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小児アレルギーエデュケーターテキスト 基礎篇 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:小児アレルギーエデュケーターテキスト 基礎篇 改訂第2版

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会 編集

改訂第2版 B5判 並製 128頁 2016年06月30日発行

ISBN9784787822659

定価:本体2,500円+税
  

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アレルギー疾患を総合的に捉え,患者教育を担うことができる専任のスタッフとして,小児アレルギーエデュケーターは社会的にも認知され,益々その需要が高まっている.3年前に学会編集によるテキストとして発行された2分冊のテキストを,最新のガイドラインに準じた内容となるよう,このたび改訂した.資格取得を目指す看護師,薬剤師,管理栄養士のほか,アレルギー診療を積極的に実施したい医師やメディカルスタッフにも必読の書である.

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目次

改訂第2版 刊行によせて…赤澤 晃
刊行によせて…赤澤 晃
改訂第2版 はじめに…小田嶋 博
執筆者一覧

第Ⅰ章 アレルギーの基礎知識…小田嶋 博
 1 アレルギーの説明に必要な免疫の知識
  A 免疫系
  B 自然免疫と獲得免疫
  C アレルギーにかかわる細胞やタンパク質
  D アレルギー反応の種類
 2 アレルギーの疫学
  A アレルギー疾患の疫学的特徴
  B 国際的な疫学調査の手法
  C 地域差

第Ⅱ章 気管支喘息…亀田 誠
 1 病態生理と症状
  A 呼吸器の構造と機能
  B 喘息の定義と診断基準
  C 疫 学
  D 気管支喘息のメカニズム
  E 発作の強度
  F 重症度とコントロール状態
  G 合併症と鑑別診断
 2 検  査
  A スパイロメーター
  B 気道過敏性,運動負荷試験
  C アレルゲンの検索
 3 治  療
  A 長期治療目標
  B 重症度にあわせた標準治療
  C 薬物療法
  D 吸入療法の種類と特徴
 4 悪化因子の対策
  A アレルギー的発作誘因(アレルゲン)
  B 非アレルギー的発作誘因
  C 室内環境の発作誘因への対策
  D 運動誘発喘息(exercise-induced asthma:EIA)
 5 発作への対処方法
  A 発作時の観察方法
  B 家庭での対応
  C 医療機関での対応
  D 発作時の薬物療法
 6 発達段階別の喘息の特徴
  A 乳幼児
  B 学童期
  C 思春期

第Ⅲ章 アトピー性皮膚炎…赤澤 晃
 1 病態生理と症状,検査
  A 皮膚の構造と機能
  B アトピー性皮膚炎の病態
  C 症 状
  D 定義・診断基準,鑑別診断
  E 重症度評価
  F 疫 学
  G 悪化因子
  H 合併症
  I 検 査
 2 治  療
  A 原因・悪化因子の検索と対策
  B スキンケア
  C 薬物療法
 3 治療の流れ
 4 日常生活管理

第Ⅳ章 食物アレルギー…伊藤 浩明
 1 病態生理と症状
  A 定 義
  B 疫 学
  C 発症機序
  D 臨床型分類
  E 症 状
 2 アレルゲン食品
  A 食物アレルゲンとは
  B アレルゲン食品の知識
 3 診断と検査
  A 診断の流れ
  B 病歴の把握
  C 食物経口負荷試験
  D 血液検査
  E 皮膚プリックテスト
 4 治  療
  A 食事指導の基本姿勢
  B アレルゲン別食事指導のポイント
  C 誘発症状に対する治療と看護

第Ⅴ章 その他のアレルギー…小田嶋 博
 1 アレルギー性鼻炎
  A 定 義
  B 分 類
  C 治 療
  D 花粉症
 2 アレルギー性結膜炎
  A 定義,分類
  B 特 徴
  C 疫 学
  D 症 状
  E 予防,セルフケア
  F 治 療
  G 合併眼疾患
 3 その他のアレルギー疾患
  A ラテックスアレルギー
  B 蕁麻疹
  C 化学物質による遅延型アレルギー

