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リハビリテーションにつなげる 
発達障害支援のための脳解剖ポイント整理ノート診断と治療社 | 書籍詳細:発達障害支援のための脳解剖ポイント整理ノート

国立成育医療研究センター理事長・総長

五十嵐 隆 (いがらし たかし) 監修

国立成育医療研究センターリハビリテーション科医長・発達評価センター長

橋本 圭司 (はしもと けいじ) 編著

東京女子医科大学リハビリテーション科講師

上久保 毅(かみくぼ たけし) 編著

初版 B5判 並製 120頁 2014年05月30日発行

ISBN9784787821003

定価:本体3,600円+税
  

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発達障害の原因である脳機能障害をしっかりと理解し,発達障害児(者)を支援するための知識が身につく,ノート形式でポイントをおさえたユニークな構成.ヒトの脳の発生からはじまり,発達とはなにか,発達障害とはなにか,発達の適切な評価手順と方法,具体的な検査法,発達障害の子どもを支えるために必要なリハビリテーション,関連する脳解剖の基礎知識,そして,成人期に向かって気をつけるべき疾患を解説する.

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目次

監修のことば 五十嵐 隆
編集のことば 橋本 圭司

第1章 発達の評価手順と発達障害
A  発生とは
1.妊娠週数と月齢の定義
2.在胎週数・出生時体重による分類
3.胎児の成長と器官形成
4.中枢神経系の発生
5.脳の発生
B  発達とは
C  発達は進化の過程
D  反射の発達
1.脊髄レベルの反射
2.脊髄・橋レベルの反射
3.中脳レベルの反射(立ち直り反射)
4.大脳皮質レベルの反射(平衡反射)
5.反射からみた神経の発達
E  発達障害の考え方
F  発達障害とは
1.発達障害
2.知的障害
3.広汎性発達障害
4.注意欠陥多動性障害
5.学習障害
6.高次脳機能障害

第2章 発達の検査
A  小児基本動作スケール(ABMS-C)
B  小児基本動作スケール・タイプT(ABMS-CT)
C  新版K式発達検査
D  DENVERⅡ(デンバー発達判定法)
E  乳幼児発達スケール(KIDS)
F  フロスティッグ視知覚発達検査
G  田中ビネー式知能検査
H  WISC-Ⅳ知能検査
I  DN-CAS
J  K-ABC-Ⅱ
K  ASQ-3
L  M-CHAT

第3章 発達障害の子どもを支えるリハビリテーション
A  発達を支えるリハビリテーションの基本ルール
1.安全で安心できる環境作り
2.健康な身体作り
3.子どもの障害(特性)を理解する
4.一貫したルール作り
5.「できないこと」を責めるのではなく「できること」を伸ばす
6.人(第三者)とつながる
7.子どものリハビリではなく親(周囲)のリハビリと心得る
B  発達を支えるリハビリテーションピラミッド(年齢ごとの対応)
1.乳児期(0~2歳)は基本的身体機能の安定を
2.幼児期(2~4歳)は生活リズムの安定を
3.児童期(4~7歳)は自主性の獲得を
4.学童期(7~12歳)は社会性の獲得を
5.思春期・青年期(13~22歳)は自己への気づきを促す
C  発達を支えるリハビリテーションの具体的方法
1.呼吸を整える
2.感覚を整える
3.運動を整える
4.食事を整える
D  上手な療育者と下手な療育者
E  発達障害の8つの症状と対応法の実際
1.コミュニケーションが苦手である
2.興味の偏りがある
3.感覚の感受性が特別である
4.注意が続かない
5.自己抑制が困難である
6.思考の柔軟性に欠ける
7.友達を作るのが難しい
8.学習上の困難を抱えている

第4章 理解しておくべき脳解剖
A  中枢神経系の構造
1.神経細胞と神経線維
B  大脳の構造
C  Brodmannの領域
D  前頭葉
1.一次運動野,運動前野,補足運動野
2.前頭眼野,前頭前野
3.運動性言語野
4.前頭葉損傷を疑う症状
5.前頭葉の損傷部位による特徴的な神経症状
E  頭頂葉
F  後頭葉
G  側頭葉
1.感覚性言語野
2.失認
H  交連,大脳辺縁系
1.脳梁
2.海馬体
I  視床,視床下部,下垂体
J  大脳基底核
K  小脳
L  脳幹
M  脳神経系
1.嗅神経(Ⅰ)
2.視神経(Ⅱ)
3.動眼神経(Ⅲ)・滑車神経(Ⅳ)・外転神経(Ⅵ)
4.三叉神経(Ⅴ)
5.顔面神経(Ⅶ)
6.聴神経(蝸牛神経・前庭神経)(Ⅷ)
7.舌咽神経(Ⅸ)
8.迷走神経(Ⅹ)
9.副神経(Ⅺ)
10.舌下神経(Ⅻ)
N  小児の頭蓋の特徴
1.頭蓋骨
2.泉門
3.縫合線
O  脳を包む3枚の膜
1.硬膜
2.くも膜
3.軟膜
P  脳脊髄液の循環
1.脳室の発生
2.脳脊髄液(CSF)の産生と吸収
Q  脳血管
1.脳血管の発達
2.Willis動脈輪と脳血管の支配領域
3.脳血管と脳循環代謝

