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糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版診断と治療社 | 書籍詳細:糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第9版
日本糖尿病学会専門医取得のための研修必携ガイド

日本糖尿病学会 編著

改訂第9版 B5判 並製 616頁 2023年08月21日発行

ISBN9784787825742

定価:9,680円(本体価格8,800円+税)
  

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日本糖尿病学会「糖尿病専門医研修カリキュラム」に準拠したガイドブックの改訂第9版.3年ぶりの改訂.「2 型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」に基づいた経口血糖降下薬の第一選択薬の選定,イメグリミンや経口GLP-1受容体作動薬などの新薬,持続グルコースモニター,カーボカウント,血糖コントロール情報などを更新.日本糖尿病学会が総力を結集したスタンダードテキスト.糖尿病専門医を目指すすべての医師必携の書!

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目次

改訂第9版への序
初版への序

目 次
編集委員・執筆者一覧
日本糖尿病学会 糖尿病専門医研修カリキュラム
利益相反

第1章 糖尿病の疾患概念
❶糖尿病の概念
 概念(1)
 概念(2)
 概念(3)
 概念(4)

第2章 糖尿病の疫学
❶糖尿病の発症率,有病率
 発症率と有病率
 国際糖尿病連合による糖尿病発症率,有病率の推計
 小児1型糖尿病の発症率
 成人1型糖尿病の発症率
 2型糖尿病・耐糖能障害の有病率
 小児・若年2型糖尿病の有病率
 COVID-19 と糖尿病発症の関係
❷糖尿病性合併症の疫学
 糖尿病網膜症
 糖尿病性腎症
 糖尿病性神経障害
 心血管疾患
❸糖尿病患者の死亡率,死因
 死亡率
 死因
❹主要な大規模臨床研究
 発症予防研究
 合併症予防研究
 わが国での研究

第3章 血糖調節機構とその異常
❶血糖の恒常性とその異常
 空腹時の血糖調節機構
 食事摂取時の血糖調節機構
 2型糖尿病にみる空腹時血糖調節機構の異常
 2型糖尿病にみる食事摂取時の血糖調節機構の異常
❷膵島とインスリン分泌
 膵島の発生・分化
 インスリンの合成・分泌とその異常
 膵β細胞量とその異常(糖毒性・脂肪毒性等を含む)
❸インスリン作用とインスリン抵抗性
 インスリンの作用機構
 インスリン抵抗性の病態と成因
 肝臓の役割
 骨格筋の役割
 脂肪組織の役割
 中枢神経系の役割
❹インスリン拮抗ホルモン
 グルカゴン
 その他のインスリン拮抗ホルモン
 インスリン拮抗ホルモンと血糖恒常性
❺インクレチンの分類と作用
 インクレチンの分類
 インクレチンの作用
❻インスリン作用と脂質代謝
 インスリンの脂質代謝作用
 インスリン抵抗性要因としての脂肪毒性

第4章 糖尿病の診断
❶診断の進め方
❷糖尿病の診断に必要な検査とその解釈
 空腹時血糖
 随時血糖
 75 g経口ブドウ糖負荷試験
 HbA1c
❸病型・病期・病態の評価のために
 問診
 身体所見
 尿検査
 インスリン値(インスリン抵抗性・インスリン分泌能の定量評価)
 血中・尿中C ペプチド値
 自己抗体
❹高齢者・小児・妊娠時における糖代謝異常
 高齢者
 小児
 妊娠時
❺境界型とメタボリックシンドロームの診断と意義
 境界型の診断と臨床的意義
 メタボリックシンドロームの診断と臨床的意義

第5章 糖尿病と糖代謝異常の成因と分類
❶糖尿病における成因と病態
❷1型糖尿病の成因と分類
 1型糖尿病の定義と分類
 1型糖尿病の成因:自己免疫異常,遺伝因子
 1型糖尿病の成因:環境因子
 緩徐進行1型糖尿病
 劇症1型糖尿病
 その他:免疫チェックポイント阻害薬関連
 1 型糖尿病
❸2型糖尿病の定義と成因
 2型糖尿病の定義
 2型糖尿病の成因:遺伝因子
 2型糖尿病の成因:環境因子
❹その他の特定の機序,疾患によるもの
 遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの
 他の疾患,条件に伴うもの
❺妊娠糖尿病の定義
 成因と分類における妊娠糖尿病
 妊娠中の糖代謝異常の定義と診断基準
 診断基準の根拠
 妊娠中の糖代謝異常のスクリーニング
 妊娠糖尿病および妊娠中の明らかな糖尿病の出産後のfollow-up105
❻発症遺伝子の解析法
 ヒトゲノムに存在するバリエーション
 連鎖解析
 ゲノムワイド関連解析(GWAS)
 次世代シークエンサーを用いた解析
 遺伝疫学的解釈
 遺伝カウンセリング

