株式会社 診断と治療社

産科と婦人科 最新号

  • 臨床にすぐに役立つ知識や最新知見を毎号1テーマで特集.
  • エキスパートによる解説が読み応え十分!
  • 増刊号は網羅的な構成で「手元にあると便利な1冊」として毎年好評.
  • 2色刷りのビジュアルな誌面でポイントが一目でわかりやすい.

雑誌「産科と婦人科」2024年 Vol.91 No.4 子宮摘出と機能障害・機能温存・機能再建アップデート

定価:
3,190円(本体価格 2,900円+税)
在庫:
在庫あり
カートに入れる

電子版はこちらからご購入いただけます.

バックナンバー

バックナンバー 一覧

当社発行の雑誌は論文単位でPDFファイルのダウンロード購入が可能です.
詳細はメディカルオンラインへ

メディカルオンライン

掲載論文

企画 五十嵐敏雄

Ⅰ.子宮全摘後の機能障害
1 .子宮全摘後の骨盤臓器脱 / 古山将康・他
2 .子宮全摘後の排尿障害・排便障害 / 関山健太郎
3 .子宮全摘後の卵巣機能・性機能障害および腟断端離開 / 馬場 聡
4 .子宮全摘時のエネルギーデバイスによる尿管損傷 / 荻島大貴

Ⅱ.様々な子宮全摘と機能温存
5 .腹式単純子宮全摘 冨尾賢介
6 .広汎/準広汎子宮全摘術・広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー) / 川名 敬
7 .全腹腔鏡下子宮全摘術 / 吉越信一・他
8 .vNOTESを用いた鏡視下子宮全摘 / 羽田智則・他
9 .ロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 / 安彦 郁・他
10.腹腔鏡下子宮腟上部切断術 / 伊熊健一郎・他
11.帝王切開時の子宮摘出―Porro手術 vs. 子宮全摘― / 杉本充弘・他

Ⅲ.術式別の機能再建
12.腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)&ロボット支援下仙骨腟固定術(RSC) / 大木慎也・他
13.腟式子宮全摘術と腟式骨盤臓器脱手術(native tissue repair)―その有用性と手技上のtips and tricks― / 永田一郎
14.vNOTESを用いた鏡視下子宮全摘+腟断端仙骨子宮靱帯固定術 / 青木志保・他
15.子宮移植手術 / 木須伊織

連 載
漢方よもやま話 第4回
当帰芍薬散 / 能㔟充彦

弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
診察中に録音をする患者さんがいるのですが,拒絶できるものなのでしょうか? / 福原正和

専門医・認定医をとろう!私の体験記 第10回
性感染症学会認定医(日本性感染症学会) / 木寺信之

ねらい

 産婦人科の手術は摘出するばかりで機能温存や機能再建するものはないといわれてきたが,いまや子宮の手術に限ってはそうとはいえない.卵巣摘出の場合と異なり術後のホルモン補充までは通常心配ないが,子宮を不用意に摘出してしまうと失われる機能がいくつかある.妊孕性が消失するのはもちろんのこと,子宮を支える靱帯などを失って骨盤臓器脱になることもあるし,長期的にみると冠動脈のトラブルが増えるという話もあるし,大きめに摘出すると排尿障害や排便障害を起こすこともある.ほかにも術後に性行為時の感覚が変わるという話もあり,患者としては術後の傷や侵襲も気になるところであろう.子宮摘出術は産婦人科手術の基本であり,出血が少なく目的を達成し安全に行われるのが一番であるが,子宮が骨盤臓器の1つとして支持組織の中心にあること,尿管だけでなく膀胱や直腸や卵巣に分布する神経や血管の走行も意識して手術を行わなければ,最終的に患者のためにならない.
 最近は,子宮摘出の際に将来的な骨盤臓器脱を惹起させぬようにしたり,排尿障害が起こらないようにしたりする機能温存手術だけでなく,子宮や膀胱を支える組織が分娩や加齢などで損傷して骨盤底筋群の機能が失われた状態に対して新たに子宮を摘出して支持組織に固定し直す機能再建を目指した手術が行われている.また,手術の方法やアプローチに関しても開腹や単なる腹腔鏡だけでなくロボット支援下手術や腟からの内視鏡で子宮を摘出する方法も普及しつつある.一方で子宮頸部を残した手術のほうが望ましい症例が再検討されるなど子宮摘出術は確実にアップデートしている.さらに,もともと子宮がない方だけでなく,子宮を摘出したうえに別の子宮をドナーから臓器移植して妊孕性を維持させるという究極の機能温存・機能再建手術が準備段階に入っており,近い将来,日本でも現実のものになると思われる.
 本特集は,子宮摘出と機能障害・機能温存・機能再建アップデートと題して,この分野で最先端の先生方にご執筆いただいた.本号が,皆様の子宮摘出のレベルアップになり,患者がその恩恵を授かることを期待してやまない.

(帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄)
top