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KCGH STROKE 100  脳卒中症例100診断と治療社 | 書籍詳細:KCGH STROKE 100  脳卒中症例100

地方独立行政法人神戸市民病院機構理事長

菊池 晴彦(きくち はるひこ) 監修

神戸市立医療センター中央市民病院院長

北 徹(きた とおる) 監修

神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科部長

坂井 信幸(さかい のぶゆき) 編集

神戸市立医療センター中央市民病院神経内科部長

幸原 伸夫(こうはら のぶお) 編集

初版 B5判 並製 296頁 2012年10月16日発行

ISBN9784787819550

定価:本体5,700円+税
  

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脳卒中診療で国内最先端の神戸市立医療センター中央市民病院脳卒中センターで扱った膨大な症例の中から,典型例,珍しい症例や治療の工夫を要した症例,鑑別を要した症例など100例を集大成した.症例の解説にとどまらず,症例から学ぶべきことがらをLessonとして紹介し,実践で役立てられるよう編集.脳卒中治療に携わる医師必携の書.

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目次

本書の出版にあたって  /菊池晴彦
本書の出版にあたって  /北  徹
編集者のことば  /坂井信幸,幸原伸夫
執筆者一覧
口絵カラー

第1章 典型例
I 脳出血
A くも膜下出血
 1.くも膜下出血典型例(内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤)  /浅井克則
 2.前交通動脈瘤
  2-1 心肺蘇生から回復し,クリッピング術にて良好な結果を得た前交通動脈瘤  /國枝武治
  2-2 くも膜下出血で発症し,急性期にコイル塞栓術を施行した前交通動脈瘤  /森實飛鳥
 3.前大脳動脈瘤
  3-1 軽度の頭痛で発症し,5日後の頭部CTでは診断困難であったくも膜下出血/  梶川隆一郎
  3-2 破裂前大脳動脈遠位部動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した高齢者のくも膜下出血/  石井 暁
 4.破裂中大脳動脈瘤  /上野 泰 
 5.くも膜下出血で発症し,急性期にコイル塞栓術を施行した椎骨動脈瘤  /石川達也
 6.脳底動脈瘤
  6-1 くも膜下出血で発症し,コイル塞栓術で良好な結果を得た脳底動脈上小脳動脈瘤  /石原秀行
  6-2 重症くも膜下出血で発症し,急性期にコイル塞栓術を施行した脳底動脈先端部動脈瘤
  /森實飛鳥
 7.急性期に母血管閉塞術を施行し,良好な結果を得た破裂椎骨動脈解離性動脈瘤  /重松朋芳
 8.母血管閉塞術で後下小脳動脈の血流遅延を合併した破裂椎骨動脈解離性動脈瘤
  /苧坂直博,千原英夫,蔵本要二
 9.母血管閉塞術で良好な結果を得たPICA involved typeの破裂椎骨動脈解離性動脈瘤
  /梶川隆一郎
B 脳内出血
 10.被殻出血
  10-1 パチンコ中に右片麻痺・失語を発症した症例  /山本司郎 
  10-2 定位的血腫除去術を施行した左被殻出血  /松田佳子 
  10-3 開頭血腫除去術を施行して早期に神経症状が改善した被殻出血    /今堀太一郎
 11.視床出血
  11-1 左視床出血により右半身の感覚障害と失調を呈した症例  /山本司郎
  11-2 定位的血腫除去術を施行した視床出血  /芝田純也 
  11-3 脳室内穿破,水頭症を伴い脳室ドレナージ術を施行した視床出血  /今堀太一郎
 12.小脳出血
  12-1 左小脳出血発症1か月後に右小脳出血を再発した症例  /菅生教文,山本司郎
  12-2 開頭血腫除去術を施行した小脳出血  /今堀太一郎 
 13.脳幹出血
  13-1 橋出血により両側内側縦束(MLF)症候群を呈した症例  /山本司郎
  13-2 重症脳幹出血  /矢野達也
 14.皮質下出血
  14-1 内科的加療を施行した皮質下出血  /足立秀光
  14-2 開頭血腫除去術を施行した皮質下出血  /今堀太一郎
  14-3 神経内視鏡で血腫除去術を施行し,良好な結果を得られた皮質下出血  /國枝武治