第6章 臨床検査の意義と評価法
❶検査の意義と評価法
 血糖値(簡易測定も含む)
 持続グルコースモニター(CGM)
 インスリン
 Cペプチド
 プロインスリン
 グルカゴン
 HbA1c
 グリコアルブミン
 1,5-AG
 クレアチニン,シスタチンC,eGFR
 血清脂質・リポタンパク
 自己抗体
 ケトン体分画(血液,尿)
 尿糖
 尿タンパク
 尿中アルブミン
 その他の尿パラメーター
 尿沈渣
❷インスリン分泌能・感受性の評価
 HOMA-IR,HOMA-β
 経口ブドウ糖負荷試験
 経静脈ブドウ糖負荷試験
 アルギニン負荷試験
 グルカゴン負荷試験
 インスリン負荷試験
 SSPG法
 グルコースクランプ
 ミニマルモデル
❸生理学的検査の活用
 ABI,PWV,CAVI
 血管内皮機能検査
 体組成,体脂肪率
❹画像診断の活用
 腹部エコー検査
 CT
 心エコー図検査
 頸動脈エコー検査
 MRI,MRA
 内視鏡の適応

第7章 治療総論
❶治療目標
 糖尿病治療の目標
 血管合併症の発症・進展を抑制するには
 血糖コントロールおよびその他の代謝指標の目標値
 合併症を考慮した治療目標と治療計画の立案
❷治療法
 1型糖尿病
 2型糖尿病
 その他特定の機序疾患によるもの
 境界型とメタボリックシンドローム
 妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠
 高齢者糖尿病
 小児糖尿病
 膵移植,膵島移植
❸患者教育
 意義
 血糖自己測定指導
 患者教育の実践ならびに糖尿病教室への参画
 糖尿病療養指導士,コメディカルとの連携

第8章 食事療法
❶意義と目的
 食事療法の意義と役割
 食事療法の目的
❷食事療法の実際
 総摂取エネルギー量,各栄養素の設定
 小児糖尿病
 糖尿病合併妊娠と妊娠糖尿病
❸食品交換表
 糖尿病食事療法の原則と食品交換表
 食品交換表使用の意義
 食品交換表の特徴
 食品交換表における食品の分類
 食品交換表を用いた食事指導の実際
 カーボカウント
❹三大栄養素・ビタミン・ミネラル
 炭水化物
 脂質
 タンパク質
 ビタミン・ミネラル
❺食物繊維
❻食塩
❼アルコール
❽合併する病態における設定
 糖尿病性腎症
 高血圧症
 脂質異常症
 肝疾患
 肥満

第9章 運動療法
❶意義と適用
 運動による代謝改善のメカニズム
 糖代謝異常における運動療法の意義と適応
❷指導法
 個々の運動の特性
 運動処方
 適応と禁忌:合併症との関連

第10章 薬物療法
❶経口血糖降下薬の適応と処方
 スルホニル尿素薬
 速効型インスリン分泌促進薬
 DPP-4阻害薬
 α-グルコシダーゼ阻害薬
 ビグアナイド薬
 チアゾリジン薬
 SGLT2阻害薬
 イメグリミン
 経口GLP-1受容体作動薬
 開発中の経口血糖降下薬
 経口血糖降下薬の併用療法
 抗肥満薬
 薬物の相互作用と禁忌
 代替医療と民間療法
❷注射薬の適応と処方
 インスリン製剤の種類と特徴
 1型糖尿病のインスリン治療
 2型糖尿病のインスリン治療
 CSII
 副作用とその対策
 インスリン治療における低血糖以外の問題
 GLP-1受容体作動薬

