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チーム医療と患者教育に役立つ
小児アレルギーエデュケーターテキスト 実践篇 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:小児アレルギーエデュケーターテキスト 実践篇 改訂第2版

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会 編集

改訂第2版 B5判 並製 128頁 2016年06月30日発行

ISBN9784787822666

定価:本体2,500円+税
  

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アレルギー診療において,小児アレルギーエデュケーターによる治療管理,生活管理,アドヒアランスの向上を計画・実施していくことが当たり前となってきた.小児アレルギーエデュケーター資格取得を目指す看護師,薬剤師,管理栄養士に向けた学会編集による2分冊のテキストをこのたび3年ぶりに改訂し,最新の情報を盛り込んだ.『実践篇』では各アレルギー疾患別に効果的な患者教育を,具体例とともに最新ガイドラインをふまえて解説している.

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目次

改訂第2版 刊行によせて…赤澤 晃
刊行によせて…赤澤 晃
改訂第2版 はじめに…及川 郁子
執筆者一覧

第Ⅰ章 患者教育総論…益子 育代
 1 アレルギー疾患における患者教育の位置付け
  A 患者教育の重要性
 2 患者教育の基本的理解
  A アドヒアランスとその阻害要因
  B 患者教育を行うための基礎的理論
  C 患者教育に役立つコミュニケーションスキルと指導技術
 3 患者教育の目的
  A 小児アレルギーエデュケーターに求められる能力
  B 患者教育の対象
  C 患者・家族とのパートナーシップの確立
  D 治療目標の共有化
  E アドヒアランスの向上
 4 アドヒアランスのアセスメントと対応
  A 認識不足により実行できないノンアドヒアランス
  B 治療に対する心理的抵抗によるノンアドヒアランス
  C 治療に対する負担が強いためのノンアドヒアランス
  D 治療スキル不足
  E 悪化因子の探索と対策
  F 治療行動に対する自己効力感の強化
  G 支援体制の調整
  H 治療中断の防止

第Ⅱ章 気管支喘息の患者教育…益子 育代
 1 治療の変遷と患者教育
  A 1980年代まで
  B 1990年代以降
  C ガイドラインの普及と小児アレルギーエデュケーター
 2 教育内容
  A 病態生理の理解
  B 薬物療法
  C 吸入指導
  D 悪化因子の対策
  E セルフモニタリング
  F 発作時の対応  4)のみ…堀江 淳
 3 コントロール状態の評価
  A 喘息コントロール状態の評価
  B コントロール状態を判定する指標
 4 患者教育の展開
  A 救急外来での指導
  B 初 診
  C 2回目の受診
  D その後の受診
  E 外来指導の留意点
  F 短期目標の設定

第Ⅲ章 アトピー性皮膚炎の患者教育…金子 恵美
 1 アトピー性皮膚炎と患者教育
  A ステロイド外用薬とアトピービジネス
  B アトピー性皮膚炎の患者教育
 2 患者教育の内容
  A 病態生理
  B 症状のコントロール
  C 悪化因子の対策
 3 場面に応じた患者教育
  A 外来での患者教育
  B 入院での患者教育
  C 継続的支援
 4 コントロール状態の評価
  A 症状評価
  B QOLの評価
  C 成長発達,栄養状態の評価
 5 アドヒアランスの評価と支援
  A ノンアドヒアランスとなる要因
  B アドヒアランスの向上と維持を目指した対策
  C 治療の中断を起こさないために

第Ⅳ章 食物アレルギーの患者教育…今井 孝成,長谷川 実穂
 1 食物経口負荷試験の実践
  A 目 的
  B 適 応
  C 試験方法
  D 看護のポイント
  E 結果に基づく食事指導
 2 社会生活上の指導ポイント
  A アレルゲン食品表示制度
  B 日常生活における誤食事故の防止
  C 園・学校での食物アレルギー対応
  D 行事・外食・旅行などでの対応
 3 QOL向上を目指した生活指導
  A 妊娠・授乳中の母親の食事
  B 離乳食の進め方
  C 成長発達・栄養管理
  D 患児・家族のQOL
 4 アナフィラキシーと救急対応
  A 重篤な症状と緊急性の判断
  B アドレナリン
  C エピペンⓇ
 5 重症例・特殊な場面への対応
  A 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
  B 経口免疫療法の現状と展望
  C 災害に備えた対策
  D 不安の強い保護者へのメンタルケア
  E 適切ではない治療への対処

