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ミトコンドリア病診療マニュアル2017診断と治療社 | 書籍詳細:ミトコンドリア病診療マニュアル2017

日本ミトコンドリア学会  編集

千葉県こども病院代謝科

村山 圭 (むらやま けい) ミトコンドリア病診療マニュアル編集委員長

自治医科大学小児科学

小坂 仁 (おさか ひとし) ミトコンドリア病診療マニュアル編集副委員長

福井県立大学看護福祉学部

米田 誠(よねだ まこと) ミトコンドリア病診療マニュアル編集副委員長

初版 B5判 並製 172頁 2016年12月27日発行

ISBN9784787822710

定価:本体4,800円+税
  

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ミトコンドリア病がヒトの病気として初めて認識されて54年.ミトコンドリア病は,遺伝子解析の進歩により,ミトコンドリアDNA の新規変異に加えて,呼吸鎖活性に関連する多くの核遺伝子異常が同定されてきており,従来の病態・疾患体系を根本から見つめ直す必要がでてきた.本書は診療に活かす診断基準やフローチャートを掲載.ミトコンドリア病の診療に携わる医師に必携の一冊である.

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目次

発刊に寄せて
緒言
ミトコンドリア病診療にかかわる主な画像所見
ミトコンドリア病診断フローチャート
執筆者一覧
略語一覧

第1章 総 論
1 ミトコンドリア病の疾患概念
2 ミトコンドリア病の臨床症状
3 ミトコンドリア病の診断方法
4 ミトコンドリア病の全般的な治療法
5 ミトコンドリア病の栄養療法
6 ミトコンドリア病の日常生活
7 遺伝カウンセリング・家族スクリーニング
8 ミトコンドリア病における全身麻酔と鎮静
9 小児から成人への移行期医療問題の現状

第2章 各 論
A Leigh脳症
CQ 1 Leigh脳症とはどのような疾患ですか?
CQ 2 Leigh脳症の症状は?
CQ 3 Leigh脳症の診断の進め方は?(臨床検査)
CQ 4 Leigh脳症の診断の進め方は?(特殊検査)
CQ 5 Leigh脳症の鑑別診断は?
CQ 6 Leigh脳症の特異的な治療は?

B ミトコンドリア肝症
CQ 7 ミトコンドリア肝症とはどのような疾患ですか?
CQ 8 ミトコンドリア肝症の頻度は?
CQ 9 ミトコンドリアDNA枯渇症候群とミトコンドリア肝症の関連性は?
CQ10 ミトコンドリア肝症の予後は?
CQ11 ミトコンドリア肝症の症状は?
CQ12 ミトコンドリア肝症を疑う患者は?
CQ13 ミトコンドリア肝症の診断の進め方は?
CQ14 ミトコンドリア肝症の診断における肝生検の有用性と位置づけは?
CQ15 ミトコンドリア肝症の鑑別診断は?
CQ16 ミトコンドリア肝症の特異的な治療は?
CQ17 ミトコンドリア肝症の治療における肝移植の位置づけは?

C ミトコンドリア心筋症
CQ18 ミトコンドリア心筋症とはどのような疾患ですか?
CQ19 ミトコンドリア心筋症の症状は?
CQ20 ミトコンドリア心筋症の診断の進め方は?
CQ21 ミトコンドリア心筋症の鑑別診断は?
CQ22 ミトコンドリア心筋症の特異的な治療は?

D 新生児/乳児ミトコンドリア病
CQ23 新生児/乳児ミトコンドリア病とはどのような疾患ですか?
CQ24 新生児/乳児ミトコンドリア病を疑う産科歴は?
CQ25 新生児/乳児ミトコンドリア病を疑う家族歴は?
CQ26 新生児/乳児ミトコンドリア病の症状は?
CQ27 新生児期に行うべき一般検査は?
CQ28 新生児/乳児ミトコンドリア病が診断されずにSIDSとされていることは?
CQ29 死亡時に診断のためにできることは?

E MELAS
CQ30 MELASとはどのような疾患ですか?
CQ31 MELASの症状は?
CQ32 MELASの診断の進め方は?
CQ33 MELASの特異的な治療は?
CQ34 脳卒中様発作の病態の考え方は?
CQ35 MELASで知られている遺伝子変異は?
CQ36 MELAS患者への生活指導や学校指導の必要性は?
CQ37 MELASの予後は?

F MERRF
CQ38 MERRFとはどのような疾患ですか?
CQ39 MERRFの疫学(有病率,発症年齢)は?
CQ40 MERRFの遺伝形式は?
CQ41 MERRFの症状は?
CQ42 MERRFにみられるてんかん発作の特徴と対処は?
CQ43 MERRFの診断の進め方は?
CQ44 MERRFの鑑別診断は?
CQ45 MERRFの特異的な治療は?

G CPEO/KSS
CQ46 CPEO/KSSとはどのような疾患ですか?
CQ47 CPEO/KSSの遺伝形式は?
CQ48 CPEO/KSSの疫学(有病率,発症年齢)は?
CQ49 CPEO/KSSの症状は?
CQ50 CPEO/KSSにみられる心伝導障害,心合併症は?
CQ51 CPEOを伴った特殊な病態は?
CQ52 CPEO/KSSの遺伝子検査以外の検査は?
CQ53 CPEO/KSSの鑑別診断は?
CQ54 CPEO/KSSの特異的な治療は?