第11章 合併症ならびに併発症
❶急性合併症の病態,診断と治療
 糖尿病性ケトアシドーシス
 高浸透圧高血糖状態
 低血糖
 乳酸アシドーシス
❷慢性合併症の病態,診断と治療
 慢性合併症の成因・病態
 糖尿病網膜症
 白内障
 糖尿病性腎症
 糖尿病性神経障害
 糖尿病性大血管症
 糖尿病性足病変
❸併発症
 感染症
 高血圧症
 NAFLD・NASH
 勃起障害(ED)
 骨病変
 歯周病
 認知症

第12章 糖尿病と妊娠
❶妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠の病態
 妊娠時の糖代謝
 母児の合併症
❷治療法,血糖コントロール目標
 妊娠糖尿病,妊娠中の明らかな糖尿病
 糖尿病合併妊娠

第13章 小児糖尿病
❶小児糖尿病の特徴と疫学
 小児糖尿病の特徴
 小児糖尿病の治療と管理のポイント
 小児糖尿病の疫学
❷小児糖尿病の診断と治療の概要
❸小児1型糖尿病の病態,診断と治療
❹小児2型糖尿病の病態,診断と治療
❺小児糖尿病に合併する病態と対処
 低血糖
 シックデイ
 小児1型糖尿病に併発する甲状腺疾患
 小児糖尿病と成長障害
 皮膚病変
 骨折リスク
 口腔衛生上の問題
 糖尿病合併症
❻患児と家族への指導・支援
 1型糖尿病
 2型糖尿病
 トランジション
 知的障害,発達障害
❼小児糖尿病サマーキャンプ

第14章 高齢者糖尿病
❶高齢者糖尿病の病態と特徴
 加齢に伴う糖尿病の増加
 高齢者糖尿病の特徴
 高齢者の低血糖
 動脈硬化性疾患や併発症
 高齢者糖尿病と老年症候群
❷高齢者総合機能評価
 認知機能と身体機能の評価法
 高齢者総合機能評価
 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
❸高齢者糖尿病の治療
 食事療法
 運動療法
 薬物療法
 インスリン治療やGLP-1受容体作動薬
 低血糖やシックデイに対する対策

第15章 特殊な病態における糖尿病治療
❶脳心血管病等の急性期における
 糖尿病管理・治療
 ICUにおける血糖コントロール
 急性心筋梗塞の血糖コントロール
 脳血管障害の血糖コントロール
❷周術期管理
 周術期管理の実際
❸経静脈栄養療法
 経静脈栄養療法の基本
 高カロリー輸液の実際
❹経管栄養療法
 経管栄養療法の実際
 経管栄養中の血糖コントロール
❺重篤な感染症
 敗血症患者での血糖コントロール
 SGLT2 阻害薬と感染症
 糖尿病と重症皮膚軟部組織感染症
 糖尿病と気腫性感染症
 糖尿病と副鼻腔真菌症
❻副腎皮質ホルモン投与時
 副腎皮質ホルモンの種類
 副腎皮質ホルモンの糖質代謝への作用
 糖尿病管理
❼シックデイ
 シックデイとは何か
 シックデイの病態
 シックデイの食事摂取
 1型糖尿病とシックデイ
 2型糖尿病とシックデイ
 高齢者におけるシックデイ対策
 医療機関受診の判断および入院の適応
❽肝疾患
 肝疾患と糖代謝異常・糖尿病
 非アルコール性脂肪性肝疾患併存症例における糖尿病治療
 肝硬変症例における糖尿病治療
❾膵疾患
 膵疾患患者の臨床的特徴と血糖コントロール
❿悪性疾患
悪性疾患と血糖値異常
悪性腫瘍患者の血糖コントロール
胃癌
ステロイド使用時の血糖コントロール
⓫重症糖尿病網膜症における血糖コントロール
 厳格な血糖コントロールと網膜症に関する臨床研究成績
 重症糖尿病網膜症に対する急速な血糖コントロールの影響に関する臨床研究績
 急速な血糖コントロールによる重症糖尿病網膜症の増悪をきたすリスクと対応
⓬腎不全における血糖コントロール
 腎不全における糖代謝
 腎不全における血糖コントロールの意義
 腎不全における血糖コントロールの評価
 腎不全における血糖コントロール方法
⓭糖尿病性神経障害における血糖コントロール
 血糖コントロールが糖尿病性神経障害に与える影響
 糖尿病性神経障害が血糖コントロールに及ぼす影響
⓮認知機能障害,精神疾患における血糖コントロール
 認知機能障害患者における血糖コントロール
 精神疾患における血糖コントロール
⓯災害時の糖尿病治療
 災害時の糖尿病診療の目標
 避難所診療の実際
 インスリン治療中の患者
 GLP-1受容体作動薬による治療中の患1
 経口糖尿病薬による治療
 災害時の糖尿病診療についての留意点
 災害時の糖尿病患者支援に対する組織づくり
 まとめ

