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書籍詳細

進行性腎障害診療指針シリーズ

エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2014 準拠
ネフローゼ症候群診療ガイドQ&A 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:ネフローゼ症候群診療ガイドQ&A 改訂第2版

名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授

松尾 清一 (まつお せいいち) 監修

神戸大学大学院医学研究科腎臓内科教授

西 慎一(にし しんいち) 編集

改訂第2版 B5判 並製 140頁 2015年02月06日発行

ISBN9784787821539

定価:本体4,200円+税
  

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厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業の「進行性腎障害に関する調査研究班」により策定された「エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2014」の内容を,臨床の場でより活用できる必携書.研究班メンバーを中心としたエキスパートな執筆陣により,日常診療でよく聞かれる内容をQ&A形式で詳細に解説した全面改訂版.ガイドラインのダイジェスト版も掲載,理解を助けるコラムも満載され,ネフローゼ症候群関連の様々な疑問が解決できる.

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目次

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって 松尾清一
ネフローゼ症候群診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって 西 慎一
執筆者一覧エビデンスに基づく進行性腎障害診療ガイドライン2014
ネフローゼ症候群診療ガイドライン2014 ダイジェスト版
ネフローゼ症候群診療ガイドQ&A 改訂第2版

第1章 ネフローゼ症候群の疾患概念・定義と病態生理
Q1 ネフローゼ症候群の定義を教えてください. 今田恒夫
Q2 ネフローゼ症候群の治療反応にかかわる定義や分類を教えてください. 今田恒夫
Q3 ネフローゼ症候群ではなぜ浮腫むのでしょうか? 今田恒夫

第2章 ネフローゼ症候群の疫学と予後
Q4 わが国のネフローゼ症候群の動向を教えてください. 甲斐平康
Q5 浮腫の治療および腎予後改善を目的とした治療を教えてください. 甲斐平康
Q6 ネフローゼ症候群の合併症について教えてください. 甲斐平康

第3章 ステロイドと免疫抑制薬の使用法
Q7 副腎皮質ステロイド薬の適応と注意点について教えてください. 岡田浩一
Q8 カルシニューリン阻害薬の適応と注意点について教えてください. 岡田浩一
Q9 シクロホスファミドの適応と注意点について教えてください. 岡田浩一
Q10 ミゾリビンの適応と注意点について教えてください. 鶴屋和彦
Q11 ミコフェノール酸モフェチルに関するエビデンスを教えてください. 鶴屋和彦
Q12 アザチオプリンに関するエビデンスを教えてください. 鶴屋和彦
Q13 リツキサンの使用について教えてください. 鶴屋和彦

第4章 その他の治療薬の使用法
Q14 RA系阻害薬の使用について教えてください. 辻 清和・牟田久美子・西野友哉
Q15 利尿薬はネフローゼ症候群の浮腫軽減に有用ですか? 大塚絵美子・浦松 正・西野友哉
Q16 アルブミン製剤の使用について教えてください. 澤 未来・小畑陽子・西野友哉
Q17 抗血小板薬の使用について教えてください. 浦松 正・小畑陽子
Q18 脂質異常症治療薬の使用について教えてください. 南 香名・川智子・小畑陽子

第5章 合併症対策
Q19 ネフローゼ症候群の感染予防に免疫グロブリン製剤は有用でしょうか? 古市賢吾
Q20 抗結核薬の投与について教えてください. 古市賢吾
Q21 B型肝炎を合併する場合にはどうしたらよいでしょうか? 古市賢吾
Q22 予防接種は行うべきでしょうか? 古市賢吾
Q23 ネフローゼ症候群では血栓の合併症がみられますが,どのように
    予防あるいは治療すればよいでしょうか? 古市賢吾
Q24 大腿骨骨頭壊死を予防する方法はありますか? 古市賢吾 

第6章 食事指導と生活指導
Q25 ネフローゼ症候群における塩分制限の意義について教えてください. 後藤 眞
Q26 ネフローゼ症候群における蛋白・脂質管理について教えてください. 後藤 眞
Q27 ネフローゼ症候群における安静・運動制限はどうしたらよいでしょうか? 後藤 眞

