株式会社 診断と治療社

診断と治療 最新号

  • わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る.
  • 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点.連載企画も充実.
  • 増刊号も毎回シャープな切り口と実臨床に役立つ内容が大好評.
  • 2色刷のビジュアルな誌面で読みやすい.

雑誌「診断と治療」2024年 Vol.112 No.12 これでわかる高齢者COPD診療

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掲載論文

ねらい  石井正紀

総 論
 全身性疾患としてのCOPD  寺本信嗣,渡邉敬康,渡邉 東

診断と治療
 COPDの疫学  山本 寛
 COPDの診断  三谷明久
 COPDの病因・病態  竹田正秀,中山勝敏
 COPDの薬物療法  丸毛 聡
 肺気腫における外科治療  佐藤雅昭
 COPDの在宅医療  茂木 孝

併存疾患から考えるCOPD
 呼吸器感染症から考えるCOPD  山口泰弘
 喘息から考えるCOPD  原田紀宏
 肺癌から考えるCOPD  藤井洸希,川上正敬
 間質性肺炎から考えるCOPD  榎本達治
 心不全から考えるCOPD  葛西隆敏,加藤隆生,安島鵬飛
 動脈硬化から考えるCOPD  清末有宏
 フレイル・サルコペニアから考えるCOPD  東本有司
 栄養障害から考えるCOPD  𠮷川雅則,藤田幸男,山本佳史

COPD診療における地域連携と多職種協働
 COPD診療における地域連携  矢内 勝
 COPD診療における呼吸リハビリテーション  佐野裕子

臨床例
 眼科往診の際に点眼変更が奏効した,涙液蒸発亢進型ドライアイの1例  清水映輔,西村裕樹,ローハン ケムラニ,中山慎太郎

連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
 顎が腫れて,痛くて食事ができない!  野村昌紀
弁護士が答えます! 法律相談クリニック
 退職勧奨における望ましい対応とは  太田善大

ねらい

 呼吸器系は加齢に伴う影響を最も顕著に受ける臓器の1つとされており,高齢者では身体機能や免疫機能の低下が生じることに加え,様々な合併症に起因する脆弱性をベースとして,呼吸器疾患のリスクが増加する.そのなかでも,超高齢社会としてのわが国では,過去に喫煙したことがある年齢層が高齢世代となり,特に高齢者の呼吸器疾患として知られている慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の患者数が増加の一途をたどっている.しかしながら,未診断・未治療の患者数が多いのも現状であり,今後はますますCOPDの早期の診断と適切な治療が求められる時代となるであろう.とりわけ,呼吸器非専門医や若手の先生方にとっては,COPDの診断や治療は難しく感じられることもあるが,本特集では,呼吸器専門医に限らず,非専門医や若手の先生方も対象として,COPDにおける基本的な知識から,肺の老化や病理・遺伝的素因,最新の診断・治療法,在宅医療からエンドオブライフに至るまでの臨床や研究を総括的に提供することを目的としている.さらに,全身性疾患としてのCOPDにフォーカスし,肺炎やCOVID—19などの感染症,肺癌,間質性肺炎,喘息などの他の呼吸器疾患との合併だけでなく,動脈硬化や心不全などの循環器疾患やフレイル・サルコペニア,栄養障害の併存,さらには地域医療連携や多職種協働としての取り組みに関しても,診療科や職種の垣根を越えて解説する.
 超高齢社会である日本の日常診療は,高齢者医療が基本であり,そのなかでも呼吸器疾患の代表格であるCOPD診療には,呼吸器系という範囲にとどまらず,全身管理が求められるうえで,チーム医療の観点からも十分な知識の習得が必要である.ぜひご一読いただき,COPDにおける臨床上の疑問や課題に対し,診療科や職種を越えたアプローチとして理解を深めていただきたい.本特集がその一助になっていただければ幸いである.

東京大学医学部附属病院老年病科
石井正紀
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