索  引

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序文

改訂第2版 刊行によせて

 本書が刊行されてから3年が経ちました.医学の進歩は日進月歩で,アレルギー分野でも新たな進歩がありました.新たな薬剤として,抗IgE抗体製剤やサイトカインなどをターゲットとした生物学的製剤,アレルギー免疫療法の新たなルートとして舌下免疫療法の製剤が登場しました.検査手法,気道過敏性検査薬剤の登場,新たな特異IgE抗体項目も登場しています.
 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」,「喘息予防・管理ガイドライン2015」,「アレルギー性鼻炎診療ガイドライン」も改訂されました.
 アレルギー予防の臨床研究においても新たな知見が報告されました.皮膚からのアレルゲン感作の予防が将来のアレルギー発症に関係するという研究がさかんに行われるようになり,昔の食物制限によるアレルギー発症予防とは180度方向が変わったようにも考えられる研究結果が発表されてきました.
 われわれアレルギーを専門に診ていく医療チームは,最先端では何をしているのかを常に意識して,実際の現場ではどのように対応していったら良いかを,専門医とよくディスカッションすることが必須です.
 日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会の認定する小児アレルギーエデュケーター制度も,今年で8期目となりました.全国ですでに300名を超える小児アレルギーエデュケーターが活躍をしています.食物アレルギーでは,緊急時の対応として,平成27年3月に文部科学省から新たな対応指針と研修用DVDが発行されました.エデュケーターが学校関係者の指導をする機会も増えてきました.気管支喘息では,吸入指導にスペーサーの保険点数が一部認められ,適切な吸入指導をすることが必須になってきました.アトピー性皮膚炎では,プロアクティブ療法がだいぶ市民権を得てきたようです.適切なスキンケア指導と軟膏使用量の一層の推進が望まれます.
 本書は,当初,小児アレルギーエデュケーターを目指すメディカルスタッフの皆さま向けに編集をしましたが,本書と同様の書籍が他にはありません.診療ガイドラインでは,具体的な患者指導の記載がなかったり,わかりにくい部分に関して本書では詳しく解説していることから,アレルギー診療を積極的に実施していきたい医師を含めてメディカルスタッフにも活用していただいています.アレルギー診療の実践の現場で,本書がお役に立つことができ,アレルギー疾患をもつ患者,家族の皆さまのQOLが向上することを期待しています.
 最後に,本書を改訂するにあたり,日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事,監事,会員の皆様,そして,初版に引き続き,皮膚科領域の執筆協力をいただきました京都府立医科大学大学院医学研究科 皮膚科学教授 加藤則人先生に厚く御礼申し上げます.

2016年6月

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事長 赤澤 晃


刊行によせて

 この20年間で医療の構造は大きく変化しました.疾患の病態解明,分子生物学の進歩,薬剤の開発,検査方法,指導方法の進歩により,科学的根拠に基づいた医療(evidence based medicine:EBM)が行われるようになりました.気管支喘息の治療においても,かつての喘息発作に対する対症療法だけではなく,気道炎症をおさえるという概念に基づいて抗炎症薬を使用することにより,喘息発作を起こさないようにする治療が可能になりました.その結果,喘息発作による死亡数と入院患者数は激減し,今日では気管支喘息は外来診療で診ていく疾患に変わりました.
 しかし,現在のガイドラインに沿った治療でも,まだ気管支喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーを完全に治癒することはできません.慢性疾患として適切な管理,症状のコントロールをすることでQOLの向上を図る患者指導が不可欠なのです.
 アドヒアランスの向上はアレルギー疾患に限らず,多くの慢性疾患においての課題です.医療者と患者が同じ視点で治療を行っていくためには,どうしたら良いでしょうか.正しい病態の理解,治療方法の理解,そして継続的治療を行っていくための医療チームによるサポートが不可欠です.チーム医療という概念も,この20年間における医療の進歩のひとつです.チーム医療も慢性疾患管理においては,その中心は医師とは限りません.適切な知識と技術を持ったコメディカルスタッフのほうがうまくいく場合があります.こうしたしくみはスキルミクス(多職種協働)という考え方です.医師のチームリーダーの下に入って,指示されたことだけを実施しているのではなく,対象とする疾患に関する高度な知識と患者指導技術,権限を持ってチームのメンバーがそれぞれ主体的にかかわっていくしくみです.もちろん,チームリーダーは医師である必要はありません.
 次世代のスキルミクスに基づいたアレルギー疾患のチーム医療を推進することは,今日でも増加を続ける気管支喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー医療の解決策といえます.日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会では,小児アレルギーエデュケーター制度により,高度な知識と技術を身に付けたコメディカルスタッフを学会で認定することにより,これからのアレルギー医療を大きく変えようとしています.
 本書は,小児アレルギーエデュケーターを目指すコメディカルスタッフの皆さんのために編集いたしました.内容はかなり高度なものとなっていますが,アレルギーを専門とする医師とともに治療方針についてディスカッションをするためには必要な内容です.多くの専門的知識を持つコメディカルスタッフが育つことで,アレルギー疾患を持つ患者のQOLが向上することを期待しています.
 最後に,本書を編集するにあたり,日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事,監事,会員の皆様,そして,皮膚科領域の執筆協力をいただきました京都府立医科大学大学院医学研究科  皮膚科学教授  加藤則人先生に厚く御礼申し上げます.