II 虚血性脳血管障害
A 心原性脳塞栓症
 15.rt-PA静注療法が著効した中大脳動脈閉塞による心原性脳塞栓症  /東田京子
 16.rt-PA静注療法後に局所線溶療法を施行した中大脳動脈閉塞による心原性脳塞栓症
/  東田京子
 17.左心耳巨大血栓により心原性脳塞栓症をきたした症例  /別府美奈子
 18.脳梗塞発症15日目に急に麻痺が悪化した症例  /別府美奈子
 19.rt-PA静注療法後に血管内治療を施行した内頚動脈閉塞による心原性脳塞栓  /山上 宏
B アテローム血栓性脳梗塞
 20.内科治療抵抗性の内頚動脈狭窄症からのアテローム血栓性脳梗塞の治療  /山上 宏
 21.内頚動脈高度狭窄症による血行力学性脳梗塞例  /山上 宏
 22.rt-PA静注療法を施行した内頚動脈閉塞によるアテローム血栓性脳梗塞  /山上 宏
 23.中大脳動脈狭窄により脳梗塞をきたした症例  /別府美奈子
 24.頭蓋内ステント留置術を施行した中大脳動脈閉塞によるアテローム血栓性脳梗塞
/  山上 宏
 25.一過性脳虚血発作から脳幹梗塞による閉じ込め症候群へ進行した症例
/  玉木良高,山本司郎
 26.椎骨脳底動脈閉塞に対して急性期血行再建術を施行した症例  /山上 宏
C ラクナ梗塞
 27.片麻痺を呈した典型的ラクナ梗塞  /藤堂謙一
D 進行型梗塞
 28.入院後に片麻痺の悪化を認めたbranch atheromatous disease(BAD)  /山上 宏
E 奇異性脳塞栓症
 29.右片麻痺・失語を発症した若年性脳梗塞  /山本司郎
F 大動脈原性脳梗塞
 30.大動脈弓部の粥状動脈硬化病変が塞栓源と考えられた脳梗塞  /山上 宏
G AICA症候群
 31.難聴,めまいを主訴とした橋下部外側症候群  /藤堂謙一
H 脳底動脈先端症候群
 32.突然の意識障害と眼球運動障害四肢麻痺をきたした症例  /吉田亘佑
I 静脈洞血栓症
 33.立位により増悪する頭痛と意識変容を呈した若年女性  /菅生教文,山本司郎
J もやもや病
 34.脳梗塞で発症した成人もやもや病  /別府美奈子
K 感染性心内膜炎
 35.人工弁置換術3か月後に右片麻痺と感覚障害を呈した症例  /山本司郎
L 非細菌性血栓性心内膜炎
 36.進行期膵臓癌が見つかった多発性脳梗塞  /石井淳子
M 椎骨動脈解離による脳梗塞
 37.マッサージの後にWallenberg症候群を生じた症例  /菅生教文,山本司郎
N 海綿状血管腫
 38.右内頚動脈領域と椎骨脳底動脈領域にアテローム血栓性の脳梗塞を生じた症例
/  吉田亘佑
O 脳梗塞

第2章 非典型例―くも膜下出血
 39.左動眼神経麻痺と右上下肢失調を呈した症例  /関谷博顕
 40.内科外来を受診し,腰椎穿刺で診断したくも膜下出血  /石川達也
 41.動眼神経麻痺出現後に破裂した内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤  /千原英夫
 42.繰り返し行った脳血管撮影で診断した脳底動脈瘤  /五百蔵義彦
 43.脳内出血のみで,くも膜下出血を認めなかった破裂中大脳動脈瘤  /足立秀光
 44.症候性脳血管攣縮で発見された内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤  /蔵本要二
 45.大動脈縮窄症に合併したくも膜下出血  /今村博敏 
 46.多発性囊胞腎に合併したくも膜下出血  /石川達也
 47.くも膜下出血で発症した静脈洞血栓症  /苧坂直博 
 48.くも膜下出血で発症した頚髄血管芽腫  /足立秀光
 49.脊髄動静脈奇形からのくも膜下出血  /蔵本要二
 50.もやもや病からのくも膜下出血  /千原英夫
 51.バイパスを併用した解離性前大脳動脈瘤根治術  /芝田純也 
 52.内頚動脈前壁動脈瘤  /上野 泰
 53.急性期に母血管閉塞術を施行し,良好な結果を得た内頚動脈前壁動脈瘤  /坂井千秋
 54.コイル塞栓術4時間後に再出血した破裂前交通動脈瘤  /足立秀光 
 55.コイル塞栓術とクリッピング術を施行した多発性脳動脈瘤  /石井 暁
 56.コイル塞栓術1か月後に再出血した破裂前交通動脈瘤  /小柳正臣 
 57.コイル塞栓術4年後に再出血した内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤  /五百蔵義彦
 58.くも膜下出血で発症した海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻  /篠田成英,蔵本要二
 59.くも膜下出血で発症した頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻  /蔵本要二 
 60.脳血管撮影で出血源を同定できなかったくも膜下出血  /石川達也 
 61.小児のくも膜下出血  /蔵本要二

