株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

  • わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.
  • 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.連載企画も充実.
  • 増刊号も毎回シャープな切り口と実臨床に役立つ内容が大好評.
  • 2色刷のビジュアルな誌面で読みやすい.

雑誌「診断と治療」2023年 Vol.111 No.10 心筋炎・心膜炎,感染性心内膜炎を診る,治す

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掲載論文

ねらい  森田啓行

◆心筋炎を診る,治す
心筋炎の分類,成因と症候  多田篤司,他
心筋炎の心エコー図検査  寺内泰観,他
心筋炎の心臓MRI検査  石田正樹
心筋炎の病理所見:心筋バイオプシー  藤田修一,他
急性心筋炎と劇症型心筋炎の診断と治療  美馬 響,他
好酸球性心筋炎の診断と治療  柏村 健
慢性心筋炎と炎症性心筋症  網谷英介

◆心膜疾患を診る,治す
心膜疾患の成因と症候  川波由佳,他
心膜疾患の心エコー図検査  関 光里,他
心膜疾患の心臓CT・心臓MRI検査  上原雅恵
急性心(外)膜炎,慢性心膜液貯留の診断と治療  中山理絵,他
収縮性心膜炎の診断と治療  北岡裕章
心膜炎のトピックス  岸 拓弥

◆感染性心内膜炎を診る,治す
感染性心内膜炎の心エコー図検査  吉井智洋,他
感染性心内膜炎の血液培養検査と起因菌の現状  酒井 純,他
感染性心内膜炎の抗菌薬選択と投与プロトコル  古川恵一
感染性心内膜炎の外科手術とタイミング,再発予防,フォローアップのありかた  宝来哲也

座談会
痛風・高尿酸血症の治療意義~腎の病態進展防止~
提供:株式会社富士薬品

連 載
視診で見抜く! 皮膚疾患の診かた
カルボシステインによる薬疹はどれか?  梅林芳弘
注目の新薬
レベスティブ®(テデュグルチド)  上小鶴孝二,他
新連載 弁護士が答えます!法律相談クリニック
こんな場合に診療拒否ができますか?  鵜澤亜紀子

ねらい

 心筋炎は心筋を主座とする炎症性疾患である.その原因はウイルス・細菌などの微生物感染,薬物・毒物への曝露,免疫系の賦活化など多岐にわたり,症候も軽症例から心不全・不整脈をきたすもの,劇症型重症例まできわめて多様である.全身疾患の一部分症として心筋症をきたすこともある.非特異的な症候,検査所見を呈することが多いため,診断するのが難しい.「まず疑う」ことが重要である.発症早期に心筋生検を行うことができれば,病理組織学的特徴から病型を割り出し,適切な治療計画を立てることができる.日本循環器学会の「2023年改訂版心筋炎の診断・治療に関するガイドライン」において,「慢性活動性心筋炎」が新たに定義されるなど,慢性期の心筋炎に関する疾患概念が改訂されている.
 また,心膜炎は心臓を包んでいる心膜の炎症であり,心膜液(心囊液)の貯留を引き起こし,しばしば心筋炎を合併する.その原因や症候は多様であり,心エコー,CT/MRI検査が診断の決め手になる.収縮性心膜炎や心タンポナーデなどに関してもそれらの病態を正確に理解しておくことが必要である.
 本特集では,心筋炎の「新分類」「心筋生検病理組織所見」「診断と治療」に関して,また,心膜炎の「画像検査」「診断と治療」に関してご解説いただいた.
 一方,感染性心内膜炎は,これら心筋炎・心膜炎とは大きく異なる疾患である.歯科治療後の菌血症などを契機に,主に心臓弁(自己弁や人工弁)に細菌感染に起因する疣腫(疣贅)を生じ,弁破壊,弁膜症をきたし,脳塞栓などの全身性塞栓症へと進行し得る疾患である.診断・治療のタイミングが予後を大きく左右する,「潜在的に進行する」重症疾患であり,日常診療において「まず疑う」ことが重要である.
 一般内科医の先生方に,心筋炎・心膜炎および感染性心内膜炎の最新の診断と治療に関して理解を深めていただきたいと考え,本特集を企画した.日常診療のなかで,これらの疾患を「まず疑う」ための,そして,適切に循環器専門医に紹介していただくための手引き書として,本特集を御活用いただければ幸いである.

東京大学大学院医学系研究科循環器内科学講座
森田啓行
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