第Ⅴ章 社会的対応…赤澤 晃
 1 アレルギー医療のサポート
  A 情報発信
  B 治療・対応ガイドラインの整備
  C 法的整備
  D 医療費
 2 生活管理指導表

索  引

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序文

改訂第2版 刊行によせて

 本書が刊行されてから3年が経ちました.医学の進歩は日進月歩で,アレルギー分野でも新たな進歩がありました.新たな薬剤として,抗IgE抗体製剤やサイトカインなどをターゲットとした生物学的製剤,アレルギー免疫療法の新たなルートとして舌下免疫療法の製剤が登場しました.検査手法,気道過敏性検査薬剤の登場,新たな特異IgE抗体項目も登場しています.
 「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」,「喘息予防・管理ガイドライン2015」,「アレルギー性鼻炎診療ガイドライン」も改訂されました.
 アレルギー予防の臨床研究においても新たな知見が報告されました.皮膚からのアレルゲン感作の予防が将来のアレルギー発症に関係するという研究がさかんに行われるようになり,昔の食物制限によるアレルギー発症予防とは180度方向が変わったようにも考えられる研究結果が発表されてきました.
 われわれアレルギーを専門に診ていく医療チームは,最先端では何をしているのかを常に意識して,実際の現場ではどのように対応していったら良いかを,専門医とよくディスカッションすることが必須です.
 日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会の認定する小児アレルギーエデュケーター制度も,今年で8期目となりました.全国ですでに300名を超える小児アレルギーエデュケーターが活躍をしています.食物アレルギーでは,緊急時の対応として,平成27年3月に文部科学省から新たな対応指針と研修用DVDが発行されました.エデュケーターが学校関係者の指導をする機会も増えてきました.気管支喘息では,吸入指導にスペーサーの保険点数が一部認められ,適切な吸入指導をすることが必須になってきました.アトピー性皮膚炎では,プロアクティブ療法がだいぶ市民権を得てきたようです.適切なスキンケア指導と軟膏使用量の一層の推進が望まれます.
 本書は,当初,小児アレルギーエデュケーターを目指すメディカルスタッフの皆さま向けに編集をしましたが,本書と同様の書籍が他にはありません.診療ガイドラインでは,具体的な患者指導の記載がなかったり,わかりにくい部分に関して本書では詳しく解説していることから,アレルギー診療を積極的に実施していきたい医師を含めてメディカルスタッフにも活用していただいています.アレルギー診療の実践の現場で,本書がお役に立つことができ,アレルギー疾患をもつ患者,家族の皆さまのQOLが向上することを期待しています.
 最後に,本書を改訂するにあたり,日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事,監事,会員の皆様,そして,初版に引き続き,皮膚科領域の執筆協力をいただきました京都府立医科大学大学院医学研究科 皮膚科学教授 加藤則人先生に厚く御礼申し上げます.