第16章 低血糖症
❶低血糖症の鑑別診断・治療
 定義
 臨床像
 鑑別
 治療
❷糖尿病治療に伴う低血糖
❸インスリノーマの診断と治療
 臨床的特徴
 診断
 腫瘍の局在診断
 腫瘍の特徴
 治療
❹その他の原因による低血糖
 反応性低血糖症
 血糖降下薬以外の薬剤による低血糖
 インスリンに対する抗体に起因する低血糖
 糖新生の抑制・低下
 インスリン拮抗ホルモン低下
 膵外性腫瘍
 詐病および虚偽性障害
❺新生児期から小児期発症の低血糖症
 低血糖症の診断
 低血糖による臨床症状
 低血糖症の原因疾患
 高インスリン性低血糖症の分類
 高インスリン性低血糖症の診断
 KATPチャネル遺伝子異常(ABCC8遺伝子異常,KCNJ11遺伝子異常)
 高インスリン性低血糖症の治療

第17章 その他の糖代謝異常
❶腎性糖尿
❷糖原病
 I型
 II型
 III型
 IV型
 V,VI型
 IX型
 VII型
 0型
❸ガラクトース血症
❹フルクトース代謝異常

第18章 脂質異常症
❶病因と病態
 糖尿病のリポタンパク異常
❷検査・診断・分類
 検査
 診断と分類
❸治療
 脂質管理目標の設定
 生活習慣改善
 薬物治療

第19章 肥満症
❶肥満症の病態
 白色脂肪組織と褐色脂肪組織
 アディポカイン(アディポサイトカイン)
 異所性脂肪
 肥満症と慢性炎症
❷肥満症の診断
 BM I(body mass index)
 ウエスト周囲長
 内臓脂肪面積
 生体電気インピーダンス法
 メタボリックシンドローム
❸肥満症の治療
 食事療法
 運動療法
 行動療法
 薬物療法
 外科療法
❹小児肥満症
 小児肥満症の定義
 小児肥満症診断のための肥満判定法
 小児肥満症診断の適用年齢と診断法
 小児肥満症の治療

第20章 糖尿病患者の心理的問題
❶意義
❷自己管理を促進するための理論
 自己管理行動(セルフケア)に関する知識
 自己管理行動の開始から完成まで:変化ステージモデル(多理論統合モデル)
❸心理行動学的方法
❹重症合併症や1型糖尿病発症時の強い心理的反応への対処法
 悲嘆反応
 重症合併症の発症時
 1型糖尿病の発症時
❺その他の問題:重症低血糖および精神疾患の合併・併発
❻最近のトピックス
 DPP:行動プログラムの有効性
 DAWN JAPAN Study,クリニカル・イナーシャ,DAWN2 Study
 QALY,医療経済評価
 糖尿病医療学
 スティグマ

第21章 糖尿病の社会的問題
❶医療経済,健康保険等
 保険医療と検査・治療
 特定健康診査・保健指導
 生命保険
 介護保険
 在宅医療
 生活保護
 社会保障と税の一体改革538
 小児慢性特定疾病539
❷社会・学校の患者受け入れ問題
 幼稚園・保育所・学校生活への配慮
 幼稚園・保育所の患者受け入れ問題
 社会の患者受け入れ問題
❸自動車運転等にかかわる問題
 2014年の道路交通法の改正
 無自覚性低血糖について
 自動車を運転する際の指導
❹家庭内の問題
 家庭は療養の場
 小児・思春期1型糖尿病
 小児・思春期2型糖尿病
 成人糖尿病
 高齢者糖尿病

 第22章 糖尿病の遺伝カウンセリング
❶遺伝カウンセリングとは
 遺伝カウンセリングの定義
 遺伝学的検査の種類とカウンセリング
❷糖尿病における遺伝カウンセリング
 単一遺伝子病
 多因子遺伝病としての糖尿病

