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シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2019診断と治療社 | 書籍詳細:シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2019

日本先天代謝異常学会 編集

初版 B5判 並製ソフトカバー 2色刷 80頁 2019年11月01日発行

ISBN9784787824240

定価:本体2,800円+税
  

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厚労省研究班と日本先天代謝異常学会の協働によるエビデンスに基づくガイドライン.本症は症例数の少なさから,一般小児科医,さらにはファンコーニ症候群を診療することの多い小児腎臓科医にとっても,診断に至るまでの正しい過程を踏むことのむずかしい疾患である.本ガイドラインは,全国の患者さんが等しくレベルの確保された医療を受けられるために作成された.難病指定医さらには一般診療医の先生方にお役立ていただきたい.

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目次

序文
診療ガイドラインの刊行にあたって
診療ガイドラインの編集にあたって
診療ガイドラインの作成方法に関して
作成組織
作成委員の利益相反
使用上の注意
改訂について
I はじめに 
 本ガイドラインの対象となる患者
 ガイドライン作成の経緯および目的
 想定される利用者
II シスチノーシスの概要
 疾患の概要
 病型および主要症状
 疫学的特徴
 臨床検査と確定診断
 治療と健康管理
 重症度分類
III バックグラウンドクエスチョン(BQ)
 BQ 1 シスチノーシスの原因は何か?
 BQ 2 シスチノーシスの臨床症状および自然経過は?
 BQ 3 シスチノーシスの遺伝様式は?
 BQ 4 シスチノーシスの発症頻度は?
 BQ 5 シスチノーシスの確定診断は?
 BQ 6 シスチノーシスの治療は?
 BQ 7 システアミンを服用する際の注意点は?
 BQ 8 シスチノーシス患者の健康管理は?
 BQ 9 社会保障などについては?
IV クリニカルクエスチョン(CQ)
 CQ 1 シスチノーシスの診断において,遺伝子診断は推奨できるか?
 CQ 2 シスチノーシスにおいて,システアミン治療開始時期は,治療の有効性に影響するか?
 CQ 3 システアミンの服用は,生命予後を改善するか?
 CQ 4 システアミンの服用は,腎透析あるいは腎移植時期を遅延させるか?
 CQ 5 システアミンの服用は,甲状腺機能低下症の発症率低下に有効か?
 CQ 6 システアミンの服用は,筋萎縮,筋力低下の遅延に有効か?
 CQ 7 システアミンの服用は,肺機能低下症の発症率低下に有効か?
 CQ 8 システアミンの服用は,糖尿病の発症率低下に有効か?
 CQ 9 システアミン点眼薬は羞明を改善するか?
V 引用文献 
VI 関連資料リンク先 
VII シスチノーシス診断支援・相談に関する情報 
VIII 白血球分離プロトコール 