2016年6月

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会
理事長 赤澤 晃


刊行によせて

 この20年間で医療の構造は大きく変化しました.疾患の病態解明,分子生物学の進歩,薬剤の開発,検査方法,指導方法の進歩により,科学的根拠に基づいた医療(evidence based medicine:EBM)が行われるようになりました.気管支喘息の治療においても,かつての喘息発作に対する対症療法だけではなく,気道炎症をおさえるという概念に基づいて抗炎症薬を使用することにより,喘息発作を起こさないようにする治療が可能になりました.その結果,喘息発作による死亡数と入院患者数は激減し,今日では気管支喘息は外来診療で診ていく疾患に変わりました.
 しかし,現在のガイドラインに沿った治療でも,まだ気管支喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーを完全に治癒することはできません.慢性疾患として適切な管理,症状のコントロールをすることでQOLの向上を図る患者指導が不可欠なのです.
 アドヒアランスの向上はアレルギー疾患に限らず,多くの慢性疾患においての課題です.医療者と患者が同じ視点で治療を行っていくためには,どうしたら良いでしょうか.正しい病態の理解,治療方法の理解,そして継続的治療を行っていくための医療チームによるサポートが不可欠です.チーム医療という概念も,この20年間における医療の進歩のひとつです.チーム医療も慢性疾患管理においては,その中心は医師とは限りません.適切な知識と技術を持ったコメディカルスタッフのほうがうまくいく場合があります.こうしたしくみはスキルミクス(多職種協働)という考え方です.医師のチームリーダーの下に入って,指示されたことだけを実施しているのではなく,対象とする疾患に関する高度な知識と患者指導技術,権限を持ってチームのメンバーがそれぞれ主体的にかかわっていくしくみです.もちろん,チームリーダーは医師である必要はありません.
 次世代のスキルミクスに基づいたアレルギー疾患のチーム医療を推進することは,今日でも増加を続ける気管支喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー医療の解決策といえます.日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会では,小児アレルギーエデュケーター制度により,高度な知識と技術を身に付けたコメディカルスタッフを学会で認定することにより,これからのアレルギー医療を大きく変えようとしています.
 本書は,小児アレルギーエデュケーターを目指すコメディカルスタッフの皆さんのために編集いたしました.内容はかなり高度なものとなっていますが,アレルギーを専門とする医師とともに治療方針についてディスカッションをするためには必要な内容です.多くの専門的知識を持つコメディカルスタッフが育つことで,アレルギー疾患を持つ患者のQOLが向上することを期待しています.
 最後に,本書を編集するにあたり,日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事,監事,会員の皆様,そして,皮膚科領域の執筆協力をいただきました京都府立医科大学大学院医学研究科  皮膚科学教授  加藤則人先生に厚く御礼申し上げます.

2013年11月

日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会
理事長 赤澤 晃


改訂第2版 はじめに

 日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会が小児アレルギーエデュケーター制度を2009年より開始して7年目に入り,小児アレルギーエデュケーターの資格取得者は350名(2016年6月現在)を超すほどになりました.当初は看護師だけでしたが,2013年より薬剤師や管理栄養士も資格取得が可能となり,着実に増えています.また,一定の単位を取得しての5年ごとの更新も始まり,長期的に活躍しようとする資格者も出てきました.
 小児アレルギーエデュケーター(以下,PAE:pediatric allergy educator)とは,専門的知識と技術を持って,コントロールの難しい喘息やアレルギー疾患児・家族への患者教育を通して,治療・生活管理への向上に寄与するものであり,患児や家族,メディカルスタッフへのアレルギー疾患に関する教育のできる専門職です.具体的な役割や活動としては,以下のような内容が含まれます.
  ①患児や家族,医療者と治療目標を共有し,アレルギー疾患の症状の適切なアセスメントとコントロールへの支援
  ②アレルギー疾患の患児や家族へのアドヒアランスの向上のための教育・指導・助言
  ③治療・療養過程で体験する患児や家族への精神的支援
  ④円滑な療養環境を維持するための,多(他)機関,各職種間の調整や連携・協働
  ⑤アレルギー疾患に関するメディカルスタッフへの相談や助言,教育など
 この役割の前提が,患児や家族,関係職種の人たちと信頼関係を築くことのできるコミュニケーション能力であることはいうまでもありません.
 制度発足後,PAEに必要な専門的知識や技術に関するカリキュラムを検討,最新の知見を含めて基礎講習会や認定講習会を開催してきました.今回の改訂では,一部内容の見直しを行い,初版同様,アレルギー疾患の基本的知識や患者教育の理論,具体的支援方法を身に付けることができるようになっています.もちろん,本書だけでは十分ではありませんが,患児や家族への具体的実践(患者教育)を通してその知識や技術が活かされ,また,さらに自分自身にとって必要な知識や技術が見えてくるでしょう.その時には,より専門的な文献や資料を調べること,自ら研究的に取り組んでいくことも必要になってくるかもしれません.
 本テキストを通して,患者教育への理解が深まるとともに,多くのアレルギー疾患のある子どもたちや家族のQOLの向上に貢献できることを願っています.

2016年6月

編集委員代表 東京家政大学子どもの保健研究室
 及川 郁子