規他
6 下錐体静脈洞・海綿静脈洞サンプリング            山田正三
C 治療総論
1 下垂体手術:①機能性下垂体腺腫              福原紀章他
 下垂体手術:②非機能性下垂体腺腫             岡田満夫他
 下垂体手術:③巨大下垂体腺腫                西岡 宏
 下垂体手術:④海綿静脈洞浸潤性下垂体腺腫          山田正三
 下垂体手術:⑤合併症対策                 堀口健太郎
2 下垂体疾患の薬物療法                    髙野幸路
3 放射線治療                         佐藤健吾
D 下垂体前葉疾患各論
1 先端巨大症                         髙橋 裕
2 小児GH分泌不全症                    磯島 豪他
3 成人GH分泌不全症                     髙橋 裕
4 IGF-I異常症とIGF-I受容体異常症             藤本正伸他
5 中枢性思春期早発症                     大山建司
6 プロラクチノーマ                      杉原 仁
7 高プロラクチン血症                     巽 圭太
8 Cushing病                         沖  隆
9 subclinical Cushing病とsilent corticotroph adenoma     蔭山和則他
10 ACTH単独欠損症                      片上秀喜
11 Nelson症候群                       平田結喜緒
12 非機能性下垂体腺腫(ゴナドトロピン産生下垂体腺腫)     藤尾信吾他
13 特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症           田島敏広
14 TSH産生下垂体腺腫                     福原紀章
15 甲状腺ホルモン不応症(Refetoff症候群)           石井角保他
16 汎下垂体機能低下症                      須崎法幸
17 Sheehan症候群                      方波見卓行他
18 リンパ球性下垂体炎―前葉炎を中心に―             片上秀喜
19 IgG4関連(漏斗)下垂体炎                   島津 章
20 抗PIT-1抗体症候群                      井口元三他
21 頭部外傷後・脳血管障害後の下垂体機能低下症          齋藤洋一他
22 下垂体卒中                          北条雅人他
23 empty sella症候群                       泉山 肇
24 Rathke?胞                          西岡 宏
25 下垂体茎断裂症候群                      井口元三他
26 遺伝性下垂体疾患                       井口元三他
27 遺伝性・家族性下垂体腫瘍                   吉本勝彦他
28 トルコ鞍部肉芽腫性病変、Tolosa-Hunt症候群           西岡 宏
29 視床下部症候群                         杉山 徹
30 下垂体偶発腫瘍                        石井雄道他
31 下垂体癌と異型性下垂体腺腫                  松野 彰他
32 転移性下垂体腫瘍                       藤尾信吾他
33 トルコ鞍部グリオーマ(下垂体神経膠腫)             西岡 宏
34 頭蓋咽頭腫                           岡 秀宏
35 胚細胞腫瘍                           中村英夫
36 髄膜腫                           田中雄一郎他
E 下垂体後葉疾患各論
1 中枢性尿崩症                         山田穂高他
2 SIADH(ADH不適合分泌症候群)                岩﨑泰正
3 本態性高ナトリウム血症                    西山 充他
4 低ナトリウム血症と浸透圧性脱髄症候群              有馬 寛
5 リンパ球性漏斗下垂体後葉炎                   椙村益久

III Topics
1 ES/iPS細胞による下垂体分化とその応用              須賀英隆
2 下垂体腫瘍と(プロ)レニン受容体                谷 祐至他
3 下垂体前葉細胞と細胞外マトリックス―マトリクラインとは?―   屋代 隆他
4 リンパ球性下垂体炎と抗ラブフィリン3A抗体            椙村益久
5 本態性高ナトリウム血症とNax自己抗体              松田晋一
6 成人GH分泌不全症における新たな合併症NAFLD/NASH     髙橋 裕他
7 免疫チェックポイント阻害薬と下垂体炎              平田結喜緒
8 下垂体ホルモン補充療法における新規薬物療法の展望         髙橋 裕
9 下垂体腫瘍における新規薬物療法の展望             福岡秀規他
10 トルコ鞍部腫瘍に対する重粒子療法,陽子線療法         池田秀敏他
11 下垂体腫瘍手術の近未来―安全な内視鏡手術の普及を目指して―  光石 衛他

