HOME > 書籍詳細

書籍詳細

BMI over 30 肥満患者のER・ICU診断と治療社 | 書籍詳細:BMI over 30 肥満患者のER・ICU

東京都立多摩総合医療センター救命・集中治療科 部長

清水 敬樹(しみず けいき) 編著

初版 A5判 並製 488頁 2023年12月13日発行

ISBN9784787825766

定価:6,600円(本体価格6,000円+税)
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


電子版はこちらからご購入いただけます.
※価格は書店により異なる場合がございます.


(外部サイトに移動します)

肥満患者 さあどうする!? プロフェッショナルとしてどう対応したらよいのか?
ER・ICUで肥満患者に対応するすべての医療従事者必携の書籍が完成しました.解剖・生理,診療の流れ,手技,接遇,管理から退院まで,113項目でしっかり解説します!

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

口 絵
序 文
執筆者一覧

ER編
A 診療の流れ
 01.肥満と病院前診療
 02.メタボ健診の意義
 03.肥満患者のトリアージ
 04.肥満患者へのファーストタッチ
 05.肥満患者の基本バイタルサイン
 06.ストレッチャー
 07.車いす
 08.ERの廊下で肥満患者が倒れていたら
 09.肥満患者の聴診
 10.肥満患者の採血
 11.肥満患者のライン確保
 12.肥満患者の超音波検査
 13.肥満患者の胸部X線
 14.肥満患者のCT撮影
 15.肥満患者の縫合・フォローアップ
 16.肥満患者を帰宅させる際の注意事項
 コラム 肥満症診療ガイドライン2022の紹介
B 症状
 01.肥満患者の発熱
 02.肥満患者の呼吸困難
 03.肥満患者の腹痛
 04.肥満患者の胸痛
 05.肥満患者の腰痛
 06.肥満患者の痙攣
 07.肥満患者の意識障害~肥満低換気症候群を中心に~
 08.肥満患者の中枢神経症状
 09.肥満患者の便秘
 10.肥満患者の骨折
 11.肥満患者の下肢痛
C 評価
 01.InBodyによるBMI測定
 02.肥満の鑑別
 03.思春期の肥満
 04.高齢者の肥満
 05.短期間での体重増加
D 生活習慣
 01.肥満と遺伝
 02.肥満患者の運動
 03.肥満患者の睡眠
 04.肥満患者への教育
 05.肥満と精神疾患
E 接遇
 01.肥満患者への問診のコツ
 02.肥満患者への気遣い
 03.肥満患者の家族への病状説明
 04.肥満患者への処方
 05.肥満患者の心のケア

ICU編
A 解剖
 01.BMIの分布と統計
 02.肥満の性差
 03.腹部の皮下脂肪
 04.臀部の皮下脂肪
 05.鼠径部の皮下脂肪
 06.頸部の皮下脂肪
 コラム 肥満のリスクファクター
B 生理
 01.心機能
 02.肥満と高血圧
 03.肺機能
 04.胸郭コンプライアンス
 05.腎機能
 06.腹腔内圧
 07.脂肪量
 08.肥満とDVT
C 内分泌
 01.ホルモン
 02.中心性肥満
 03.血糖値
 04.栄養管理
D 手技上の問題
 01.気道確保
 02.気管挿管
 03.末梢静脈路確保
 04.中心静脈カテーテル挿入
 05.鼠径部動脈(A)ライン挿入
 06.超音波検査
 07.胸腔ドレナージ
E 薬剤・薬理
 01.指標は身長か,体重か
 02.肥満と薬剤効果
 03.鎮静薬薬理
 04.鎮痛薬薬理
 05.降圧薬薬理
 06.筋弛緩管理
 07.抗菌薬
F 人工呼吸器管理
 01.経肺圧測定
 02.至適PEEP
 03.1回換気量
 04.NPPV
 05.NHF(ネーザルハイフロー)
 06.人工呼吸器離脱
 07.肥満患者と睡眠時無呼吸症候群
G 疾患・疾病
 01.肥満と熱中症
 02.肥満と低体温症
 03.肥満とECMO
 04.肥満と妊婦
 05.巨大卵巣嚢腫
 06.大量腹水
 07.中毒性巨大結腸症
 08.小児の肥満
 09.高齢者の肥満
 10.肥満と筋肉質
 11.肥満と熱傷
 12.肥満とCOVID-19
 13.肥満と敗血症
 14.肥満と心肺蘇生
 コラム 日本人の肥満(世界から見た日本の特徴)
H 管理
 01.体位変換
 02.褥瘡
 03.腹臥位
 04.肥満患者の栄養管理
 05.排便管理
 06.リハビリテーション
 07.肥満患者の紹介先
 08.PICS
I 肥満と術後合併症
 01.呼吸・循環系
 02.創部系:肥満患者の手術部位感染
 03.外科的治療
 04.内科的治療と外科的治療の適応
J その他
 01.力士の麻酔管理
 02.力士と整形外科
 03.神経性食思不振症