2013年11月

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事長 赤澤 晃


改訂第2版 はじめに

 アレルギー疾患は近年,増加しています.しかし最近は,治療方法の進歩とその普及によって,これが適切に行われれば,多くのアレルギー疾患がコントロールされるようになってきました.実際,アレルギー性鼻炎や花粉症は増加していますが,重症な喘息発作やアトピー性皮膚炎の児は,学童以上では減少しています.
 一方,今なお,救急車で紹介入院となる喘息重症発作児や,コントロール不良のため,低体重で発育障害を伴うアトピー性皮虜炎の児も来院します.喘息の治療の中心となるのは,非発作時を含めた適切な薬剤の使用方法や環境対策であり,これが行われることが重要です.同様なことは,他のアレルギー疾患においてもいえます.しかし,このことは決して簡単ではありません.また,十分に行われてはいません.
 なぜなら,多くの医師が多忙な日常臨床の中で,1人で行うには限度があるからです.また,1回の指導のみで患者や家族に伝えることにも限界があります.さらに,患者や家族は多くの医療関係者から疾患についての情報を得ていますが,この情報の中には相反するものもあり,混乱することもあるのが現実です.
 このような中,患者の側に立ってこれらの情報を整理する者として,最も適切な立場にいるのが看護師であり,さらに薬剤師,管理栄養士などの職種の協力が重要な鍵を握っています.しかし,専門性を持ったこれらの職種を育成するのは容易ではありませんでした.
 そこで,日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会では,2008年からまず,アレルギー専門の看護師を育成することを計画しました.そして一年間の努力の末,2009年から第1号のアレルギー専門の看護師が,小児アレルギーエデュケーター第1期生として誕生しました.
 医学の進歩とともに,学ぶべき事項に終わりはありませんが,基本となる情報のまとめとして,このテキストが作成されました.そして早くも第2版が出版されることになりました.
 小児アレルギーエデュケーター制度は8年目ですが,エデュケーターの皆さんの活躍が認知されるようになりつつあります.しかし,社会的にその力が認知され,1つの資格として定義して行くこと,そして社会や医療の変化の中でそれに対応して活躍を続けて行くことが患者さんにとっても大切です.
 そのためにも実力のある,誰からも認められ,期待され,信頼されるエデュケーターが育っていってもらいたいと思います.そのためには,まず,基礎的な知識,技能をしっかりと身に付け,そのうえで実践的に患者・家族と接することができることが大切です.したがって,本テキストも『基礎篇』と『実践篇』の2つに分かれています.どちらか片方だけでは,臨床は不可能だからです.
 実際の臨床では,たくさんのテキストや資料から必要な所を探して知識を身に付けるという作業も,実は大切です.このテキストのみで納得することなく,必要に応じて他の文献でさらに詳しく調べてみる,実際の臨床で実践評価してみる,といった作業の大切さも忘れずに,入口としてこのテキス卜を活用していただければ幸いです.
 そして,1人でも多くのアレルギーの患者さんのために,皆様の御活躍を祈っております.

2016年6月

編集委員代表 国立病院機構福岡病院小児科 小田嶋 博