第3章 非典型例―脳内出血
 62.心臓弁置換術後ワルファリン内服中に生じた小脳出血  /重松朋芳 
 63.血友病Aに合併した脳内出血  /蔵本要二
 64.開頭手術を施行した細菌性脳動脈瘤からの脳内出血  /石原秀行
 65.血管内手術を施行した細菌性脳動脈瘤からの脳内出血  /池田宏之 
 66.海綿状血管腫からの脳内出血  /矢野達也 
 67.脳腫瘍からの脳内出血  /重松朋芳
 68.出血で発症した前頭蓋窩硬膜動静脈瘻  /今村博敏 
 69.皮質下出血で発症した横・S状静脈洞部硬膜動静脈瘻  /足立秀光 
 70.妊娠36週に脳内出血で発症した脳動静脈奇形  /今村博敏
 71.脳動静脈奇形 NBCA塞栓術後摘出術  /上野 泰
 72.脳内出血で発症した脳動静脈奇形  /小柳正臣
 73.アミロイドアンギオパチーによる脳内出血(手術例)  /重松朋芳 
 74.脳膿瘍の治療中に脳梗塞を発症した症例  /吉田亘佑
 75.入院中にD-dimer上昇を認めた脳出血  /山本司郎
 76.小児の脳内出血  /今村博敏

第4章 非典型例―虚血性脳血管障害
 77.非痙攣性てんかん重積で発症した脳梗塞  /吉田亘佑
 78.若年性脳梗塞と進行性痴呆を認めCADASILと診断した症例  /川本未知
 79.肥厚性硬膜炎で発症し長期経過後,脳梗塞を合併した症例  /川本未知
 80.脳炎様の症状で発症し,ステロイドが著効した症例  /吉村 元
 81.抗リン脂質抗体症候群に伴う若年性脳梗塞  /藤堂謙一 
 82.痙攣発作・意識障害を合併した肺癌症例  /山本司郎
 83.小球性貧血を認めた若年性脳梗塞  /藤堂謙一
 84.大動脈解離による脳梗塞にrt-PA静注療法後,緊急手術によって救命できた症例
/  吉田亘佑
 85.頭痛のみで発症した椎骨脳底動脈解離  /藤堂謙一
 86.水泳中に内頚動脈解離を生じた症例  /吉田亘佑
 87.lateropulsionを主症状とした延髄外側梗塞  /藤堂謙一
 88.妊娠6週目に発症した意識障害・右片麻痺  /山本司郎
 89.小児の脳梗塞  /今村博敏

第5章 脳卒中と間違われるかもしれない症例
 90.散在性の梗塞様脳病変が繰り返し出現した症例  /菅生教文
 91.左下肢の麻痺で発症した進行性多巣性白質脳症  /別府美奈子
 92.ステロイドが著効したcerebral amyloid angiopathy related inflammation症例  /吉田亘佑
 93.突然の後頭部痛,左上肢の脱力をきたした症例  /荒木 学
 94.亜急性の意識障害と眼球運動障害をきたした透析患者  /菅生教文
 95.脳梗塞と鑑別を要した症候性てんかん  /山上 宏
 96.分娩中に痙攣発作を生じ,頭部MRIで後頭部に異常信号を認めた症例  /吉田亘佑
 97.繰り返し激しい頭痛をきたした症例  /川本未知
 98.突然の構語障害,左上肢の麻痺,記銘力低下をきたした難聴の女性  /幸原伸夫 
 99.出産9日目に急激な意識障害をきたした急性散在性脳脊髄炎  /別府美奈子 
 100.心臓腫瘍により一過性脳虚血発作をきたした症例  /別府美奈子 

