株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

  • わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.
  • 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.連載企画も充実.
  • 増刊号も毎回シャープな切り口と実臨床に役立つ内容が大好評.
  • 2色刷のビジュアルな誌面で読みやすい.

雑誌「診断と治療」2023年 Vol.111 No.11 頭痛診療の新たなステージ

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掲載論文

ねらい  平田幸一

◆頭痛の診断とAI,オンライン診療
「頭痛の診療ガイドライン2021」を活用した頭痛の診断  荒木信夫
人工知能(AI)を用いた頭痛の診断  勝木将人,他
慢性頭痛のオンライン診療  島津智一

◆頭痛の治療(症例提示)
片頭痛  村方健治,他
緊張型頭痛  椎名智彦,他
三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛)  今井 昇
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛,MOH)  五十嵐久佳
二次性頭痛(RCVS・下垂体卒中)  松森保彦

◆片頭痛新規治療薬の開始タイミング
CGRP関連抗体薬  永田栄一郎
ラスミジタン  柴田 護
CGRP受容体拮抗薬  古和久典

◆頭痛の漢方薬療法・非薬物療法
漢方薬  五野由佳理
ニューロモデュレーション  團野大介
人間工学的アプローチ  辰元宗人

◆頭痛診療におけるコンサルテーションのタイミング
精神科・心療内科  中村祐三,他
ペインクリニック  下畑敬子,他
婦人科  稲垣美恵子
耳鼻咽喉科  五島史行

連載
視診で見抜く! 皮膚疾患の診かた
糖尿病に合併しやすい病変はどれか?  梅林芳弘
注目の新薬
ソグルーヤ®(ソマプシタン)  高橋 裕
新連載 弁護士が答えます!法律相談クリニック
離婚のときの財産分与について教えてください  太田善大

ねらい

 頭痛は第一線の診療において最も多い疾患の1つで,きわめて重要なものであることは周知の事実である.風邪に伴った頭痛で来院する患者もいる一方で,死に直結する頭痛もある.そして重要なのはこの少子高齢化社会での働き手,未来の働き手あるいは子育て世代が困っている片頭痛をはじめとする一次性頭痛,しかも慢性・難治化した頭痛に困って,困り果てて来院するのが頭痛患者,特に片頭痛患者である.たかが頭痛されど頭痛,という古くからの表現はまさにこれを表すものと感じ取ることができるのである.
 本特集では,まず疾病としての頭痛の診療ガイドライン,そしてこれからの診療のみならず,医学全体の方向付けを行うであろうAIによる診断,オンライン診療と,頭痛診療のDX化について述べていただいた.次には症例を提示しながら各種の一次性頭痛や,近年問題となっている薬剤の使用過多による頭痛(MOH),そして二次性頭痛の中でも,実際には頻度が高いにもかかわらず診断・治療が難しい,可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)・下垂体卒中について解説していただいた.
 1990年代の後半に多くの先進国で認可された急性期治療薬であるトリプタンは片頭痛患者に多くの福音をもたらしたが,時には有効でなかったり,副作用がみられたりして投与できない場合もあることが次第に明らかにされてきた.また,片頭痛の予防薬としてカルシウム代謝拮抗薬が開発され,各種の薬剤が適応を拡げ,あるいは適応外で投薬されてきたが,その効果は限定的であった.
 片頭痛の病態生理の中心となるものの1つがカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)であることが知られ,すでにわが国でも3種の抗CGRP関連薬が発売されている.これらにつき客観的な評価と各剤の特徴からみた投与の方針について述べていただいた.さらに新たな片頭痛急性期治療薬としてのラスミジタン,経口薬であるCGRP受容体拮抗薬の特徴と治験の進行について解説していただいた.
 片頭痛の治療には古くから漢方薬が投与されてきたが,その使用法について症例から学ぶ項目,そしてそもそも片頭痛発作を誘発しない,発作を軽減するための人間工学的アプローチについて述べていただいた.片頭痛に対するニューロモデュレーション治療も恐らく近いうちに保険適用がおりることから,これについても言及していただいた.
 これらの最新情報に加えて本特集では,神経関連科だけでは解決できない頭痛診療におけるコンサルテーションのタイミングなどを解説いただくことで,一般臨床医の方々の頭痛診療に少しでもお役に立てればと思っている.
 本特集は,新たなステージに入った頭痛診療の最新情報とトピックスを一般臨床医にわかりやすくお伝えすることを目的に企画した.他の多くの特集はいわゆる大御所が解説することを売りにしているが,本特集ではその分野の最も得意な方々に直接解説をお任せしたことを特徴としていると自負している.読者の皆様にそれが伝わることを期待している.

獨協医科大学
平田幸一
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