診断と治療
最新の医学情報を最高の執筆陣でお届けする内科総合雑誌のパイオニア!
わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る. 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点. 連載「視診で見抜く!皮膚疾患の診かた」「注目の新薬」など. 増刊号も毎回シャープな切り口と実際的な内容が大好評. 2色刷のビジュアルな誌面. |
2024年 Vol.112 No.10 2024-10-03
総合的な診療能力を高める 診断推論戦略Up To Date
定価:2,970円(本体価格2,700円+税)
2024年 Vol.112 No.11 2024年11月発売予定
特集/外来で見逃さない危険な疾患,相談すべき症例
Vol.112 No.12 特集/これでわかる高齢者COPD診療
Vol.113 No.1 特集/胸痛−見逃さない,間違えない診断と専門医紹介
Vol.113 No.2 特集/栄養学の温故知新 今こそ知りたい栄養管理の最前線
Vol.113 No.3 特集/これで慌てない! 消化管出血マネージメント
Vol.113 No.4 特集/器質的疾患と心因性疾患を見極める 診断推論ストラテジー
Vol.113 No.増刊号 特集/検体検査のポイントとピットフォール 診察室にこの1冊
Vol.113 No.5 特集/在宅医療アップグレード2025
Vol.113 No.6 特集/いまさら聞けない 予防接種の正しい知識
ねらい 鋪野紀好
総論Ⅰ 臨床推論と卓越した診断
臨床推論とは 清田雅智
卓越した診断―Diagnostic Excellence― 高田史門,徳田安春
総論Ⅱ 診断推論戦略―Fundamental
二重過程理論 直観と分析を駆使する 鈴木富雄
Semantic Qualifier 適切な統制語を設定する 鋪野紀好
総論Ⅲ 適切な情報収集―History & Physical Examination
診断のための病歴聴取の方法 山本 祐
診断に寄与する身体診察の方法 川島篤志
各論Ⅰ 診断推論戦略―Classical Strategy
解剖学的アプローチ―Anatomical approach― 平田理紗,德島圭宜,多胡雅毅
病態生理学的アプローチ―VINDICATE鑑別診断法― 梶 有貴
診断の不確実性 安藤崇之
帰納的渉猟と誘発されるルーチン―Inductive foraging and triggered routines― 原田 拓
各論Ⅱ 診断推論戦略―Modern Strategy
Pivot and Cluster Strategy―軸となる鑑別疾患とその周辺疾患― 松尾裕一郎
DECLARE A Comprehensive, Multifaceted Cognitive Forcing Strategy 志水太郎
水平/鉛直トレース―Horizontal and vertical tracing― 田島篤生,宮上泰樹
患者受療行動に基づく診断―Behavior-based medical diagnosis― 鋪野紀好
ICTを活用した診断戦略 佐々木陽典
連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
高熱,咽頭痛,全身倦怠感! 藤原崇志
弁護士が答えます! 法律相談クリニック
問題行動のある医師は解雇できますか? 鵜澤亜紀子
近年,わが国では地域における医療体制の見直しや医師の地域偏在および診療科偏在を解消する重要性が再認識されるとともに,高度医療の浸透や地域構造の変化を踏まえた新時代に適応可能な医療人材の養成といった課題が顕在化している.そのなかで,これらの課題を解決するために「総合的な診療能力を有する医師」の育成が求められている.内閣府からの「経済財政運営と改革の基本方針2024」にも明記されているほか,卒前の医学教育の教育指針となる「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」(文部科学省)でも「総合的に患者・生活者をみる姿勢」が新たな資質・能力として追加された.上記の背景のなか,「総合的な診療能力」を醸成することが,医学生や若手医師に限らず,実地医家にとっても「リカレント教育」としてその能力を再度磨き上げる必要性が高まっていることがわかる.
「総合的な診療能力」といっても,様々な診療能力が含まれているが,本特集ではそのなかでもすべての医師にとって基盤となる診断推論にフォーカスした企画としている.「診断」がつくことは適切な「治療」への第一歩であるが,一般外来,救急外来,病棟などでの診療において診断に確信がもてない,あるいは診断が想起できないと感じることは医師であれば少なからず経験することであろう.診断の不確実性に直面することは,患者のアウトカムを妨げる可能性だけでなく,医師は専門職として大きな心理的負担にもなる.
それでは医師の基盤ともいえる診断推論の思考プロセスはどのようにして修得するのがよいであろうか.診断推論の思考プロセスは一部の卓越した臨床医が有する「アート」や「名人芸」と揶揄されることがある.しかしながら,診断推論には医師が本質的な能力として活用できる「戦略」があり,診断推論戦略は診療所や病院,地方や都市などの診療設定にかかわらず,医師にとって有用な技法である.本特集では診断推論戦略に精通したエキスパートが,診断推論戦略についてクラシカルな方略から近年新たに提唱されている方略まで,診断推論戦略をUp To Dateすることを目的としている.また,各論ではそれぞれの診断推論戦略に加え,その戦略について症例を通じてどのように活用するかについても解説する.本特集が,これから診断推論戦略を学ぶ初学者や,さらに診断推論能力を向上させたい熟練医まで,実地医家が「総合的な診療能力」を涵養するための一助になることを願う.
千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学/千葉大学医学部附属病院総合診療科
鋪野紀好