第23章 各種団体との関係
❶日本糖尿病協会
 歴史
 目標
 会員
 活動
❷日本糖尿病対策推進会議
❸地域連携,病診連携
❹国際糖尿病連合(IDF)
❺日本糖尿病療養指導士認定機構
 歴史
 資格
 糖尿病チーム医療の意義と変遷
 活動
 CBDEJの展望

第24章 医療安全,医療倫理,医事法制
❶医療安全の意義,対策
 医療安全とは
 医療チームとしての医療安全対策
❷医療倫理の意義,重要性
 医療倫理と倫理問題
 患者の自律尊重原則とインフォームド・コンセント
 患者の意思が確認できない際の家族による代諾
 患者のプライバシー保護と守秘義務
❸医事法制の意義,対策
❹疫学研究・臨床研究の倫理
 研究倫理
 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針
 臨床研究法
 利益相反の管理

索 引

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序文

改訂第9版への序

 3年ぶりの改訂となる糖尿病専門医研修ガイドブックの改訂第9版をお届けいたします.基本的な項目立てについては,従来の方針を踏襲して日本糖尿病学会の専門医研修カリキュラムに準拠しました.用語については糖尿病学会用語集に従って統一を図っており,改訂のたびに修正,加筆を加えてアップデートしてきております.
 今回の第9版におきましても改めて項目を見直し,多くの執筆者に新たに加わって頂いており,新しい視点を加えた研修ガイドブックになったと考えております.前回の改訂の後に「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」などが新たに公表され, この内容などを含めて必要な改訂を行っております.また,新しい糖尿病治療薬も市場に出てきているため,新しい薬剤に関する情報なども追加記載しております.
 現在,サブスペシャルティ領域の専門医については新しい専門医制度が開始となり,内科専門医と糖尿病専門医の中間的な位置づけとしての新たな専門医である「内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医」も開始となっておりますが,糖尿病専門医に求められる知識や技能はこれまでと変わるものではないと考えております.
 この研修ガイドブックがより良い糖尿病医療を目指す糖尿病専門医育成の一助になることを祈念しております.また,本書の改訂にあたり,多大なご尽力を頂きましたすべての方,特にこのガイドブックの執筆あるいは校閲を担当していただいた先生方,糖尿病学会事務局の方,さらにこのガイドブックの出版社である「診断と治療社」の担当の方に改めて深謝申し上げます.

 令和5年6月
糖尿病専門医研修ガイドブック編集委員会

初版への序

 日本糖尿病学会は糖尿病専門医制度を設定している.その制度規則には以下のようにある.
 第1章第1条 この制度は糖尿病学の進歩に呼応して,糖尿病臨床の健全な発展普及を促し,有能な糖尿病臨床専門医の養成を図り,国民の健康増進に貢献することを目的とする.
 第2条 前条の目的を達成するため,社団法人日本糖尿病学会は専門医制度を設定し,専門医,研修指導医,認定教育施設を認定する.
 糖尿病患者数は年々増加を続けている.その慢性合併症による失明や血液透析導入患者数も増加を続け,糖尿病がその原因疾患第一位という憂慮すべき事態に至っている.すぐれた糖尿病診療は,医師,看護婦,栄養士などが,それぞれの専門性を生かし一体となって進められるもので,このような糖尿病診療チームの中心となるのが糖尿病専門医であり,糖尿病のすべてに通暁していることが要求される.今ほど,このような糖尿病専門医が求められている時はあるまい.その養成は急務である.
 糖尿病専門医試験受験資格の必要要件のひとつが,認定内科医研修の課程を修了後の医師,あるいは小児科認定医研修の課程を3年以上修了後の医師が,日本糖尿病学会の認定教育施設において3年以上の期間にわたって糖尿病臨床研修を行っていることである.
 本書では,日本糖尿病学会が設定した糖尿病臨床研修カリキュラムに基づき,カリキュラムの項目を忠実にたどるかたちで,専門医に必要とされる事項をもれなく,しかも最新の内容を含め解説した.糖尿病専門医を目指すものが,どのような知識,手技,経験を,どのレベルまで修得すればよいのか,本書はその臨床研修必携のガイドブックであるが,同時に21世紀初頭の糖尿病診療の解説書でもある.
 本書の作成にあたり,多大なご協力をいただいた日本糖尿病学会の先生方に深く感謝するとともに,本書が糖尿病診療の向上に寄与することを願っている.

 平成13年5月

糖尿病専門医研修ガイドブック作成委員会