第5章 学んでおくべき疾患
A  頭部外傷・脳外傷の特徴
B  脳血管障害
1.脳梗塞
2.もやもや病(Willis動脈輪閉塞症)
3.脳出血
4.くも膜下出血
C  新生児頭蓋内出血
1.脳室内出血
D  低酸素虚血性脳症(HIE)
E  脳室周囲白質軟化症(PVL)
F  急性脳炎
1.単純ヘルペス脳炎
2.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
G  急性脳症
H  水頭症
1.分類
2.水頭症の診断
3.水頭症の症状
4.水頭症の治療
I  脳腫瘍
1.星細胞腫
2.髄芽腫
3.胚細胞腫瘍
4.頭蓋咽頭腫
J  脳性麻痺
1.発症要因
2.分類
3.評価尺度
4.治療法
5.脳性麻痺児への関わり方
K  二分脊椎
1.脊髄の発生
2.分類
3.開放性二分脊椎・囊胞性二分脊椎
4.二分脊椎と二分頭蓋の関連
5.閉鎖性二分脊椎・潜在性二分脊椎

索 引

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序文

監修のことば

 この度『リハビリテーションにつなげる発達障害支援のための脳解剖ポイント整理ノート』が上梓されたことをこころからお慶び申し上げる.
 わが国の子どもや青年を取り巻く社会環境が複雑化するなかで,わが国の社会は以前に比べ個人の多様性が認められにくくなっており,親身になって子どもや青年の生活や仕事の面倒を見る社会システムも崩壊しつつある.このような社会環境の変化がおそらく主な原因となり,発達障害の子どもや青年の多くが行き場を失い,様々な困難を克服できずに日々家庭,学校,職場にて悩んでいる.御家族の方も同様である.また,低出生体重児が全出生の約1割を超えていることも,発達障害の子どもや青年が増えている原因の一つになっていることが指摘されている.
 発達障害の子どもや青年の特性を理解し,彼らの学校・社会生活を支援するための様々な出版物がこれまでに数多く発行されている.その結果,発達障害に対する医療関係者や国民の理解は未だ不十分ではあるものの,以前よりも深まりつつある.本書は,発達障害の原因である脳機能障害を理解し,発達障害の子どもと青年を支援するために必要な著者らの考えが明確に示されていて,これまでの書籍には見られなかった大変ユニークな構成となっている.はじめにヒトの脳とその発生・発育を解剖学・発達神経学の面から解説し,次に神経発達の個人差を正しく評価するためのアセスメントツールについて解説し,さらに彼らの発達あるいは社会への適応を支援するためのリハビリテーションの具体的方法を示している.
 日頃から数多くの発達障害の子どもや青年に接し,彼らと御家族の問題を理解し,彼らと御家族を支援する仕事をされている橋本先生と上久保先生の豊富な診療経験のエッセンスが詰まった本書を,発達障害の診療・支援に関わる方に是非とも一読して戴きたい.

平成26年4月
国立成育医療研究センター 理事長・総長
五十嵐隆



編集のことば

 小児病院のリハビリテーション科に勤務したての頃,私の外来に来る小さな患者さんを連れたお母さんたちの表情が,なんだか今ひとつすぐれないような印象を抱きました.この病院に赴任する前にもリハビリテーション病院や大学病院などで,多くの小児の患者さんのリハビリテーション診療に関わってきた私でしたが,少し自信がなくなってしまいました.
 ところが,最近になってお母さんたちの表情が少しずつ明るくなってきたような気がします.この原因は何でしょうか.それとともに,病院のフロアを歩いていると,笑いかけてくれる子どもたちの数も増えてきた気がするのです.これは,なぜでしょうか.
 私はこの分野,つまり小児リハビリテーションの分野にどっぷりつかってからまだ5年足らずの若輩者です.今ひとつ表情がすぐれなかったのは,彼らのほうではなく,むしろ私自身ではなかったのかと思い始めています.いったいどのような患者さんが来るのだろうという期待と不安の入り混じった当時の感覚が今でも思い起こされます.5年経ってやっとその不安からほんの少し解放されてきたような気持ちがします.このような変化ひとつを取ってみても,わずか5年のあいだに,すでに私自身のリハビリテーションが行われていたことに気づかされます.
 子どもたちの「~ができない」「~がダメ」と問題点ばかりを指摘していたのでは,決して好ましい結果を得ることはできません.私たち支援者が,子どもの脳機能や解剖,様々な病気や障害を理解し,何よりもまず子どもたちをよく知ること,そして「~ができる」「~が素晴らしい」といった視点で,子どもたちを好きになることが重要です.この本を通じて,読者の皆さんが日々,子どもたちに関わることを素直に喜び,感謝できるようになるための一助になれば幸いと思っています.

編著者を代表して

平成26年4月
国立成育医療研究センター リハビリテーション科医長/発達評価センター長
橋本圭司