索引

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序文

序文

 シスチノーシス(シスチン蓄積症)は,ライソゾームから細胞質にシスチンを輸送する蛋白であるシスチノシンの欠損によってライソゾーム内にシスチンが蓄積し,細胞機能障害を引き起こすことにより発症する疾患です.大多数のライソゾーム病はライソゾーム酵素の活性低下が病因ですが,本症はライソゾーム膜の異常が病因です.発症年齢と重症度によって腎障害型,中間型,非腎型に分類されています.このうち腎障害型が最も頻度が高く,重症です.腎症状としてはファンコーニ症候群を呈し,そのほか,角膜へのシスチン蓄積による羞明,甲状腺機能低下症などの内分泌症状,中枢神経症状などを呈します.早期診断を行い,シスチン除去薬であるシステアミンを投与することにより,死亡率や合併症の発症率が低下します.しかしながら,シスチノーシスは稀少疾患であり,疾患自体の認知度や治療法の存在の認知度は十分とはいえません.
 以上のような観点から,本症の診療ガイドラインの必要性が厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班」により提唱され,2018年3月に『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2018』(非売品.同研究班ホームページにて公開中)が作成されました.同ガイドラインでは,シスチノーシスに関する一般的記述を少なくし,バックグラウンドクエスチョン(BQ),クリニカルクエスチョン(CQ)が多く提示されたため,本疾患に関する知識が少ない方にも理解しやすい内容でした.しかし非売品であったことから,実地臨床現場の先生方に冊子をお届けすることはできませんでした.今回,同ガイドラインは日本先天代謝異常学会の診断基準・診療ガイドライン委員会,そして同理事会による審査・承認を経て,一部修正を行ったうえで学会編集の形で『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2019』として上梓されたことにより,医療従事者の方々にご覧いただけるようになりました.
 シスチノーシスは症例数が少なく,また本症に関する文献数も少ないため,完璧な形でガイドラインを提供することは困難です.しかしながら,本ガイドラインは『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』に示された精神に則って作成されており,信頼性の高いガイドラインであることを強調したいと思います.
 最後になりましたが,本ガイドラインの作成に尽力いただいた厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班」研究代表者の衞藤義勝先生,同研究班シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン作成委員会の高柳正樹統括委員長,ガイドライン作成委員およびシステマティックレビュー(SR)委員,作成協力者の先生方,日本先天代謝異常学会事務局長の桜井 謙先生に深謝いたします.
 
 2019年9月吉日
 
日本先天代謝異常学会
理事長 井田博幸(東京慈恵会医科大学)



診療ガイドラインの刊行にあたって

 シスチノーシス(シスチン蓄積症)は,ライソゾームより細胞質にシスチンを輸送する蛋白質であるシスチノシン(cystinosin;CTNS)の遺伝子変異により発症する常染色体劣性遺伝形式の先天代謝異常症です.CTNSの欠損によりライソゾーム内にシスチンが蓄積し,細胞機能障害を呈することが本症の原因です.シスチノーシスには3つの病型があり,症状の重い順に,腎障害型,中間型,非腎型があります.シスチンの蓄積は全身臓器に起こりますが,特に腎臓と角膜において早期に症状が現れます.
 厚生労働省難治性疾患等政策研究事業「ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班」(研究代表者 衞藤義勝)では,ライソゾーム病31疾患,副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy;ALD),ペルオキシソーム病の診療ガイドライン作成事業の一環として,平成29年度4月の班会議において高柳正樹教授(帝京平成大学)をシスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン作成委員会の委員長に指名し,この分野の専門家9名に執筆・編集委員,システマティックレビュー(SR)委員,担当委員として加わっていただき,『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』(以下,Minds)に示された手法に基づく,わが国初のシスチノーシスの診療ガイドラインである『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2018』(非売品.当研究班ホームページにて公開中)を約1年の歳月をかけて作成しました.同ガイドラインの刊行目的は,科学的根拠に基づき,系統的な手法により作成された推奨をもとに患者と医療者を支援し,臨床現場における意思決定の判断材料の1つとして日常診療にお役立ていただくことです.シスチノーシスという疾患の性質上,Mindsの手法に則って診療ガイドラインを作成することは,文献数,症例数の少なさから評価,選定がむずかしいところもありましたが,可能なかぎりMindsの精神に沿うように努めました.
 今回,同ガイドラインは日本先天代謝異常学会による学会審査を経て,装いも新たに『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2019』として書店に並ぶことになりました.『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2018』から内容の変更はあまりありませんが,多くの先生方に本症を知っていただく機会が増えたことを大変嬉しく思います.
 最後に,本ガイドラインの作成を主導していただいた当研究班シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン作成委員会の高柳正樹委員長,岡村匡史先生,赤平百絵先生,またMindsの手法を絶えずご指導いただいた(公財)日本医療機能評価機構の森實敏夫先生,学会承認までの過程でご尽力いただいた日本先天代謝異常学会の井田博幸理事長,診断基準・診療ガイドライン委員会の大竹 明委員長,中村公俊副委員長,深尾敏幸副委員長,事務局長の櫻井謙先生をはじめ,多くの皆様に感謝申し上げます.
 本ガイドラインが,難病診療に携わる難病指定医,さらには一般診療医の先生方,医療従事者の方々のお役に立つことを祈念いたします.
 
