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産科と婦人科 最新号

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雑誌「産科と婦人科」2024年 Vol.91 No.6 周産期メンタルヘルスを深掘り!

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掲載論文

企画 石本人士

Ⅰ.総 論
1.周産期メンタルヘルスにおける課題と展望 / 相良洋子
2.妊産婦の自殺とメンタルヘルス / 齋藤知見・他
3.自殺念慮のある妊産婦への対応 / 立花良之
4.妊産婦における向精神薬の調整・管理のポイント / 渡邉博幸
5.ボンディング障害と愛着障害 / 山下 洋

Ⅱ.周産期うつ病をめぐる話題
6.周産期うつ病の診断とその対応 / 福本健太郎・他
7.父親の産後うつ / 竹原健二
8.周産期のうつ病と栄養 / 山本賢司

Ⅲ.精神疾患合併妊産婦の対応
9.統合失調症 / 奥村啓樹・他
10.双極性障害(双極症) / 菊地紗耶・他
11.パーソナリティ障害 / 堀 雅博
12.不安症・強迫症 / 清野仁美・他
13.アルコール使用症および嗜癖行動症 / 樋口 進

Ⅳ.精神科・多職種との連携
14.精神科救急への対応―周産期において精神科救急を要するとき― / 長谷川 花・他
15.周産期メンタルヘルス推進のための院内および地域の医療連携体制の構築 / 佐藤昌司
16.精神疾患合併妊娠の管理にかかわるソーシャルワーカーの役割  / 金子慈史・他

連 載
漢方よもやま話 第6回
酸棗仁湯 / 能㔟充彦

弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
合併症,副作用をどこまで説明すべきでしょうか? / 水上裕嗣

専門医・認定医をとろう!私の体験記 第12回
生殖補助医療胚培養士(日本卵子学会) / 小野寺優美

原 著
レルゴリクスの子宮全摘術待機症例に対する効果と副作用の検討 / 齋藤文香・他

ねらい

 今日ほどメンタルヘルスが耳目を集めている時代はありません.
 メンタルヘルスとは一般に「心の健康」とされますが,世界保健機関(WHO)では「自身の可能性を認識し,日常のストレスに対処でき,生産的かつ有益な仕事ができ,さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」とより具体的に定義しています.少し考えてみても,自信を失ったり,仕事や家庭のストレスに上手く対応できなかったり,仕事を有意義に捉えることができなかったり,周りの人や会社や組織との関係性に悩んだり落ち込んだりと,このWHOの定義にはずれる状態には,誰しも容易になり得ます.そして,メンタルヘルスの不調から抜け出せなければ精神疾患に進展してしまうことも考えられます.また突如として精神疾患が発症することもあるでしょう.心の病気は誰でもかかり得る身近なものであると国も認識しており,2011年からは「がん」「脳卒中」「心血管疾患」「糖尿病」の4つに加え,「精神疾患」が重点対策すべき5疾病の1つに加わりました.
 周産期の領域についていえば,母体死亡原因の第1位は自殺であり,うつを含む心の不調に対しての対策が急務となっています.また様々な精神疾患を合併した妊婦を診療する機会も増えつつあり,産婦人科医といえども精神疾患に関する理解を深めておく必要があります.
 妊産婦のメンタルヘルスにかかわる諸問題に対して適切に対応し問題の解決を図るには,精神科との連携,院内多職種との連携,本人の健康だけでなく児の養育を見据えた行政・地域母子保健体制との連携が必須です.しかし,心の問題は非常にデリケートな領域であり,知識がないために状況がかえって悪化することもあります.また連携体制の構築は,経験が少ないと大変困難です.
 そこで,本特集では周産期メンタルヘルスを少し深掘りし,現況や連携に関する知識,妊産婦にみられる精神疾患に関する知識のアップデートをしたいと考えました.
 本特集が,妊産婦を扱う医師がさけては通れない周産期のメンタルヘルスについて,知識を深める一助となれば幸いです.

(東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本人士)
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