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雑誌「診断と治療」2025年 Vol.113 No.4 器質的疾患と心因性疾患を見極める 診断推論ストラテジー
掲載論文
ねらい 鋪野紀好
総論 病歴と身体診察
器質的疾患と心因性疾患の特徴(病歴) 鋪野紀好
器質的疾患と心因性疾患の特徴(身体診察) 柴田裕介
各論 症候別診断推論ストラテジー
発熱―急性感染症後の遷延する炎症反応を伴わない微熱の理解と治療― 岡 孝和
全身倦怠感―経過と背景情報から疾患の可能性を見積もりアプローチする― 石瀬裕子,平田理紗,多胡雅毅
食思不振―それって本当に心因性?― 西 知世,平田理紗,多胡雅毅
体重減少―思春期の意図しない食事摂取量の制限による体重減少― 宮森大輔
意識障害・失神―除外診断の限界と肯定的特徴を理解する― 小森大輝
痙攣―持続時間・身体所見に注目― 坂本 壮
めまい―PPPDや心因性めまいの鑑別を見極める― 石塚晃介
咽頭痛―特に咽喉頭異常感を訴える症例への対応― 宇野光祐
呼吸困難―器質的疾患/心因性疾患が併存する症例に対する包括的アプローチ― 森屋淳子
胸痛―真の胸痛の原因を見極める 器質的疾患と心因性疾患の鑑別― 小野亮平
動悸―パニック症を含む精神疾患を考慮したアプローチの重要性― 山崎允宏
腹痛―慢性腹痛における心因性・機能性疾患のアプローチ― 原田 拓
悪心・嘔吐―悪心・嘔吐の診療では,器質的疾患と心因性疾患が併存するケースもあるという視点をもつ― 平林礼奈,吉村亮彦,塩田星児
不安・抑うつ―うつ症状と不安症状を呈する身体疾患と精神疾患の除外― 竹内武昭
頭痛―身体的要因による頭痛と心理社会的要因に伴う頭痛― 福澤文駿,鋪野紀好
運動麻痺・筋力低下―器質性神経障害と機能性筋力低下の鑑別の実際― 神林隆道,園生雅弘
心因性感覚障害―「心因性」は4つに分類される― 福武敏夫
多愁訴―5つの疾患パターンに対応しよう― 長崎一哉
連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
唇が腫れてきました! 藤原崇志
弁護士が答えます! 法律相談クリニック
インターネット上での誹謗中傷はどうすれば削除できますか? 鵜澤亜紀子
総論 病歴と身体診察
器質的疾患と心因性疾患の特徴(病歴) 鋪野紀好
器質的疾患と心因性疾患の特徴(身体診察) 柴田裕介
各論 症候別診断推論ストラテジー
発熱―急性感染症後の遷延する炎症反応を伴わない微熱の理解と治療― 岡 孝和
全身倦怠感―経過と背景情報から疾患の可能性を見積もりアプローチする― 石瀬裕子,平田理紗,多胡雅毅
食思不振―それって本当に心因性?― 西 知世,平田理紗,多胡雅毅
体重減少―思春期の意図しない食事摂取量の制限による体重減少― 宮森大輔
意識障害・失神―除外診断の限界と肯定的特徴を理解する― 小森大輝
痙攣―持続時間・身体所見に注目― 坂本 壮
めまい―PPPDや心因性めまいの鑑別を見極める― 石塚晃介
咽頭痛―特に咽喉頭異常感を訴える症例への対応― 宇野光祐
呼吸困難―器質的疾患/心因性疾患が併存する症例に対する包括的アプローチ― 森屋淳子
胸痛―真の胸痛の原因を見極める 器質的疾患と心因性疾患の鑑別― 小野亮平
動悸―パニック症を含む精神疾患を考慮したアプローチの重要性― 山崎允宏
腹痛―慢性腹痛における心因性・機能性疾患のアプローチ― 原田 拓
悪心・嘔吐―悪心・嘔吐の診療では,器質的疾患と心因性疾患が併存するケースもあるという視点をもつ― 平林礼奈,吉村亮彦,塩田星児
不安・抑うつ―うつ症状と不安症状を呈する身体疾患と精神疾患の除外― 竹内武昭
頭痛―身体的要因による頭痛と心理社会的要因に伴う頭痛― 福澤文駿,鋪野紀好
運動麻痺・筋力低下―器質性神経障害と機能性筋力低下の鑑別の実際― 神林隆道,園生雅弘
心因性感覚障害―「心因性」は4つに分類される― 福武敏夫
多愁訴―5つの疾患パターンに対応しよう― 長崎一哉
連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
唇が腫れてきました! 藤原崇志
弁護士が答えます! 法律相談クリニック
インターネット上での誹謗中傷はどうすれば削除できますか? 鵜澤亜紀子
ねらい
「この症状は器質的疾患によるものか,それとも心因性疾患によるものか」
この問いは,多くの臨床医を悩ませるものである.