第7章 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
Q28 微小変化型ネフローゼ症候群とはどのような疾患ですか? 清元秀泰
Q29 微小変化型ネフローゼ症候群の初期治療はどのようにするのですか? 清元秀泰
Q30 頻回再発型の微小変化型ネフローゼ症候群はどのように治療するのですか? 清元秀泰 

第8章 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
Q31 巣状分節性糸球体硬化症とはどのような疾患ですか? 笹冨佳江
Q32 Columbia分類とはどのようなものですか? 笹冨佳江
Q33 巣状分節性糸球体硬化症の初期治療はどのようにするのですか? 笹冨佳江
Q34 頻回再発型の巣状分節性糸球体硬化症はどのように治療するのですか? 笹冨佳江
Q35 遺伝性巣状分節性糸球体硬化症にはどのような 疾患がありますか? 笹冨佳江
Q36 ステロイド抵抗性の巣状分節性糸球体硬化症はどのように治療するのですか? 笹冨佳江

第9章 膜性腎症
Q37 膜性腎症とはどのような疾患ですか?  眞田 覚・佐藤壽伸
Q38 膜性腎症に対してステロイド単独の治療は可能でしょうか? 橋本英明・佐藤壽伸
Q39 カルシニューリン阻害薬の使用について教えてください. 眞田 覚・佐藤壽伸
Q40 シクロホスファミドの使用について教えてください. 水野真一・佐藤壽伸
Q41 非ネフローゼ型膜性腎症の治療法について教えてください. 小助川英之・佐藤壽伸
Q42 膜性腎症の癌合併率について教えてください. 水野真一・佐藤壽伸

第10章 膜性増殖性糸球体腎炎
Q43 膜性増殖性糸球体腎炎とはどのような疾患ですか? 星野純一・乳原善文
Q44 膜性増殖性糸球体腎炎の治療法について教えてください. 星野純一・乳原善文
Q45 C型肝炎との関連を教えてください.また治療はどのようにするのでしょうか? 星野純一・乳原善文

第11章 高齢者のネフローゼ症候群
Q46 高齢者ネフローゼ症候群の病因・病型は異なるのでしょうか? 渡辺裕輔
Q47 高齢者ネフローゼ症候群の治療法と注意点について教えてください. 渡辺裕輔

略語一覧
索  引

COLUMN 
ネフローゼ症候群におけるアルブミン代謝 今田恒夫
尿蛋白量か尿アルブミン量か 今田恒夫
微小変化型ネフローゼ症候群に対するスタチン投与 南 香名・川﨑智子・小畑陽子
クオンティフェロン検査 古市賢吾
微小変化型ネフローゼ症候群の自然寛解 清元秀泰
副腎皮質ステロイド薬が使用できない微小変化型ネフローゼ症候群の治療 清元秀泰
MCNSとFSGSの病理学的な鑑別診断 笹冨佳江
腎病理学的観点からの膜性腎症と癌合併 水野真一・佐藤壽伸
M型ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)抗体の観点からの膜性腎症と癌 水野真一・佐藤壽伸
DDD(MPGN typeⅡ)の特徴 星野純一