略語一覧 
索  引 

コラム
 脳血管障害を合併した感染性心内膜炎の手術時期  /山本司郎 
 lateropulsionについて  /幸原伸夫 
 脳小血管病  /川本未知
 PMLは今後増加する  /幸原伸夫
 Chungらの提唱するcerebral amyloid angiopathy related inflammation(CAA-I)の診断基準  /訳 幸原伸夫
 脳卒中と間違えられる末梢神経障害  /幸原伸夫

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序文

本書の出版にあたって

 神戸中央市民病院脳卒中センターの毎週木曜日の朝の脳卒中カンファレンスの貴重な症例集が出版されることを,出版をアドバイスした者として心から喜んでいます.
 わが国では長く脳卒中治療は,脳神経外科医を中心に行われてきた時代が続きました.これは脳卒中内科医を訓練すべき教室が大学になかったことが原因です.しかし脳卒中患者の大半は,内科的治療の対象となります.
 1977年,大阪に国立循環器病センターが設立され,心臓病と共に脳血管障害を対象とした研究,診療,教育が始められました.
 私はその1年後に脳神経外科ができる時,部長として就任,脳血管内科部門の2つのグループの山口武典部長(九州大)と,沢田 徹部長(慶應大)と共に脳卒中カンファレンスを毎週1回行い,内科,外科,画像診断部,病理部,リハビリテーション部と共に勉強を始めました.その後,その中から多くの脳卒中内科医が生まれ,日本各地で主要なポジションで活躍しておられます.すでにそれから30有余年を過ぎていますが,なお,脳卒中内科医は患者の数に比し,少ないと思います.私と坂井信幸部長が神戸へ来て10年を超えましたが,病院内に脳卒中センターを立ち上げ,すでに充実していた救急部の御尽力の下に,市内,近隣の脳卒中センターとして発展してきました.坂井信幸君の精力的な活動(手術,血管内治療,組織づくり,市内のネットワークづくり)の下に,非常に順調に発展をしてきて,今や脳卒中の専門家をして,脳卒中になるなら神戸で倒れたいと言わしめるほどになっています.その間の画像診断,治療法の進歩はめざましいものがあり,神経内科の幸原伸夫部長,坂井信幸部長の下に行われる毎週の脳卒中カンファレンスは,院外のドクターや他の脳卒中センターのドクターの参加もあり,活況を呈しています.私も毎週出席させてもらっていますが,大変貴重な症例や,治療上の重要な問題を提起するような症例があり,脳卒中に携わる上で,本当に勉強になる症例に満ちています.そのままカンファレンスに出席した者だけのもので終わってしまうのが惜しくて,まず見開き2頁に1例を載せた症例集を作ってはという提案をしたところ,多忙な日常治療の中,メンバー全員の参加で,今日の出版の運びになりました.素晴らしいことで,引き続いての第2号,第3号の出版を期待するものです.またこのカンファレンスの中から多くの脳卒中専門医や,血管内治療専門医が生まれ,多くの全国的な,また国際的な多施設共同研究が生まれたことも,特筆しておきたいことです.
 神戸中央市民病院脳卒中センターのますますの活躍と,より多くの脳卒中の患者さんの回復を期待し,またこの症例集が,若いこれからの多くの脳卒中を担当する医師のためになることを期待しています.

2012年8月
地方独立行政法人神戸市民病院機構
理事長 菊池晴彦


本書の出版にあたって

 神戸市立医療センター中央市民病院は,神戸医療圏の基幹病院であり,この地区の医療,さらに高度医療の担い手であります.2011年7月に新病院に移転いたしました.新病院開設にあたり,診療体制強化を図ってまいりましたが,なかでもEICU,CCUを含む50床のベッドを有する救命救急センターを設置し救急医療の充実を図り,周産期医療の強化,心臓センターの強化を図るとともに,脳卒中センターの強化として脳卒中科の新設(SCU12床)を致しております.
 さて,当センターの看板の一つであります脳血管障害を中心とした症例に対する診断・治療は,わが国を代表する専門チームにより行われております.したがって,年間に取り扱う症例数も極めて多く,また多彩な疾患を扱っているところであります.坂井信幸部長を中心とする脳神経外科のスタッフと幸原伸夫部長を中心とする神経内科のスタッフが,昼夜を問わない診療により経験された豊富な症例を基に,本書では,その代表症例として,脳血管障害の典型症例,まれな症例,鑑別を要した症例,非典型例,さらに治療に工夫を要した症例などが紹介されており,読者の日常診療にお役に立てると確信いたします.