医療現場において,器質的疾患と心因性疾患を適切に鑑別することは,その後の治療方針や予後に大きな影響を及ぼす.しかし,実臨床では両者を明確に区別することは容易ではない.その背景には,「器質的疾患が否定的であるから心因性疾患である」という単純な二分法が成り立たないという前提がある.
特に,内科外来を受診する精神疾患患者の多くは,身体症状を主訴としており,プライマリ・ケアの現場では,身体症状を訴える精神疾患患者が約3割を占めるとされる.なかでも,多愁訴や医学的に説明のつかない身体症状(medically unexplained physical symptoms:MUPS)を呈する場合には,精神疾患の可能性を念頭においた慎重な鑑別が求められる.
しかし,既知の器質的疾患を除外できたとしても,未知の器質的疾患が含まれている可能性は常に残る.実際,「知らない器質的疾患」を含めたすべての器質的疾患を完全に除外することは困難である.そのため,「器質的疾患ではないから心因性疾患である」と安易に判断することは,診断エラーを引き起こすリスクが高い.また,医学的に説明できない症状を強引に心因性と決めつけたり,軽視したりすることで,多くの見逃しが生じる可能性がある.一方で,器質的疾患の見逃しを恐れるあまり,過剰な検査が行われることもある.このような過剰検査は,医療コストの増大だけでなく,患者の「病人役割(sick role)」を強化し,かえって精神症状を増悪させる可能性がある.
本特集では,器質的疾患と心因性疾患を効率的かつ正確に鑑別するための診断推論戦略を提示する.主要な症候ごとに症例を基盤としたアプローチを紹介し,具体的な診断プロセスや実践的な手法を学ぶ.また,鑑別診断に役立つエビデンスを交えながら,臨床医が日常診療で直面する課題に対する解決策を提示する.
本特集が,読者の診断推論スキルの向上に寄与し,実地医家の診療において実践的な指針となることを目指す.
千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学
鋪野紀好
この問いは,多くの臨床医を悩ませるものである.
医療現場において,器質的疾患と心因性疾患を適切に鑑別することは,その後の治療方針や予後に大きな影響を及ぼす.しかし,実臨床では両者を明確に区別することは容易ではない.その背景には,「器質的疾患が否定的であるから心因性疾患である」という単純な二分法が成り立たないという前提がある.
特に,内科外来を受診する精神疾患患者の多くは,身体症状を主訴としており,プライマリ・ケアの現場では,身体症状を訴える精神疾患患者が約3割を占めるとされる.なかでも,多愁訴や医学的に説明のつかない身体症状(medically unexplained physical symptoms:MUPS)を呈する場合には,精神疾患の可能性を念頭においた慎重な鑑別が求められる.
しかし,既知の器質的疾患を除外できたとしても,未知の器質的疾患が含まれている可能性は常に残る.実際,「知らない器質的疾患」を含めたすべての器質的疾患を完全に除外することは困難である.そのため,「器質的疾患ではないから心因性疾患である」と安易に判断することは,診断エラーを引き起こすリスクが高い.また,医学的に説明できない症状を強引に心因性と決めつけたり,軽視したりすることで,多くの見逃しが生じる可能性がある.一方で,器質的疾患の見逃しを恐れるあまり,過剰な検査が行われることもある.このような過剰検査は,医療コストの増大だけでなく,患者の「病人役割(sick role)」を強化し,かえって精神症状を増悪させる可能性がある.
本特集では,器質的疾患と心因性疾患を効率的かつ正確に鑑別するための診断推論戦略を提示する.主要な症候ごとに症例を基盤としたアプローチを紹介し,具体的な診断プロセスや実践的な手法を学ぶ.また,鑑別診断に役立つエビデンスを交えながら,臨床医が日常診療で直面する課題に対する解決策を提示する.
本特集が,読者の診断推論スキルの向上に寄与し,実地医家の診療において実践的な指針となることを目指す.
千葉大学大学院医学研究院地域医療教育学
鋪野紀好