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子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症 診療マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症 診療マニュアル
女性3大良性疾患を診る

聖路加国際病院女性総合診療部

百枝 幹雄(ももえだ みきお) 編集

初版 B5判 並製 208頁 2013年12月20日発行

ISBN9784787820488

定価:5,720円(本体価格5,200円+税)
  

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ホルモン依存性良性腫瘍・類腫瘍という共通の特徴をもつ「子宮筋腫,子宮内膜症,子宮腺筋症」の3疾患を1冊にまとめ、発生機序,分類と診断,ホルモン製剤療法、各疾患に固有の手術療法を解説.各疾患の治療目的(過多月経,疼痛,不妊など)に応じた取り扱いがフローチャートで実践的にわかる.

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目次

Ⅰ 総 論
1 女性のライフステージからみた子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症 /百枝幹雄
2 子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の疾患概念 /原田 省
3 子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の疫学 /北脇 城
4 子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の治療に用いる薬剤 / 阿部若菜・他

Ⅱ 各 論
第1章 子宮筋腫
1 発生機序 / 鈴木彩子・他
2 分類と診断 /近藤英治・他
3 手術療法 /明樂重夫
4 子宮動脈塞栓術(UAE) /岩下光利
5 MRIガイド下集束超音波療法 /石田友彦
6 子宮筋腫による過多月経の取り扱い /金岡 靖
7 子宮筋腫合併不妊の取り扱い /綾部琢哉
8 子宮筋腫合併妊娠の取り扱い /平松祐司
第2章 子宮内膜症
1 発生機序 /生水真紀夫・他
2 分類と診断 /前田長正
3 手術療法 /工藤正尊
4 子宮内膜症による疼痛の取り扱い /小畑孝四郎
5 子宮内膜症合併不妊の取り扱い /沖 利通
6 稀少部位子宮内膜症の取り扱い /伊藤史子・他
7 チョコレート囊胞からの卵巣癌発生 /小林 浩
第3章 子宮腺筋症
1 発生機序 /カーン カレク・他
2 分類と診断 /木村文則・他
3 手術療法  /杉並 洋
4 子宮腺筋症による疼痛の取り扱い /原田美由紀・他
5 子宮腺筋症による過多月経の取り扱い /太田郁子
6 子宮腺筋症合併不妊の取り扱い /長田尚夫

薬剤一覧表 
索引

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序文



 本書では「女性に特有の」,「ホルモン依存性」,「良性腫瘍・類腫瘍」として,子宮筋腫,子宮内膜症,子宮腺筋症の3つを「女性3大良性疾患」と呼ばせていただきました.「世界3大○○」や「日本3大○○」には場所や立場によっていくつもの異説があるのが世の常ですが,同様に女性3大良性疾患といえば,また別の疾患をあげる方もおられるでしょう.ただ,あえて「女性3大良性疾患」としてこの3疾患をまとめた教科書を作ったのは次のような理由からです.
 第1に,これらは,①生殖年齢女性に高頻度に発症する,②子宮あるいは骨盤内臓器の,③ホルモン依存性の良性腫瘍・類腫瘍で,⑤月経困難症や過多月経をきたし,⑥妊孕性を低下させることで,⑦女性のQOLを著しく低下させる,という点で共通した特徴を有していること.
 第2に,これらの3疾患の有病率が非常に高いこと.報告によりばらつきはありますが,子宮筋腫は約3割,子宮内膜症は約1割,子宮腺筋症は約2割の女性に認められます.さらに,相互の合併率が高いこともあり,おそらく全女性の4割程度はいずれかの疾患を有し,日常生活で何らかの影響を受けているのではないかと思います.
 第3に,これら3疾患の診療において,共通した技術,薬剤が使用されること.これらの疾患に罹患した女性が月経随伴症状や不妊を主訴に産婦人科を受診した際,診断には超音波断層検査やMRIを用い,治療には薬物療法としてホルモン製剤,手術療法として内視鏡下手術を用いることが多い,ということも類似しています.
 以上のように臨床的には共通点や合併が多いこの3疾患については,これまで各々についての詳細な教科書がありましたが,これらをまとめた教科書はありませんでした.本書は子宮筋腫,子宮内膜症,子宮腺筋症の3疾患の取り扱いを包括的に解説する「本邦初」あるいは「世界初」の試みですので,この3疾患を独断で「女性3大良性疾患」としたことは大目に見ていただければ幸いです.
 本書の構成は,総論で3疾患の概念,疫学,共通して用いられるホルモン製剤についてまとめてあります.各論で発生機序,分類と診断,各疾患に固有の手術療法を解説しました.本書は産婦人科専門医だけでなく,研修医,専攻医,さらには女性を診るすべての医療者にとって,臨床の現場で役立つ実践的な教科書をめざしています.そこで,各疾患の治療目的(過多月経,疼痛,不妊など)に応じた取り扱いの解説には特に力を傾注し,フローチャートなどを用いてわかりやすく解説しています.
 大胆にも強引に3つをまとめたことにより,日常臨床にとどまらず,新しい治療法や治療指針を考えるのにも役立つ情報を提供できるのではないかと期待しています.紙面の制約から不十分な点もありますが,病態解明,診断,治療のすべてが日進月歩の領域ですので,今後多くの臨床医,研究者からご意見をいただき,本書が充実したものにアップデートされていくことを願っています.

2013年12月
聖路加国際病院女性総合診療部
百枝 幹雄