2012年8月
神戸市立医療センター中央市民病院
院長 北  徹


編集者のことば

 神戸市立医療センター中央市民病院脳卒中センターは,神経内科と脳神経外科が運営する診療チームです.高度化する脳卒中診療への市民からの期待に応えるべく2004年にMRIの24時間対応が始まり,同時に脳卒中内科を専門とする医師が神経内科に配属されたことを期に発足しました.発足当時は菊池晴彦院長がセンター長として直接指導され,神戸の脳卒中医療を世界に冠たるレベルにしようという意気込みのもとに活動を開始しました.その理念として,1)24時間体制で脳卒中救急診療を行う,2)高度医療機器の運用による正確な診断とそれに基づく専門的治療を的確に施行する,3)初期治療終了後すみやかに機能訓練や慢性期医療に移行できるよう,地域医療機関と相互連携をはかる,4)脳卒中診療に携わる医師,看護師,技師,救急関連スタッフ,市民への教育と啓蒙を行う,5)新時代の脳卒中診療を実践し,積極的に情報を発信することにより,脳卒中診療の向上に貢献する,を掲げました.この理念を達成するため,救急部の全面的支援のもとに24時間診療を実践し,脳神経外科および神経内科が一体となり診断と診療を行い,そのなかで最良の脳卒中治療を行えるように努力してきました.毎週全員が参加する診療カンファレンスを行い,双方の診療科がrt-PAや血管内治療を始めとする最先端の治療に積極的に取り組むことにより,両科の一体的運営を強固にするとともに新時代の脳卒中診療を目指してきました.
 病院の支援を得て機器や人員も充実し,発足以来,順調に実績を積み上げてきましたが,これまでに経験した貴重な症例を基に,このたび,「KCGH STROKE 100 脳卒中症例100」を出版する機会を得ました.本書は,神戸市立医療センター中央市民病院脳神経センターでわれわれが経験した膨大な症例の中から,脳卒中の典型例,珍しい症例や治療に工夫を要した症例,鑑別を要した症例,脳卒中診療を行う上で必要な関連疾患などを100例集めたものです.本書を出版するきっかけは,発足当初からご指導頂いている菊池晴彦先生(現神戸市民病機構理事長)の「経験している症例は治療医にとって,脳卒中センターにとっての宝物である.是非記録に残しなさい.」という言葉からですが,北 徹院長の「わが国有数の教育病院を目指し,診療と教育に加えて学術面でも業績をあげるように」という言葉にも後押しされました.理想的な脳卒中診療を実践するためには,関連診療科の先生方,看護師,診療放射線技師,機能訓練療法士,地域医療支援部,病歴や管理部問,機器器材の整備供給部門のスタッフなど,病院全体の協力と取り組みがなければ成り立ちません.本書は多くの仲間に支えられてできたものです.われわれを支えて頂いたすべての方々に,心より御礼申し上げますとともに,出版をお引き受け頂き,完成まで多大なご協力を頂きました診断と治療社にも感謝いたします.
 本書は神戸市立医療センター中央市民病院脳卒中センターの診療に携わったほとんどすべてのメンバーが執筆を担当しました.今まで夢中で走ってきたなかで経験した症例をまとめながら,あらためて多くの症例を経験できたこと,そして多くの仲間とともに診療,教育,学術活動が続けてこられた喜びを感じております.そして私たちの経験が脳卒中診療に関わる多くの方々に役立つこと,脳卒中医療の発展に少しでも貢献できることを願っています.われわれはこれからも精進を重ねながら,診療・教育・学術面で脳神経疾患の診療に邁進していきたいと考えています.今後とも何卒宜しくご指導賜りますようお願い申し上げます.

2012年8月
神戸市立医療センター中央市民病院
脳神経外科部長 坂井信幸
神経内科部長 幸原伸夫