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書籍詳細

授業・実習・国試に役立つ 言語聴覚士ドリルプラス

言語聴覚士ドリルプラス 運動障害性構音障害診断と治療社 | 書籍詳細:言語聴覚士ドリルプラス 運動障害性構音障害

熊本保健科学大学保健科学部リハビリテーション学科言語聴覚学専攻 教授

大塚 裕一(おおつか ゆういち) 編集

仙台医療福祉専門学校言語聴覚学科 学科長

櫻庭 ゆかり(さくらば ゆかり) 著

初版 B5判 並製 84頁 2020年10月02日発行

ISBN9784787824523

定価:本体1,900円+税
  

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言語聴覚士を目指す学生向けの問題集『言語聴覚士ドリルプラス』シリーズ6冊目.本ドリルは「運動障害性構音障害」をテーマとし,障害にかかわる解剖・生理から評価・訓練まで幅広くカバーした問題集になっています.神経・筋の障害は特に覚えることが多い領域ですが,もし初めて目にする用語があっても,主要用語は「読み解くためのKeyword」として解説! 実習や国試,そして臨床に出てからもずっと役立つ問題集です.

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目次

刊行にあたって…大塚裕一
運動の障害を学ぶということ…櫻庭ゆかり
編集者・著者紹介
本ドリルの使い方

第1章 運動障害性構音障害の歴史
1 欧米の歴史
2 日本の歴史

第2章 運動障害性構音障害の基礎
1 運動障害性構音障害の定義と障害のタイプ
2 運動障害性構音障害にかかわる解剖と生理
 ①肺気量
 ②胸郭と呼吸運動
 ③喉頭と声帯
 ④顔面・顎・軟口蓋
 ⑤舌
 ⑥神経
3 運動障害性構音障害の症状
 ①痙性構音障害
 ②一側性上位運動ニューロン性構音障害
 ③弛緩性構音障害
 ④運動低下性構音障害
 ⑤運動過多性構音障害
 ⑥失調性構音障害
 ⑦混合性構音障害

第3章 運動障害性構音障害の臨床
1 運動障害性構音障害の評価
 ①聴覚印象の評価
 ②発声発語器官の評価
 ③機器を用いた評価
 ④鑑別診断
2 運動障害性構音障害の訓練
 ①構音器官の機能訓練
 ②構音動作訓練・音の産生訓練
 ③発話速度のコントロール
 ④障害別訓練の注意点(1)
 ⑤障害別訓練の注意点(2)
 ⑥AAC
 ⑦補綴的治療

第4章 運動障害性構音障害の環境調整
1 周囲へのアプローチと社会復帰
2 友の会など

文 献
採点表
索 引

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序文

刊行にあたって

 現在わが国には,およそ70校の言語聴覚士の養成校が存在します.言語聴覚士法(1997年)の成立時にはその数は数校程度だったのですが,20年あまりで増加し,県によっては複数校存在しているという状況になっています.言語聴覚士の養成は,さかのぼれば1971年,日本初の言語聴覚士養成校である国立聴力言語障害センター附属聴能言語専門職員養成所での大卒1年課程の開設が記念すべきスタートになるかと思います.その後,開設された養成校の養成課程は,高卒3年課程や高卒4年課程の専門学校,大学での4年課程,大卒を対象とした2年課程などさまざまで,今後これらの課程に加え専門職大学での養成課程が加わろうとしています.
 言語聴覚士法が制定されてから,この約20年間での言語聴覚士にかかわる学問の進歩は著しく,教育現場で修得させなければならない知識・技術は増大する一方です.しかしながら入学してくる学生は,千差万別で従来の教育方法では十分な学習が困難となってきている状況もあります.
 今回,このような状況を改善する方策の1つとして,修得すべき基本知識を体系的に示したドリルを作成してみました.内容は,言語聴覚士の養成校で学ぶべき言語聴覚障害を専門領域ごとにまとめてシリーズ化し,領域ごとのドリルの目次は統一したものとし,目次を統一したことで領域ごとの横のつながりも意識しやすくなるようにしました.
 特徴としては
①すべての養成課程の学生を対象にしたドリルであること
②日々の専門領域講義の復習のみならず,実習,国家試験にも対応できる基本的な内容を網羅していること
③専門領域ごとにまとめたドリルであるが目次が統一されており,領域ごとの横のつながりが意識しやすいこと
などがあげられます.
 対象は学生ということを念頭においてシリーズ化したのですが,臨床現場で活躍されている言語聴覚士にも,基本的な知識の整理という意味で使用していただくことも可能かと考えています.
 最後に,この『ドリルプラス』シリーズが有効活用され言語聴覚士養成校の学生の学びの一助となることを期待します.

令和2年9月
大塚裕一


運動の障害を学ぶということ

 ヒールがアスファルトにめり込む暑い夏,クラスメートであった大塚先生と筆者は,敬愛する恩師・都筑澄夫先生から[tamaŋo]がいかにして発せられたかを分析して共同発表するよう命じられました.議論しながら確かめ,そしてまた議論して練り上げた経験は,今でも仕事の土台になっています(ありがとうございます,都筑先生と大塚裕一先生!).ただ少し困ったことに,音の背景にある神経活動と筋の協調に魅せられたこの時点で,私の志向性は理学療法に向かっていました.おもに能力上の問題から悪戦苦闘を強いられつつも,運動を学び語る高揚感はあの夏から続いています.
 発話の能力が低下することが,どれほど患者様のQOLと生きる意欲にかかわるか.現場で何度も膝をつき無力を呪う日々のなか,筆者は目もくらむようなセラピーと,理想の先達に出会いました.神経学,解剖学,運動学,音声学の知識の上にある鋭い評価の目,患者様のリアルに則った目標と計画の立案,患者様ご自身で動きを再現する運動学習への軌跡.テクニックだけではない何もかもに夢中になり,心の底からこうなりたいと願いました.その願いが叶うことはないのかもしれません.それでも,もしかしたら? という期待は,原動力になります.理学療法士,作業療法士の上司や同僚たちと同じ用語で語り合い,教えられる日々をもてたことも幸せでした.
 他の分野と同様に,運動の障害と向き合うにあたって学習することは多くあります.勉強をはじめたばかりの学生さんが涙目になる気持ちも,「筋肉が好きなら他の学科に行ってますー!」と叫びたくなる気持ちもよくわかります.しかし本来,人にとって声を発すること,おしゃべりすることが“快”であるなら,そこを支える学びもまた,苦しいことばかりではないかもしれません.辛くなったら,ちょっとドリルを解いてみて,再び教科書に挑戦してください.また,この分野は現在,訓練法はもとより分類や日本語の呼称に至るまで議論が続いています.それは発展のエネルギーに満ちた,魅力的な領域であることのあらわれでありましょう.今回はできる限り国家試験の用語と解答の傾向に沿って紹介しました.導入の役割を果たすことができれば,幸いに思います.
 ところで,ある日筆者はふとあることに思い至り,職業選択の違和感から解放されました.もし仮に私が理学療法士なら,「声」と「発話」と「食」にだけ熱くなっていそうです.そして,それが許されるのはもちろん「言語聴覚士」一択,なのでありました.

令和2年9月
櫻庭ゆかり