付 録
おもな下垂体機能検査・画像検査の判定基準・所見一覧         立木美香

索 引                                   

Column
・Rosalyn S. Yalow(1921-2011)                 平田結喜緒
・Roger Guillemin(1924-)                    芝﨑 保
・Grant W. Liddle(1921-1989)                 平田結喜緒
・Wyle W. Vale(1941-2012)                    芝﨑 保
・Kalman T. Kovacs(1927-)                   山田正三
・Andrew V. Schaly(1926-)                   千原和夫
・佐野壽昭先生(1949-2011)                   山田正三
・Harvey W. Cushing(1869-1939)                 沖 隆
・Julse Hardy(1932-)                      寺本 明
・有村 章先生(1923-2007)                   千原和夫
・鎮目和夫先生(1924-2015)                   肥塚直美
・Geoffrey W. Harris(1913-1971)               平田結喜緒
・佐野圭司先生(1920-2011)                   寺本 明
Information
・難病対策:間脳下垂体機能障害7疾患の概要             髙橋 裕
・厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業
「下垂体疾患の診断と治療の手引き」に関連したホームページ紹介   髙橋 裕他
Side Memo
・Knospの分類                           山田正三
・germinomaは胚細胞腫か、それとも胚腫か?             西岡 宏
・下垂体(hypophysis; pituitary)の語源は?             平田結喜緒
・アイルランドの巨人(The Irish Giant)

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序文

改訂第2版 推薦の言葉

 下垂体はいくつかの内分泌腺の機能を調節する,いわゆるマスター・グランドとして早くから注目されてきた.特に20世紀後半になると,ラジオイムノアッセイの導入と,下垂体ホルモンの分泌を調節する視床下部ホルモンの発見と臨床応用,さらには画像診断の進歩によって,下垂体疾患の診断と治療は著しく進歩した.わが国で難病研究が始まると,内分泌学の領域では間脳下垂体疾患が最初から取り上げられ,形を変えながらも現在まで続いているのも,こうした理由からであろう.
 21世紀に入るとゲノム研究の進歩によって,腺腫や先天性疾患におけるゲノムの異常が明らかになりつつあり,下垂体疾患の成因に関する知見が著しく発展した.また免疫学など周辺分野の知見,画像診断や手術手技の進歩もめざましく,下垂体疾患の成因・診断・治療は,日進月歩の勢いで進んでいる.
 平田結喜緒,山田正三,成瀨光栄三氏によって編纂された「下垂体疾患診療マニュアル」(初版)は,下垂体の基礎から臨床までを解説した好著として,この分野の知識の普及に大きく貢献してきた.初版以来数年が経過したので,このたび改訂され,新たに最近のトピックスも加えて,装いも新たな第2版が出版されることとなった.この版には,下垂体研究の中堅とも言うべき沖 隆,髙橋 裕の二氏も編集協力として参加し,その結果本書の厚みも著しく増したと考えられる.
 下垂体疾患は比較的まれなものであり,その検査法などもやや特殊で,一般の医家や研修医にはなじみにくいところがあると思われる.本書はそれらをわかりやすく解説しており,内分泌学が専門でない人にも役立つものと考えられる.したがって本書を,下垂体という,小さいが重要な臓器の疾患をよりよく理解するため,多くの臨床医家に推薦したい.

2016年10月
京都大学名誉教授
井村裕夫


改訂第2版 「診断と治療社 内分泌シリーズ」について

 内分泌疾患は特徴的身体所見から診断が容易な先端巨大症,Cushing症候群などの疾患から,高血圧,糖尿病,脂質異常症などcommon diseaseと同様の病態を呈するため見逃されやすい原発性アルドステロン症のような疾患までその表現型は多様である.いずれの疾患も診断の遅れは患者の生命予後に重大な影響を及ぼすことから,その診療水準の維持,向上はわが国における国民健康の増進および医療費の観点から極めて重要な課題である.しかし,近年,「頻度が少ない」との理由で内分泌疾患診療の重要性が必ずしも十分に認識されず,臨床現場で軽視される傾向がある.その原因として,内分泌学・内分泌診療の重要性の社会へのアピールが不十分なことが背景にあると考えられるが,それとともに,経験ある専門医や内分泌疾患に関する系統的な書籍が不足していることも関連しているといえる.
 編者らはこれまで,わが国の内分泌疾患の診療水準の向上を目的として『内分泌代謝専門医ガイドブック』をはじめとして,『原発性アルドステロン症診療マニュアル』『褐色細胞腫診療マニュアル』『クッシング症候群診療マニュアル』『甲状腺疾患診療マニュアル』『内分泌機能検査実施マニュアル』『内分泌性高血圧診療マニュアル』『内分泌画像検査・診断マニュアル』『もっとわかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル』など「診断と治療社 内分泌シリーズ」の企画・編集を行ってきた.『下垂体疾患診療マニュアル』はシリーズの10番目の書籍として企画されたものであり,このたび改訂第2版を出版することとなった.
 本書は視床下部・下垂体疾患の診療に必要な解剖,構造,ホルモン,機能検査,画像検査などの総論的事項と,多様な疾患の診断と治療に関する各論的事項を系統的にかつコンパクトにまとめた企画である.また本分野における最新のトピックスも取り入れ,アップデートな内容とした.執筆は当該分野でわが国を代表する諸先生方に分担をお願いした.多忙ななか,ご協力いただいたすべての先生方に改めて御礼申し上げるとともに,本書がわが国の下垂体疾患の診療水準向上に貢献できれば幸いである.