巻末資料
A ミトコンドリア病の患者会・役立つホームページ
B ミトコンドリア病で受けることのできる補助制度・サービス

索 引

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序文

発刊に寄せて

 ミトコンドリア病がヒトの病気として初めて認識されてから(Luft R, et al. J Clin Invest 1962)54年の歳月が流れました.
 現在,ミトコンドリア病の研究は,ミトコンドリアの分子生物学の発展とともに,自然科学におけるミトコンドリア機能がかかわる多くの病気・病態で新知見が生まれ,また,新規責任遺伝子の発見に伴い多くの新規病型の発見につながってきました.
 最近のミトコンドリア病研究の進歩とトピックスとして,以下の3点があげられます.
 第1は,遺伝子解析手法の進歩により,ミトコンドリアDNAの新規変異に加えて,呼吸鎖活性に関連する多くの核の遺伝子異常が同定されたこと,第2は,ミトコンドリアの機能に直接影響する新たな核の遺伝子群が同定されたことです.これにより,従来のミトコンドリア病の病態・疾患体系についての認識を根本から変えなければいけない新しい概念の提唱につながりました.第3は,ミトコンドリア病に対する薬物治療の開発が進んできたことです.
 今回,ミトコンドリア病の系統的な冊子体として,初めて発刊される日本ミトコンドリア学会(編)「ミトコンドリア病診療マニュアル2017」は,現時点における最新の内容を含んでいます.ミトコンドリア病の診療に携わる医師にとって必須ともいえる内容のため,ぜひ診察室に備えていただき,ミトコンドリア病を診療するにあたってご活用していただきたい一冊となっております.

2016年12月

日本ミトコンドリア学会理事長
古賀靖敏


緒言

 この度,ミトコンドリア病の各臨床病型に対応した「ミトコンドリア病診療マニュアル2017」が完成し,発刊される運びとなった.本書は,日本ミトコンドリア学会の強力な支援のもと,厚生労働省(現・日本医療研究開発機構:AMED)難治性疾患実用化研究事業「ミトコンドリア病診療の質を高める,レジストリシステムの構築,診断基準・診療ガイドラインの策定および診断システムの整備を行う臨床研究」を課題とした研究班(研究代表者 村山 圭)で診療マニュアル策定委員会を立ち上げ,日本先天代謝異常学会,日本小児栄養消化器肝臓学会,日本神経学会,日本小児神経学会,日本新生児成育医学会の各学会にご協力をいただき策定された.策定にかかわっていただいた多くの委員の皆さま,学会および関係者の皆さまに深く御礼申し上げたい.

 これまでわが国におけるミトコンドリア病の診療は,各施設の主治医の努力に頼って行われてきた.疾患情報はMELASを代表とするミトコンドリア脳筋症,Leigh脳症などの一部に限られ,体系的に統一された診療指針のようなものは存在しなかった.2014年から本研究班が発足し,3つの柱を打ち立てた.1.診断基準・診療マニュアルの策定,2.レジストリ構築,3.診断システムの確立,の3つである.この3つの柱は,日本におけるミトコンドリア病の診療・研究の基盤となる極めて重要な項目であり,この診療マニュアルはその一角をなすものである.
 研究班の発足当初はできる限りガイドライン(GL)としての作成を試みたが,策定委員会における議論の中で,疾患のエビデンス不足などの問題により,現時点では全体としてGL化は難しく,「診療マニュアル」という形での作成することが良いと判断した.それでも各病型ともGLを強く意識したものにできあがっている.「ミトコンドリア肝症」に関しては日本小児栄養消化器肝臓学会において学会員の中から策定メンバーが選出され,学会規定のGL策定に則って進めたことにより,「ミトコンドリア肝症」部分を同学会のGLとして認められるに至った.実際の現場では肝移植に至る様な症例が年々診断されてきているなかで,そうした診療に深くかかわる学会の中でGL化されることは,非常に重要な事である.
 今回の診療マニュアル策定において最も有意義であったことは,多くの本疾患に関わるエキスパートが集まり,長い時間にわたり議論がなされ意見が集約されたことであろう.こうした議論はこれまでに無く,ミトコンドリア病の患者さんの診療にあたっている全国の医療従事者に対して,現時点で示すことのできる最大限の内容となっている.
 世界的にみてミトコンドリア病に対する根治療法というべき治療は,依然として存在していない.診療マニュアルの中にも現在の治療について多く記されているものの,同時に限界もまた存在する.こうしたことは他の多くの稀少難病においても同様である.それでも一部の稀少疾患である先天代謝異常症において,特異的治療法が開発され市販されるようになってきていることは,一筋の光ともいえる.私たち医療従事者にできることは,ミトコンドリア病の診療体制をしっかりと築きあげ,丁寧な診療を積み重ねつつ,治療法の開発・普及を進めていくことである.
 このマニュアルは守らなくてはいけない規則ではない.一人一人の患者さんへの治療は,主治医を中心とした医療スタッフが総合して判断し行われるべきものである.本書は現時点での数少ないエビデンスや経験に基づいたものであり,発刊後もエビデンスの創出や収集と,それに基づく改訂を重ねていかなければならないのは自明である.多くの方々に使用していただきつつ,問題点を整理しながら,未来のより良き診療マニュアル・GLに育て上げていければ幸いである.その際はまたミトコンドリア病にかかわる多くの皆さまのご協力を心から御願いしたい.
 本書が現場のミトコンドリア病の患者さんに向き合う医療従事者にとって有益なものとなり,多くの患者さんのために役立つことを切望する.

2016年12月

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業
「ミトコンドリア病診療の質を高める,レジストリシステムの構築,
診断基準・診療ガイドラインの策定および診断システムの整備を行う臨床研究」
研究代表者
村山 圭