 2019年9月吉日

厚生労働省難治性疾患等政策研究事業
「ライソゾーム病(ファブリー病含む)に関する調査研究班」
研究代表者 衞藤義勝(東京慈恵会医科大学)



診療ガイドラインの編集にあたって

 シスチノーシス(シスチン蓄積症)は,シスチンをライソゾームから細胞質へ輸送するライソゾーム膜輸送担体であるシスチノシン(cystinosin;CTNS)の先天欠損により,全身の細胞のライソゾーム内にシスチンが蓄積し,細胞障害が生じる.CTNSをコードするCTNS遺伝子は17番染色体に存在し,常染色体劣性形式にて遺伝する.3型の病型に分類され,腎障害型は,すべての細胞内でシスチンが蓄積し,乳児期よりファンコーニ症候群を発症する.中間(若年)型は,細胞内のシスチン蓄積の進行は緩徐で,発症は思春期以降である.非腎(眼)型は,角膜のシスチン蓄積による羞明のみが症状である.
 シスチノーシスの病態やシステアミンによる治療法は世界的にはかなり以前から知られていたが,日本では患者数が極めて少ないことや,治療薬が認可されていなかったことなどにより,その存在は極めて限られた人たちにしか知られていなかった.欧米では治療薬(システアミン)が早期に認可されていたことから,早期診断,早期治療が行われるようになり,早期治療を行った症例ではその生命予後の改善,腎不全への進行阻止がエビデンスをもって証明されるようになってきている.これらのエビデンスの集積により,わが国でも治療薬の認可への動きが促進され,2014年7月にわが国での治験成績をふまえて厚生労働省の認可を得ている.この治療薬の認可以後,新たに診断される症例は増多し,現在では認可以前の約2倍の症例の存在が明らかになっている.
 本疾患は,その症例数の少なさから,一般小児科医,さらにはファンコーニ症候群を診療することの多い小児腎臓科医にとっても,診断に至るまでの正しい過程を踏んでいくことがむずかしい疾患である.さらには,治療の実際的な方法や,どのようなバイオマーカーを用いて患者をフォローアップしていくかなどについてはほとんど周知されていない.
 以上のことを踏まえ,全国の患者さんが等しくレベルの確保された医療を受けられるために『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2018』の作成を行った.同ガイドラインは科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine;EBM)に則って作成した.同ガイドラインは完成後,当研究班より全国の小児科教授や関係医師などに無償配布され,また当研究班のホームページでも公開されている.しかしながら,「冊子を購入したい」という声も多くお聞きしていた.今回,日本先天代謝異常学会との協働のもと,学会審査を受けたうえで『シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン2019』として上梓されたことにより,より多くの医療従事者の皆様に周知されることを期待したい.
 最後に,本ガイドラインは別添の作成組織の先生方のご尽力により完成したものである.作成関係者の皆様に深謝する.また,論文収集,ガイドラインについてご指導いただいた阿部信一先生,森實敏夫先生,学会審査・承認にあたってご尽力いただいた日本先天代謝異常学会の井田博幸先生,大竹 明先生,中村公俊先生,深尾敏幸先生,櫻井?謙先生に感謝の意を表したい.
 この診療ガイドラインが,シスチノーシス患者の皆様の早期診断,早期治療に役立ち,的確な治療方針,適切なフォローアップ体制の確立を促進し,最終的に患者,患者家族の皆様のQOL改善に寄与することを心から願っている.

 2019年9月吉日

厚生労働省難治性疾患等政策研究事業
「ライソゾーム病(ファブリー病含む)に関する調査研究班」
シスチノーシス(シスチン蓄積症)診療ガイドライン作成委員会
委員長 高柳正樹(帝京平成大学)