2016年10月
国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター 特別研究員
成瀬光栄


改訂第2版序文

 近年,診断技術の飛躍的な向上と有効な治療法の普及により,下垂体疾患の診療は内分泌専門医にとって極めて重要となっている.Harrisにより提唱された「下垂体の神経調節」仮説(1952年)は,GuilleminやSchallyらによるTRH(1969年),GnRH(1971年),ソマトスタチン(1973年),CRH(1981年),GHRH(1982年)など視床下部ホルモンの相次ぐ発見により実証された.またBersonとYalowはRIAを開発し(1959年),血中や組織中の微量なホルモンの測定を可能にした.ヒトでの視床下部ホルモンの投与やRIAを用いた血中ホルモン測定の臨床応用により,下垂体疾患の診断が飛躍的に向上した.加えてCTやMRIといった画像診断の技術が開発,臨床応用され,視床下部・下垂体領域の病変の部位診断が容易となった.現在では内分泌検査による下垂体ホルモン分泌の機能評価と画像検査による下垂体病変の形態評価の両者は,下垂体疾患の診断に不可欠な手段の両輪となった.一方,下垂体疾患の治療法の開発や臨床応用も飛躍的に向上した.下垂体腫瘍の外科的治療法は,より侵襲性が少なく,選択的に腫瘍切除が可能な経蝶形骨洞手術(TSS)が主流となり,現在では顕微鏡下から内視鏡下TSSへと変遷している.一方,薬物治療もプロラクチノーマは,持続型ドパミン作動薬による薬物治療が現在では第一選択となった.先端巨大症では当初ドパミン作動薬から最近ではソマトスタチンアナログ(SSA),GH受容体拮抗薬が導入され,さらには持続型あるいは受容体選択的SSAなど薬物選択肢が広がった.Cushing病でも5型受容体選択的SSAの有用性が検証されている.放射線治療については,従来の分割照射から病巣をピンポイントに照射し短時間で終了できるガンマナイフやサイバーナイフを用いた定位放射線治療へと変遷している.
 さらにわが国の医療行政でもこれまで厚労省難病対策として「難治性疾患克服研究事業」が推進され,間脳下垂体機能障害研究班からは各下垂体疾患の「診断と治療の手引き」が策定され,また2009年から下垂体7疾患が新たな特定疾患として国から医療助成が受けられるようになった.2015年からは新しく難病医療法が施行され,「難治性疾患事業政策研究事業」では従来通りの下垂体疾患の実態調査,診断基準,診療ガイドラインの確立・改訂が継続され,新たに「難治性疾患実用化研究事業」では日本医療研究開発機構(AMED)による難病克服プロジェクトが開始され,下垂体疾患での新規医療技術の実用化,創薬などに期待が寄せられている.
 今回の『下垂体疾患診療マニュアル』改訂第2版では下垂体疾患の診療に必要な各診療科からのガイダンスに始まり,理解を深めるために総論として基礎知識(発生・分化・解剖,生理,生化学,病理)と臨床知識(疫学,成因,分類,診断,治療)を概説し,各論として下垂体前葉疾患と下垂体後葉疾患を系統的にまとめて解説した.「トピックス」では現在下垂体領域で注目されている新たな知見,疾患概念,新規の診断法や治療法などを取り上げ解説し,また「コラム」ではこれまで下垂体分野の基礎・臨床研究で多大な貢献された偉人達を紹介した.
 今回改訂刊行される『下垂体疾患診療マニュアル』が実地医療で広く活用され,比較的稀とされる下垂体疾患で一人でも多くの患者さんが的確な診断と最適の治療が受けられるのに役立てば望外の喜びである.
 最後に,多忙な業務の合間に執筆していただいた各執筆者の先生方ならびに「推薦の言葉」をいただいた恩師井村裕夫先生に深謝いたします.また本書の作成を推進していただいた診断と治療社編集部の小川原智氏,寺町多恵子氏に感謝いたします.

2016年10月
公益財団法人先端医療振興財団・先端医療センター 病院長
東京医科歯科大学 名誉教授
平田結喜緒