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序文

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって


 2008年4月から2010年3月まで私が研究代表者をつとめた厚生労働省厚生科学研究費補助金難治性疾患克服事業進行性腎障害に関する調査研究班では,一般社団法人日本腎臓学会との密接な連携のもと,対象とする4つの疾患,IgA腎症,急速進行性糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,多発性囊胞腎につき,2010年度に腎臓専門医のコンセンサスをまとめて診療指針を作成し公表した.この指針をさらにわかりやすく解説してQ&Aとしてまとめたものを株式会社診断と治療社から「進行性腎障害診療指針シリーズ(初版)」として発行し,多くの関係者に広く利用していただいているところである.2010年4月から私が引き続き研究班の代表をつとめることとなり,その事業の柱の一つとして,初版を改訂してエビデンスに基づく正式な診療ガイドラインを作成する作業を行った.その成果として2014年7月に上記4疾患に関する「エビデンスに基づく診療ガイドライン2014」を公表したところである.このガイドラインの特徴は,最新のエビデンスを盛り込むことはもちろんのこと,治療に関する項目をClinical Question (CQ)方式として,課題とそれに対する記述を明確にしたことである.これにより治療上問題になっている項目を具体的に取り上げて,エビデンスのグレーディングに基づいた記載(推奨度)を行った.その後,腎臓学会はもとより,関係学会などの意見聴取も実施し,公表に至った.標記4疾患に関するエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成はわが国で初めてのものであり,研究班ならびに日本腎臓学会としては臨床の場での活用を大いに期待している.
 私たちはこれらの診療ガイドラインを一層普及させるために,より踏み込んだ解説書が必要と考え,再び株式会社診断と治療社にお願いして,「進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版」として前回同様Q&A方式での普及版の出版をお願いしたものである.執筆にあたっては,厚生労働省研究班のガイドライン作成にあたっていただいた先生方にお願いすることとした.初版同様,多くの皆様がこのシリーズを活用していただくことを望んでいる.
 一方で,これら4疾患の診断や治療においては,まだまだエビデンスが十分でない課題も多く存在しており,専門医によるコンセンサスにゆだねた事項も少なくない.特に日本人のエビデンスは限られていることから,これらは今後のエビデンスの創出を待ち,次回以降の改訂に反映させていきたいと考えている.
 最後に,研究班でガイドライン作成に関わっていただいた関係者の皆様,また本書の作成に関わっていただいたすべての皆様に深い感謝の意を表するものである.


2015年1月
厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班班長
名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学 教授 松尾 清一




2015年1月ネフローゼ症候群診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって
 

 ネフローゼ症候群は,その特徴である大量の尿蛋白と低アルブミン血症のために全身状態が悪化する疾患である.副腎皮質ステロイド薬が登場する以前は死に至る病でもあった.現在では,副腎皮質ステロイド薬に加え,複数の免疫抑制薬が使用可能となり,かなり治癒可能となった.
 糸球体より蛋白が漏出することがそもそもの発症原因であるが,その漏出機序についても近年新たな研究成果が報告されており,スリット膜異常,基底膜異常,糸球体足細胞・内皮細胞異常の分子機構までが明らかになってきている.
 ネフローゼ症候群の発症にも時代とともに変化がみられ,最近では高齢者のネフローゼ症候群が増加している傾向にある.また,年齢によりネフローゼ症候群の腎疾患病型が異なることは有名な事実であるが,高齢者になるほど,二次性腎疾患から発症するネフローゼ症候群が増加する.高齢者になるほど様々な臓器の合併症を有している.そのような状況で,副腎皮質ステロイド薬あるいは免疫抑制薬を用いてネフローゼ症候群の治療として寛解状態を目指す際,合併症を悪化させずに治療することは容易ではない.感染症,特に肺炎は高齢者の死因上位疾患であり,高齢者ネフローゼ症候群を治療する際は,最も警戒しなければならない合併症である.また,血栓症も高齢化社会の中で増加しており,もともと易血栓傾向を示すネフローゼ症候群の治療において,この血栓症予防にも細心の注意が必要である.
 副腎皮質ステロイド薬は,ネフローゼ症候群の治療薬として中心的役割を果たすが,経口,静注,静注パルス療法など様々な使用方法があり,いまだに適切な治療法が議論されている.ステロイド副作用の予防法に関しても,どのような薬剤を用いてどのように予防するべきか,ここにも未解決問題が残されている.
 海外ではネフローゼ症候群に様々な種類の免疫抑制薬が使用可能であるが,日本では限定された薬剤しか保険適用となってない.シクロスポリン,ミゾリビンがその限られた保険適用薬であったが,2014年8月より18歳未満のネフローゼ症候群に関して難治性ネフローゼ症候群(頻回再発例あるいはステロイド依存性例)である場合は,リツキシマブが保険適用薬として新たに認められることとなった.
 多くの免疫抑制薬が使用可能となること自体は今後も期待されるが,一方で高齢化しているネフローゼ症候群を治療する場合は,どのような薬剤使用が安全で有効であるのか様々な臨床的疑問点(clinical question:CQ)がある.この成書は,ネフローゼ症候群の治療において日常現場で遭遇するCQをたくさん用意し,そのCQに対する回答をアップトゥデートの情報を基に専門医の先生方に記載していただいた.是非とも日常診療に役立てていただければ幸甚である.


2015年1月
神戸大学大学院医学研究科腎臓内科 教授 西 慎一