索引

編著者プロフィール

ページの先頭へ戻る

序文

序 文

 昨今,世界中を震撼させてきたコロナのパンデミックも,ようやく落ち着きつつあります.そのコロナ感染患者の重症化リスクの1つとして「肥満」が知られております.救急・集中治療の現場でもその事実は実感としてもおおいに感じております.
 また,平時の医療においても,「肥満患者への対応」として,医療従事者の負担は非常に大きく,例えばベッド上での体位変換の際にも看護師の腕や腰にも大きな負担が加わります.その他,医学的な管理に関しても,肥満患者特有の呼吸,循環,内分泌系,などを含めた生理を十分に理解する必要があります.特に人工呼吸器管理の際には様々な問題点があります.それに加えて,褥瘡や,尿路感染症のリスクなども増加し,創傷治癒にも時間を要するなど入院期間も長くなり,さらには医療費も増加し得ることは容易に想像できます.麻酔科領域では,全身麻酔の管理料はBMIが35を超える場合には1.5倍の診療報酬が請求可能なシステムとなっています.救急・集中治療領域でも,同様のシステムが導入されてしかるべきと強く感じております.医療資源,人的資源を必要以上に費やすことになるため,それに見合った対価が支払われることは当然の権利と考えます.
 米国集中治療医学会(SCCM)でも近年は「肥満患者の集中治療」がトピックスの1つとして学術集会でのシンポジウムが開催されています.わが国でも肥満症診療ガイドラインが昨年6年ぶりに改訂されました(コラム参照).また「肥満の定義」はWHOと日本では異なります.本書の書名をBMI over 30とするかover 25とするかover 35とするか色々と悩みました.結局はWHOの肥満の基準であるover 30を採用させていただきました.これは議論があるところですが,わが国で肥満の定義がWHOに比べて1段低いBMI 25以上とされているのは,日本では欧米ほどの著明な肥満者は少ないが,BMI 25以上でも肥満に関連する疾患が多いという理由からであります.2019年の国民健康・栄養調査ではBMI 25以上の割合は男性が31.8%,女性が21.6%であり,BMI 30以上の割合は男性が5.4%,女性が3.6%となっており,特殊な生理学的特徴に焦点を当てるとBMI 30以上が適切と判断しました.
 本書の目的は,まずは肥満患者を「1つの特殊な生理学的特徴を持った個体群」として,その生理を認識して,救急・集中治療に挑むことと,今後,様々な肥満に関するエビデンス(治療内容,治療方法やコストなど)を蓄積して,適切な対価としての診療報酬を得るべく道筋をたてることです.救急・集中治療領域の診療に携わる皆さんが,肥満患者と対峙した際に,色々と大変だというようなネガティブな思考回路になるのではなく,肥満領域の特殊性を持った患者であることを認識して,プロフェッショナルとしての高い専門性とプライド,患者へのリスペクトを持ちながら患者管理に立ち向かう,その手伝いができればと考えています.是非本書を手にして現場でも頑張っていただければと期待しています.
 最後になりますが,本書の企画,作成に長期間携わり叱咤激励とご指導を頂きました診断と治療社編集部の金丸秀昭様およびスタッフ一同の皆様には深く御礼を申し上げます.

 2023年10月
清水敬樹