株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

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雑誌「診断と治療」2024年 Vol.112 No.7 スキルアップ心不全治療-診断からフォローまで

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掲載論文

ねらい  阿古潤哉

総論
 心不全とは  砂山 勉,堂垂大志,末永祐也

心不全の評価と管理
 うっ血の評価と管理  石原里美
 在宅心不全患者の診療のコツ  鈴木 豪

疾患別の専門医紹介のタイミング
 左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)  高麗謙吾
 左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)  石井奈津子,久保 亨
 弁膜症  佐藤希美
 肺高血圧症  石井俊輔

逆紹介後の適切な心不全治療
 HFrEFの従来の薬物療法 ―ACE阻害薬/ARB,β遮断薬,MRA―  近藤喜代太,近藤 徹
 HFrEFの新規薬物療法 ―ARNI,SGLT2阻害薬,イバブラジン,ベリシグアト―  松本新吾
 心臓再同期療法(CRT)  佐藤宏行
 TAVI,MitraClip®,ASD閉鎖栓  古賀将史,桒田真吾,田邉康宏

併存症への対処・再入院予防
 貧血  生駒剛典
 慢性腎臓病  藤城奈奈,齋藤秀輝
 フレイル  堀内 優
 心不全療養指導士の役割  眞茅みゆき
 地域の診療所における外来心臓リハビリテーションの実際  山下真司,神谷健太郎,野田千春

トピックス:Destination TherapyとACP
 Destination Therapy 時代の重症心不全医療  渡邉琢也
 アドバンス・ケア・プランニング  岡部浩太,柴田龍宏

連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
 骨がのどに刺さった!  田中茉奈美
注目の新薬
 レクビオ®皮下注(インクリシランナトリウム)  斯波真理子
弁護士が答えます!法律相談クリニック
 診察内容の録音・録画への対応は?  笹山桂一

臨床例
 多重リングを有する弾性糸を使用した内視鏡的粘膜下層剥離術における新たな内部牽引法  藤田欣也

ねらい

 心不全は,心臓の機能が低下し,全身が要求する心拍出量を保てなくなり,肺や全身のうっ血などをきたす症候群である.心不全の疾患概念はここ数十年の間に大きく様変わりし,心臓のみの疾患という理解から全身の神経体液性因子の破綻という理解に変わりつつあり,それに伴い薬物療法が大きな変貌を遂げてきた.特に左室駆出率の低下した心不全は治療法の大幅な進歩により大幅な予後の改善が望めるようになり,左室駆出率が保たれた心不全においてもようやく治療に進歩がみられるようになった.心不全治療においては,薬物療法のみならず非薬物療法も選択肢に加わってきつつある.
 治療は進歩しつつある心不全であるが,実は心不全患者は増加の一歩をたどっている.特に,超高齢社会の到来により予想された通り,心不全患者の大幅な増加はすでに現実のものとなりつつある.一般医家の臨床のなかにおいても心不全と無縁でいることはほぼ不可能となっている.
 さて,本特集では実臨床に即した心不全治療をテーマに据えることとした.まずは一般医家の読者にもわかりやすいように,心不全の評価法および専門医紹介のタイミングをまとめている.また,専門医に紹介した患者がどのような治療を受けて再び一般医家にもどってくる可能性があるか,またその際に行われる治療あるいは服薬にはどのような意味合いが込められているのかなどをまとめて示している.心不全とは増悪と寛解を繰り返して,そして次第にADLが低下していくという疾患である.このように再入院を繰り返すことがままあるのであるが,これを予防するためにどのような併存疾患に対する介入が考えられるのかなどを薬物療法や非薬物療法も含めて解説している.最後にはトピックスとして最近の話題であるDestination Therapyや,アドバンス・ケア・プランニングといった少し未来の医療の方向性についても紹介している.執筆者は比較的若手の第一線で活躍中の先生方にお願いした.いずれも読み応えのある項となっており,最初から読み進めてもよいし,まずは興味のあるところから飛ばしながら読んでも十分に楽しめる内容になったのではないかと自負している.本書で心不全の今と未来に関して理解を深めていただければ幸いである.

北里大学医学部循環器内科学
阿古潤哉
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