株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

  • わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.
  • 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.連載企画も充実.
  • 増刊号も毎回シャープな切り口と実臨床に役立つ内容が大好評.
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雑誌「診断と治療」2023年 Vol.111 No.8 原因不明で経過する発熱,不明熱患者のみかた

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掲載論文

ねらい  柳元伸太郎

◆総 論
発熱,不明熱診療の概要  小林竜也,他
発熱診療のプロセス  井田弘明
そもそも「熱」とは  中神太志,他
原因不明のままの不明熱と診断的治療について  髙田 徹
感染制御の考えかた  龍野桂太

◆感染症
感染症を疑った場合の診察(問診・身体所見)とスクリーニング検査-この熱,感染症が原因かも?  清水真澄,他
不明熱としての結核  川村隆之,他
感染性心内膜炎  山下 駿,他
骨髄炎  高原俊介,他

◆自己炎症性疾患・自己免疫疾患
自己炎症性疾患と不明熱  五十嵐 徹,他
膠原病を疑った場合の診察(問診・身体所見)とスクリーニング検査-この熱,膠原病が原因かも?  朝倉啓友,他
家族性地中海熱  八田和大
不明熱で受診する血管炎症候群  針谷正祥
成人発症Still病  玉井博也,他

◆悪性新生物
悪性新生物を疑った場合の診察(問診・身体所見)とスクリーニング検査-この熱,がん(腫瘍熱)が原因かも?  勝俣範之
不明熱の原因となる血液疾患  池田大輔,他

◆慢性に発熱をきたし得るその他の疾患・病態
慢性的な発熱の原因となる内分泌疾患  大塚勇輝,他
心因性発熱(特にCOVID—19関連ストレスによる)と精神疾患患者にみられる微熱  岡 孝和
薬剤熱  藤井元輝,他

連 載
視診で見抜く! 皮膚疾患の診かた
アトピー性皮膚炎に合併しやすいのはどれか?  梅林芳弘
注目の新薬
ゾコーバ®(エンシトレルビル フマル酸錠)  小宮幸作,他

ねらい

 原因がわからない発熱を主訴に内科の外来を受診する患者は多数います.そのほとんどは一過性のかぜ症候群などであり,必ずしも確定診断とならずとも医師,患者双方とも想定した範囲内で病状が軽快,治癒し,問題となることはありません.しかしながら,時として,発熱が遷延し,当初の経験的治療にも反応せず,診断に難渋するケースに遭遇することもあります.定義として不明熱にあてはまるものに限らず,また,入院精査を行うような状況でもない,こうした発熱患者の診療をどのように進めるかは外来診療を行う担当医の頭を悩ませる大きなテーマです.いろいろなところで不明熱や発熱患者の診療については議論されていますが,医療・医学の進歩に合わせてアップデートしていくことは重要と考えています.
 本特集では,初診時に原因が明らかではない発熱,不明熱の患者を診療する際に,診断までのプロセスで,どのようなことをあらかじめ意識しておくことが必要で,可能性のある個々の疾患の診断にどのようにアプローチするのが望ましいかを整理することを目指しました.総論では発熱患者を外来で目の前にして考慮すべき最初のポイントをいくつかの観点から,それぞれの領域の専門の先生方に執筆していただきました.各論では,発熱をきたし得る代表的疾患領域として,感染症,自己炎症性疾患,自己免疫疾患,悪性新生物をピックアップしました.また,それぞれの領域のまとめと,今回のテーマにあてはまるいくつかの疾患についてそれぞれの執筆者の先生に解説していただきました.最後のセクションには,長く続く発熱患者を診療する際に気をつけたい,必ずしも鑑別の上位には上がらない疾患・病態についてもまとめていただいています.
 診断がわかっていれば,症状の1つとして遷延する発熱は何ら違和感のないものでも,発熱を出発点として,最終的な診断にたどり着く難しさは読者諸先生方もお感じになっていることと思います.本特集が先生方の日常診療に,そして,そのような症状で困っている患者のために,少しでもお役に立つことができれば幸いです.

東京大学保健・健康推進本部
柳元伸太郎
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